抜き屋稼業 2021

その3

 

 よお、前回からちょっと空いたけど、元気してたかい?

 俺の方はなんやかやあった祭りも終わって、ちょっとぽっかりした気持ちかな。

 最後は俺の楽しみにしてたレスリング選手達との話だ。自分がやってたこともあって、技術的な話も出来るかもだし、レスリングあるあるとかで盛り上がれたら、とか、もうただのミーハー的な浮かれようだったと思う。

 まあ、楽しみに聞いてくれよな。

 

 俺の担当はドーピングの件で国代表としての参加が認められなくて、委員会名での参加となったあの国の選手達。

 レスリングって階級制になってて、今回もこの国はかなりの選手を送り込んできてる。男だけでも全部で11人と、結構多い感じだったよ。それも競技日程が詰まってたので、試合後の選手への訪室とか、かなり詰め込んだスケジュールになってた。

 それでも期間中に最低でも一人当たり4回は行けたので、まあ自分でも頑張ったと思う。

 俺自身も文化の違う国の選手達とのふれあいが楽しかったし、なんといってもガタイのいいトップアスリートの素っ裸の姿とぶっといチンポ目の前にして、しかもその男達が自分の手でよがり声を上げてくれるなんて、この商売やってる俺達だけの特権でもあったしさ。

 

 今回の中で一番印象に残ってるのは、グレコローマンの130㎏級の選手だったかな。

 敗者復活で最終的にはメダルに手を届いたのは、なんか自分のことのように嬉しかったよ。

 

 あ、グレコローマンってのは基本立ち技で下半身へのタックルとかは無しって奴。

 俺が昔やってた全身使うフリースタイルに比べると肉体の密着度は下がるけど、その分、投げ技とかが発達してて、決まるときの格好良さってのはあるかな。

 特徴として消極的展開のときの罰則みたいな、あの相手が腹ばいになってる場面からスタートする「パーテレポジション」って奴は、ケツは突き出すは互いの腰が重なったりするは、まあホモから見るとエロいよな。

 このグレコローマン、男子にだけある種目なので、日本の女子選手の報道とかでよく見る下半身への素早いタックルとかは無い奴だって覚えとけばいいかと思う。

 もっとも俺も現役だったのはうん十年前になるし、えらそうなこと言えないのは重々承知してるけど、ポイントの取り方とか分かって見始めるとすげえ面白いんで、時間あったらぜひ見てほしいなとは思う。しばらくは公式サイトとかでもビデオ残ってるはずだしな。

 まあ、そこらへんは知ってる選手やタイプの選手が出るかどうかってとこも、大きいかとは思うけど。

 

 初回の訪室は、最初の試合の3日前だったかな。

 素人感覚だとグレコローマンよりフリースタイルの方が体重重いクラスあるかと思ってるかもなんだけど、実際には逆なんだよな。

 彼はその一番重い階級のエントリーで、もうでかいのなんの。

 

 身体でかいせいか、個人の要望だったのか、ベッド二つくっつけてのシングルルーム使ってたけど、これ他の選手では二人部屋とかあったので希望取ったのかも、とか思った。

 この選手、実際にやりとりしてみると、なんていうか、格闘技してる青年とは思えないほどの(って、これも偏見だよな、ごめん)優しさっていうか、紳士的っていうか、もう人と競う種目やってて大丈夫かな? って思うほどの気遣い多い若者だったんだ。

 俺なんかからすると、もう息子かってほど若いんだけど、いいですか? 大丈夫ですか? 無理しないでくださいって、もうなんかこっちがそんな気を遣わなくていいですよって言いたくなるほどだった。

 これが練習や試合となるとまったく変わってしまうだろうってのは分かるんだけど、ホントにもう、人の良さっていうかなんていうか伝わってきて、部屋に行くたびにこっちも気持ちが暖かくなってたよ。

 もしかして一人部屋って、まわりも気をつかってのことなのかな、とか思うほどだったんだ。

 

 この種目、どの階級も基本的には二日にわたって一日2試合平均、2日目は午前と夜のセッションだったけど、1日目は午前午後だったのでけっこう大変だったんじゃないかな。

 この選手も最終的には一試合目終わって2時間もしないうちに2回戦あってて、そこで負けて敗者決定戦に進んでた。

 最終的に銅メダル取れたのは良かったけど、やっぱり本人悔しかったんだろうな。

 計4回部屋に行ったけど、試合翌日の最後の施術のときはこれまで我慢してたのか、なんと時間内に6回イッちゃったんだよね。

 それまでは多くても3回とかだったから、なんかびっくりしたっていうかさ。

 

 で、その4回中の初日の訪室が今回のお話し。

 めんどくさいので会話は普通に書いてるけど、実際には翻訳アプリ通してのワンクッションおきながらだったから、めっちゃ時間かかってるけどな。

 

 

「失礼します」

”Входите, пожалуйста.”

(どうぞ、入ってください)

 

 ノックして部屋に入ると、もうすごい大きな若者が迎えてくれた。

 顔は童顔、というか、柔らかな感じでぐるっと髭生やしてる。全身はなんか上から下まで同じサイズじゃなかろうかと思うようなイメージで、ドラム缶か丸太かって思えばいいのか。

 

 初回の訪問はまだ試合始まってなくて練習してるときだったから、どの選手もサイトの一覧でぐらいしか予備知識無いんだよな。

 年齢と競技種目名ぐらいを頭に入れて、部屋に向かう感じだ。

 2回目以降だと試合が始まってたり、前回の訪室でなんとなく性格とかも分かってくるからこっちも色々対応出来るし。

 

 インテークでは「時間をかけて楽しみたい」「何回かイきたいけど」「手で」ってことだった。これまでの種目選手では施術途中でリクエスト変わる経験もあったので、持ち込みグッズはフルセットで行ってたよ。

 まあ、今回だけはそれもほぼ使わずに時間来ちゃったんだけど、それもまた俺達の仕事なのかもな、って思う訪室だったかな。

 

 これまでほとんどの選手、部屋に行った時点で事前にお願いしてたように素っ裸になってるか、腰タオルぐらいだったんだよな。

 このあたり、スポーツ選手ってロッカールーム文化やシャワールームが共同だったりすることもあって、躊躇が無いというか、思い切りのよさってのは昔から感じてる。

 俺自身、こういう商売始める前からあんまりその手の羞恥心って感じなくて人前で脱ぐことには抵抗なかったし、素っ裸でみんなうろうろしてても互いに上手く視線そらしたりして失礼にならないようにするのは無意識でやってたと思う。

 

 この選手、20代半ばで俺の半分ほどの年齢だったけど、ベッドの上ではかなり恥ずかしがり屋さんって感じだったかな。

 部屋着というか、ざっくりしたデカいTシャツとボクサーブリーフ姿で、それだけ見れば家でくつろいでるガタイのいい兄ちゃん。

 普通ならワクワクしながらチンポ勃てて横になってることが多いんだけど、彼は俺が挨拶してもベッドに腰下ろしちゃったまんまで、横になる気配が無い。

 

”Пожалуйста, разденьтесь и лягте.”

(服を脱いで、横になりませんか。)

 

 なにかきっかけがいるのかな、と思って翻訳アプリで声をかける。

 

”Успокойтесь, а затем лягте.”

(落ち着いてから、横になりますね。)

 

 翻訳アプリをポチポチしながらのやり取りで、その返事だけでも誠実な若者だなって思えた。

 これはちょっと話した方がいいかなと思って、俺もベッドの横に腰を下ろしたんだ。

 

”Нет необходимости подгонять себя.

 Если вы хотите повеселиться, просто дайте нам знать.”

(無理しなくていいですよ。楽しみたくなったら言ってください。)

 

 そのときの表情からして「楽しむ」雰囲気じゃ無かったんだよな。

 ああ、試合前の緊張と憂鬱が出ちゃってるなと、自分の経験からも思ったとこだった。

 

”Могу я спросить вас о вашей тревожности?”

(不安なことを聞かせてもらってもいいですか?)

 

 口頭での会話が出来てる訳では無いので、ストレートに聞いちゃったよ。

 ぼやかした言い方出来るほどの頭も無いし、翻訳アプリ挟んでるのでうまく伝わるかも分からなかったし。

 

”Я боюсь играть в эту игру…….”

(試合をするのが怖いんです……。

 

 これって、スポーツ心理学でも学んだトップアスリートゆえの抑鬱なんだろうな。

 自分でも現役の頃にはいくらか経験はあったし、本人がうまく処理したり、周りの支えが無いと、ちょっとやっかいになるかもしれない奴だと思った。

 国上げての催しでもあるわけで、もちろんそのあたりのバックアップもやってるとは思うけど、瞬間瞬間の気持ちの上がり下がりはやっぱりあるよな。

 

”Раньше я занимался спортивной борьбой.”

(自分は昔、レスリングをやっていました。)

 

 おや、という表情で彼が顔を上げる。

 それだけでも気持ちが切り替わった印象を受ける。

 きっと自分のことだけで、頭がいっぱいだったんだろうな。ちょっとおじさんの話聞きなさいなと、なんだか先生みたいな気持ち。

 

”Помню, мне было очень страшно перед игрой.”

(試合の前はとても怖かったことを覚えてます。)

 

 彼の瞳から、こちらの話を真剣に聞いてくれてるな、ということが伝わってくる。

 

”Бывали моменты, когда я боялся выйти на семиметровый ринг, у меня дрожали ноги.”

(7メートルのリングに上がるのが怖くて、足が震えていることもありました。)

 

”Я не мог избавиться от своего страха.”

(私には恐怖心を無くすことは出来なかった。)

 

 俺の右手は、彼の左膝の上に重ねている。

 手のひらの下で感じる彼の筋肉の緊張が、少しずつほどけていく感じがした。

 

”Я не могла избавиться от своих собственных страхов, поэтому мне пришлось предположить, что им тоже было страшно.”

(自分の恐怖心を無くすことが出来なかった私は、相手も怖がっていると思い込むしか無かった。)

 

 俺の話に、彼が大きくうなずく。

 

”В конце концов, это то, о чем мы должны думать, не так ли?

 Спасибо.”

(やっぱり、そう考えるしかないですよね。ありがとうございます。)

 

 残念なことに俺と座高はそう変わらない彼の顔が、目の前で笑顔になっていた。

 

 たぶんもう何十回、何百回も自問していることであったろうし、彼の中でも何度も同じ答えにはたどり着いていたんだろうと思う。

 それでも国の名をその背に負うというのは、俺には分からない重圧があるのだろう。

 誰でもいいから聞いてほしかっただけかもしれないし、普段ならチームメイトやコーチがその背中を軽く押すことで、リングに上がる力へと変えていっていたんだと思う。

 たまたま俺がその瞬間に居合わせただけだ、とは思っても、ちょっとおじさん、感動してしまってたよ。

 

”Давай, ложись.Приходите и присоединяйтесь к веселью.”

(さ、横になって。一緒に楽しみましょう。)

 

 にっこり笑ってくれた彼が、シャツと下着を脱ぎ捨てる。

 どすんと身を投げ出すようにして、ベッドに横になった。

 その勢いの良さに、あ、こいつ吹っ切れたな、って思えて嬉しかった。

 

”Мы используем много масла, чтобы заставить тебя кончить.”

(オイルをたくさん使って、あなたをイかせますよ。)

 

”Если вы не хотите эякулировать, разожмите руку.Когда вы хотите эякулировать, сожмите руки.”

(射精したく無いときは手を開いてください。射精したいときは、手をぐっと握り締めてください。)

 

 いつもの説明、一応その地域でNGで無いかは事前に調べてはいたけど、こういうのって微妙なとこもあるので毎回ちょっとドキドキ。

 ぐっと親指立ててくれたので、大丈夫だったのかな。

 サムズアップそのものが、あ、これって彼の国でも使うんだ、って妙に冷静に感じたことを覚えている。

 こっから先は、もう言葉はほとんど要らない。

 俺のテクニックで身体に溜めてたストレスをたっぷり放出してくれ、そんな思いでローションを手に取った。

 

 ズロンとした、という言い方が一番伝わるかと思う。

 肌と同じ白い肉棒は、根元から先端近くまでその太さを保ったまま、緩やかなカーブを描く腹の上にぼてっと横になっている。

 平常時でこれだと、固くなったらどうなるんだろうという肉棒は先端近くまで包皮に覆われていたけど、少し手でいじればずるっと亀頭が顔を出した。

 これまたでっかい金玉はまだだらっと垂れてたけど、こっちはチンポと違って沈着した浅黒さがなんか貫禄って感じで。手のひらに乗せるとこぼれ落ちそうにも感じる、玉と厚みのある皮膚がもたらす量感はかなりのもの。

 口にしたい欲望をなんとか抑えつけ、ぬるぬるとローションを塗り広げる。玉も竿も、口におさまる大きさじゃなかったけどね。

 

「ゆっくり」「何回かイケれば」ってことだったけど、会話のやり取りでちょっと時間喰っちゃったから、それなりに気合い入れていかないとな。

 腰かけて話ししてたときの感触から、同性である俺が身体寄せ合ってても緊張しないタイプって分かったし、本人、ちょっとさびしん坊な感じもしたので(この時期あんまり褒められたことじゃないけど)若者の右横にこっちの身体も横たえた。

 半身を密着させながらの竿扱きと乳首責め。人肌恋しいのもあるのかなと思って、このスタイルでやることにする。乳首は舐めて刺激することになるけど、最後に消毒して対応しようって決めた。

 

 まずは射精させる刺激で無くて、とにかく快感を味わってほしい。

 このスタイルのときに俺がよくやる戦法で責め始める。

 

 右手のひらで持ち重りのする金玉をぬるぬるとまさぐる。

 これだけでもかなり感じると思うけど、その右手の手首から腕にかけてでチンポを押しつぶすようにごろごろ転がしていく。

 芯はありながらも勃ちきっていなかった肉棒が、どんどん太さと硬さを増していく。

 

「んっ、んんっ……」

 頭上からかすかな声が漏れる。

 表情を見られるのが恥ずかしいのか、片手を上げてぶっとい二の腕で顔を覆っている。

 腰と尻回りの大きさが下半身をこんもりと盛り上げ、手首に当たる肉棒はもう臨戦体勢だ。

 

「デカいな……」

 勃ちきった逸物の太さ大きさに、思わず声が出ちまった。

 それなりに鍛えてるとは思う俺の、そう、手首ぐらいの太さがある逸物。

 盛り上がった両の太股、丹田から臍に向かって丸みを帯びた腹、それらに挟まれた股間はでっぷりとした双玉の上から子どもの腕のような肉竿が勃ち上がり、臍に向かって突き上げている。

 

 ぬちゃっ、ぬちゃっ、ぬちゃっ、ぬちゃっ。

 ローションの雫が飛ぶほどの勢いで扱き上げれば、重たい腰が浮きそうに反り返る。

 まだイかせないぞ、と右手の動きを止め、山脈のような胸筋の先端に舌を這わせる。

 乳首の先端をコリコリと歯の先で刺激すると、堪えきれないような唸り声が唇の端から漏れた。

 

「んんっ、んーーーっ」

 乳首、感じてくれてるようだ。

 優しく舌先で転がすような刺激と、歯を使った強めの刺激。

 慣れが生じないよう、なるべくパターンを崩しながら使い分けると、よがり方もだんだんすごくなってくる。

 

「んはあっ、ああっ、あーーーーっ」

 乳首だけの刺激を続けていたところで、プラムのような張りのある亀頭へと手のひらを当て、いきなりずるずると撫で回す。扱きを伴わない亀頭責めは、自分でせんずりするときにはまずやらない動きだろう。

 生身の相手がいるかどうかは分からないけど、亀頭を中心に責められるというのはホモ同士ででも無い限り、なかなかないはずだ。

 突然の強烈な快感の訪れに、それまで抑えていた喘ぎ声が部屋中に響き渡るほどの大きさになった。

 

”Вы можете сказать это вслух.”

(声を出していいですよ。)

 

 こいつは事前に用意しておいたフラッシュカードだ。

 首に回した左手で顔を覆う腕をよけると、喘ぎながらもいぶかしげに目を開ける。

 カードに書かれた文字が伝わったのか、恥ずかしそうな笑顔を見せて、こっくりとうなずいた。童顔に顔の輪郭に浮かぶ髭面が、とてつもなく可愛く思えた。

 

「あっ、ああっ、あっ、ああああーーーー!」

 遠慮が取れたのか、図体に見合ったデカい声が響く。

 亀頭責め、扱き上げ、玉いじり。合間に乳首を舌と唇、歯を使っていたぶれば、経験が少ないノンケならもうたまらないだろう。

 射精へと向かうだけの直線的な刺激だけでなく、粘膜と粘膜、皮膚と粘膜が触れあう快感をひたすら与えられるという受動的な快感。

 男女の経験が豊富であっても、おそらくはそう経験することの無いだろうテクニック。そいつをひたすらに若い肉体へと叩き込む。

 

 ぬちゃっ、ぬちゃっ、ぬちゃっ。

 ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ。

 

 亀頭責めの割合を徐々に扱き上げへと移していき、最後はもう高速でひたすら上下運動を繰り返す。

 乳首は強い痛みを与えないよう、チロチロとした舐めあげと軽く当てた歯で快感のタイミングをコントロールする。

 

 何度も繰り返した追い込みに、若い肉体がついに最期の刻を迎えた。

 

”Эякулировать, кончать!”

(イくっ、精液がっ、出るっ!)

 

 大声でよがると同時に、分厚い腰が突き上げられる。

 

 まるでホースから水が飛び散るように、大量の雄汁が播き散らかされる。

 

 何度も噴き上がるその量は、およそコップ半分にでもなるんじゃなかろうかと思うほどだ。

 半身に寄り添うように身体を密着させていた俺にも、顔や胸に粘り気のある汁がぶち当たる。精通を迎えた男なら誰でも分かるあの濃厚な汁の匂いが、部屋中に立ち昇る。

 鈴口がデカいのも影響したのか、その飛び散った範囲もものすごく、ヘッドボードを飛び越えて壁紙にもべったりと張り付いたその汁は、粘性の高さに垂れ落ちることさえしないようだった。

 

”Было ли это приятно?”

(気持ちよかった?)

 

 まあ、否定的な答えは返ってこないとは分かってるけど、つい聞いちゃうよな。

 

”Большое спасибо.Я чувствовал себя очень хорошо…….

(ありがとうございました。とても気持ち良かった……。)

 

 お礼の言葉すら、丁寧というか律儀と言うか。

 時間的に今日は一回かな、と思ったけど、本人も満足してくれたようだ。

 起き上がれないほどの快感の余韻にひたっている。

 

 濡らしたタオルで汗や汁、オイルを拭き取り、目立った部分の壁やベッドも軽く拭き上げておいた。

 まあ、後は明日のルームメイクの人達にお願いするしか無いけど、前日に俺達が入ったって情報は共有されてるはずだから、きれいにしてくれるかな。

 

 身繕いして部屋を出ようとすると、俺の右手をすっと握られた。

 握手かな、って思ったら顔の前に持って行った俺の手の甲に、ちゅっと軽くキスをしてくれる。

 もう、こりゃ惚れちまうな、って思ったのは俺がやっぱりホモだからなんだろうな。

 一礼して部屋を後にしたとき、50にもなるおっさんの顔が赤くなってたってのは、内緒にしてくれよ。

 

 初回訪問から三日後だったかな。対象競技の1回戦、本人が勝ったこともあって、見応えあったよ。

 

 この選手が青、相手選手が白のシングレットでもう股間の盛り上がりとか、いい眺めで。

 こっちが有利な場面でのパーテレポジションからのスタートとか、覆い被さってる姿勢を後ろからアップで抜いてあったりすると、もうでっかい尻肉の間の股間の重量感がすごいのなんのって。

 たぶん、しばらくはサイトで見れると思うから気になったらチェックしてみてくれよな。

 もっとも俺らに取っては自分が施術してイかせてやった選手が一身に打ち込んでる姿って、エロと感動と両方迫ってきちゃって平常心で見れないのだけが難点なんだけど。

 

 尻肉の上がり具合は正直相手した選手たちの方がぷりっと上がってた気もするんだけど、俺が担当したこの選手、目の前にしたらもうとにかく全部が「デカい」んだよ。

 これまでの柔道や投擲種目の選手みたいな筋肉の量のすごさが目立つより、筋肉の周りの脂肪の方が目に入るんだけど、それって筋肉量が足りないってわけじゃ全然無いんだよな。

 実際に身体に触れてみると、表面の脂肪の下にずっしりした肉が詰まってるって感じ。これはもう俺達と試合した相手だけの特権かもしんないけど、もう柔らかさの中に芯が通ってるあの肉感は、なかなか体験出来ないよな。

 あの質感を味わえただけでも今回の仕事受けて良かったと思ったよなあ。

 

 2回戦で負けちゃって、その後は敗者復活戦で勝ち上がって見事銅メダル。

 昔、日本の格闘技系の有名な選手が「銀メダルは負けて取る、銅メダルは勝って取る」みたいな話してたことあったけど、ホント実感としてはそうなんだろうなと思った。

 

 

 柔道、投擲、レスリングって流れが今回の俺達の請負だったけど、同業の連中は各々のグループの適正で色んな競技選手との行為が蓄積されたはずだ。

 いつかそういうのを持ち寄って交流することで、大きな大会のもっとスムーズな受け入れが出来ないかなとか、ちらっと思ってる。

 取りあえずは3週間後のもうイッコの大会だけど、こいつの方は事前に有志が集まって、障害者の性的介助の実績がある団体と一緒に学習会やろうかって話しも出てる。

 もちろん大会に参加する障害アスリートと、国内で介助サービス事業をやってるところとは対象の人達の集団もまったく違うだろうけど、自分達も手探りだからまずはとっかかりってところかな。

 うちの連中とか体力腕力はある連中揃ってるから、そのあたりもうまく填まればな、とも思ってるけど、どうなんだろう。

 

 まあ、国際大会となると縛りも多くなっちゃうのでかなり大変だけど、やりがいはあったかな。

 俺が担当した選手達はみんな紳士的だったし、競技も見てて全部気持ちよかった。

 

 ウイルス禍の下、大会そのものの是非はあったかと思う。

 俺も止められるタイミングで止めたがよかったんじゃ、ってずっと思ってた。

 で、キャストみんなに聞いたけど、それぞれいい思い出にもなったようで、本当にやってよかったと思ってる。

 普段の仕事では経験出来ないことだし、またこんなことあったら報告するから、楽しみに待っててくれよな。

 

 それでは、また会う日まで!