ED気味の俺が……(略)

その7

 

その7 徳永と三好 俺とオレ

 

「気持ち悪いッスよね。すみません、オレ、離れます」

 

 妙に冷静なオレの声。オレ、何も言わないセンパイを前に、腰を引こうとしたんだ。

 とたんにセンパイ、なんでかオレの腰を、ぐっと逆に引き寄せた。

 

「な、なんで? セ、センパイ……?」

 

 上半身をわずかに反らせて、オレ、センパイの顔、見ちまった。

 見ないように、背中の先だけ見て、顔、見ないようにって思ってたのに。

 

「ハグって、しっかり抱き合うんだろ。勝手に離れるな。俺から離れていいのは、俺が同意したときだけだろ?」

 

 ナニ言ってんだよ、センパイ!

 そんなこと言われたら、オレ、オレ……。

 

「分かった。待ってろ。俺のも勃つ。たぶん、すぐ、勃つ」

 

 あー、ホントにナニ馬鹿なこと言ってんだよ。分かったって、なんなんだよ!

 ガキじゃあるまいし、大人のノンケが男抱いて、勃つわけないだろ?

 それ出来たら、オレだって、女、抱けるじゃん。

 そんなの、ずるい、ずるいって!

 

・・・・・・・・・・

 

 俺、ノリの奴の『指導』、だんだん面白くなってきてたんだ。

 やってるうち、ああ、こいつ、すげえ色々考えてるなってのも分かってきた。

 男であれ、女であれ、職場の同僚であれ、営業先であれ、俺、たぶん、裸でぶつかってきてなかったんだと思う。

 俺が勝手に思い描く『上司』『部下』『同僚』『先輩』『後輩』『取引先』『卸元』『クライアント』……。全部、俺の想像の中にある『それ』を演じてるだけだった。

 理想の上司、理想の部下、理想の同僚、理想の営業先、理想のクライアント。

 それ全部、俺が作り上げた『形』に自分と相手を当てはめてただけだった。

 課長にも、ノリにも、石清水さんにも、全部、俺が勝手に作りあげてた『役』をやらせてたんだって、今、はっきり分かったんだ。

 俺の周りの奴、みんな優しい奴だった。

 馬鹿な俺が、何年何十年って気付けなかったほど、優しかった。

 最初に恋人だと思ってた彼女も、入れ込んだソープ嬢も、岩清水さんも、そして、俺が今抱いてる、ノリも。

 みんな優しすぎるぐらいに優しかったんだ。

 それが今、本当に今、俺、はっきりと分かった。理解出来た。

 

「ノリ、ごめんな。俺達が、いや、違う、俺だな。俺がお前にたくさんの嘘を吐かせてしまってたんだな。謝って済むことじゃ無い。でも、本当に済まんかった。年齢からも、役職からも、俺がお前に、俺より若い連中に、気を遣わなきゃいけなかった。気を回さなきゃいけなかった。俺はその俺に期待される仕事を、全部、お前に、石清水さんに、丸投げしちまってた。ごめん、ごめん、ノリ。本当に、ごめん」

 

・・・・・・・・・・

 

 オレ、センパイに抱かれながら、センパイの声聞きながら、また泣いてた。

 さっきはじわじわっとした涙だったんだけど、今度は違う。号泣って奴。

 なんか、オレの頭の中の回線が何十本かいっぺんに切れた、そんな感じ。涙が溢れて止まんないけど、それがなんの涙かも自分で分からなかった。

 ホモってばれたことのせいか、センパイが急に優しくなったせいか、あるいは、センパイが急に『大人』になっちまったせいか。

 

「センパイ、センパイ……。すんません、センパイ、オレ……」

 

 もう何言ってんのか、どう言っていいのか、ぜんぜん分かんなくて、ただただ、オレ、センパイ、センパイって繰り返すしか出来なかった。

 

「謝るな。謝らなきゃならんのは、俺の方だ。はっきり分かった。俺、お前が、ノリが、最初から俺に好意持ってくれてるのは分かってた。それを勝手に、高校の先輩後輩だから、職務上の上司と部下だから、だから懐いてくれてるって、勝手に、ホントに勝手に思い込んでた。いや、違うな。勝手にすり替えてたんだ。俺が思う先輩と後輩に、俺が思う上司と部下に、俺とお前の関係をはめ込もうとしてた。お前が俺にかけてくれる言葉も、石清水さんを介して伝えてくる仕事の話も、全部俺が、俺の思うストーリーに押し込んじまってた。本当に済まん。本当にごめん。つらかったろう。きつかったろう。俺もお前が言うとおりで、セックスの相手を人として見てなかったんだけど、俺自身がお前を一人の人間じゃなくって、まるでペットみたいに、自分の自由になるものとして扱ってたんだと思う。すまん。土下座して謝らんといかんぐらいのことだと思う。済まん、本当に済まん」

 

 この人、本当に、ナニ言ってんだよ。

 10年以上思ってて、こんなこと言われるなんて、ある意味残酷過ぎるじゃん。

 あんた、ノンケじゃん。

 済まん、ごめんって、勝手に謝って終わりにすんなよ。

 オレの気持ちなんか、一生、隠しといてよかったんだよ。

 勝手にいい気持ちになって、勝手にいい人になって、勝手にケリ付けるなんて、卑怯するぎるよ。

 オレ、オレ、どうしたらいいんだよ。

 なあ、オレ。どうしたらいいんだよ。

 

・・・・・・・・・・

 

 ノリの奴、泣いてる。

 30過ぎの大の男が、俺の胸で泣いてる。

 この意味、俺は分かんなきゃいけなかった。泣かせた責任は、きちんと取らなきゃいけなかった。

 ノリの涙は、勝手な俺の言い分への、涙のはずだ。

 勝手に理解したつもりになって、勝手に謝ってるつもりになってる。そんなこの俺の無神経さへの、咎めの涙だ。

 

 ”オレのこと勝手に知って、勝手に理解したつもりになって、あんたはどうするんだよ?”

 

 そう俺に、問い詰める涙だった。

 

「言うぞ、ノリ。俺、お前のことが好きだ。前から好きだったんだと思う。今日、やっとそれが分かった。俺に、ホモのこと、いや、ゲイのこと、か? 教えてくれ。どうやって俺はお前とセックスしていいのか、教えてくれ」

 

 俺は呆気にとられるノリを置き去りにして、服を脱ぐ。

 分かってた。

 自分の逸物が、痛いほどに勃起してるのが、俺、分かってた。

 素っ裸になった俺の股間は、火傷するほどに熱い血を集め、チンポの先端からは、もう先走りがだらだら出てたんだ。

 

・・・・・・・・・・

 

 ナニやってんだよ。

 この人、服脱いで、全部脱いじまって、いったい、ナニやってんだよ。

 ああ、チンポ、すげえ勃ってるし。

 嘘だろ。突然ノンケが男好きになるなんて、嘘に決まってるだろ。

 止めてくれよ。そんなの、オレ、ホモなんだから、苦しくなるだけなんだよ。

 

 そう思っても、オレ、センパイの股間から、目が離せなかった。

 オレが入社する前の社内旅行の海水浴の写真。ダサい海水パンツ履いたセンパイの裸。

 好きだったけど、大好きだったけど、センパイの裸なんて、オレ、それしか見たことなかった。

 

 初めて生で見た、センパイの裸。

 確か学生時代はラグビーバックス、入社してだいぶ体重増えて、170無い上背に90キロ近い体重は、たぶん、太め好きのたいがいのホモの、ストライクゾーンに入るはず。

 胸毛がちょろっと、臍下の茂みはもっさり、勃起した、そう、おっ勃ったチンポはずる剥けのかなりのでかさ。上背さっ引いたら、オレ、負けるんじゃないかってぐらい、デカい。

 そのチンポが上下にびくびく揺れて、先っちょはもう、先走りの糸垂らしてる。

 こんな理想の男の裸目の前にして、ホモのオレにどうしろっていうんだよ、いったい。

 

「さっきのハグで、お前が勃ってるの分かった。俺が相手だからデカくなってくれたんだと、俺は思ってる。

 で、俺もお前のが勃ってるって分かった瞬間、すげえ興奮したんだ。友情とか、部下への愛情じゃない興奮だ。

 性欲だった。肉欲なんだ。

 俺、お前が俺に興奮してくれてるんだってのが分かった瞬間、なんかもやもやしてた俺自身の色んなことに、勝手にケリがついたような気がしちまった。

 AVで3Pにはまってるって言っただろ。あれ、男二人に女一人の奴なんだ。中年の禿げたおっさんのでっかいチンポ、夫婦役の男と女が二人して尺八しててさ。俺、すげえそれ見て感じてた。

 禿げのおっさん、男にチンポ舐められてて大丈夫かなっては思ったんだけど、俺自身は、全然普通にそれ見て興奮してたんだ。舐められる側、舐める側、正直、どっちもやりたいって思ってたんだって、今なら分かる。

 俺、ホモかどうかはまだ分かんないけど、少なくとも今は、お前のチンポ、しゃぶりたいと思ってる。ノリのチンポ、舐める自分想像して、俺、興奮してる。

 そして、俺のチンポしゃぶってるノリの姿想像して、すげえ、興奮してるんだ」

 

・・・・・・・・・・

 

 ずるいよな、俺って。

 ノリの俺に対しての気持ち分かってて、十分すぎるほど分かってて、妙な煽り方しちまってる。

 でも、ホントだった。ホントの気持ちだった。

 後輩への愛情・愛着って、俺が思ってた、いや、思い込もうとしてたのは、肉欲を含んだ上での、肌と肌を合わせる快感あっての愛情だった。

 無意識には絶対気が付いてたんだと思う。単なる先輩後輩間のそれとは違う、あいつの視線、言葉、空気、そんなもの全部、俺、勝手に別の箱の中に押し込んで、『処理』しちまってた。

 それ、これからは、それはナシだ。

 単純にそう思った。俺、ノリの身体、抱きたいし、抱かれたい。あいつのチンポ、握りたい。俺のチンポ、握ってほしい。そして、しゃぶりたいし、しゃぶってほしい。

 うん、ホモってケツ使うってのは分かってる(つもり)だけど、それはまだちょっと汚いってイメージ強いけど、もしあいつが喜ぶんならチャレンジしたい。いや、これも言い換えちまってるな。俺、あいつのケツに挿れたいし、出来るんだったらあいつのチンポ、俺にも挿れてみてほしい。痛いとかは色々あるだろうけど、グッズもあるってことは、やってる奴もそれなりにいるってことだろうし。

 

 ノリの奴、さっき俺が『勃つ』って言って、あいつが『センパイ、センパイ』って言った後は無言になってた。

 でも、その気持ちは、これも勝手な思い込みかもだけど、あいつの顔見てる俺には伝わってきてたと思う。

 疑問、詰問と、不満、不穏。全部分かる。当たり前だ。

 いわゆるストレートでソープの姉ちゃんがって、ほんのさっきまで言ってた俺が、突然お前が好きだなんて言ったら、馬鹿にされてるって思われるのは、当たり前だ。

 でもな、ノリ。

 今の俺の『お前が好きだ』ってのも、ちゃんとホントなんだ。

 それだけは分かってくれ。『今』は伝えきれないかもしれない俺だけど、せめて俺に、お前に伝えるチャンスをくれないか。

 

「ノリ、俺はお前とキスがしたい。して、いいか? 返事でもいい、うなずきでもいい。もちろん拒絶してもらってもいい。そしたら俺は服を着て、お前にばいばいして、お前が帰ったらせんずりかいて寝る。それだけだ。

 俺はお前とキスして、お前の乳首を吸って、お前のチンポをしゃぶりたい。

 俺はお前に俺のチンポ握ってもらって、しごいてもらって、しゃぶってもらって、お前にイカされたい。俺はお前のチンポを握って、扱いて、そしてしゃぶって、俺の目の前で、お前が射精するとこ見たい。

 どうだ? ノリ。

 俺は俺がしたいこと、全部言ったぞ。全部、言葉にしたぞ。

 どうだ、どうなんだ? ノリ?」

 

・・・・・・・・・・

 

 やっぱり、センパイ、ずるすぎる。

 オレ、そんな言われたら、ぜんぶ『うん、オレもしたい』って言うしかないじゃん。

 だってそれ、全部、ホントに全部、オレがずっと、ずっとセンパイとしたかったことじゃん。

 それを急に、さも自分が思いついたように言うなんて、こっちに『うん』って言わせるなんて、ホントにずるいッスよ。

 だったら、オレも言うッスよ。センパイの目の前で、オレ、言っちまうッスよ。

 

「徳センパイ……。オレ、センパイが好きだった。入社してからこっち、ずっとセンパイ、見てたし、たまに思い出してせんずりしてたッスよ。

 そんなセンパイと、キスしたくないわけ、無いッス。乳首も舐めて、舐められたい。チンポも握りたいし握られたい、扱きたいし扱かれたい。もちろんしゃぶって、しゃぶられて、金玉もベロベロ舐めて、舐められて。オレ、センパイのをイかせたいし、イカされたい。

 これはセンパイ、キツいかもだからオレだけでいいっスけど、オレ、センパイの汁、飲みたい。

 センパイにオレの口に、出してほしい。オレ、センパイのしゃぶるから、口に、汁、出してほしい。

 オレも、全部したいこと言ったっすよ。

 これがオレの、返事ッスよ」

 

 オレの話しを、最後まで黙って聞いてくれてたセンパイが、がばっとオレに覆い被さる。

 座って飲んでたときにはちょうどいい背もたれになってた大きめのL字のソファーに、オレ、押し倒された。タッパでは、オレの方があるはずなのに、オレ、まるで抵抗出来なかった。

 怖かったんじゃ無い。嫌だったんじゃ無い。

 オレ、センパイと『そう』したかった。センパイに『そう』されたかった。

 

「脱がすぞ」

 

 律儀にオレに確認するセンパイに、ふふって笑う余裕が出てきたオレ。

 でももしかしたら、言葉にすることでより一層、興奮してるのかもっても思えてきて、オレも乗っかることにした。

 

「シャツのボタン、お願いします……」

 

 センパイのぶっとい指が、小さなボタンにかかる。

 自分のときとは逆の動きは指の運びを極端にぎこちなくしてしまう。

 それでもセンパイの指が胸から段々と下りていく間、オレはスラックスのベルトを外そうとしていた。

 

・・・・・・・・・・

 

 シャツのボタンを外し終わり、ちょっと身体をよじりながら両腕からワイシャツの白布を脱がしていく。

 がっしりしたノリの上半身が露わになる。

 ビールとかすかな汗の匂いが混じったその薫香は、なぜか俺の興奮をさらに高めちまう。

 そのとき、俺、男のこいつが好きなんだって、改めて認識させられた気がしてた。

 カチャカチャとした音と一緒に、ベルトを外したノリの下半身。

 盛り上がったボクサーブリーフの膨らみが、灰色の染みを濃くする先走りを吸って黒くすら見える面積を増やしていた。

 あいつのチンポ、いよいよ目の前にすることになる俺。

 勃起したチンポなんて、それこそエロ動画、それも外国の奴でしか見たことが無い俺だ。

 それでも絶対に俺はそれを拒否しないだろう。なんなら目にした瞬間に、あいつのチンポを、手にし、口にするだろうって予測すらついていた。

 

「下着も、いいのか?」

 

 こっくりと頷くノリの顔が、可愛く見える。

 ソファに横たわったあいつの腰が浮き、俺が引き下ろすボクサーブリーフの動きを助けていく。

 

 ぶるん、と音が聞こえるほどのあいつの勃起したチンポ。

 チンポなんて可愛い響きじゃねえな。魔羅、それもかなりでっかい、太魔羅だった。

 俺のと比べたら、胴回りはわずかにこっちに利がありそうだが、長さは2センチほどもノリのがでっかいのが、見ててすぐに分かる。

 グロいほどにうねうねとした血管が巻き付き、まるで静脈瘤みたいな盛り上がりで竿を飾ってるのは、俺のとよく似てる感じがしたんだ。

 一番の違いは反り上がりの形。

 俺のは根元からズドンとまっすぐ、あいつのは上向きに緩いカーブを描いてる。

 いわゆる『挿れた』ときの凶悪さは、あいつの長さとカーブに軍配が上がるに違いなかった。俺のはまあ、その太さでなんとか4勝2分けで五分の成績にはならないだろうな。

 それでも毎日みたいなせんずりで鍛えた分、亀頭は俺の方が耐久力あるとは思うんだが。

 あいつの鰓がぐいっと張った先端、でっかいプラムみたいな紫がかった赤身の反り返りは、男としても惚れ惚れするぐらい、かっこよかったんだ。

 

・・・・・・・・・・

 

 センパイが、オレのチンポ、まじましと見てる。

 もう、それだけでオレ、先走りがまるでションベンみたいにだらだら垂れてるのが分かるぐらいだった。

 

「センパイ、裸のオレ、抱いてほしいッス。センパイの肌、オレ、味わいたいっす」

 

 センパイの上半身引き寄せながら言ったオレの台詞。センパイもゆっくり頷いて、その男らしい顎のラインが近づいてきた。

 

「んんっ、むっ、うはっ……」

 

 最初はキスだった。センパイの90キロ近い体重が、互いの肌を合わせながら、ずっしりとのし掛かってくる。

 重さは快感になるよな。そんな思いも瞬間に、センパイのキス、オレ、すげえ興奮しちまう。

 

「飲んで馬鹿騒ぎしてのキスはあったけど、男とこんなキス、俺、初めてなんだぞ」

「センパイ、キス、うまいっスよ」

「やっと笑ってくれたな」

 

 ああ、もう、この人もオレと違う意味で、たらしなんだよな。

 もう、オレも吹っ切れてた。

 ホモとして、ゲイとして、同性愛者として。この人を、センパイを、オレ、好きだったし、これからもたぶん、もっと好きになってくんだと思ってる。

 先のことなんか、もちろん分からない。

 でも、今は、オレ、目一杯、センパイのこと、『好き』、だった。

 

「センパイ、乳首いじって、舐めて……」

「感じるのか?」

「うん……。センパイだって、あのクランプみたいなので、感じてたんでしょ?」

「へへ、うん、気持ちよかったぞ。最初は痛みが強かったが、何回かやってると、全身、びくびくって感じになってな」

 

 センパイ、話してる顔がすげえいやらしい。

 スケベの権化みたいな目尻の下がり具合と、丸いでっかい鼻が、オレ、もう見てて全部舐め回したくなる感じ。

 

「あっ、あっ、すげえっ、乳首、感じるっ! センパイに乳首舐められてっ、オレっ、感じてますっ!!」

「こんなのどうだ?」

「あ、センパイ、落っこちないで!」

「ちょっと体位、変えるぞ」

 

 センパイ、オレの上から下りて、ぐるっと身体回すとソファの下に膝をつく。頭の方からオレの胸に唇寄せる感じにのし掛かり、センパイのたっぷりとした筋肉の上に脂の乗った大胸筋が、オレの目の前を塞ぐ感じで顔を覆う。

 

「乳首、舐め合おうぜ」

「すごい、センパイの乳首舐めながら、オレの乳首、センパイに舐めてもらえる」

「絶対気持ちいいだろ、こんなの」

 

 いったいどこでこんなの教わったんだよって思ってたら、そうだった、この人、ソープやデリに結構はまってたんだった。

 

「んっ、ひうっ、あっ、あっ……、すげえっ、やらしいっ。乳首同時に舐めるの、すげえやらしいっ……」

「もっと、強く噛んでいいぞっ! あ、ああっ、そうだっ! もっと強く、俺の乳首っ、いじめてくれっ!!」

 

 センパイ、たぶんSっ気もMっ気も、どっちも楽しめるお得体質だ。

 これオレもそうだし、ぜったい二人でいると、エロエロになるパターン。

 そんなのが、オレ、嬉しかった。なんか、涙出るほど、嬉しかった。

 

 乳首を堪能したオレ達、いよいよ、カンカンに勃起した逸物に手が伸びる。

 オレはまあ、けっこう色んなチンポ握ってもしゃぶっても、なんならケツで受けても来てるけど、さすがにこれはセンパイ、初めてのはず。

 

「そのさ、ノリ。痛かったら、すぐ言えよ」

「手で扱かれる分にはローション使うならちょっときつめの方が感じるッスよ。ただ口でやるときはやっぱり歯の先が当たると痛いんで、そこはちょっと注意ッス」

「あ、そうだよな、こういうときのローションだよな。ちょっと待っとけよ」

 

 センパイ、がばっと身体起こして、引き出しをガサゴソしてる。

 センパイが手にしてきたのは、こっち系の業界でも有名な、あのディルドと見紛うばかりの形をしたオレンジのキャップの奴だった。

 部屋でのせんずりで結構使ってるのか、入ってるのは半分ぐらいなんだが、ボトルの大きさと一回に使う量を考えると、使い切るにはまだまだ何ヶ月もかかりそうな具合だった。

 

「扱き合い、しようぜ」

 

 センパイ、いたずらっこみたいにニヤッと笑って、自分の手とオレの手にもローションを垂らす。

 このローション、今までも色んなオナホール使うとき、センパイのチンポがまみれてたんだなって思うと、それだけでまた、オレの先っちょからも透明な汁が漏れていく。

 

「うおっ、すげえっ! 人にやられるって、こんなよかったんだっ!」

「センパイのっ、ぶっといッス! すげえっ、太いっ、こんな太いのっ、すごいっ!」

「ノリっ、俺の手、気持ちいいか? 俺っ、お前に扱かれてっ、すごい気持ちいいぞっ!!」

「いいっス! センパイの扱きっ、気持ちいいっス! あ、ダメッス、そんなやられるとっ、オレっ、イッちまうッスよっ!!」

 

 扱き合い、キスし合い、乳首を弄り合う。

 センパイの毛だらけの金玉をごりごり揉めば、じゃりじゃりした手触りがすんげえエロい。オレの金玉もセンパイの分厚い手でぐっと引き下げられ、その刺激に思わずイきそうになるオレ。でも、センパイ、もうちょっとかかりそうだった。

 

「センパイっ、タンマっ! センパイに扱かれてたらっ、オレだけっ、オレだけイッちまいますっ!」

「もちょっと待てっ、我慢してくれっ! 俺、お前と一緒にイきたいっ! ノリと一緒にっ、俺っ、イきたいっ!!」

「センパイっ、オレの上に、上に乗ってくださいっ! センパイのチンポと、オレのチンポっ、一緒に扱いてっ、一緒にイきたいっ!!」

 

 オレ、すんごいこと、叫んでた。

 センパイの部屋で、大声でよがってた。

 

「やらしいよっ! ノリっ、チンポ2本取りで扱くぞっ! おっ、おっ、いいっ、チンポいいっ! 2本取りで、お前と俺のチンポがっ、けんかしてるみたいでっ、いいっ、気持ちいいっ、いいっ!!」

「すげえっ、センパイのチンポっ、固いまんまッスよっ!! ギンギンの、ままッスよ!!」

「ああ、すげえよっ! お前とヤッてるとっ、俺のチンポ、萎えねえよっ! 俺のインポっ、お前がっ、お前とヤッてると、ぜんぜんっ、ぜんぜんっ!!!!」

 

 もう、たまんなかった。

 横たわったオレの腰にまたがったセンパイ。

 二人のチンポをぐりぐりよじり合わせるようにして、センパイの手が、ときには両手が、肉竿を、肉棒を、扱き上げていく。

 

 センパイのぶっといチンポがオレの裏筋を擦りあげる。

 ぶりっとした亀頭が鰓を押し上げ、鈴口同士が先走りとローションをずぶずぶと濡らし合う。

 オレ、もう限界だった。

 センパイと一緒にイきたい。

 もう、頭の中、それだけだった。

 

「イけるか、ノリっ! 俺っ、お前と兜合わせのまんま、イきたいっ、もうっ、俺っ、イけるぞっ!! いつでもっ、イけるぞっ!!」

 

 センパイの声に、もう、オレの引き金が引き絞り上げられる。

 ずっと固いまんまのセンパイのチンポ。

 その硬さと亀頭のぶりっとした弾力。2本一緒にセンパイの手に握りしめられて、もう、オレ、ダメだった。

 

「あっ、あっ、オレも、イきますっ! そんなされたらっ、センパイっ、オレっ、センパイと一緒にっ、イきたいっ、イきたいっ、一緒にっ、センパイとい一緒にっ、イくっ、あっ、あああああっ、ダメっ、イくっ、イくっ、イっ、イくーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

「俺もっ、一緒にっ! ノリとっ、ノリと一緒にっ、あっ、ああっ、イくっ、イッちまうっ! チンポっ、俺のチンポ固いまんまっ、イくぞっ、イくぞっ、イくぞっ、あ、ああああああああ、あああっ、イくっ、イくっ、イッくぅーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 どさっとオレの汗まみれの肉体に倒れ込んできたセンパイの上半身を、オレがしっかりと受け止める。

 汗にぬめるセンパイの肌。腹に、胸に、オレの顔に飛んだ二人分の汁が、どろっと流れ落ちる。

 噎せ返るようなその匂いが、男と男の行為があったことを如実に語っている。

 

 センパイの息が落ち着くまで、オレ、センパイの背中、ぎゅっと抱きしめてた。

 目から鼻、鼻から唇へと垂れる、オレとセンパイの汁、すんげえ匂いで、すんげえ旨い。

 これはセンパイにはまだだよなって思いながら、口に流れ込んだ汁を舌先に溜めたまま、センパイとキスしたかったオレ。

 汁飲んだ後の、独特の匂いも知ってるオレは、さすがにそこまでは出来ないと思ってた。

 センパイがちょっと顔上げて、オレの頬に垂れた汁、舐めるまでは。

 

「セ、センパイっ……。き、汚いッスよ……」

「俺とお前の精液が、なんで汚いんだよ?」

「だって、人の精液舐めたりするなんて、センパイ、初めてでしょ?」

「ま、そりゃ、他人様のは無いけど、俺、自分のなら飲んだことあるぜ?」

「はあっ? ノンケで、そりゃ、無いっしょ????」

 

・・・・・・・・・・

 

 ノリの奴、俺が精液舐めたことあるって言ったら、えらくびっくりしてさ。

 ん、男って、どっかでいっぺんぐらい、自分が出した奴、舐めてみるもんじゃないんかいな。

 ま、そこらへんはこれからおいおい話していくとして、もう、俺、こいつとヤル分には、たぶん大丈夫な感じがしたんだ。

 ナニが大丈夫って、そう、つい数時間前まで悩んでたインポ、EDのこと。

 俺の話し聞いて『精神的な原因』って言ってた、こいつのが、結局正解だったってことなんだろうな。

 あの途中で『え?』って『来る』感覚が、こいつとヤッてる間は、まったく感じなかった。

 というより、ずっと気持ちいいまま射精出来るって、たぶん俺の本能に近い部分で、きっと分かってたんだと思う。

 

 シャワー浴びましょかって、部屋の主より先にあいつに言わせちまって、悪かったと思ってる。

 そこらへん、俺の方が気を遣う話しだよなって、なんか、俺、考え方にもちょっとって言うか、かなり、変化してる気がしてた。

 こいつ、ノリのことも、課の石清水さんのことも、ラインの課長のことも、そして、俺自身のことも、もっと色々考えて、考えた上で話して、話した上で動いていかなきゃなって、今なら思える。

 うん、今だから、思える。

 

 一昨日、こいつ掴まえて『相談あるけど』って言ってたときと、今の俺と。

 こいつの目には、どう映ってるんだろう。

 つい二日前の俺と、今の俺と、その違いは外から見えるんだろうか。

 そんなこと考えながら、わいわいと風呂に二人してなだれ込んでた。

 

 シャワー一緒に浴びて、いちゃいちゃしてるよな俺達って、なんか妙に客観的にも思えるんだけど、身体洗いっこしてるうちに、二人ともまたチンポギンギンにおっ勃ってさ。

 今度は風呂の縁に腰掛けた俺のチンポ、ノリにしゃぶられて、俺、ノリの口ん中に、そのまんま出しちまった。

 イってる間も、先っぽぐちゅぐちゅ口ん中でやられて、すげえ気持ちよくってさ。

 俺もノリの飲みたいって、同じようにやってみたんだけど、こればっかりは最後の瞬間、あいつが噴き上げるところ見たいって欲望も出てきちまって、口からちょっと離したら、顔中に汁、浴びてさ。

 ノリの奴は、すんません、すんませんって謝るんだけど、俺からしたら、見れたし、その後、汁も飲めたし、言うことない感じだった。まあ、いつも顔射ってなると、風呂で無いと周りも汚れちまうだろうから、そこらへんは今後要検討って奴かな。

 

 結局、居間での1発、風呂での1発、計2発ずつイって、泊まってけよって言ってさ。

 一緒に買ってきた酎ハイ開けて、再度乾杯。

 さすがにビールの酔いは覚めてたけど、それでもすげえ興奮と感情の動きに、やっぱ二人とも疲れてたんだろうな。

 つまみもそこそこに、一缶ずつ飲んだら、ベッドに直行って感じだったよ。

 

 で、あいつ、俺の前で『眠いッスよ』とかいって、マジにもう、寝ようとしやがったから、俺、なんかこう、もったなくて背中から抱くような感じで、あいつの前に手を回して、乳首とチンポ、いじってやったんだ。

 

 

「う、うーん、センパイ……。オレ、もうホント眠いッス。明日、明日の朝、またヤリまっしょ、ね」

 

 なにが『ね』だよ。

 こちとらここしばらく人の肌そのものに触れてなかったんだぞって、俺、勝手に鼻息荒くしてた。

 もちろん、チンポもまたギンギン。

 そんな俺を置き去りにして、あいつ、なんかスースー寝息みたいな呼吸始めやがったからさ。俺、ちょっといじわる思いついて、あいつの耳元で言ってやったんだ。

 

「なあ、ノリ。俺たちって、これ、恋人ってことなんか?」

 

 あいつの身体が、びくってなってさ。

 あ、起きてるなって、もうモロ分かり。

 でもさ、こっち見ようとしない奴、寝たふりしてごまかそうってのが、バレバレで。

 それでも乳首いじってると、やっぱりびくびくが止まんないし、分かりやすい奴って、俺、思ったな。

 最後はもう、覆い被さるようにして強引にキスしてやったら、あいつ、泣いてて。

 俺もそれ見たら、なんか涙出たんだけど、枕でぐいぐい拭ってさ。

 キスしながら、お互い、とろとろって眠りに入っていくのが、すげえ気持ちよかったって覚えてる。

 

 

 まあ、最初に言った『とんでもない顛末』って、こういうこと。

 シモの話しの相談が、まさかこんなことになるなんて、二日前の俺ですら、まったく想像してなかったワケだし、それはもう、ノリの奴だってそうだったんだろうって思う。

 

 これから先、俺達二人がどうなっていくかなんて分かんないけど、それでも、俺、こいつのこと目一杯好きになるし、目一杯愛していくし、目一杯、エッチなことも覚えていきたいって思ってる。

 たぶん、こいつの雰囲気だと、いずれはケツもってなるのも分かるし、そこらへんは教えてもらいながら、やってくかな。

 

 そんな話しがまた出来るといいんだけど、まあ、今日はとりあえず、ここまでってとこで。

 じゃあ、お休みなさい。

 明日の朝が俺の話し聞いてくれたみんなにいい朝になるよう、祈ってるぜ。