明友大学ラグビー部

鐙田一心のとある一日

その9

 

18:45

 

「これが本当に最後だな、鐙田。まずはお前が出した汁、全部飲んで、精を付け直せ」

「押忍っ! 鐙田一心、皆さんにイかせてもらった汁を飲んで、最後の射精に向けて、元気付けさせていただきます」

 

 溜め込まれた鐙田の射精液は透明なガラスのコップをべったりとした汁で汚しながら、その高さの三分の二にもなりそうな量を湛えていた。

 

「いただきます!」

 

 へばりついたようにしてなかなか落ちてこない汁を、指をも使ってすべて飲み込む鐙田。

 ごくりごくりと、その喉が鳴る。

 

 この寮に暮らすもの、ましてや寮僕としての責務を負ったものにとり、精液・雄汁の匂いと味は、己の性欲性感を昂ぶらせるものであれこそすれ、それを減じるものでは決して無い。

 すでに30回という途方も無い回数の射精を終えた鐙田の股間もまた、その頭をかかげ、亀頭の張りを強くしていた。

 

「最後は俺だな。あ、鐙田、それにここにいるみんな。俺が鐙田をイかせるのは、これまでの部長達みたいに派手なもんじゃ無いし、たぶん、見ててもあまり面白くは無いもんだと思ってる」

 

 ラグビー部部長、大畑(おこば)の解説に首を捻る寮生と鐙田。

 

「うん、俺は、ただひたすらに、鐙田のをしゃぶってイかせてやろうと思ってる。椅子に座ったこいつのチンポ、俺が口にしたままで、見えるのはちっとばかり動かす手の動きぐらいだろう。鐙田のよがり声ぐらいは楽しめるかもしれんが、見た目のエロさ、いやらしさっていうのは無いと思うんで、最後に一緒にイきたかった奴とかには済まないと思う」

 

「そんなこと、無いッスよ! 大畑先輩の気持ち、鐙田先輩に、一番伝わると思うっス!!」

 

 声を上げたのはラグビー部1年の二日町(にのまち)だった。

 1回生によるしゃぶり上げを仕切った自分として、鐙田の頑張りも近くで感じていたに違いない。そしてまた、静かな射精をと願う大畑の気持ちもまた、尊重しないといけないと感じているのだ。

 

「二日町、ありがとな。まあ、そんな感じで地味な射精にしかならんとは思うが、鐙田に取っては30回を超す、すんげえ射精の回数だ。こいつがイったら、みなで褒めてやってくれ。それだけが、俺の思いかな」

 

 自然と皆から、拍手が湧いた。

 部長たるものから寮僕への思い、それを理解してほしいというその願いは、寮生全員に伝わったのだろう。

 

「さ、始めるぞ。鐙田、座って、俺の尺八を楽しめ。俺の頭を押さえつけようが、両足で挟んで逃がさないようにしようが、何をやっても構わん。とにかく自分の射精、最後の射精にだけ、集中しろ。いいな、これが今日最後の、俺の、部長としての俺の、最後の命令だ」

 

「ありがとうございますっ! 寮僕、鐙田一心、本日最後の射精を、大畑部長の口に、ぶっ放したく思いますっ!」

 

 姿勢を正した鐙田が大畑に一礼し、最初の椅子に腰を下ろす。

 およそ半日以上も、勃起し続けたその逸物は、湯気を立てそうなほどの勢いで全身の血流を集めていた。

 

「やるぞ。イきたくなったら、いつでもいい。思い切り、イけ。全部、全部俺が、飲んでやる」

 

 静かに言った大畑が、鐙田の前に、184センチ、118キロの巨体を沈める。

 その口が、これもまた静かに、鐙田のそれをゆっくりと咥え込んでいった。

 

「はっ、うぐっ、あああっ……。大畑部長っ、俺っ、俺っ……」

 

 切なさすら感じさせる鐙田の声は、これまでの射精を堪えていたときの、あるいは懇願してきていたときのものとは明らかに違っている。

 

「いいっス、部長の口、すげえっス……」

 

 ゆるりとした、全身が蕩けるかのような快感。

 脳が痺れ、脊髄を駆け上がり駆け下るような、快楽の奔流。

 自分の肉体が、どこか中空へと舞い上がり、そこに含まれる空気と湿度と一体化していくような、奇妙な浮遊感。

 

 男たるものが、性器と呼ばれるものから感じる快感の幅、そのすべてを塗り上げていくような大畑の技であった。

 

「ふぐっ、うあっ、ぶ、部長っ、俺っ、もうっ、もうっ……」

 

 すでに大畑が鐙田の逸物を口にして10分ほどが経とうとしていた。

 その間、大畑の口は一度たりとも肉棒と亀頭をそこから離すことなく、唇の端からだらだらと唾液と先走りを垂れ流しながら、ぐちょぐちょとしたかすかな水音だけを立てていた。

 鐙田のよがり声も、声を枯らすような大声では無い。

 大畑の愛撫とも呼応した、囁くようなその声は、目からの刺激に飢える周囲の男達の欲望を否が応でも掻き立てていく。

 

 ぽんぽんと、大畑の手が鐙田の腰を叩いた。

 いつでも来い、どんな勢いの射精でも、俺が飲み干してやる。

 言葉以上に伝わるメッセージだった。

 

「あっ、あっ、イきますっ! 部長っ、部長の口にっ、俺っ、イきますっ、イきますっ、イくっ、イくっ!」

 

 感極まった鐙田の声が響く。

 それまでも喉奥深くまで肉棒を咥え込んでいた大畑が、よりいっそう深く、鐙田のそれを飲み込んでいく。

 

「ああああっ、イくっ、出るっ、イきますっ!! 俺っ、部長の口にっ、イきますっ、イきますっ、イくっ、イくっ、イくーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」

 

 がくがくと、痙攣するかのように震える鐙田を、股間に埋めた頭と首の力、両腕で強く腰を抱くことで、なんとか押さえつける大畑。

 その姿は、鐙田の声だけが響く食堂に、どこか厳粛で厳正な気配すら漂わせるものとなっていた。

 

 射精の途中ですら、その力強い舌とぬめる口蓋粘膜で刺激されつづけた鐙田の射精は、およそ2分近くにも及んだのではなかったか。

 そのすべてを飲み込み、一滴の残滓も残さぬ大畑の舐め上げは、最後の鐙田の震えを誘った。

 

「たっぷり出したな、鐙田。お前の汁、旨かったぞ」

「ありがとうございます。部長、ありがとうございます……」

 

 椅子からずれ落ち、もはや力の入らない状態で必死に大畑にしがみつき、泣きじゃくる鐙田。

 食堂に集まった寮生達から、再びの拍手が湧き上がる。

 

 

 感激と疲労で立てそうに無い鐙田に、他の4人の寮僕達が集まってきた。

 

 ずっと下を向き、鐙田への尺八に集中していた大畑。

 その大畑が部長としての最後の指示を、紅潮した顔はそのままに、1回生寮僕達に命じたのだ。

 

「飯も自分で食えないだろう。別に用意して、どっか空き部屋で寝かせてやってくれ。どうせお前達も、イきたくてしょうがなくなってるだろうから、鐙田を介抱しながら、互いにしゃぶりあいもいいもんだと思うぞ。

 じゃ、後は頼むな。

 皆も、ラグビー部主体の今日のイベント、最後が俺でちょっとあれだったが、まあ、楽しんでもらえたかとは思う。すまんが下の連中で、片付けもお願いする。

 では、今日はここまでだ。あとは飯食って、せんずりかいて、明日からの練習にそなえろよ、皆っ!!」

 

「押忍っ!」

「了解っスっ!!」

「5発ぐらい抜いてから、休むっスね!!」

 

 寮生達の様々な檄が飛び交った。

 

 

 ラグビー部2回生寮僕、鐙田一心の一日は、こうして幕を閉じたのだ。