『金精の湯』秘境温泉物語

その8 手捏

 

 なんとも驚くことばかり起きたこの温泉での初日から、一週間が経とうとしていた。

 初日の飲泉から髭の伸びるスピードに驚異的なものを感じていた俺たちだったが、2日経ち、3日経つうちに、それぞれの見た目に表れるほどの変化が見えたのだ。

 

 みな、明らかに体重が増えてきていた。

 もともといい体格をしていた朝熊君はあっと言う間に三桁となり、今はもう120キロ近いバルクになっている。

 一番小柄だった日高君ですら、すでに90キロを超しているのではなかろうか。

 俺と豊後さんの中年組は増加率はそこまでではないかもしれないが、それでも互いに100キロ前後、初日に比べると20キロ近い体重増加を実感していた。

 

「これは、言われてなければ何かの病気かと思ってしまうな」

「ですよね……。体毛も胸毛と臍下が、俺、もう、繋がってしまいました」

「私も紫雲さんのように白髪交じりだが、全身がこんな毛むくじゃらになるとは、思ってもみなかったよ」

 

 五日目を過ぎたあたりの俺と豊後さんの会話だ。

 俺たち2人はやはりこの急激な変化に戸惑いとかすかな不安を感じていたのだが、若い2人の受け取りはまた違ったものだったらしい。

 ここに来た当初は、生えているものでもそれこそ『うっすら』というぐらいのものだった体毛が、4人が4人ともすでにその全身を覆う黒毛は、宿守りたちと並んでも見劣りしないほどになっていた。

 白いものの混じる豊後さんですら、そのふさふさと茂る毛量は『毛むくじゃら』と端からは言われるほどのものだろう。

 

「朝熊さん、身体やっぱりすごいですよ! 宿守りさんたちと並んでも、もう全然違和感ないですし」

「そうかな? ありがとう、日高さん。宿守りさんたちみたいな身体って、俺、やっぱり理想だし、毛も生えてきてなんかすごく男らしい感じがするしさ。日高さんも最初会ったときとは、もう全然違ってきてるし」

 

 若い日高君、朝熊君にしてみれば、単純に喜ばしい変化なのだろう。

 成長期の記憶が近い彼らにしてみれば、どこか思春期の全能感のようなものすら感じているのかもしれなかった。

 

「このペースで行くと、確かに一ヶ月もいると宿守りさんたちのようになりそうですね」

「ああ、私自身、『自分を変えたい』という思いがあってここに来たんだが、まさかこういう『変わり方』をするなんてな」

「俺もびっくりはしてますが、なんだかそれを不思議に思わず受け止めてる自分に対しての驚きの方が大きいです。こんなこと、小説の中で起こるようなこととしか考えてなかったですし」

「それそのものが荒熊内さんが言っていた『温泉の効能』って奴かもしれんな。物事を素直に受け止めることが出来る、といえば聞こえはいいが、実際にはびっくり人間大賞のようなものだろう」

 

 朝食後、膨れた腹をさすりながらの会話だった。

 一日のスケジュールは計ったかのように一定の流れで進んでいる。

 早朝、井戸での禊ぎは地熱があるせいかそこまでの寒行というわけでもなく、どちらかというと禊ぎ後に吹き下ろしの山風に当たる方が寒さを感じる程度のものだった。山深い土地故に来月になればまた違うのかもだが、身体の感覚が無くなるほどの寒さに出くわしたわけでも無い。

 禊ぎ後の温泉は宿守りたちも一緒に入湯し、やはり乳首と亀頭を執拗なまでに刺激され、射精欲を最大限に高められたまま、猪や鹿をメインにした朝食を胃に入れることになる。

 イかず勃起のまま一週間を過ごさねばならないことは堪えがたいかと思っていたのだが、都度都度に宿守りたちからかけられる「我慢してください」「許可あるまでイくのは禁止です」という声を、なぜか身体の方が素直に聞いてしまうのだ。

 刺激を受けている最中のあの狂おしいほどの射精欲が、なんとしても我慢しなければ、という思いにかき消されていくのは、我が身のこととはいえ不思議なことだった。

 宿守りたち自身も、自分たちと同じように射精禁止を守っていて、欲望の根幹たる巨大な睾丸や陰茎を目にする度に、彼らですら我慢しているのだから、という意識も働いていたのかもしれない。

 俺たちも宿守りたちも、褌の前布を先走りでぐっしょりと塗らし、印半纏に触れる乳首に時折身をかがめるほどの刺激を受けながら、この一週間を過ごしていた。

 

 

 宿守りたちの言う『慣らしの湯』、湯治7日目のことだった。

 勃起したままで飯を喰らう俺たちの前で、四方さんが言う。

 

「食べながらでいいのでお聞きください。この一週間、皆様には射精禁止というかなりの苦行をお願いしてきました。もちろん『接して漏らさず』という養生訓からのものではありましたが、かなり大変な思いをされてきたかと思います。

 その甲斐もあり、この一週間の皆様の肉体と精神の変化はご自身でもお分かりかと思いますが、いかがでしょうか」

 

 皆が一様にうなずく。

 体重体格の増加増量はもとより、全身の体毛の生育、さらには金玉とチンポが目に見えるほどにデカくなっていく様には、みな驚きとともにどこか誇らしいものさえ感じていた。

 

「この七日間の温泉と揉み療、また一日一升以上もの飲泉で、皆様全員が『男の精髄』をその肉体の隅々に十分に巡らせ、さらに日々のその生産能力も飛躍的に上昇してきているはずです。

 そこで今夜より、皆様の溜まりに溜まった精汁の発射を解禁します」

 

「おおっ、やっと射精出来るんですね!」

「俺、たぶん10回ぐらい出せそうっすよ!」

「この年で射精をこんなに心待ちにするとは、本当に思ってもみませんでした……」

「これでイけたら、僕、気を失ってしまうかも」

 

 最後の日高君の言葉には皆が大笑いだ。

 

 それほどまでに待ち焦がれた射精解禁ではあったが、若い2人を含め、これまでその禁を破らずに過ごしてこれたことに不思議な気持ちがありつつ、一週間を乗り切ったというどこか誇らしげな思いすらが俺の胸中を去来する。

 

 みな、急いだように夕飯を腹に入れ、後片付けも全員で手っ取り早く済ませてしまう。

 俺たち湯治客も、また同じく射精禁止となっていた宿守りたちも、この日が来るのを切望していたのだ。

 これまでは各部屋にて行われていた『揉み療』が、今日からはこの広間にて、全員の参加で行われることが、茶野さんの口より告げられる。

 あれだけ全身を蕩けさせられ、よがり声を上げていた宿守りによる施療が、全員揃ったこの場所で行われる。それだけでも俺の股間はますますその流入する血量を増し、鈴口からは絶え間なく先汁が垂れ落ちるのであった。

 

「最初の射精は、可能であれば全員一緒に発射したいと思いますが、いかがでしょう?」

 

 四方さんの提案に、俺たち4人が顔を見合わせる。

 人前で裸を、勃起を晒すことには抵抗はまったくなくなってきているのだが、さすがに射精を、となると少しばかりの気恥ずかしさがよみがえる。

 それでも焦らしに焦らされた欲望は、恥ずかしさよりも待ち受ける快感に軍配を上げてしまう。

 

「俺、俺、みんなに見られながらイくなんて、逆に興奮します!」

 

 朝熊君の返事に、逆にそうか、そういう効果もあるのかと思う俺。

 

「それはその、せんずりでイくタイミングを合わせるということですかな?」

 

 やはり固く勃ち上がった逸物が越中の前布を突き上げている、豊後さんの質問だ。

 

「いえ、これより来週の『入りの湯』再来週の『盛りの湯』の期間は、自らの手で扱いての吐精は禁止します」

 

「えっ?! では、どうやって……?」

 

 つい言葉に出てしまったが、これはみなの疑問でもあるだろう。

 

「今日から先、しばらくは皆様の射精はあくまでも『他者の手などによるもの』に限定させていただきます。これを私どもの宿では『手捏ね(てこね)』と言っております。

 さらに私ども宿守りに関しては『宿守り同士の行為にての吐精も禁ずる』ものとします」

 

 どういうことだ?

 性欲解放への期待はありつつも、皆の顔にはてなマークが浮かぶ。

 

「これまでは皆様の肉体に男としての『気』を巡らす期間でしたが、今日からはその『気』を毎日排出することでさらなる肉体内での生産を促す期間となります。

 また、自らの肉体の変化を受容するとともに、ともに湯治を進めるもの同士、宿守りである私どもとの一体感を育んでいただくための期間としても考えており、そのために『他者の手など』による射精という縛りを設けさせていただきました。

 具体的には皆様方については、私ども宿守りによる手と口での奉仕による射精を。また宿守りのものを皆様の手で扱いていただくことで、将来の己のものの握り心地、扱き心地を体験していただきたいとの思いを込めております」

 

 もうかなりのことには驚くことなど無くなってきている俺たちだったが、射精解禁と自分の手でのせんずりが頭の中で結びついていたのか、四方さんの話に目を白黒するばかりだ。

 

「その、それって、宿守りさんたちが俺のチンポしゃぶってくれることかと思うんですが、その、その、俺が白山さんのチンポしゃぶってイかせるとかもいいんでしょうか?」

「もちろんですよ。まずは手でお願いしていますが、どのような形で吐精を導いてもらうかは皆様の自由ですし、相手をする宿守りも喜ぶかと思います」

 

 若い朝熊君などは切り替えが早いのか、もしくは最初からその思いもあったのか(確か宿守りのチンポを最初に口にしたのは彼だったはずだ)、この質問も言葉に出すことでさらなる興奮を誘っているようだ。

 答える四方さんの微笑みが、まぶしくもあり、とてつもなくいやらしくも感じる俺だった。

 

「話してるだけでもあれでしょうから、さっそく準備に移りましょう」

 

 茶野さんが声をかけ、湯治客と宿守りで座卓を片付け、各々の部屋から布団を運び込む。隣の布団と隙間無く並べ、洗い立てのシーツを敷き回す。

 なんでも今日からは夜は全員一緒にこの広間で休むことになるということで、それが何を意味することになるかは、まさに暗黙の了解、という雰囲気だった。

 

「全員、褌を解きましょう」

 

 四方さんの声が響く。

 印半纏を脱ぎ、総勢11名の男の裸が広間に並び立つ。

 宿守りたちが六尺を、俺たち湯治客が越中を外せば、そこには11本の屹立が各々の股間の茂みから天を突く。

 それぞれが褌の前布に擦られてすでに先走りでぐっしょりと先端を塗らし、今にも雄汁を噴き上げそうな勢いでびくびくと揺れる様は、官能的でありながらも、どこか感動を覚える光景だ。

 

「まずは湯治客の皆様、横になられてください。これまで部屋で一人ずつ行っていた『揉み療』を私ども宿守りが少しずつ交代しながら、同時に行いたいと思います」

 

 これまでは宿守りのうち、俺たちの個人担当になっていた4人が2人ずつの組となり、各部屋を時間をずらして回っていたものを、全員同時にやるのだという。

 俺たちが互いの責められる姿を見るのは毎回の風呂でのそれはあるものの、一応の『身体を洗う』という名目のあるそれとはまた違った眺めになるだろう。

 

 俺と豊後さんが内側に、日高君と朝熊君が外側にと、4人の身体が川の字を描く。

 平均では三桁に届く体重の4人が横たわり、その周りには一層バルク豊かな宿守りたちが集う。

 若者2人が外側なのは、おそらくは彼らから絶え間なく上がるだろうよがり声を、部屋全体に轟かすためなのか。

 俺や豊後さんもまた、その声を堪えきれるとも思いないのだが。

 

「それでは、始めます。最初は濃い『魔剋湯』を乳首と亀頭にたっぷりと塗り込み、十分に染み渡ったところで『魔剋水』で刺激を与えます。

 各担当の宿守りがお一人お一人につきながら、私、宿長の荒熊内と、紫雲、茶野がそれぞれサポートに回ります」

 

 この一週間、毎日四度の入湯後、乳首と亀頭に塗られていた『魔剋湯』のせいか、俺たちの乳首は当初に比べ、それこそ大豆ほどの太さへとその容積を増していた。亀頭もそれぞれの最大膨張時の大きさを優に超え、兜のえらの部分もくっきりと立ち上がってきている。

 宿守りたちの熟した野苺や、子どもの拳ほどにもなる肉棒の先端にまでは及ばないが、それでもその加えられる刺激への敏感さ、感度の良さは極まってきているのだ。

 

「あっ、すごいっ……」

「感じますっ、俺っ、チンポ感じますっ!」

 

 乳首と亀頭にねっとりとした『魔剋湯』が塗り込められる。

 その刺激だけで若い2人はびくびくと全身を震わせる。

 俺も豊後さんも、思わず身体をかがめてしまいそうになる快感を伴うその刺激を、なんとかうなり声だけで我慢している。

 

「東尾様、北郷様。声を出されていいんですよ」

 

 四方さんの声に、互いの堰が切れる。

 

「あっ、あっ、ああっ……」

「そこっ、そんなやられると、ダメです、ダメだ……」

 

 とろりとした液体を塗られた亀頭と乳首が、かっと熱を持つ。

 その熱感とともに、優しく触れられ、あるいは乱暴に捏ねくり回される粘膜が恐ろしいほどの快感を紡ぎ出していく。

 

 いつもの風呂上がり、また『揉み療』であれば、この状態で責められたまま、最大限に膨らんだ逸物が扱かれることは無い。延々と与えられる絶頂を迎えない快感を味わされていたのだ。

 そこにこれから加えられる刺激は、いったいどれほどのものなのだろう。

 

「皆様に『手捏ね』を味わってもらいなさい」

 

 そう四方さんの声が聞こえた瞬間だった。

 

「あああっ、いいっ、それっ、それっ、いいっ!」

「いきなりすごいっ、うっ、うあっ、ああああああーーーー!」

「おおおおっ、この刺激はっ! そんな扱かれると、すぐにイってしまう……」

「あ、イきそうになるっ、ダメっ、そんなっ、イっちゃいますっ!」

 

 この一週間で初めて味わう上下の扱き。

 宿守りたちの大きな手で握られたそれは、無骨な握力と

 

「まだイくのはもったいないですよ。合図をしますから、最初の一発目は全員で一斉にイきましょう」

 

 四方さんの言葉に、それこそ金玉の奥底から湧き上がってきた衝動が不思議とおさまっていく。

 それでも息の上がった俺たちの肉棒がゆるゆると扱かれるその刺激は、続けられているのだ。

 

「私どもの逸物は、皆様に扱いてもらうことになります。担当は逆向きに横になり、お客様に自らの股間をお任せしなさい。

 私、荒熊内と茶野、紫雲の逸物は、手の空いた方のところに動きますので、扱き上げをお願いします」

 

 いわゆるシックスナインの姿勢に、各担当が横たわる。

 剛毛に覆われた赤瀬さんのぶっとい両足と、むわりとした体臭をまといつかせるもっさりと茂った股間が目の前に迫る。甘い温泉の香と混ざり合った体臭を嗅ぐ度に、俺の興奮も増していく。

 目の前にある巨大な逸物が、その一つ目でこちらをにらみつけるようにしてびくびくと鎌首を振り立てる。

 鈴口から垂れる先走りは小便かと思えるほどの量をまき散らし、さらにその性臭を強めていた。

 

「赤瀬さん、その、俺、赤瀬さんの、扱いていいですか……」

「北郷様、お願いします。私もイきたくてたまりません。北郷様の手で、イかせてください……」

 

 足下、いや、俺の股間近くから聞こえる赤瀬さんのかすれたような声。

 横向きになった俺の左手近くに、紫雲さんのぶっといピアスが貫通したチンポが押しつけられた。膝立ちになった紫雲さんが、俺に扱いてもらいたいと、その股間を寄せてきたのだ。

 

 赤瀬さんの股間を目の前にし、紫雲さんのチンポを握る。

 俺の手のひらに紫雲さんが『魔剋水』をたっぷりと垂らす。そのぬるぬる、とろとしたぬめりは、性感ローションとも言えるものだ。

 

「それぞれ、体制は整ったようですな。それでは互いの『手捏ね』で、一週間ぶりの射精を楽しみましょうぞ。皆様の具合で判断し、私の合図にて、皆にて一斉に噴き上げましょう」

 

 四方さんの声が頭に響く。

 俺はもう、自分と目の前にあるでっかいチンポ、手のひらに感じるどくどくとした脈動とその熱さに、頭が蕩けている。

 

「あっ、西山様っ! 自分のを、そんなっ、口でやっていただけるなんてっ!」

「黄田さんっ、僕っ、僕っ、そんなしゃぶられるのっ、初めてっ! ああっ、いいっ! 感じますっ!」

「それっ、緑川君っ、いいぞっ、いいっ……」

 

 それぞれ担当になった宿守りが、口を使い始めた。

 

 俺の股間をいじる赤瀬さんの口中に、玉と亀頭が交互に吸い込まれる。

 じゅるじゅるとふぐりを舐め回し、生えた毛ごとぶるんと口に含まれる。ごりごりと口蓋につぶされるように圧をかけられ、直後にぶっと吐き出される。

 その度に感じる痛みがそのまま快感へと転じながら、根元から扱かれる肉棒はガチガチになるほどの硬度を保っている。

 

「あっ、いいっ、赤瀬さんっ、いいっ……」

 

 俺にとって本格的な尺八など、ほとんど初めてと言っていい体験だった。

 周りから聞こえてくる宿守りたちの声からすると、朝熊君などは口を使っているらしい。

 

 まだ四方さんからの声はかからない。

 

 扱かれ、しゃぶられ、揉まれ、捏ねられる。

 下半身から襲い来る刺激に耐えようと、俺もまた赤瀬さんの子どもの腕ほどもある逸物を激しく扱きあげる。

 

「北郷様っ、いいですっ、もっと、もっと扱いてくださいっ……」

 

 俺の肉棒から口を離し、赤瀬さんが絶え絶えにつぶやく。

 その声と、目の前で湯気でも上げそうな逸物に、俺もまた朝熊君と同じ欲望に取り憑かれる。

 

「赤瀬さん、俺、赤瀬さんのを舐めたい……。赤瀬さんのをしゃぶりたい……」

「北郷様っ、私のを、しゃぶってくださいっ! 北郷様の口で、私の逸物を、慰めてくださいっ!」

 

 こちらの顔が写るのでは無いかと思えるほどの、艶やかに濡れる赤瀬さんの亀頭。

 初めての経験に、俺は下半身に与えられる以上の快感を感じていた。

 むわり、もわりと漂う甘い体臭に、頭の奥が痺れたようになった俺の舌が、ついに赤瀬さんの先端を捉えた。

 小さな柑橘ほどもある亀頭。その直下でぐいと上を向いた肉竿。そこにまといつくごりごりとした松の根のような血管は、握る手のひらに脈動をすら伝えてくる。

 臍と両足、双方から続く鬱蒼とした黒毛の茂みは俺の下顎をじゃりじゃりと刺激し、鼻腔をかぐわしい匂いで満たしてくる。

 うっすらとした塩味と、魔剋水の甘みが渾然一体となり、俺の脳髄を焼き切らんばかりの興奮剤になる。

 

 いつの間にか、4人全員が宿守りとの相互尺八の形となっていた。

 紫雲さんのチンポが、流れる先走りで俺の左手をぐっしょりと濡らす。

 

「そろそろですかな」

 

 四方さんの声が耳に届くと、皆のうなり声が一層高まった。

 

「入湯七日目のこの日、『慣らしの湯』の最終日に、皆の射精を許可する。男の娘精髄をほとばしらせたまえ!」

 

 その瞬間だった。

 待ちに待った射精の許可、頭が四方さんの言葉を認識した瞬間だった。

 俺の腰奥深くから脊髄へ、さらには脊髄から頭に達した快感の大波が、再び脊髄を駆け下りる。

 

「うああっ、あっ、あっ、イくっ、イくっ!!!!」

「んぐっ、んんんんんんーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「あっ行きますっ、東尾様っ、イきますっ!!」

 

 その射精は、これまでの人生の中、精汁たる白濁液の噴出する脈動、その体感時間を一番長く感じたものではなかったろうか。

 普段はせいぜい十数秒で終わるそれが、およそ数分にでも及ぶのではなかろうかと思うほど、大量に、どくどくと、赤瀬さんの口中へと噴き上げられていく。

 俺の口、喉奥に叩き付けられる赤瀬さんの精液。濃厚なその汁を、俺は初めてというのになんのためらいもなく飲み込んでいた。

 人間の体液そのものの味を感じながら、胃の腑へと落ちるその粘液を、俺は感動を持って飲み干していた。

 

 湯治を初めて7日目に味わうこの『手捏ね』の体験。

 それは布団に横たわってから、実際には15分にもなっていないうちに一段落していた。

 それほどまでに俺たちも宿守りたちも、この7日の中でその白いマグマはふつふつと滾り、噴火の瞬間を待ちわびていたのだ。

 互いの口中から身の内へと飲み込まれた8名分の精液と、俺や豊後さん、朝熊君の生え始めた体毛、胸毛腹毛の上には、四方さん、茶野さん、紫雲さんのそれが白く濃く、大量に撒き散らされている。

 温泉の香と混じり合ったその濃厚な匂いが、再び俺たちの芯に火を点す。

 全員の肉棒は、あれほどの射精を迎えた後も、いっさいその体積を減ずることなく、勃ち続けていたのだった。