出張でこの地に足を運んだ俺の仕事以外のもう一つの目的は、「悦楽理髪店」が有名なこの辺りの風俗街だった。
この「悦楽理髪店」という形態の風俗店、県ごとの条例に拠るのか、全国的に見てもこの地方にしか無く、看板通りの「悦楽」を味わうためにははるばる足を運ばないといけないという、マニアに取ってはたまらないところだ。
俺は宮代大地、44才。
サラリーマンとしては働き盛りということになるんだろう。
相撲部だった学生時代に比べれば20kg近く落としてはいたが、それでも体重計は3桁を前後している。
この年で独身ってことで周りにも気付いてる奴はいるっぽいが、れっきとした中年ホモだ。
ガキの頃はそういう自覚もぼんやりとしたものだったし、せいぜい「女に興味が無い」ぐらいの自覚だったと思う。そんな俺も中学高校ぐらいになってくると、だんだんと自分が同性のガタイのデカい奴に性的に惹かれるっていうのが分かってきた。
俺らの頃はもうテレビとかでもそれなりに見てたし、自分が「そう」なんだって分かっても、まあ、そんな奴もいるよな、ぐらいだったと思う。
ただ、高校までの部活や体育会のときに体験したそういうことって、「同性愛」としての「セックス」って言うより、ほとんど「性処理」って感じだった。
学校時代はどうしても上下関係がその手の行為の根にあって、手や口、素股や尻で先輩のをやらされたり、こっちが上になると後輩使ったりの日々。
後から考えるとパワハラセクハラ以外の何ものでも無い話だ。拒否る奴がいても無理強いまではしてなかったが、「やって当然」という感じのノリに合わすしかなかった奴も、少なからずはいたんだと思う。
今でも合宿などにたまに顔を出してはいるが、最近はさすがに上から下に強引に、ってのは無くなってきたらしい。
現役の部長にそれとなく尋ねると、キョトンとした表情で、性欲処理で互いにやったりはするけれど、ただでさえ入ってくる奴少ないのにもうそんな無理矢理とかの感じじゃ無いっすよ、という返事。今は上下関係無く、イケる者同士、好きにやり合ってるとのこと。まあ、俺もそっちの方がいいんじゃないかなと思ってる。
俺自身は当時も今も、ケツに入れることにはあまり興味が湧かず、手でやってもらう、やらせるっていうのが多かった。勤め始めてからもたまに相手見つかって出来たとしても、手と口がメインになるっていうのは相変わらず。
一番好きなプレイは、互いに交代しながら寝っ転がった相手をイかせるような奴。
亀頭責め散々やられた挙げ句、堪えきれずにイっちまう、とか好きなんで、ちょっとMっ気も入ってるんだと思う。
そんな俺の性癖にぴったりと思ってたのが、この地で流行ってる「悦楽理髪店」って奴だったんだ。
有名な観光地からわずかに離れた狭い地域に、20数軒の派手な看板が並んでいるのは、どこかソープ街にも似た風景だが、一つ違うのは表立った客引きがいないことだろう。
昨今は各店がネット上でのメンバー紹介や店内を動画で紹介していて、客の方も下調べしての来店がほとんどみたいだし。
たとえ客を引っ張って来た分だけのインセンティブだとしても、客引きに支払う分をキャストへ少しでも回した方が固定客の着きやすさに影響するとの判断なのか、白シャツ黒服の男達がうろつく一昔前の猥雑な雰囲気は見られなくなって久しいようだった。
狭い地域にこれだけの店舗数があれば、それぞれの店の特徴を打ち出すようになるのも当たり前の話。
この地域のすべての店を網羅した組合のマップを見ると、ノンケ男性対象の店が13軒、同じく女性対象が3軒、ゲイ向け3軒、レズビアン向けが2軒、対象問わずミックスの店が2軒とのことだった。
素人考えだとノンケ男性向けとレズビアン向け、ノンケ女性向けとゲイ向けは同じ店でもいいんでは、とかも考えてはみるが、客のかち合いやキャスト側の好み、テクニックなどにもに違いがあるんだろう。
最後のどんな指向性的にも対応出来るところはさすがに大手の経営で、2店とも個室ブースだけでも20室以上ある大型店だ。
当然キャストも大勢キープしているはずだが、ゲイ向けレズビアン向けのようにプランやタイプの細分化は出来ておらず、団体やツアー客のような「とりあえず一度、話のタネに利用したい」客層がメインなのではなかろうか。
この「悦楽理髪店」、システムはどの店も基本は同じになっていた。料金も組合あるせいかほぼ横並びで、サービス内容と時間で微調整しているようだ。
理髪店、という名が示すとおり、整髪理髪はどの店も必ず行うサービスでパーマは無し。おそらくは基礎の業種に由来するんだろう。このあたりはソープが「浴場」の許可をベースにしてるのと同じ形なんだろう。
1人の客に3人のキャストが付き、あの理髪店にあるほぼフラットになる椅子にゆったり腰掛けたままで色んなサービスを受けるという寸法。理髪、髭剃り、爪切りなどの整容と、それにプラスした、いわゆる性感マッサージでの抜きありが大体の流れになっている。
座ったまま、寝っ転がっているままで3人のスタッフに髪や髭を整えてもらい、そのまま全身の性感帯を責めてくれて射精させてもらえるというのが、この地の風俗店の基本サービス。
受け身の快感を味わいたい俺みたいな好き者にとっては、なんとも夢のような時間を味あわせてくれるってことで、評判らしい。
サービス時間はやはり整髪の時間があるせいか、どの店も120分からが標準で、最近のお手軽60分コースもあるソープよりは、それなりに長時間のコース設定になっている。後は15分単位の追加料金が発生という形がほとんどのようだ。
コース時間に余裕があると複数回の射精も可能だろうし、自分が体験するときも時間にはゆとり持っとかなきゃって思ったものだった。
エロ抜きの部分は男性客には主に手と口、女性客の場合はディルドや流行りの性具、指を使ってのものとなっていて、いわゆる本番行為はダメなよう。
男女問わず希望すればケツも責めてくれるとのことだが、サイトに拠ればこちらはディルドだけとの記載。
なんといっても「相手が3人」というのに初めての人は驚くようだが、よくよく考えれば性的サービスを1対1で行うというのはキャストにとってもかなり不安な訳で、そういう意味では理にかなった形式なのかもしれない。
客の側からのお触りも基本コースだと禁止になっている店も多いが、追加料金でOKとなっているところもあるので、そこまでは厳しく無いのかなとも思ってしまう。
俺はミックス、ゲイ向けの5軒のサイトを調べて、一番タイプのキャストがいそうなゲイ向けのA店にしようと決めていた。
キャストの時間予約はしてないとのことだったが、店のサイトでフリー状態かどうかは分かる形式。
行ってみてお目当てのキャストが施術入ってるのも悔しいので、店に入る直前に電話でも確認。サイトでも分かる情報だったが、そこは念には念を入れて、という感じだ。
今から行きたいという話をすると、すぐ来られるなら大丈夫でしょうとの返事。興奮に胸と股間を昂ぶらせながら、俺は店に向かう。
店が何軒も並ぶ通りには、それぞれの店の前に理髪店で見かけるあの赤白青のサインポールがくるくると回転していた。
A店は完全ゲイ向けとのことで、店の表には今日在籍している男性スタッフの半裸の写真が飾られ、店に入る前にもタイプや好みの把握が出来るようになっている。
同じゲイ向けのB店は隣の店だったが、そちらはどちらかと言えば美青年系、あるいは細身筋肉系と言えばいいのか、若さと普通っぽさを売りにしている感じだった。
俺が選んだA店の方はスタッフの年齢も30代以上、体型もがっちりから太めに特化していて、ああ、ホモのタイプ区分よく分かっているね、と、呟きたくなるほどのキャスト揃いだ。
俺が選んだのはその中でも一番体重あるキャスト達で、バルクマッチョの3人組だった。
サイトや顔見せ画像の情報を信じれば、年齢は1人は俺より上、後の2人は年下ではあるけれど、一番若い奴でも30代後半。体重も3人合わせて軽く350kgオーバー。
年齢層も体型も、もう俺のために用意してくれたんじゃないかと言わんばかりの粒揃いだ。
こちらからキャストの身体をどうこう出来る訳では無いが、それでもやはり、タイプの裸を間近に見ながらの方が絶対にこちらの勃ちもいいわけで、そういう意味での「キャスト選び」も楽しいと思うのだが、どうだろう。
俺は勢いこんで、店の入口をくぐった。
受付で基本となるコースを選ぶことになったが、これも事前に検討済みなので迷いは無い。
3時間コース、こちらの手足拘束可、亀頭責め、睾丸責め、複数回の射精希望。キャストの股間含めたお触りあり、キャストの施術スタイルは褌もしくは全裸、自動延長は無しでこちらに要確認、等々 。
質問シートに次々とチェックを入れていく。
受付スタッフからもキャストへのご希望はご遠慮無くどうぞ、と言われて、こちら少しM気あるかも、などと話す。
このあたりの店を利用する人はそんな方多いですよって言われ、システム的にも確かにそうだろうと思ってしまう。
この段階で、まずはオプション分も含めて前金で支払いを済ませておくとのこと。
途中で時間オーバーした分は後払いになるが、ネットの口コミを見ている限りでは、コース時間内で十分楽しめそうに思えていた。
案内されたブースは床屋でよく見る椅子を真ん中に置いた、それなりに広い部屋。
バーバーチェアは普段見かけるものとは少し違っていて、腰を下ろす部分がU字型にくり抜いてある。もちろんその意図するところは腰掛けた客の股間をキャストが刺激するためのスペースを確保するためなわけで、見ているだけでその場面が想像出来てしまうエロさだった。
肘掛けと足を下ろしたあたりにはマジックテープの枷が付いていて、それで拘束された自分の姿を想像して股間を熱くした俺。
椅子そのものもけっこう場所を取るし、その周りで3人が動くわけなので、部屋が狭いと効率も悪いというのは分かる。
椅子が前後の壁と天井は鏡張りになっていて、これは腰掛けた自分の姿、周りのキャストの姿もはっきりと見えそうで、かなりの興奮を誘いそう。
前のテーブルには引き出し式の洗盤があり、これは椅子を回転させての洗髪用だろう。
「よろしくお願いします!」
部屋に入って2分も経たないうちだったろう。3人の逞しいスタッフから声がかかった。
電話で確認してたせいか、待っていてくれたみたいで、受付からの依頼シートを手渡す。
全員が100kg越えの凄いバルク。六尺褌の前褌も小山のように盛り上がっている。
3人とも左の上腕に直接名前が書いてあって、トシ、ヒコ、ヤマと、サイトで見たとおりの名前になっていた。
「お客さんっていうのもなんですから、なんとお呼びするといいですか?」
トシさんが尋ねてくる。
3人の中では一番背は低いが、鍛えた身体にまん丸のお腹が突き出てる、なんとも美味しそうな体型で、年齢も一番上かな、という風体。
特に隠す必要も無かったので、本名の一部で答えた。
「ダイって呼んでもらっていいですか?」
「ダイさんですね、了解です。
最初は3人で整髪や爪切り、顔剃りをしながらダイさんが興奮できるような刺激をしていきます。シャンプー終わったら、本格的な抜きに入ります。途中、こんな風にしてほしいとか、それはちょっと違うとかあったら、遠慮なく言ってください。
ではダイさんには全裸になってもらいましょうか」
トシさんの言葉に、もうこちらはなすがままになって、3人に服を脱がせてもらう。
靴下を脱がせてもらうのはズボンや下着を脱がされるより恥ずかしいというか、足元に跪かれる体勢にはなかなか慣れないというか。このあたりは自分はSにはなれないんだろうなと思ってしまったり。
3人の凄い身体と股間のボリュームに俺のチンポはすでにおっ勃っていたが、みんなニコニコして握ってくれて、恥ずかしいというよりもなんだか誇らしいような気分にさせてくれる。
脱いだ服や身に付けていた財布などは大きな籠に入れてくれて、そのまま付いてる紐を引くと天井の方にスルスルと上がっていく。
なるほどこれなら自分の視界にずっと入ってるし、キャストの方も変に疑われないし、いいシステムだと感心する。
促されるままに、タオルケットが敷かれた椅子に腰を下ろす。特徴のあるその形状に、両脚はけっこう開いた感じで腰掛けることになった。
「失礼しますね」
ヒコさんが蒸しタオルを何枚か使い、俺の脇と股間など、蒸れやすいところを丁寧に拭ってくれる。
チンポと玉は特に念入りに拭き上げられるのだが、これはキャストがしゃぶってくれることが前提の処理のようだ。
「髪はどんなふうにされますか?」
聞かれて普通に床屋で言うような説明をすると、了解ですと明るく答えてくれる。
背もたれは倒されないまま散髪ケープがかけられ、整髪がスタートするようだ。
両方の肘掛けの下から伸ばした細いバーにケープが引っかけられ、俺の胸から下半身にかけて、ケープの下に大きな空間が出来上がる。
頭にいい香りのする水が霧吹きでかけられ、手足の先とシャボンを塗った顔がこれも熱めの蒸しタオルで覆われた。
頭と顔剃り、手足の爪切りと、3人が分担しての整容パートが始まった。
「ダイさんの年代の方だと、若いキャスト選ばれる方が多くて、今日は俺達も嬉しいですよ」
トシさんがハサミを動かしながら話しかけてくる。
「俺達は鍛えるのも商売ってのがありますけど、ダイさんもいい身体されてますよね」
こちらは蒸しタオルでしばらく温めた爪をニッパーのようなもので器用に切ってくれてるヤマさんだ。
このヤマさん、胸と太股のボリューム凄い筋肉と脂肪の塊という感じで、褌の盛り上がりが腹のそれに負けないぐらいにもっこりしてる。
商売上の台詞とは思うが、誉められて悪い気がする人間はいないわけで、厄年を越えてもあまり弛んでいるわけでは無いだろうと、自尊心がくすぐられてしまう。
さすがに顔剃り担当で刃物を喉元に当ててるヒコさんは、無言でナイフの刃先を細かく動かしている。
髪を切られながら、顔剃りのナイフも同時に肌を滑っていく。それだけでの初めての経験に意識が混乱していく。
「学生時代は相撲部だったんですよ。社会人なってからはだいぶ減らしたんですけど三桁から下はなかなか落ちなくて……。最近は年のせいか、またちょっと増えてたりします」
「ああ、だからしっかり筋肉付いておられるんですね。胸とか凄いので、何か運動やられてるんだろうなとは思ってたんですが」
100kgはある俺が一番軽いんじゃないかと思えるほどの、ビルダーかプロレスラーかと見違えるようなヒコさん達3人。
それぞれの作業をしながらも、耳元に息を吹きかけたり、乳首をコリコリと爪先でかかれたりと、こちらの感じるところを絶妙なタイミングで刺激してくる。ヤマさんなどはケープの下に手を差し込んで、股間をいじってきていた。
全身のあちこちが絶え間なく刺激され、俺の逸物はずっと勃ちっぱなしだ。
「こっちも元気なままで、凄いですね。髪切ってる間は萎えちゃうお客様も多いんですけど」
「皆さんのガタイがいいのと、刺激するのが上手くて……」
「どんどん感じてもらっていいんですよ。それにしてもダイさんのチンポ、すごくきれいに剥けてますよね」
両手を終わり、足の爪を切り始めたヤマさんの台詞だ。
ヤマさんの位置、足元から覗かれるとケープの下の俺の股間は丸見えのはずだった。
「中学のときにはもう剥けてたと思います。相撲部では普段から剥けてるのは逆に珍しかったみたいで、よくからかわれましたよ」
「こんなに立派なものなので、周りの人もやっかみ半分だったんじゃないですかねえ」
戯れ言を言っているうちに、爪切りをしていたヤマさんが一番先に終わったようだ。
そのヤマさん、手足を新しい蒸しタオルで丁寧に拭ってくれて、実にサッパリした気持ちになる。
「こっちも少しずつ本格的にやっていきますよ」
顔剃りが終わったヒコさんが、俺の腹の前に広げたケープの下に潜り込む。
ヒコさんは、3人の中では一番上背があり、とにかく縦横デカい人だ。そのデカいガタイは当然ケープで覆いきれるわけなど無く、頭が自分の股間の先ににゅっと突き出してるのを見るのもどこか興奮を誘う。
その時点でヒコさんの視界のすべてが俺の股間と腹になっているはずで、これはなんとも恥ずかしいものだった。
「あっ……」
俺が思わず声を漏らす。
広げたケープで俺からは見えないが、ヒコさんの両手が金玉とチンポを撫で回し始めた感触が下半身から伝わってきた。
「こっちもどうかな?」
爪切りを終えたヤマさんは髪を扱ってるトシさんと器用に身体を入れ替えながら、ケープの下の俺の乳首を揉みほぐす。
乳首とチンポ、金玉を同時にいじられながら髪を切られるというのは、日常ではまず経験出来ない、それこそ異様な感覚に違いない。
耳元に響く鋏の乾いた音と、全身がビクビクと反応してしまいそうになる愛撫を同時に味わうことは、逃れようもなく椅子に固定された全身を快感漬けにする。
この「散髪」という状況は、言わば目に見えない荒縄で身体を拘束されているようなものだと分かる。
鏡越しでしか目にすることの出来ない鋏の、そう刃物でもあるその動きは、胸や股間に加えられる普段であれば身をよじらせるほどの快感に対し、こちらの身体を動かしての反応を無意識に抑え込んでしまうのだ。
そしてその束縛感、拘束感は、よりいっそうの被虐的な快感を生み出していく。
「身体動かせないと、逆にすごく感じるでしょう?」
乳首や脇腹をいじっているヤマさんが確認するかのように尋ねてくる。
「縛られてるわけでも無いのに、なんだかスゴいです……」
語彙力の無い自分に呆れてしまうが、どうにか返答できた。
「よがり声、いくらでも上げてもらっていいんですよ」
ハサミを握っているトシさんが、耳元で囁く。
トシさんが左手で使う櫛が頭に当たる感触すら、全身が総毛立つほどの途方もない快感をもたらしていく。
「あっ、はあっ……。いいっ、気持ちいいですっ……」
髪を切られながらの性感帯への刺激。
最初は小さく、かすれるような声だった俺の喘ぎが、だんだんと個室に響く音量へと変わっていった。
整髪している間は、3人にとっては前戯でしか無いのだろう。
遊撃手になったヤマさんの、全裸で腰掛けている俺の乳首や胸、腹や脇腹に触れる指先の動きは、あくまでソフトタッチだ。
下半身を担当しているヒコさんも、決して勃ちあがった肉棒を握り締めることはせず、指先爪先での撫でるような刺激と、掌全体で金玉をさわさわとさするだけで、素っ裸にケープ姿の俺を追い詰めていく。
髪周りを整えているトシさんが耳に暖かな吐息を吹きかける度に、俺は仰け反りそうになる衝動をなんとかこらえていた。
「頭の方、どうですかね?」
混乱したまま全身を柔らかく襲う快感に委ねていた俺が、トシさんの言葉にハッと正面の鏡に目をやった。
もともとそんなに伸びていたわけでは無いが、整髪後のスッキリとした印象はなかなかの腕前のようだ。
「いい感じです。ありがとうございます」
なぜか礼を言ってしまう俺。
「じゃあ、シャンプーしますね。2人はこのまま続けますが、手と足は軽く動かないようにします」
トシさんの声はあくまでも柔らかく、それでいて耳に伝わる内容はかなり過激なものだった。
切られた髪が散らばるケープが取られ、首と肩にかけられたタオルの上に洗髪用の別のケープがぐるりと巻かれていく。
180度、向きを変えられた椅子がフラット近くに倒され、洗髪台へ頭を乗せられる。視野に入る天井の鏡には、下半身は剥き出しの俺の姿が映っていた。
両方の足の間にヒコさんが入り込み、俺の手首と足首にタオルを巻いた。マジックテープの簡易的な枷で、手足それぞれが椅子に固定される。
シャンプー担当のトシさんが俺の右手側に、ヤマさんが左側、ヒコさんが股間を前に。
3人のキャストが、俺を責めようと臨戦体勢になる。
先ほどまでのプレイと3人の肉感溢れる身体を目の前にして、俺の逸物はずっと勃起を維持している。
整髪中、フェザータッチでかすかに触れる快感を味あわせてくれたヒコさんは、次はどんな責めをしてくれるんだろう。
それを考えるだけで、俺の肉棒の先端から先走りが滲み出る。
「顔にはタオル乗せますので、熱いときは言ってください」
トシさんが言い終わるか終わらないかのうちに、程よく蒸されたタオルが俺の視界を塞いだ。
熱めのタオルは気持ちいい。
「ひあっ?!」
突然、乳首を触られ、思わず声を上げてしまう俺。
「視覚を奪われ、手足が動かせないと、ほら、これだけでもすごく感じるでしょう?」
ヤマさんの楽しそうな声が聞こえる。
「では、髪を洗いますね」
トシさんが左手で俺の首を軽く支え、後頭部を浮かすような形でシャワーを当て始める。
同時に右の乳首がヤマさんの爪を立てた指先で摘ままれ、左の乳首は暖かい舌で舐られ始める。
さらには先走りで濡れそぼっているはずの逸物が、ヒコさんの熱い口中へぬるりと含まれる感覚が伝わってきた。
「ああああああっ……、ああっ……」
トシさんの細やかな、それでいて力強い手付きで頭を洗われる感触。
片方は優しく舐め上げられ、もう片方はチリチリと爪先で軽い痛みを与えられる両の乳首。
肉棒全体が喉奥に届くまでに呑み込まれ、小刻みに震える粘膜と粘膜が密着する股間。
「あっ、ああっ、はっ、ふっ……」
吐息と同じタイミングで漏れ出す俺の喘ぎ声。
快適と快感が入り混じり、その混乱した情報を頭の中で処理できないまま、全身がおぞましいほどの愉悦に包まれていく。
「ヒコさんの尺八も絶品でしょう?
俺達も互いの身体使ってテクニック磨くんですが、どんなデカいチンポでも喉奥まで呑み込んで舌や粘膜だけで刺激するってのは、この店でもヒコさんにしか出来ないんですよ。
温かい口の中で、竿や亀頭が微妙に刺激されるって、たぶんここでしか味わえないと思いますよ」
ヤマさんの説明も、惑乱した俺の耳には半分届いていたのかどうか。
全身にもたらされる3人からの刺激。それは、射精したくなる、イきたくなるという直接的なそれとは違うのだが、皮膚に、粘膜に、あまりにも純粋な「快感」を叩き付けてくる。
「シャンプー終わりました。身体を起こしますね」
快感に溺れていた俺に、トシさんの声がかかる。
いつの間にか洗髪が終わっていた。
頭を支えられながら、ぐいと椅子の背もたれが立ち上がる。
顔を洗い、差し出されたタオルで水分を拭き取っていく。
「タオルドライします。ドライヤーは最後にシャワー浴びてもらってからやりますので」
トシさんが吸水性の高そうなタオルでポンポンと叩くように髪を乾かしていく。坊主というほどではないが、それでも短髪ではあるので、そこまで時間はかからない。
同時に弛緩した金玉がトシさんの大きな手に包まれ、ぐっと足下の方へと引き絞られた。
「ぐぅっ……」
金玉を引き抜かれたような一瞬の痛みに俺が思わず声を出す。
「ひぃっ!」
ヤマさんが俺の頭に顔を近づけると、左耳にふうっと息を吹きかけてくる。
ふぐりの中の二つの玉が、ごろごろと擦り合わされるように揉まれ、痛気持ち良さが全身を駆け巡る。
トシさんが俺の亀頭だけを再び口に含み、舌と口蓋で粘膜がずりずりと刺激されていく。
耳たぶに軽く歯を当てていたヤマさんの手が乳首をこりこりと転がす。
「あっ、あっ、気持ち良すぎるっ、いいっ、気持ちいいっ……」
濡れた髪を乾かされながら、全身の性感帯を責められるという、これもまた生まれて初めての感覚。
一つ一つを切り離せばそのどれもがこれまでの人生ですでに経験済みのことではあるのだが、3人の手によって「同時に」なされるということがあまりにも新鮮なのだ。
とろ火で全身を炙られるようなその刺激は、洗髪の水滴がすべて拭われるまで続いたのだ。
「ちょっと休憩しましょうか。初めてだと、ここまででも相当疲れられたでしょう? お茶を入れますね」
整髪と髭剃り、爪切り、洗髪という整容パートはここまでのようだ。この後はいわゆる本格的な性感サービスになるのだろう。
小休止を提案するトシさんの言葉に、息を荒げながら大きくうなずいた俺だ。
いったん理髪椅子を降りた俺は用意してあった背もたれ付きの椅子に、3人は小さな丸椅子に腰を下ろす。標準体重をはるかに超える4人の尻の圧力に、椅子がかわいそうだなという思いがちらっと頭をよぎる。
ヤマさんが冷たい麦茶を持ってきてくれた。
3人のキャストも一緒になって一服し、くつろいだ雰囲気になる。
「いやあ、ダイさんの金玉、ガタイ大きいのもあって、揉みがいのあるデカさですよ。チンポもすごいですよね。相撲やってる人って、変な先入観で小さめの人多いって思い込んでたんですが、俺の顎でも外れそうになりました」
風俗ならではのヒコさんの褒め言葉でもあるんだろうが、確かに体育会のときなどは周りの連中よりかなりでかく、よくからかわれていた覚えがある。
「乳首もすごく反応よくて、責めがいありました。後半もがんばりますから、感じまくってくださいね」
指先を擦り合わせるヤマさんの手の動きに、触られてもいない乳首がうずいてしまう。
「そのヤマさんの手を見てるだけで、俺、感じてきちゃいますよ」
俺の返事にみなが笑う。
「後半は3人で色々役割変えながら責めていきますので、とにかくよがってくださいね。なるべく長時間楽しんでもらってからイってもらいたいんで、寸止めしまくるつもりです。イきそうになったらそれっぽい反応してもらうと手を止めますから」
「寸止めのイかず勃起って、たまらないです。その、もしイッてもそのまま責め続けてもらっていいですか? 射精した後の直後責めとか、強制扱きでの連続射精、出来たら潮とかも噴いてみたいんで……」
「もちろんですよ。椅子も床も濡れても大丈夫なように作ってありますしね。ダイさんみたいに希望内容言ってもらえると、こっちもすごくありがたいんですよ。M的な気質もあられるってことで、気合い入ってきたらこちらの口調も変えると思いますので、ご了承ください。その代わり、止めてっていわれても容赦なく責めますからね」
トシさんの言葉はこっちも願ったり叶ったりだ。
風俗でプレイの希望伝えないのはもったいないって、サイトにも何度も書いてあった。
淫靡さとはまた違う、あっけらかんとしたスケベさがなんだか昔の部活のノリっぽくて、すごく気持ちがいい。
「俺達も褌外して、チンポ丸出しで施術します。手足の拘束もしませんから、握ったりしゃぶったりもOKです」
「あの、その、トシさん達もイッてもらったりしていいんですか?」
3人のバルクに囲まれての自分の射精も考えただけで先走りが出てくるのだが、もしこの3人のイくところが見れたらもっと興奮するよな。そう思った俺が、おずおずと尋ねる。
「俺達側の射精はどうしても体調やお客さんの入り具合に左右されるし、確実に対応出来るものでは無いのでメニューには入ってません。でもまあ、そこは男なので『不可抗力』でイッてしまうってのは、もちろんありますよ」
トシさんが笑って答える。
「今日はお客さんが初めてなので、俺達も溜まってますしね……」
ヤマさんがにやにや笑って言ってくれるのは、期待していいってことなんだろう。
「俺達も一発二発でダウンするようなヤワな鍛え方はしてないですからね」
ヒコさんから聞こえる力強い一言。
「その、もし『不可抗力』でみなさんがイっちゃうことあったら、俺の顔や胸にぶっかけてほしいです。みなさんの汁の匂いにまみれてイけたら、最高かな、なんて……」
「ふふ、『不可抗力』で俺達がイっちまうときには、ぜひそうさせてもらいますね」
トシさんが朗らかに答えてくれて、俺の股間がまたピクリと反応した。
「そろそろ、後半戦といきましょうか。」
みなが一息付いたのを見計らったのか、トシさんが声をかけた。
俺が再び整髪椅子に腰かけると、今度は最初から背もたれが倒される。ほぼフラットな状態になったそれに、俺の100kgを越す体重を預けた形だ。
横たわった俺の視界には、トシさん達3人と天井に張られた鏡に映る俺の裸体が飛び込んでくる。
ガタイのいい、裸の4人の男達。
それだけで俺の股間は先ほどまでの威容を取り戻し、臍に向かって張り付くように勃ち上がった。
「俺達も褌、外させてもらいますので、ダイさんも自由にいじってもらってかまいませんよ」
ヒコさんが言うと、3人が一斉に六尺褌をはらりと外した。
3人とも、前袋を盛り上げていた逸物の根元にはぶっといリングが填まっていて、剃り上げられた金玉の大きさを強調している。
褌に染みを広げていた先走りが止まらないのか、体格に見合ったデカい3本のチンポは、ヌルヌルとした我慢汁でその先端を艶めかせている。
「すげえ……」
思わず声に出た俺の驚嘆に、トシさん達がにやにや笑う。
「ダイさんのもデカいっすよ」
ヤマさんが俺の金玉を下から軽く持ち上げて、いやらしい手つきで揉み上げる。
「やっぱりチンポのデカい人がキャストに選ばれるんですか?」
まだ余裕のある俺の質問に、ヒコさんが答えてくれた。
「商売道具ではあるんで、アピールする一つではありますね。ただ、研修ではテクニックの方が評価されるんで、そこらへんの自己鍛錬は欠かせないっていうか。では、その鍛えたテクニック、披露させてもらいますね」
3人がまた、俺の周りに集まってきた。
今度はトシさんが大股を開いた俺の股間に入り込む。
ヒコさんとヤマさんは俺の身体の左右から、そのバルクのある上半身を寄せてくる。
「しばらくはイかさないようじっくり責めますから、たっぷりよがってください」
ヒコさんの言葉で、3人同時の責めが始まった。
「ふぐああああっ! ああっ、あっ、いいっ、気持ちいいっ!!」
3人の太い指と爪先、唾液に濡れた舌と唇が、一斉に俺の全身を襲ってきた。
そこで味わう刺激は、先程までの整髪しながらのそれの何十倍もの快感を脊髄へと送り込む。
耳朶を甘噛みされ、フッと吹きかけられる熱い吐息。
乳首に与えられる触れるか触れないかというさわさわとした刺激は、いきなりヌメヌメとした舌に置き換わり、爪先で弾かれる小さな痛みすら快感となっていく。
熱を持った口中で亀頭と竿がグチュグチュと翻弄され、2つの玉をおさめたふぐりはローションを湛えた分厚い手のひらで揉み上げられていく。
「うぐ、うあ、ああああああーーー!!」
トシさんの右手が俺の右足裏をヌルりと撫でたとき、俺はもう店中に響くほどのよがり声を上げていた。
「足も感じるでしょう?」
耳元で囁くヒコさんの声は、どこか遠くから聞こえるようだ。
トシさんの「イかさないよう」という言葉は、まさに文字通りのものだった。
舐めなれ、吸われ、喉の粘膜と舌でどれほどの刺激を与えられても、上下の扱き上げを一切行わないそれは、あの射精へと向かうぐいと金玉が持ち上がる感覚を呼び寄せることは無い。
その刺激はただひたすらに、俺の金玉と腰の奥底深くに、ドロドロとした白いマグマを溜め込んでいく。
「ああっ、あっ、あっ、気持ちいいっ、気持ちいいっ……」
壊れたレコードのように同じ言葉を繰り返す俺の身体は、横たわった椅子の上で跳ね上がろうとさえするが、ずっしりとした3人の肉体がそれを許さない。
トシさんの肉厚の身体を膝の内側で締め上げ、自分の身体をなんとか固定しようとする俺の試みは、肌に感じる圧倒的な肉のボリュームにさらなる悦楽を感じさせてしまう。
「ぐひぃっ、あぐうわわわわ!」
獣のような雄叫び、と言われても構わないほどの俺の声に、3人はその男らしい顔に笑みすら浮かべているようだ。
「こんなのも、感じるでしょう?」
ヤマさんの声が聞こえたかと思うと、椅子の両側にいたヒコさんとヤマさんが、俺の頭と下半身の方に肉厚な身体を移動させた。
上半身への刺激が一瞬途絶えたとはいえ、その間もトシさんのチンポと玉、足への刺激は続いている。
ヒコさんの大きな身体が頭の上からのし掛かるようにして、俺の顔をその腹に埋めてきた。
上半身を覆う圧倒的な肉感に、俺は大きく口を開け、うっすらと汗をかいているヒコさんの胸に舌を這わせる。
ヒコさんの腹に埋まった鼻からの呼吸が苦しいが、それすらも頭に血が登るような快感をもたらしていく。
身体の右側からヤマさんの筋肉が俺の腹を覆い、腰から上を抱き締めるようにのし掛かってきた。
顔から胸をヒコさんに、腰から腹をヤマさんに押さえつけられ、トシさんの丸く弾力のある身体が俺の両脚の締め付けにその肉厚さで抵抗している。
そのとき、俺の全身は3人の屈強な男達の筋肉と脂肪で、その全身を覆われていたのだ。
合わせて350kg近くになる肉感と重量感は、その肌を直接味わう俺の皮膚表面に「圧迫→快感」という神経上の変換すら経ず、それこそ圧倒的な速度で「圧迫=即、快感」となり、全身を灼いていくのだ。
「少しギアを上げます。堪えきれなかったら、とにかく声を上げて刺激を逃がしてください」
下半身からトシさんの声が聞こえた。
同時に両の乳首とチンポが唾液のぬめりに襲われる。3つの舌先が、強く弱くそれぞれの先端を弾く。
指先まで肥えたトシさんの左手が俺の金玉をすくい上げ、その右手は唾液と先走りで濡れそぼった肉竿に初めての上下運動を与え始める。
「んんんんっ、むっ、うああああああーーーーーー!!!!」
俺のよがり声が天井の鏡に谺する。
全身を肉の塊に覆われ、汗を浮かべ始めた肌同士がぬるぬると蠢き合う。
この日初めて射精への誘いを受けた肉棒は、ぱっくりと割れた鈴口からどぷどぷと先走りを噴出し、手首すら使った扱き刺激をさらに強烈なものとしてしまう。
視界をヒコさんの巨体に塞がれ、満足な呼吸すら出来ない俺の肉体がなんとか酸素を求めようとすれば、鼻腔に感じるのは圧倒的な雄の汗の匂い。
視界を奪われ、それゆえに敏感になる感覚は、蠢く肌、汗を舐め取る舌、雄の匂いに発情する鼻、湿った水音と4人の息遣いを拾い上げる耳、そのどれもが3体の肉鎧に囲まれた俺の全身の快感を増幅していく。
「うああっ、イっ、イキそうになるっ!」
発射へと昂ぶる本能のままに声を上げれば、肉竿への上下運動はピタリと止められ、空打ちとも言える無情なその行為に、俺のチンポはびくびくと上下に首を振り立て、空打ちの大砲を激しく揺らす。
イかず勃起、とは言い得て妙な言葉だ。
射精寸前の感覚に反り返りそうになる身体は屈強な肉体に押さえつけられ、少しでもその興奮がおさまれば、再び、そして何度も襲いかかる強烈な快感。
幾度も繰り返されるその刺激とわずかな弛緩との連続が、俺の頭と心、そして肉体を、バラバラに分解しながら、それぞれの断片を煮蕩けさせていくのだ。
何よりすごかったのは、3人の責めの呼吸の見事さだったろう。
こちらの限界を把握した3人のプロフェッショナルとしての技巧は、ついにこの俺に刺激の中断すら意識出来ないほどの連携を見せ始めた、
扱きに堪えきれず俺が思わず制止の声を上げると、チンポへの刺激はピタリと止まり、その瞬間、金玉をゴリゴリと転がされる。脊髄を駆け上がる下半身からの痛みに全身が反応すると、今度は両の乳首が甘くねろねろと舐り上げられていく。
快感の奔流で脳を灼かれながら、突然始まる強烈な亀頭責めに悲鳴を上げる。
射精へと向かわない粘膜に与えられる純粋かつ非情な快感を、爪先でつねり上げられる乳首の小さな痛みが混ぜ返していく。
そしてまた繰り返される、激しく荒々しい扱き上げ。
「感じてるんだろう? もっともっと感じていいぞ」
「扱き上げと亀頭責め、交互にやられると、もう自分のチンポが勃ってるのか萎えてるのかすら、分かんなくなるだろう?」
「全身やられると、どこが気持ちいいのか分かんなくなるだろう。それがぶっ飛んでるって証拠だぜ」
3人の低く抑えた声とそれまでとは明らかに切り替わった口調が、ますます俺の情欲の炎に薪をくべていく。
わざと水音を響かせるような舌遣い、ずっしりとした肉体から伝わる体温と重み。
3人それぞれから漂う汗の匂い。
耳を、脇腹を、太股を撫で回す手のひらの感触。
なにもかもが俺の五感にこれでもかというほどの快感をぶち込んでくる。
「お、俺もっ、チンポっ、チンポほしいっ!」
ストレートな俺の要求に、ヒコさんが身体をずらし、二抱え以上もありそうな腰を俺の頭の横へと持ってきた。
当然その股間は金属製のリングの重さを感じさせることなく、その体格に見合った肉棒を俺の顔目掛けて振り勃たせている。
ヤマさんもまた身体を起こすと、俺の手にその巨根を押し付けてきた。
亀頭を口にするだけで精一杯のヒコさんの先端から、塩気混じりの先走りがトロトロと流れ出す。
一滴も零さないように舐めしゃぶる俺の顔は、唾液と汗、ヒコさんの先走りでもうドロドロだ。
ヤマさんの逸物を握り締め激しく扱けば、こちらもまた大量の我慢汁がぬめりを増し、その透明な汁があたりに飛び散っていく。
「俺のチンポ、美味いのか? ダイさんにしゃぶられて、俺もイキそうだぜ!」
頭上からのヒコさんの言葉に、うんうんと頷くだけの俺。返事をしようとチンポから口を離すことすら惜しく思えてしまっている。ヤマさんの雁高な肉棒をむちゃくちゃに扱き上げながら、口中の逸物になんとか喰らいつく。
俺のチンポもまた、トシさんの手によって埒を上げようとしていた。
「トシさん、イキそうっ! イキそうですっ! 俺にっ、汁っ、汁ぶっかけてほしいっ!!」
もう、我慢の限界だった。
「ヒコっ、ヤマっ、ダイにぶっかけてやれっ! ダイの顔にっ、ザーメンかけてやれっ!!」
トシさんが飛ばす檄に、2人が俺の頭の側に股間を寄せる。
丸太のようなぶっとい手がそれぞれのチンポを握り締め、俺の鼻先で激しいせんずりを掻く。
「うおお、もう、イくぞっ! ダイの顔にイくぞっ!」
「俺もイくっ! 俺の汁っ、ダイさんにぶっかけるからっ、ダイさんも一緒にっ、一緒にっ!」
金玉から上がってきた汁が、もうそこまで来ていた。
「あああっ、イくっ、ダイさんのっ、顔にっ、イくっ!!!」
「出すぞっ! ダイの顔にっ、出すぞっ!!」
視界を埋める2本の肉棒から、白濁した汁が俺の顔目がけて噴き上がった。
反射的に目をつぶってしまった自分を惜しみながら、一瞬にして広がる濃厚なあの匂い。トシさんの手は一時も止まらず、激しい上下運動を繰り返している。
俺はもう、堪えきれなかった。
「イくっ、イくっ、イくうううううううううーーーー!!!!」
その瞬間、それまで俺の肉棒を扱いていたトシさんの手が止まった。
「あっ、扱いてっ、トシさんっ、扱いてっ!!!」
予想だにしなかった刺激の消滅に、俺は思わず声を上げる。
腰を振り上げてなんとか刺激しようとする俺の動きが、のし掛かかったトシさんに制止される。
それでも一度噴き上げはじめた俺の雄汁は、何度もびゅるびゅると宙に打ち上がっていく。
「ああっ、あああっ、なんで、なんで……」
手で握ることさえされない俺の先端からの噴き上げが、ようやくおさまってくる。
中途半端な射精に放出後の倦怠感が訪れることは無く、濃厚な汁にまみれたままのその竿は、不満げな不随運動のようにその雁首を痙攣させている。
「半イキだと、2回目あっと言う間にイケるんだよな」
ニヤリと笑ったトシさんと、ヒコさんがその巨体の場所を入れ替える。
俺の目の前にはトシさんの逸物が天を睨み、股間にはヒコさんの手が伸びる。
ヤマさんは再び俺の乳首に舌を伸ばす。
そう、3人のプロによる全身への愛撫は続く。
射精を済ませたばかりの俺は、一時の間も置かず、直後責めの洗礼を受けるのだ。
「うぐうわああああああああーーーーーーー!!」
大声を上げ続け、枯れたはずの俺の喉から、またもや悲鳴のようなよがり声が上がる。
先走りと唾液、俺自身が噴き上げた雄汁にまみれた逸物が、ヒコさんの大きな手でこねくり回されていく。
粘性の高さゆえにぶっかけられた鼻や頬からゆっくりと流れ落ちる2人分の精液と、トシさんの股間から漂う濃厚な雄の匂い。
指と爪、舌と唇、さらには歯までを使った乳首への刺激。
イッたばかりの亀頭をぐちょぐちょと責められるあの刺激は、味わったものにしか分からないものだろう。
「ひぃっ、ひぎっ、ぎっ、ぎぃーーーーーー」
容赦なく竿を扱かれ、ぐちゃぐちゃと亀頭をつぶすかのように与えられる強烈な刺激。
竿と亀頭で両手がふさがったヒコさんを助けるように、ヤマさんの片手が俺の金玉に伸び、張り付こうとする玉をぬるぬるぐちょぐちょと揉み上げる。
「あっ、あっ、あっ、ああっ」
「俺のイくところ、しっかり見てろっ。ダイっ、目を閉じるなっ!」
よがるだけの俺に、せんずりするトシさんが大声を上げる。
その口調は、Mっ気があるとの俺の申告に、正面から応えてくれている証だ。
「俺の汁も上がってきたっ! イくぞっ、ダイの顔に、ぶっかけるぞっ!!」
俺の目の前で、肉棒がいななく。
目と口を大きく開いた俺が、最後の瞬間に備える。
「おおおおっ、イくぞっ、イくぞっ!!」
短く声を上げたトシさんの先端から、俺の顔に目がけ、濃厚な熱い汁が飛び出してきた。
舌の上に直撃した精液の熱さを感じたとき、俺も限界を迎えた。
「んんんっ、イくうっ、2度目のっ、2度目の射精っ、イくううううううーーーーー!!!」
最初の射精から、3分も経っていなかったかと思う。
トシさんの汁が俺の喉を下るそのとき、ヒコさんの握力で扱かれ続けた俺はこの日2回目の噴き上げをしてしまう。
射精と同時にヤマさんの噛んだ乳首から、痛みと快感が混じり合った官能が俺の全身へと広がっていった。
「んふっ、ふうん、ううん……」
肩で息をする俺。
その俺の顔にまだどくどくと後汁を溢れさせる汁まみれのチンポをなすりつけつつ、トシさんが囁く。
「最後はヤマが扱くぜ」
「ウソっ、ウソっ、イってすぐはっ、ダメっ、ダメですっ!! あ、ああああああああっーー!!!」
2度の射精に金玉に溜まった汁を搾り出したはずの俺のチンポが、ヤマさんの手で扱き上げられる。
身体全体が強ばるほどの強烈な刺激に腰をよじって逃れようとしても、のし掛かる3人の重量が一切のそれを許さない。
白濁した雄汁を出し尽くした後の肉体に加えられる責めは、快感と苦痛の入り混じった、これまでの最大のものだった。
「ダイさんが言ったんですよ。潮も噴いてみたいって」
そう、3人は最初に提示した施術の流れを忠実になぞり、俺の要望をこなしてくれているだけなのだ。
射精直後の責め、連続射精、亀頭を刺激されての潮噴き。
すべては俺が伝えた願望だった。
それでも刺激され続ける肉体はなんとかその刺激から逃れようと、蠢き、反らし、仰け反ってしまう。
「あっ、あっ、あっ、ダメっ、なんか出るっ、出るっ、ウソっ、出るっ……」
ヤマさんに揉みくちゃにされていた俺のチンポから、びゅびゅっと大量の液体が噴き出した。
射精なのか放尿なのか、そのどちらともつかない放出の快感が俺の全身を貫いていく。
「おお、すげえな。潮、止まんないぜ」
トシさんが3人分の雄汁にまみれた俺の顔を撫であげる。むわっと湧き上がるあの匂いが、さらなる興奮を誘う。
びくびくと、バシャバシャと、己の意思と関係無く潮を噴き上げる俺の肉体。
ヤマさんの手はチンポを扱く動きを止めず、幾度も噴き上がる透明な汁が俺の全身に降りかかる。
ヒコさんは俺の乳首をしゃぶり、噴き上がる潮に顔を濡らす。
「出し切っちまえよ」
亀頭をこねくり回すヤマさんの声が聞こえる。
「あ、ああっ、ああああっ、あああっ……」
亀頭を責められるたびにビクビクと痙攣するかのような下腹部の動きは、止めようとしても止まらない。
いったいどのくらいの時間が経ったのか、考えることすら出来ないほどの快感と虚脱感に覆われていく俺。
噴き上げるものを一滴も残さぬまでに絞り上げられた逸物が、ようやくその体積を減らしはじめたとき、俺はもう呆けたようにして、天井を見上げているだけだった。
「おつかれさまでした。ダイさんのよがりよう、すごかったですよ。さ、シャワーを浴びましょうか」
口調を戻したトシさんとヤマさんに俺は抱えられるようにしてシャワーを浴びた。
顔を洗ったヒコさんが加わり、俺は3人の巨漢に囲まれて、ボディーソープの匂いに包まれていた。
「ご利用、ありがとうございました。また、ぜひご来店ください」
服を整えた3人に、俺は送り出される。
最高の体験、最高の快感。
プライベートに連絡を取りたいという俺の思いは、プロのキャストに対してはかえって失礼なものだろう。
「また、来ます。そのときはまた、指名させてもらいます」
空に上るかのように回転する3色の螺旋と、手を振る3人の屈強な男達に見送られ、俺はその街を後にしたのだった。
了