雄志社大学柔道部

副主将の受難

その8

 

肉柱

 

「せっかく、みんなでイかせてやろうってのに、イきたくないってか?!」

 

 内柴の生活空間ともなっている食堂に、驚いたような吉田の声が大きく響く。

 鈴木や井上、篠原ら、責めの主体となる連中への根回しも終え、内柴へと3回生達の会議での決定事項を伝える。

 2回生らによる30分の直接的な責めに耐え抜けば、これまでの禁欲生活を一時的に開放し射精を思う存分楽しめるという、内柴にとっては待ちに待ってるはずの話だった。

 

「ああ……。お前らが俺のことを心配して決めてくれたってのは分かるんだが……」

 

 そう答える内柴の股間は、責めを受ける前、夕食後となるこの時間でもすでにおさまらない勃起が続いている。

 講義の間、練習の間、そして就寝の時間までもが全身を刺激性の強いシャツと褌を身にまとい、乳首を置き針が責め続けているのだ。

 もはや勃起そのものが当たり前となった生活の中、その鶏卵ほどもあるふてぶてしい両の睾丸の中、溢れんばかりの汁がとくとくと製造されていく。

 夢精すら許されない鍛錬の日々に、「出したい」「イきたい」という雄の本能としての欲求は最大限に高まっているはずだった。

 

「なら、どうしてだ? 正直、1ヶ月以上も念入りにいじくられて、お前、1回もイって無いんだぞ? こんなことやられて、金玉が汁で破裂しないか、イきたくておかしくなるか、もうそんなレベルだろう??」

「吉田の言う通り、もう朝起きてから夜に寝るまで、もう頭はチンポと射精のことで一杯だ。どれだけ興奮させられても最後の一シゴキをもらえないってのがこんなにキツいって、俺、ぜんぜん分かってなかったよな」

「だからこそ、合練前に1度リセットして、お前がおかしくなるのを阻止しようって話じゃねえかよ」

 

 吉田からするとあまりにも理不尽な内柴の返答である。

 

「ああ、それもお前らの精一杯の温情ってのも分かってる……。だがな、俺も男だ。一度受けた試練を途中で条件緩めてもらって嬉しいです、なんてのは、意地にかけても言えねえんだよ。そりゃ俺だって、今すぐにでもぶっ放したい。今だったらそれこそ何十発でもイケる気もしてるさ。でも、それは、『今』じゃ無いんだ。ここでイッちまうと、なんだかこれまでの苦労がご破算になっちまう気がしてる」

「シバ! もともとの鍛錬の目的を取り違えるなよ! そもそもはお前が敏感すぎて試合に負けちまうからって話だったろ? このまま合練の日まで出さなかったら、お前押さえ込まれて股間に相手の腕が回った瞬間に射精しちまって、あっと言う間に終わりだぜ? そこ、分かってんのか?!」

 

 吉田の大声は部員全員の声の代弁だった。

 

「ああ、だから『今じゃ無い』って言ってるだろ?」

「だったら、『いつ』なんだよ?」

「合同練習入る前日、それこそ10発ぐらい抜きゃ、なんとかなるさ」

 

 内柴自身の中ではそこが明確な目標になっていたのだろう。

 だが、主将の古賀が、そこへ割って入ってきた。

 

「シバ、そうは言っても試合前日にやっちまうと、柔道で使う筋肉と別なところが疲れちまうってのは、それこそ俺達、中学生の頃から聞いてきただろう。腰の使い方が柔道と射精とじゃ、ぜんぜん違うんだ。それはお前も分かってるはずだろう?」

 

 古賀の言うことももっともであった。

 スポーツ選手にとり、禁欲期間で己の闘争本能を昂ぶらせることはあっても、試合直前での肉欲解放は結果にプラスとならないことは広く知られている。

 

「だからよ。なにもせんずりやイラマでイくって思ってんじゃないんだ。お前らには悪いんだが、俺は寝っ転がったまま、お前らの口と手で絞り出してほしいと思ってる。わがままな話だとは思う。俺が腰を動かさないようにして、シゴキ上げ、しゃぶり上げだけでイかせてほしいんだ……」

「そりゃあぜんぜん構わんが……。本当にあと1ヶ月半、射精禁止のままでいいのか? ツラいぞ?」

「分かってる……。分かって言ってるんだ……」

 

 とつとつと答える内柴の意思が固いと見たのか、古賀もまたその心を決めたようだ。

 

「シバ、お前の気持ちは受け取った。みんな、合同練習の前々日まで、これまで以上に内柴をいたぶれ。シバの全身、チンポ、金玉、とにかくいじめていじめ抜くんだ。そして合練前日にはこいつの雄汁、それほど枯れるまで搾り取ってやろう。それがこいつの根性試しだし、それに耐え抜きゃ、もしかして敏感性も克服出来るかもしれんしな」

「了解っ!!」

 

 部員一同が、主将の檄に応える。

 全裸で両足を広げて仁王立ちになっていた内柴は、自分の肉棒をぶんぶんと上下に震わせ、その意気に応えるようだ。

 

「へへ、シバ先輩。目的はちっと変わっちまったみたいだけど、今日は俺らが仕切らせてもらうッスね。もともと俺達には先輩をイかせるつもりでやれって、吉田先輩から言われてたっス。かなりキツいっちゃあ思いますが、俺達、シバ先輩の根性見せてもらいたいッス!」

 

 2回生の鈴木桂三が、どこか嬉しそうに宣言した。

 吉田からは今日の責めを「真剣勝負だ。シバの野郎が堪えられんぐらいのキツくてエロい責め、やってやれ。あいつの根性とお前等のテクニックとの根性比べだな」と言われていたのだ。

 内柴の一時的な禁欲解禁のインセンティブが無くなったとはいえ、鈴木らに命じられた内容に変更が生じるわけではない。

 

「俺達2回生、3人の重量級によるこの技、前に斉藤先輩にも試させてもらって、それこそあっと言う間にイッてもらったんスよ。シバ先輩にも宙に浮いた状態での射精、絶対味わってほしいっス」

「あれ、やるのか! 確かに俺があんな状態でイかされるとは思ってもみなかったもんな。シバ、鈴木達は俺が鍛えただけあって、すげえ技、持ってるぜ。せいぜいイかないよう、踏ん張りな」

 

 どうやら鈴木の企む責めは2回生の重量級の男達、鈴木桂三(すずきけいぞう)100キロ超級、同じく篠原信三(しのはらしんぞう)100キロ超級、井上泰成(いのうえやすなり)100キロ級の3人による合わせ技らしい。

 かつてその技を試した3回生の斉藤のお墨付きであるようだが、130キロ台という部内一の重量を誇る斉藤をすら『宙に浮かす』とは、いったいどのような技なのか。話を聞く内柴も武者震いのようにその方を震わせている。

 

「俺達3人が素っ裸になって、シバ先輩を真ん中にして取り囲みます。で、俺が正面から、シノと井上が後ろ側から、俺が正面から先輩を抱きしめて、俺等の身体で先輩の全身を上下に扱き上げるッスよ。さすがに斉藤先輩んときには危なかったんで俺の身体にだけローション塗ったんスけど、シバ先輩なら斉藤先輩の体重半分ッスから、ホントにもう宙に浮いたまんまの射精を味わってほしいッスよ」

 

 どうやら全裸になった重量級3人が同じく裸になった内柴をその屈強な肉体を駆使して上下に揺すり上げ、互いの股間や胸筋、腹筋をすり合わせる中で、全身で快感を味合わせようと言うのだろう。

 130キロ以上もある斉藤をすら持ち上げる3人の腕力体力もすさまじいものだが、その肉の柱、肉厚によって与えられる快感もまた、想像を絶するものなのだろう。そこで繰り広げられた部内一の巨根の持ち主である鈴木と、僅差でそれを追う斉藤のそれが擦り合わされる様は、どれほどの迫力があったのだろうか。

 

「俺等これ、『肉柱の刑』って呼んでるんスけどね。今んとこ、同じ学年の連中、先輩方でもm、俺達のこれ喰らって、堪えきれた人、いないんスよ」

「まあ、ヤられる側に取っちゃ『刑』ってより『ご褒美』って奴だよな」

 

 体験者である斉藤の評を聞けば、その『刑』に処されたものに与える快楽の総量はいかほどのものだったのか。

 

「じゃ、始めるッスよ」

 

 鈴木の言葉に内柴がその肉体を前に進めた。

 一切を隠すことなく堂々としたその歩みは、およそ倍近い体重を持った2回生の中にいてもまったく萎縮しているようには見えなかった。

 

「斉藤先輩のときはさすがにちょっと怖くてローションは俺と先輩だけに塗ったんスけど、今日は俺達3人全員がローションまみれになってやりますから。じゃ、シバ先輩、まずは俺に抱きついてください」

「ああ、頼む……」

 

 鈴木の大木のような肉体にしがみつく内柴。

 157センチの内柴と、184センチの鈴木。身長差だけでも20センチ近くはある2人が抱き合えば、当然内柴の顔は鈴木の盛り上がった胸筋に押しつけられることになる。

 

「シバ先輩、上にずり上がる感じでお願いしまっス」

「ああ、なんとなくヤられる感じも分かった。お前の腹に乗る感じになりゃ、いいんだろ?」

「そっス! さすが飲み込み早いッスね。じゃあ、いくッスよ!」

 

 鈴木が少し腰を落としたかと思うと、内柴の脚の間に膝を割り入れる。

 その筋肉の動きを予見した内柴が、軽く跳ね上がるような動きを合わせる。

 

「うおっ、お前のがケツに当たるぞ!」

「へへっ、当ててるんスよ。ケツ、締めとかないと俺のが入っちまいますよ」

「お前のなんか入れられたら、ぶっ壊れちまうっ!」

「それもまた感じるとは思うんスけど、今日はまずはシバ先輩に感じてもらうのが一番スからね」

「ああ、俺のチンポと金玉、お前のぶってえのと腹に挟まれて、すげえ気持ちいいぜ」

「まだまだッスよ。こっから先、俺達3人のカラダ、味わい尽くしてください。止めてくれって言われても、一気にやるッスよ」

 

 鈴木の合図でニヤニヤと笑う井上がローションの大きなボトルを内柴の上半身に垂らす。

肩、胸と滴るそれを鈴木のわずかな体動が肉々しい2人の密着度をさらに上げる。

 

「俺達のカラダ、堪能してください」

 

 井上と篠原が自分達の全身にもローションを塗り広げ、それぞれが内柴の斜め後ろから抱きかかえるようにして密着した。

 

「ああっ、な、なんだっ、これっ……」

「へへっ、シバ先輩。3人、いや、3本の肉柱に囲まれて、相当『いい』っしょ?」

「あ、ああっ! あ、あ、ああっ……。ぜ、全身っ、全身がっ……、か、感じるっ……!!」

 

 がっしりと構築された肉柱から首一つ覗く内柴の肉体。

 古賀や斉藤、他の部員達からは、重量級3人の裸体で締め上げられる内柴のほとんどの肉体は見えないのだが、副主将の敏感な肌がその肉厚の壁の向こうでどのように翻弄されていくかは、想像するに難くない。

 ソープで提供されるローションプレイは所詮マットと1人の肉体によるものだが、ここではそれが、逞しい筋肉と脂肪の塊である3人が密着した空中にて行われるのだ。

 

「そいじゃ、一発カマしますか。シノ、井上、タイミング合わせろよっ!」

「応っ!!」

 

 雄志社大学柔道部2回生、重量級を代表する3人が、まさに一つの肉塊のごとく密着し、そのみっしりとした肉筒の中を、ローションまみれにされた内柴の肉体が猛烈な肉の圧力を持って上下に搾り上げられる。

 

「どうッスか、シバ先輩? 俺達の『肉柱の刑』、どうッスか?」

「あああああっ、あっ、ああああっ、すげっ、すげえっ! お前等の肉で、俺のっ、俺の、ぜ、全身がっ、俺の全身がっ、ち、チンポになるぅっ……!!」

「いいっしょ? いいっしょ? これで、斉藤先輩も盛大に噴き上げてくれたっス! シバ先輩にも、気持ちよくイってもらいたいっスよ!!」

 

 内柴の敏感性の全身の肌が、3人の鍛えられた筋肉と脂肪の鎧とヌルヌルとした潤滑油のもと、上下60センチもの幅にわたって、ずり上げ、ずり下げられていく。呼吸を合わせた3本の肉柱の動きは精緻を極め、わずかなバランスの崩れすら発しない。

 その姿は、おとこであればほぼ100%のものが経験するはずの、自慰行為による手と肉棒の動きなのではないのか。あるいはまるでオナホールを出し入れする、肉棒の動きではないのか。

 あの『中』にいる内柴が味わう快感は、いったいどれほどのものなのだろう。

 

 その場にいる部員達の思いは一致していたようだ。

 それは、その『動き』すべてが、3人の2回生の足腰と腹筋の力によってなされるという、実に見事な技でもあった。

 

「さすがに俺んときにはあんなに上下には動かなかったが、それでも20センチ近くは上下にヤられてよ。140キロ近いこの俺を浮かしながらやりやがって、あいつら、まったくすげえ奴等だぜ」

「あんなの続けて、腰とか痛めないんだろうな?」

 

 直属の後輩を褒めそやす斉藤の言葉に対して、古賀の一言はさすがに主将たるものの台詞だろう。

 

「はん、あんなもんで痛めるほどやわな鍛え方させてねえだろ? ちったあ自分達の後輩を信頼しやがれってんだよ、俊彦」

「あ、ああ、すまん……。確かに、そうだな。となると、後はシバの奴が堪えきれるかどうかか……」

「俺でも10分も保たずにイッちまったんだ。あれだけ体重差があるシバだと、上下の動きの幅がでかい。その分、おっ勃ったチンポの裏筋から金玉が、ものすげえ刺激受けることになる。俺なんか、想像するだけで、もうイッちまいそうになるぜ」

 

 斉藤と古賀の会話は、ある意味いい解説になっているのだろう。

 耳にした部員達、その股間がよりいっそう盛り上がり、中には我慢が出来ないのか、下着から引きずり出した、あるいはすべてを脱ぎ捨てた男達が、次々と己の逸物を扱きだした。

 

 一番下の基本となるポジションに内柴がいるとき、その広げられた両足と尻はかるく曲げられた鈴木の両の太股と、ずろんとばかりに勃起した巨大な肉棒の上を跨ぐようにしてその身底部を安定させている。

 内柴の固く勃起した逸物はもっさりと茂った鈴木の下腹部につよく押しつけられ、そのたっぷりと汁を溜めた睾丸は鈴木の巨砲の根元でぐんにゃりと形を変えている。

 次の瞬間、3人の息の合った引き締めにより、内柴の70キロ近い肉体が軽々と上方へと滑り送られていく。

 その間、内柴の背中、腹、腕、太股はもとより、一番敏感な股間の裏筋から太く盛り上がった尿道、ぐにぐにと潰されながらも転がされる睾丸、さらにはすずきの巨大な肉棒がずるりと肛門のふちをなぞりながら一気に上昇の動きが加速する。

 下腹部の茂みから臍、盛り上がった腹肉に押しつぶされながらついには発達した二つの胸筋に挟まれたわずかな窪みへと、その先端を進めていく肉槍が達する。

 自らの腹筋と後輩の充実充満した肉体からの圧を受けながら、その短くも長い旅路が幾度となく繰り返される。

 

「うううううっ、もうっ、もうっ、たまらんっ! こんなんやられたらっ、もうっ、もうっ、イッちまうっ!!」

「イくならイくで、派手にぶちかましてくださいよ、シバ先輩っ! 堪えるなら堪えるで、寸止めイかず勃起ってのも、気持ちいいっしょ?」

 

 その大胆で官能的な上下運動は、試合時間である4分を目処にわずかな休息を挟みながら幾度も繰り返される。

 古賀達、3回生が規定したその6回分、休憩を含んで30分にわたる責めの時間が段々と近づいてくる。

 

「シバ先輩、なかなか強いッスね。さすがって言えばいいのかな。ただ、俺達も最後の4分、全身の力込めてやるっスから、先輩も覚悟お願いしますっ!!」

「あ、ああ、頼む……。もう喉も枯れて、ふらふらだが、お前等の責め、なんとか堪えきってみせるぜ」

 

 2回生である鈴木達の意地と、3回生副主将としての内柴の意地が、火花を散らす。

 それはもう、どちらが勝っても負けても、部員達からの喝采を浴びることは間違いないだろう。

 それほどまでに、性的であり、崇高でもあるその『責め』は、見事なものであった。

 

「あと10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、1……。そこまでだっ!」

「シバ先輩、すごいっス……。かえって責めてる俺達の方がイきそうになってたよな」

「ああ、先輩の尻がこっちのチンポに当たって、すげえ刺激だった。ローションでヌルヌルしてる上に、俺達の下で背中も責めたんだけどな」

「鈴木だって、シバ先輩のケツにそのぶっとい奴挟まれるたびに、たまんなかったんだろ?」

「ああ、このまま突っ込んじまいたいって思いと、ケツ肉の間の絞まりのよさと、すげえ気持ちよくてな」

 

 堪えきった内柴と、2回生3人によるその全身の筋肉の見事な躍動での責め上げ。

 その双方に惜しみない拍手が湧く。

 見ていたものの中には、数名、堪えきれずにイッてしまったものもいたようだ。

 

「すげー、シバ先輩っ、あれに耐えきったぜ!」

「俺なんか、絶対最初の4分でイかされちまう」

「あれ、俺等でもやってみないか。同学年なら練習の後でも出来るじゃん」

 

 1回生の間でも、興味が出てきた者達がいたのだろう。

 それを許す風習もまた、雄志社柔道部の特徴なのかもしれない。

 鈴木、井上、篠原。100キロを軽く超す肉の神輿から下ろされた内柴は、全身の皮膚を朱く染め、その息も荒く昂ぶっている。

 

「シバ、この後はどうする? さすがに今日はここまでにしとくか?」

 

 古賀の質問に一瞬の間があった内柴であったが、そこは毅然とした態度で返事を返す。

 

「いや、いつも通りの時間までは、その、やってくれ……。特別な日には、したくないんだ……」

「……、いいんだな、シバ。分かった。よし、1年、あと2時間ぐらいだが、またシバの全身を責め立てろ。ただ、さっき2回生にやらせたのは『イったら射精解禁が遠のく』って最初の話があったからのこその奴だったんだ。後の責めはこれまで通り、イかせず萎えさせず、全身をとろとろに炙ってやれ。それに耐えてこその、この鍛錬だからな」

「押ー忍っ!」

 

 部員達が一斉に応える。

 ここで1回生を指名したのは、3回生の連中の滾りがもうおさまらないところに来ているとの古賀の判断だろう。当然そこでそれぞれの部屋に2回生の『気に入り』が呼び出されることを想定してのものだった。

 1回生はいつもの羽根や筆、さらにはこの間用意されてきた歯ブラシやマッサージ機を手にしている。

 そこから繰り出される様々な快感を内柴はその全身に浴びながら、今宵もまた悶々とした夜を過ごすこととなる。

 

「おい、いくら興奮したからって、お前らもあんまり下のもん、乱暴に扱うんじゃないぞ」

「分かってるって。お前だって、シバのあのやられっぷり見てて、テント張ってんじゃんかよ。高藤でも呼んで、しゃぶらせてやれよ」

「馬鹿っ、固有名詞出すなっ!!」

「あ、俺、いつでもいいっスよ……」

「ほれ、高藤の奴も、準備万端だってよ」

 

 吉田が軽い調子で茶化す内容に、古賀は少し慌てたようだ。

 もともと体育会学生寮らしく常に精液の匂いが漂う寮内ではあったが、内柴への鍛錬が始まって以来、それはよりいっそう顕著になってきている。特に今日など、特別な『責め』が行われた夜には、その匂いはさらにきついものとなるだろう。

 部屋へ戻るもの、食堂に留まり内柴へのさらなる責めを見るもの。もちろん責める下級生、責められる内柴。それら全員の股間からは汗の匂いとともに、強烈な性臭が湧き立っている。

 その匂いそのものが雄としての闘争本能を高め、練習に試合にと気合いを入れるのに役立っているはず。

 そう信じざるを得ない立場であるのが主将の古賀ではあったが、自らの腰奥深くから上ってくる射精への強烈な欲求を、どう解消しようかと思い悩むのもまた、健全な若者、健全な男性として当たり前のものだったろう。