負傷したラグビー部員が

マッサージ屋で色々と体験させられたお話し

その2

 

「イラッシャイマセ。コンニチハ」

 

 ドアをくぐって迎えてくれたのは、なんと黒人のすごくおっきな人だった。

 身長も190センチとかに近いんじゃないかな?

 高校んときの部活でもこんなデッカい奴いなかったぐらいで、なんかもう、ガタイ売りのプロレスラーかストロンゲストマン大会の出場者かって感じ。

 体重も後で聞いたら130キロ超して、140キロになるときもあるとかってことで、それこそ艶めいた黒い大岩が目の前に迫ってくるみたいな人だったんだ。

 

「オキャクサン、初めてデスよね。説明シマスカラ、コチラヘドウゾ」

 

 最初は容貌で判断しちゃったけど会話も流ちょうで、聞いててぜんぜん違和感無いんだ。こっちで育った人かと思ったくらい。

 わずかなカタコト感がありはするなと思ったけど、それでもとにかく丁寧に話そうとしてる雰囲気はすごく伝わってきてた。

 

「ワタシ、名前は、バーコとイイマス。バーコ・ヒタ・アサモア、イイマスネ」

 

 ああ、お店の看板で見た『アサモア』っての、バーコさんの名前からだったんだ。

 

「初回の今日は、簡単な説明ダケナラ無料デスヨ。施術内容の解説と60分の施術ならオタメシ料金の3000円イタダイテマス。次回カラは60分5000円、90分7000円になりますヨ」

 

 どうしようかなって思ったけど、次からも90分7000円なら、色々調べた中でもかなり安い方だなって思った。

 学生の俺にとって毎日来れる値段じゃ無いってのはもちろんそうなんだけど、月に何回かぐらいならバイト始めたらなんとかなりそうかなって。幸い借りることになったマンションの家賃や学費とかは事故の保障金でなんとかなりそうなので、そういう点では仕送り含めあまりお金のことは心配しなくていいって親も言ってくれてたし。

 なんといっても、この人の笑顔っていうか、言葉遣いとか、あ、声もかな。すごく『優しそうな人』『大丈夫な人』だなって思えたんだ。

 初対面なのに自分でも不思議だったんだけど、これはもう、本能的っていうか、説明が付くものでも無い気はしてる。

 

「えっと体験もしてみたいので、お試しコースでお願いします」

「ワカリマシタ。ソレデハマズ、カラダノ具合カラ、聞いてもイイデスカ?」

 

 最初にしっかりカウンセリングするのが方針なんだって、ここ。

 事故での膝のことや手術、お医者さんに言われたこととか色々話したら、けっして無理はしない、もし気になるようだったらぜひお医者さんにも相談してって言われて、やっぱりすごく誠実な人なんだなって思えた。

 なんでもリンパドレナージとアロマケアとの資格持ってるってことだけど、ここらへんは民間の資格だろうから、ああ、そうなんですねってことぐらいで聞いてた。

 施術はオイルをたくさん使うので、着てきた服は全部脱いでってこと。まあ男同士だし部活の着替えやらシャワーやらで裸は慣れてるからいいかなって思いはしたけど、女の人とかどうするんだろうな、それって。

 一応前を隠す紙パンツみたいなのは用意してくれるみたいで、そんなもんでいいのかなあとは思ったけどね。

 

「施術室ハ、コチラデス。コチラノ籠ニ、服はイレテクダサイ。貴重品はロッカーニ、イレテクダサイ。カギは手首ニシテクダサイ」

 

 はい、って着替え用の紙パンツを渡されたんだけど、これ、もうパンツじゃ無いなって。

 それこそ長方形のハンカチみたいなペラペラの紙に腰に巻く紙紐が付いてるだけの、ホントに前を隠すだけの、というか、玉とかチンポ、デカい人なら、隠せすらしないじゃんって感じの奴。前からの見た目だけだと、越中褌のちっちゃい版かな。後ろはもう、尻が丸見えになっちゃってる。

 まあ、モロ見えよりはマシなのかとも思うけど、これじゃあマッパの方が恥ずかしくないんじゃ無いかなあ。

 俺ってその、別にチンポがとりわけデカいとかは無いんだけど、どうにも玉だけは周りの連中より大きいみたいで、それがチンポを押し出す感じになっちゃって。この紙パンというか紙の褌みたいなの、なんか内側から押されて斜めになっちゃうんだ。

 バーコさんはセパレートの白衣なんで、こっちが裸ってのが、なんとなくむず痒い感じがしてたし。

 

「あ、マッサージさんのこと、なんと呼ぶといいですか? お店の名前でもあるし、アサモアさん、がいいんですかね?」

 

 こういうの分からないんで、口に出す分はどうしたらいいのか聞いてみた。

 

「名前で『バーコ』と呼んでクレルト、ウレシイデスヨ」

「じゃあ、バーコさんで」

「ワタシハ、オーツカサンで、イイデスカ?」

「あ、はい、お願いします……」

 

 たぶんこちらからの呼びかけは名前の方だろうから、こっちも『ミツヤ』とかの方がいいのかもしんないんだけど、そういうのってパッと分かんなくてさ。

 

 一応その紙パンツ、というか、紙の褌。付けてはみたけど、尻はホントに丸出しなんでスースーする。

 ベッドに乗るとき、金玉の裏側、絶対見えてるよなって思いながら、俺、言われるがままにうつ伏せになってた。

 

「オーツカさんノ身体サワッテ、膝の悪いトコロと、全身のエイキョウ見マス。モシ痛かったり、ヘンナカンジシタラ、スグ言ってクダサイ」

 

 お試しだけど、全身診てからどんな風にするかは決めるって話しだったので、そこらへんはちゃんとしてるんだなって思ったかな。

 ラグビーとかそうなんだけど、ガンガン身体がぶつかる競技って、どっか傷めたときは身体がそこをかばって他のとこにも影響出るってのは、けっこう聞いてたし。

 まずは上半身からなんだろう。

 首筋にアロマオイルたっぷりで潤ったバーコさんの手が触れたんだ。

 

「ああ、バーコさんの手、気持ちいいです……」

 

 俺の最初の言葉、それだった。

 ぜんぜん強さとか痛さとかは感じなくて、ホント、手のひら全体でずっと同じ感じで滑るようにして撫ぜられるってふうなんだ。

 オイルもすごく柔らかくていい香りがして、これっていわゆる『官能的』って奴?

 そういうのよく分かんないので、うまく伝わってるかが自分でも分かんなくて。

 

「痛く無いデスカ? ココ、ダイジョウブ? オーツカさん、スゴく鍛えてて、カラダ、トテモ、イイデスネ」

 

 首から肩、肩から腕、背中。

 バーコさんの暖かな手のひらと指が動き回る。

 感触としては『揉む』というより、『撫でる』『さする』って感じ。

 ぽかぽかするようなバーコさんの体温と、頭の上から降ってくる響きのいい低めの声に、なんかこう、とろとろとした眠りに引き込まれそうになるんだ。

 背中の後は両脚に、大きな手が移動する。

 特に怪我した左脚には、『そーっと、そーっと』っていうのがこちらにも伝わってくる。

 

「オイシャサン、トテモ上手トオモイマス。タダ、コノママダト、横にグラグラスルノハ、スゴク危ナイデス」

 

 病院の先生と同じこと言われて、俺、びっくりした。

 あー、そういうの、ちゃんとした人が見ると分かるんだなって。

 

「セナカ側、最後は、オシリ、ミマスネ」

 

 バーコさんの暖かい手のひらが、俺の尻をさすり始めた。

 まあ、パンツとも言えない紙パンツは前をかろうじて覆ってるだけで、尻は丸見えなんだよな。

 その、チンポも下向きというか、そのままうつ伏せになってるから、玉と一緒に先っぽも見えてるのかも。

 

「ああ……、バーコさん……。そこ、気持ちいいです……」

「ソウ、オシリ揉むと、ミンナキモチ、イイネ」

 

 見えてるわけじゃ無いんだけど、たぶん親指が当たるところを軽く揉みほぐしながら、掌と他の指で広い部分を軽く押さえていってるみたい。

 その親指が割れ目の際どいところにだんだん近付いていくのが、なんか恥ずかしいんだけど、すごく気持ちがいい。

 

 そしてその『気持ちよさ』は、場所が場所だからか、当然のように『前』にも効いちゃって。

 

『ダメだ、勃つな』

 

 そう思ったときには、もう俺のチンポ、勃起し始めてた。

 

「ダイジョウブ、ダイジョウブ。ココ、ミンナ、キモチイイトコロ。恥ずかしがらなくて、イイデスヨ」

 

 俺が尻肉を少しばかり持ち上げてポジションを緩めようとした動きで、バーコさんにもその意味するところが伝わったんだと思う。

 たぶん、ココ揉まれるとみんな勃つよ、って言ってくれてるんだろうな。

 そりゃ男の生理としてそうなのかもしんないけど、やっぱり恥ずかしいことには変わりないワケで。

 しかも紙パンツっていうか、ハンカチみたいなの。これ仰向けになったらもう隠すという言うより強調しちゃうんじゃって感じだし。

 

「セナカ側、終わりマシタ。上を向いてモラエマスカ? オオキクナッテテモ、ダイジョブデスヨ。ミンナ、オオキク、ナリマス。バーコモ、オオキク、ナリマスヨ」

 

 いよいよ来たか。

 そう思ったんだけど、なんだかバーコさんの『大丈夫、大丈夫』って、優しい響きの声聞いてると、恥ずかしさよりも堂々としといた方がいいのかなとか思えてきてさ。

 やってくれてるバーコさんも、自分がヤられたら勃っちゃうって言ってるわけだし。

 思い切って、俺、仰向けになったんだ。

 

「元気アッテ、イイデスヨ。オーツカサンノ、スゴク、オオキイデス」

 

 やっぱり、そうなるよな。

 自分ではなるべく見ないようにしてたけど、もう俺のチンポ、ギンギンに勃っちゃってた。

 リンパのマッサージが血流を良くするって、そういう意味ではなんかホントに効いてるみたい。あそこも結局、血が集まって硬くなるんだろうし。

 貸してもらったハンカチみたいなの、ぜんぜん役に立って無くて、もう臍に向けて勃ち上がった俺のチンポ、丸見えになっちゃってる。

 バーコさんの体格からしたら俺のが大きいとかお世辞でしか無いっていうのは分かるんだけど、こういうところでも言うんだなって、妙に冷静に思ってた。

 

 ギンギンのチンポそのままで、腕とか脚もマッサージされるんだけど、これがもうホントに気持ちよくて。

 指先や手のひらで、筋肉に沿って(きっとそれがリンパ液の流れってことなんだろうけど)すーっと撫で上げたり撫で下ろしたりの繰り返し。

 その触れるか触れないか、ひょっとしたら手足の産毛やすね毛だけを撫でてるんじゃないかってぐらいかってソフトな触れ方に、ゾクゾクしちゃうんだ。

 

「身体の色んなトコノ、リンパ節トイウトコロヘノ、リンパ液の流れをヨクシテマス。キモチイイノデ、寝てシマウ人も、イッパイイマス」

 

 ああ、それ分かるよなあ。

 これやられてると、全身とろとろになってく感じで、自分がどこにいるのか、どんな格好でいるのかすら分からなくなっていく感じ。

 俺も、ついついうとうとしちゃいそうになるんだけど、なんかこの感触はしっかり起きた上で味わいたくって、ひたすら眠らないよう頑張ってた。

 そのせいもあってか、チンポの方が勃ったまんまなのが、なんとも恥ずかしくはあったんだけど。

 

 一応今日はお試しってことで、施術そのものは一時間ぐらいで終了。これ、次回からは60分と90分選べるってなってるけど、やっぱりこれ、みんなきっと長い方で頼んじゃうよね。

 とにかくマッサージの気持ち良さ、オイルのいい香り、バーコサンの低くて柔らかい声。それがみんな合わさって、なんか夢見てるような時間だったと思う。

 まあ、ギンギンに勃っちゃってたチンポは、ものすごい現実だよね。

 ベッドから起き上がるとき、目に入ったバーコさんの股間の盛り上がりもすごかったんだ。まああれは、部活のときにマッサージ中に勃っちゃう奴いると、周りも『もらい勃ち』しちゃう経験とかあったし、男なら仕方ないとこもあるかなって。

 それにしてもバーコさんのアレ、なんていうかもうズボンの中にソフトボールか何かがゴロゴロ入ってるんじゃないかってぐらいにデッカくて、いったいどう格納されてるかには、ちょっと興味惹かれちゃったかな。

 

「オイルはタオルで拭き取りマスガ、オーツカサン、ジカンアルナラ、シャワーをドウゾ」

 

 特に用事も無かったので、シャワーを使わせてもらうことに。

 シャワーといっても普通のお風呂も付いてて、流すだけには広い浴室。

 これもいい香りのするボディーソープ使わせてもらったけど、たぶんマッサージに使うオイルと合わせてあるんじゃないかな。それとも手作りなんだろうか。

 そんなこんなしてるうちに、バーコさんの黒々としたおっきな身体が風呂場に入ってきて、びっくりしたんだ。

 

「セナカ、洗うの、オテツダイシマスヨ」

「え、あ、はい。お、お願いします……」

 

 たしかに全身にたっぷりオイル使ってあったんで背中の方とか流すの難しいなとは思ってたんだけど、さすがにこれは驚くよね。

 しかもバーコさんの股間、たぶん半勃ちぐらいなんだろうけど、これがもう子どもの腕ぐらいあって、ジロジロ見たら失礼だと分かってても、ついつい目が追っちゃってた。

 

「フフ、キニナリマスカ、オーツカサン?」

「え、あ、はい、まあ……。バーコさんみたいなガタイのいい人、それこそ大学とか社会人の選手とかでもなかなかいないですし」

 

 ラグビーの話もしてたから一応体格の話っぽい感じでは受けたけど、これって絶対チンポのことだよね。

 

「オーツカサン、ワタシノ見て、キミワルガラナイデクレタ。トテモ、ウレシイ」

「え? バーコさんの見てって、その、ペニス、のことですか?」

「ハイ。ワタシのペニス、日本人に比べると、カナリ、オオキイミタイデス。見る人モ多いケド、次のマッサージ、来なくナルヒトモ、多いデス」

 

 ああ、逆にコンプレックスって奴なのかなあ、それって。

 部活長くやってると、裸の付き合いや鍛えた肉体を人に見せたがる奴も多くてさ。デカいのも小さいのも色々見て来たし、持って生まれたもんはしょうがないって思うようになっちゃってる。

 そのあたりは体育会って、男の裸には慣れてるのかもしんないな。

 

「そんな、気持ち悪いとかはぜんぜん思わないですよ。すごいな、大きいなってのは、たしかにありますけど……」

「ホトンドノヒト、キモチワルイ、コワイ、イイマス。オーツカサン、ヤサシイデス」

「いや、そんなわけでも……。部活で男の裸、見慣れちゃってるし、ラグビーってスクラム組むときとか、股間に腕当たって『あ、こいつのデカい』とか『もしかして勃ってるんじゃ?』とか、よくあるんですよ。俺はスクラム組むポジションじゃ無かったけど、遊びや練習みたいな感じで色々やってたから……」

 

 なんだかお互い真っ裸でする会話でも無い気がするけど、真っ裸でないと出来ない会話でもあるかも、これ。

 

「フフ、アリガトウゴザイマス。マッサージしてて、オーツカサンのが大きくナッテテ、バーコも、ウレシカッタデスヨ」

「あ、なんか、ごめんなさい。バーコさんの手と声とがすごく気持ちよくて、その、感じちゃって」

「ペニスガ、オオキクナルノ、ココロとカラダが、キモチイイ証拠ダト、オモイマス。オーツカサンが感じてクレタコト、バーコもウレシイデス」

 

 御礼を言われてる間も、背中側からとはいえバーコさんの手が俺の身体洗ってくれてて。

 タオル使わずに直に手のひらにボディーソープ付けて洗ってくれてるんだけど、その物理的な気持ちよさもなんかもうたまんないし。それに加えて風呂場ならではというか、バーコさんの声がすごく響いて聞こえてきて、ぬるめのシャワー浴びてるはずなのに、俺、なんだかのぼせたみたいになっちゃってた。

 

「オーツカサンノモ、マタ、オオキクナッテ、キテマスネ」

「え、あ、は、はい、ごめんなさい。あっ、あっ、もう、もういいですよ。これ以上刺激されると、その、俺、出したくなっちゃうから」

 

 俺、顔赤くしてたんだと思う。

 なんで外国の人って思うと、逆にこういうのが素直に言えちゃうのかが不思議だったけど、とっさに難しい言い方しても分かんないよな、とか思っちゃってたのかな。

 

 あわててシャワー上がって、用意されてたバスタオルでごしごしこすった。

 バーコさんもニコニコしながらこちらの背中とか尻とか拭いてくれるので、お返しにこっちも広すぎる背中にタオル当てるんだけど、見上げるような大男ってホントこんな感じなんだろうな。

 背中や尻も柔らかい肌の奥にすごくしっかりした筋肉あって、もともとの身体付きがぜんぜん違うんだなあと思ったり。

 さすがに前を拭くのは遠慮しちゃったけど、ちょっとあの規格外れの巨根は握ってみたいって思った俺、変なのかな。あそこまでいくと、なんかもう別の意味で芸術品見てるみたいになって、『ほー、いい仕事してますね』って言いたくなるかと思うんだけど。

 

「アリガトウゴザイマシタ。ジカイノ予約、オマチシテマス」

 

 初回お試し価格ってことだったけど、帰り際も次の予約の催促されずにそのまま会計からのお見送りって流れで、好感持てたんだ。直接『次回はいつにされます?』とか聞かれると、もういいやって思ってても断りにくいだろうしね。

 でも、俺、ここなら通いたいなって思ったし、次の病院受診のときに担当の先生にも話してさ。

 お医者さんも『気持ちよく感じるなら、いいことだと思います。しっかりリラックスタイムを楽しんでください。ただ、なにか気になることとかあったらいつでも相談してください』って言ってくれて。

 たぶん、先生、俺のメンタルのことも気遣ってくれてるんだろうなって。

 

 そんなこんなで帰ったらさ。なんかこう、マッサージで勃起したの思い出して、ついつい扱いちゃった。

 

 俺、ベッドでチンポに手を伸ばしたら、さっきのバーコさんのオイルマッサージで全身感じちゃってたのか、1回目とかもうあっと言う間にイっちゃった。そのままぜんぜん萎えないから、先走りと最初に出た雄汁そのままで扱いてたら、2回目ももうホントすぐに出ちゃって。

 部屋中、すごい匂いしてたと思うけど、それもなんか興奮してたんだよね。

 あの独特の、初夏の山で嗅ぐような匂いに包まれて、俺、2回イッても、ぜんぜん手が止まんなかった。

 

 俺、せんずりってやらないときは2、3日空いても大丈夫なんだけど、溜まったりムラムラしたら回数も増えるんだよな。

 入院してたときとかは気力も性欲もなかなか湧かなかったんだけど、退院した日には疲れてたのに3回も連続で出しちゃってたし。

 

 これまでのせんずりするときって、だいたいスマホやパソコンでエロ動画見ながらとかだったんだけど、なんでかその日は妄想ズリっていうか、想像ズリっていうか。おかず無しでもイける気がしてそのまんまやってた。

 俺、しかもそのとき、頭の中で昼間のバーコさんの笑顔や声を思い出してたんだ。

 もちろん、あのデカいチンポとか、白衣の上からのもっこりとか、そんなのも。

 俺って、変なのかな。

 これってホモって奴かとも思いはしたんだけど、手も射精もぜんぜん止まんなくて。

 

 結局は退院した日以上にやっちゃって、5回も連続でイっちゃったんだ。

 最後はびくびくってすげえイった感じはしたんだけど、先っぽにちょろっと出るぐらいだった。

 それでもすげえ感じてたんだ。

 

 普通、これだけ何度もイっちゃうと、まさに賢者タイムって感じになるんだけど、その日はなんでか違ってて。

 パソコンでバーコさんのお店のサイトすぐに開いて、次回の予約入れちゃってたんだ。

 あー、たぶん、次のときも、俺、ベッドの上で勃起しちゃうんだろうなって考えちゃって、それだけでもう5回はイってるのにまたデカくなってきてたし。

 さすがにすぐはイかなかったけど、確か夜遅くにまた2回やっちゃったと思う、あの日。

 

 1日で7発って、中学生でセンズリ覚え立ての頃かって話だよな。

 でも俺、なんかその日のセンズリ、すごくほんわかしてたっていうか、そんな記憶なんだ。

 バーコさん思い出してイっちゃった自分にどこか変なのかもとは思ったんだけど、あの気持ち良さ、心地よさっていったいどこから来てるんだろうって考えたりで。

 変な話、チンポそのものはもちろんセンズリで扱いてるからこその気持ち良さなんだけど、『エロ』っていうより『幸せ感』の方が大きかったんじゃって、振り返ると思うところ。

 

 それからだいたい、2週間に一度、バーコさんのところに通うようになった。

 この年の春の始まりは砂を噛むよな毎日だったけど、この日からの俺、大学にバイトにもなんだか楽しみながら行けるようになっていったんだ。