捕手の泣き所

その2

 

「ところで大くん、君は週に何回自慰をするのかね?」

 いや、ちんこと金玉をズボンのチャックから丸出しにしながら聞くような質問か?

 

 「え、ええっと…」

 

 大学の先生も続けた。

「言いにくいか? 男しかいない部屋だ。恥ずかしがらずに言えるだろう?」

 

 茂田先生が横から言う。

「そうだよ、わしなんか未だに毎日出しとるからな」

 

 髭の大学の先生が茂田先生の発言に驚いたように

「ええっ! 先生もですか? 私も毎日せんずりしとりますよ」

 

 ああ。先生方、エロ話に興奮してきたようで、明らかにちんこの体積が増してきた。

 

 先生の言うように男だけの病室で、医者が2人もいれば看護師さんが突然入ってくる気配も無い。

「俺もですよ」

 俺の当たり前かのような答えに、ああ、やっぱり、とでもいうように、先生方は満足そうにうなずく。

 

 何を期待してるのか?

 俺は先生達の話を聞いていて、逆に自慢したい気持ちになってしまった。いわゆる男同士のくだらない虚栄心の一種だ。

 

「俺は、1日に三回くらいですかね」

 

一瞬沈黙があった後、

 

「うおぉお」

 という声が聞こえて、矢継ぎ早に質問が襲い掛かってきた。

 

「そりゃ凄い!」

「さすが、大ちゃん」

「量はどのくらいだ?」

「色は?」

「匂いは?」

「一回出した後も勃ちっぱなしか?」

 

 先生方は明らかにもう興奮状態で、我慢できずに自分自身をゆっくり扱きながら訊いてくる。

 

「そうすね、出した後もしばらく勃っていて、収まらないから、そのまま二発目っていうときもあるかな」

「おおっ!!」

 ため息まじりの感嘆符がみえる。

 

「色は普通っすかね。匂いも。ううん、他の人のは見たことも嗅いだこともないから分からないや」

 

待ってましたとばかり茂田先生が答えた。

「なら、健康な一般的成人男性の精液を見て、匂いも確かめてみるかね」

 

 ちょっと誘導尋問みたいな感じだったけど、もちろん興味があったから、即座にうなずきたかった。でもやっぱりそこら辺は勘違いされないように、先生方の顔色を伺って慎重にイエスの意思を伝える。

 

 すると茂田先生、てきぱきと自らの射精を見せるために指示をした。

 

 まず、大学の医務室の先生には精液を採取するためのシャーレの準備を。

 そして俺には、

「君は射精に至るまでの私の睾丸の動きの変化を見てもらうから、私の金玉を握って二つの玉の動きを実際に感じてもらうよ」

 と、俺の掌を取って自分の毛だらけの金玉の下から包み込むように導いた。

 

 ふさふさの陰嚢から、早くも例の男臭い淫臭と呼べるような性を感じさせる香りが俺と先生方の鼻を侵していく。

 俺がゆっくり茂田先生の玉の在り方を確かめるまでもなく、二つの巨大な玉は別の生き物のように上下に呼吸し始めた。同じように茂田先生の呼吸も荒くなり、快感に顔が歪む。

 気がつくと髭の大学の先生の呼吸も激しく呼応して、知らぬ間に茂田先生の後ろに回り、そこから茂田先生のもっさりとした胸毛から突き出している、二つの乳首をわやわやとつまんでいた。

 

「ああっ、そんなっ、金玉と乳首を同時に刺激されたらすぐにイってしまいそうだよ」

 

 茂田先生の言葉を遮るように、大学の先生の舌が横から伸びて茂田先生の舌を追い求めた。茂田先生もその動きに応えるため、太い首を強引に髭の先生の方にねじって、その舌に絡める。まるで朝顔のツルが巻きつくために彷徨い、取り付く標的を発見したように二つのいやらしい舌は唾液を垂らしながら、一つになった。

 

 俺も負けじと掌を揺らして玉に絡みつくような動きをする。

 途端に舌が絡み合うの二つの口から同時に喘ぎ声が漏れる。

 

「ああっ、い、いいっ!」

「茂田先生の乳首硬くなってこりこりしてますよ。真中君は、玉の動きは感じてるかい?」

 

「は、はいっ! だんだんと、上に上がってきてます」

 

「いいぞ、金玉も乳首もそのままやってくれ。真中君はこのまま手のひらに神経を集中して、わしの金玉の動きを感じ取れ」

 

 茂田先生は指示を出しながら、俺の頭の上ではまた髭の先生と濃厚なキスをしている。ぴちゃぴちゃと唾液まみれの音とともに、舌を蛇の交尾のように絡めて楽しんでいる。

 

 一段と喘ぐ声が大きくなった。

 

「ああっああっ、イきそうだ!

 い、イくぞ、いいか、で、出る、金玉をっ、玉を。

 さあ、玉が! 分かるか? だ、出すぞ!」

 

 俺の掌からぎゅうっと玉が急に縮み上がり、上に逃げて行く。俺もそれを逃すまいと手のひらで包み、感じとる。

 

「先生!金玉がすげえ上がりました」

 

 俺の報告と同時に、あっと言う間もなく白濁した粘液がどびゅどびゅと激しく波打つように膨らんだ亀頭の先から何度も何度も放出された。

 それを逃さないよう茂田先生は自らシャーレを放物線の着地点にあてがい、雄汁がどんどん溜まっていく様子を見せてくれる。

 同じタイミングで、凄まじく濃厚な青い草の匂いが病室中に立ち上った。

 

「こんなの見たら、私も出したくてしかたなくなりますよ」

 その匂いに誘われたのか、今度は大学の先生がたまらないという表情で訴えた。

 

 すると、茂田先生はまだ荒い呼吸をしながら

「遠慮せんで、先生も出しなさい。真中君もまた、健康な男の金玉が射精時にどうなるか、匂いや色はどうなるか、観察してみるといい」

 

 当然のように茂田先生は俺の掌を取って、今度は大学の先生の金玉の下に当てがったのだ。

 

「ああっ、やはり金玉を触られながらするせんずりは最高ですね」

「そうだろう? 学生時代、よく、お互いに金玉を撫であげながらせんずりのこき合いしたよな」

 凄い事を言いながら、今度は逆に茂田先生が後ろから大学の先生の乳首を弄り始めた。

 

 当然俺も触発されて、髭の先生のごろんとしたまん丸の玉の端から端まで、つるりとしたその表面に弧を描くように、二つの玉をいったりきたりさせながらさわさわと撫であげでいく。

 

「ああっ、たまらんって」

 

 やはり、男なら誰もが金玉でも感じるのだ。

 乳首とちんこと金玉って、快感の神経で繋がっているに違いない。この黄金トリオの同時愛撫で感じない奴がいるものか。

 

「くうっ。んんっ」

 

 必死に何かを耐えている声。

 おそらくドアの外には、麻酔をしないで手術しているみたいに聞こえているに違いない。

 乳首を触っていた茂田先生の手が徐々に下の方に移動してきた。

 

 グイッと髭先生の男としての根本を掴む茂田先生の指。絡みつく太い指が俺の唾液を欲しがっていた。

 

 いやらしく巻きついた指に唾液を落としてやると、これ幸いとそれを潤滑油がわりに、亀頭に塗り付けた。

 

 悲鳴は俺に、もっと金玉を撫であげろという合図であることは承知している。二人がかりで、大学の先生の玉と乳首と亀頭の三重奏を奏でられたら、もう絶頂は近い。

 

「あわあ、あ、あ、たた、いく、いくういくぞ!」

 

 激しく捏ね回していた茂田先生の指の隙間から堰を切ったように、甘い香りの汁がどんどん流れてくる。

 すかさず俺は一滴も零れないよう、そばにあったシャーレをあてがう。シャーレの底をトロトロした粘液が支配していくのを眺めていた。

 

 茂田先生は二つのシャーレを両手にもち、交互に匂いを嗅ぎ始めた。もちろん大学の先生もそれに習う。

 

「射精の瞬間、我々の睾丸がどのように動いたか、分かったかな?」

 

 なんとも言えない、ぐぐっと、別の生き物が這いずるように上に上り、ぎゅうっと陰嚢が縮み上がり、玉が中に入り込む様をどう表現すれば適切だったのだろう?

 

 俺はひたすら、

「すげえ、大人の男の放出するときの、仕組みが分かったような気がしました」

 としか答えられなかった。

 

 先生達は笑いながら、

「みんな同じだよ。君も射精の瞬間、自分の玉を押さえていたら分かるさ」

 

 と言うと驚いたことに、シャーレに溜まっていたかなりの量の精液に舌をつけて味わいだす。

 

「時間が経ってしまうと、分離するからな。今のうちに匂いと味を確かめて、後で自分の精液と比べると分かるよ」

 

 二人の先生は交互に精液をズルズルと啜り、しかもそのあと、お互いに口を合わせての口移しを何度も繰り返し、精液を往復させていた。

 

「君の液はなかなか、若いじゃないか、粘り気が素晴らしいよ」

「茂田先生のは、いやらしい匂いがどんどん広がって、また勃起しちゃいますよ」

 

 ぴちゃぴちゃと音を立てながら、先生方の喉を精液が落ちていく。

 

 その2人の足下で、俺はさっきから、手で触らずとも射精しそうな勢いでちんこはパンパンに硬くなっていたのだ。

 先生方の勧めるように二人の先生方の精液の匂いを嗅ぎ、味の違いを確かめながら、ひたすら、鈴口から我慢汁を垂らすがまましかすべのない状態になっていた。

 そして、その様子をキスをしながら二人の先生はニコニコして眺めていた。

 

 

[一週間の禁欲期間の始まり]

 

 検査は毎日同じように続いた。

 

 朝起きたら、まずは勃起の不具合がないか定期検診される。

 女性の看護師ではなく(当たり前だ)、主治医の茂田先生自ら行うのがなぜか恒例だ。

 一日置きに大学の先生も見にきてくれた。わざわざというより、自分の楽しみにして来てくれてるような気がする。さらに野球部の監督まで来る日もあった。

 

 回診の度に茂田先生はニコニコしながら、大学医務室の先生ほどではないがきれいに揃えた口髭をぴくぴくさせる。俺の下のパジャマを下ろし、時間をかけて触診を始める。

 ちんこの根本の部分を握りしめて、痛くないかと訊いてきた。

 それから妙にゆっくりと幹の真ん中へんを握り、同じように訊く。続いてカリ首の下、カリ首、亀頭、と念入りに三往復くらいする。

 

 朝勃ちはおさまっているとはいえ、こんなのされたらまた本格的に勃起してしまう。だが、それも含めて全て検査らしい。

 次に鼠蹊部。玉と股座の接している谷間を念入りに押したり撫でたりする。

 

「ああっ」

 

 自然に声が出てしまうが、茂田先生は気持ちが良ければ我慢せずに声に出してくれた方が痛いのかどうかが分かるからと、なるべく出すようにと言われていた。

 

「気持ちが良さそうだね」

 

 続いて玉の裏側の、いわゆる蟻の門渡りの部分からけつの穴あたりまで指を滑らせる。玉裏は分からないでもなかったが、ケツの穴までっていうのは明らかにわざとに違いない。

 そこをやられるともう天国、いやこの場合地獄というべき部分で、切迫したような快感に声のトーンも上がり、

 

「ああっあっ ああああっ」

 もうどうにでもしてほしいと言うような声に変わるんだ。

 

 先生はニヤニヤしながら、自分のアレをジッパーから掴み出して見せる。激しく勃起している大人のアレ。

 

 そして、いよいよ患部の金玉に触診は進む。

 

 触診なのに、最初にやることが俺の巨球の匂いを嗅ぐことからだ。なんでも、健康な男性の陰嚢からは若い匂いがするそうだ。本当だろうか?

 

 先生は自然界に於いて、いかに金玉が生殖に重要な役割を果たしているか、得々と教えてくれた。

 

「自然界には陰嚢や睾丸を目立たせて、雌の興奮を起こすようにしたり、同じ雄同士で、優劣をつけて劣等感や優越感の根拠と成している例がたくさんある。

 例えば、マンドリルという猿の仲間がいる。

 マンドリルの雄の陰嚢はそれはそれは目にも鮮やかなコバルトブルーをしておる。遠くからでもすぐ分かるくらい美しい色だ。

 何故そんなところだけ目立つ色なのか?

 様々な説があるようだが、雌から見てかなり魅力的な色であるらしい。

 さらに雄同士の優劣でも、色が派手でしかも巨大な陰嚢を持つほどボスになるという。

 同じくタパスモンキーという猿は発情期になると雄の睾丸がなんと二倍の大きさに膨らむ。もちろんそれは雌を興奮させることが目的だ」

 

 さすが茂田先生。男性生殖器官専門の医師だけによく知っている。

 話に聞き入ってしまったが、気がつけば、茂田先生の口髭が俺の金玉のすぐそばに迫っていた。

 

 

[精巣の役割 その1 匂い]

 

 先生の口髭の先が、金玉の表面すれすれを行き来するものだから、生理的な反応としてビクッと全身に電気が走った。当然だよな、皮が薄くて敏感な場所だし。

 それに微かな刺激に対してもこれだけすぐに反応が起こるということは、確実に金玉の具合が良くなっているに違いない。

 

 ああっ、それより何より、かすかに触れる先生の髭が、また凄まじく気持ちいい。快感に呻き声が駆け上がってくるのを飲み込むことが精一杯だ。

 

「おおっ、なかなかいい反応だな。この、触れるか触れないかの距離でこれだけ、気持ち良い反応を出すということは陰嚢の表面の腫れは収まったかな」

 

 ああっ、先生!そんな金玉のギリギリのところで話しをされると、髭どころか、先生の温かい息がぁっ。

 

 先生は大きく鼻で息を吸い込んで、俺の玉の匂いを嗅ぎ始めたんだ。しかも一回や二回ではなく、そんなに何回も嗅ぐ必要があるのかと思うくらい、執拗に、たまにうっとりとした表情さえ見せながら。

 

「こりゃ、すごい。やはり若い男の匂いはたまらんな。これからどんどん精子を作ろうと命を作る営みをしているのが分かるぞ」

 

 そんなもんなのか?

 

「睾丸の周りから発せられるなんともいやらしい匂いがあるだろう?

 この前、我々のせんずりの手伝いをさせた時になぜ我々の玉を触らせたかというとだな、あのとき玉を触った君の指や掌にあの匂いがついたはずなんだ。分かったかな?

 自分でもたまに臭ってくると思うが」

 

 確かにそうだった。なんだか手にべっとりと粘りつくような、男なら誰でも知ってる、あの玉の後ろの匂い。

 少し懐かしいようで、それでいて妙にいやらしい気持ちになる媚薬の効果がある匂い。

 

「はい、しました、先生方の金玉の男の匂い」

「嗅いだときにどんな気分になったかな?」

「なんだか、めちゃくちゃいやらしい気分というか、もっともっと嗅いでいたいというか、自分もさらに勃起してしまったから、せんずりに参加したくて、出したくてたまらなくなりました」

 

 ああっ、なんて赤裸々に告白してしまったんだ。

 

 先生はそれを聞くと満面の笑みで、

「そう思うのが実は自然界では普通なんだよ」

 と。

 今度は精巣が性的な匂いを発散させることが生殖活動、子孫繁栄のためにいかに大切なことであるかを説明し始めた。

 

「ムスクという名の香水があることは知ってるかな?

 あれはもともと、麝香鹿(じゃこうじか)という鹿の仲間の、雄鹿の性線の袋に入っている成分から抽出したものなんだ。

 雄鹿の性腺は睾丸のすぐそばにあるから、昔の人は鹿の金玉だと思ったんだろうな。ムスクというのサンスクリット語で睾丸だから。

 ムスクはそれはそれは魅力的な匂いを発散するために珍重されてきて、人がつけると性的な刺激を与えるような効果があると思われてきた。

 まあ、媚薬に近いかな?

 実際のムスクの成分はほとんどが動物の雄の油脂で、男性ホルモンが大きく作用しとるんだよ。

 つまりだな、ムスクと同じように我々男の金玉を収めた陰嚢の周りから発散されるあの匂いは本来は非常に魅力的な香りであり、性的な興奮を起こす作用があるのだと私は考えている。

 さらに、股座にそれがあるということは当然交尾するときには興奮剤の役割を果たし、セックスしたくなるという、子孫繁栄のための補助となる。

 股座だけではない。腋の下のあの匂い。あれも性的な興奮に作用するものだと思わないかい?

 日本人はそれほど体臭がきつくないし、腋の下の匂いは嫌われる傾向なんだが、現に白人系や黒人系の人々の中には腋の下の匂いで興奮する例も沢山あって、セックスのときに嗅ぎ合いながらいたしとる連中もいるのだよ。

 大くんは、この間の先生方の玉の匂いを嗅いで嫌な気分ではなく、性的な興奮を得たと言ったね。

 それは変態でもなんでもなくて、逆に自然界では当たり前のことなんだ。それが雄の匂いに雄が興奮しようとな。

 だから、君の金玉の匂いがたまらなく私にとって魅力的なのも分かるだろう?

 お互い自然の法則に乗っ取っているから何にも恥ずかしいことはないと思えば、堂々とお互いの金玉を味わえるというもんだよ。は、は、は、」

 

 そうか、何となく理解させられたような気がしたが、自分が雄の金玉に魅了を感じるのは別に変態ではないのだ、と分かるとこれからは気兼ねなく心境を吐露できるかもしれないと、少し気が楽になった。

 

 それから茂田先生は、もっと詳しく触診するからと言って、俺に大きく股を広げさせてけつの下に枕をあてがい、もろに金玉が先生の目の前にくるように腰を少し浮かせ、大っぴらにご開帳のポーズをとらせた。

 

 他に誰も病室にはいない。主治医の茂田先生だけが見るならいいか、と思い俺は思い切り脚を広げた。

 さあ、見てくれ! と言わんばかりに。

 

 すると、そこに。

 

 ガラガラッ!

 

 扉をスライドさせる音と共に大学の医務室の先生が入ってきたのだ。

 

 わ、わ、わ

 まずい! こんな大股広げて金玉丸見えのところを!

 

 

[体液の検査 その1」

 

「いやあ、いいタイミングで来たなあ!」

 茂田先生は大学の医務室の先生に手招きをした。

「今から彼の触診をするところでね」

 

 大学の髭先生は

「この格好見たら分かりますよ」

 まるで初めて授かった我が息子と対面するような笑みを浮かべて俺を見てる。

 

「どうだい? 大くん、もう今日で4日目かな。入院生活には慣れたか?」

 そう言いながら、視線は俺の顔と、俺のあからさまに露呈された金玉とを往復させている。

 

「ええ、よくしてもらっているんで快適です」

 

 すると、それを聞いていた茂田先生は

「『気持ちよくしてもらっているんで、快感です』の間違いじゃないか?」

 際どい冗談をさり気なく言うんだよなあ。

 

「ほう、気持ち良いことされてるんだ」

 髭の先生が茂田先生と医者同士の意味ありげな視線を交わしながら、なんとお互いに着ていたものをてきぱきと脱ぎ始めた。

 

 な、何かな? これは。

 

「君だけ素っ裸を見られているのは恥ずかしいだろうし」

「それに、今からする検査には必要なことなんでね」

 絶妙な会話のリレーで言い訳をした。

 

 何だ?何だ?

 尿検査なら、今朝もやったし、精液の検査ならまだ一週間経っていないからできないだろうし。

 

「しかしまあ、元気よくちんこおっ勃ててるなあ」

 大学の先生は感心したように見ている。

 

「流石に若いよなあ。さっきから一時間以上勃てたままだよ」

 茂田先生は片手に例のシャーレを持って来た。

 

 ん? ということは何の検査なんだ?

 

「朝勃ちも凄いしな。尿検査のとき、採尿するのが一苦労だろ?」

 茂田先生はまるで採尿の場面を見たかのように言う。

 

「おおっ、分かる分かる、痛いくらいちんぽが固くなると、上をむきっぱなしで自分にかかってしまうしな。かと言って、ちんこを下に向けてするのもえらく大変だよな」

 ここら辺の会話は実感を伴うから、絶対に女には分からないだろう。何だか男同士の秘密を共有したみたいで気持ちいいものだ。

 

「そうなんですよ。流石に分かりますよね。先生たちも若い頃の経験で。だから四つん這いになって、こう、紙コップを床に置いてそこを目がけて……」

 

 すると、驚いたように茂田先生、

「何だ? そんな体勢でやってるのか?

 そんなことしなくとも、呼んでくれたら、私が採尿しに行くのに」

 

 えっ? いいのか?

 

 俺は先生に手伝ってもらいながら小便を出している自分を想像してしまった。

 わ、わ ヤバイ。

 そんなこと考えたら一段とちんこに血液が集まっちゃう。

 

「ほう、そりゃ、いいな。遠慮なく茂田先生に手伝ってもらいなさい。

 めったにできない経験だぞ。

 それからな、先生達の若い頃も、なあんてバカにしてくれたが、いまだに私達のちんこは勃起するとこんなにな……」

 

 そう言う二人の先生が仲良く並んで、俺の顔の方にすでにそそり勃っている二本の巨根を並べてみせた。

 

「尿検査では血尿もなかったし他の数値にも異常は見られなかったから、膀胱や尿道には問題はないと思うが」

 茂田先生は一物を上にぶらぶらさせながら、説明を始めた。

 

「男には尿と精液以外にもここから出てくる液体があるだろう?」

 

 と言うと、自分の亀頭の先の鈴口の辺りから染み出して、雫がついたようになっている部分から人差し指ですくい取り、それを俺に向けた。

 

「先走りだ」

 

「我慢汁とも言うな」

 

 茂田先生が、隣の大学から先生の真っ赤な鈴口から今にも垂れてきそうな粘液を親指で掬い取りながら続ける。

 

「正しくは尿道球腺液、またはカウパー氏腺液とも言う」

 

 人差し指に付着した茂田先生自身の液と、親指に付着した採れたての大学の先生の液を指を合わせてゆっくり引き伸ばす。

 すると、すうっと細いネバネバした糸が立ち上がり、それを俺の目の前に持ってきた。

 

「君も出るだろう?」

「いや、茂田先生、大くんの亀頭、もうベトベトですよ」

 

 大学の先生は俺のちんこをいつのまにか握っていて、先端部を茂田先生に向けて言った。

 

「この液は18世紀始めに発見されたんだが、あまりにも小さな器官で作られていたため、一体どこで作られて、どんな役に立っているのかを解明するのに時間がかかったのだよ」

 

「どのくらい小さいかというとだな」

 茂田先生は大学の先生の未だにそそりたっているペニスの根本を金玉の奥までぐっと押し込んだ。

 

「大体ここら辺の尿道の始まりに豆粒くらいの大きさの袋があって、そこで作られとる」

 

 大学の先生は満更嫌ではないらしく、はあはあ言いながらその先端からさらに透明な液体をとろりと押し出した。

 

 茂田先生は

「いいタイミングで出してくれた。この粘液を舐めてみてごらん?」

 と、俺の口元に近づけてくる。

 

 そんなことされたら、誰もが条件反射的に思わず舌を出しちゃうじゃないか!

 これを読んでる皆さんも絶対、舌を出してしまうと思うんだ。違うかな?