疱瘡会

付記 ー 用語等

 

付記

 

●鐘馗について

 

唐の6代皇帝、玄宗が病に伏していたとき大男の髭面の鍾馗が夢の中に現れ、病を振りまく鬼を祓ったことにより回復。日本には平安時代に伝わり、眉太く濃い髭が顔全体を覆い中華風の装束を身にまとった鐘馗図や鐘馗像が、疫病除け、魔除けとして飾られた。

 

 

●道祖神について

 

石碑、石像などで現され、集落の境や辻などに奉られることが多い。境界を示し村外からの悪疫の排除、村内の息災を祈願する。旅や子孫繁栄の神として性神ともする地域も多い。

 

 

●疱瘡会の神楽の内容

 

第一幕

 

舞台は村の入口に当たる場所。道祖神の岩を模したものに鐘馗様を描いた一枚の赤絵札が貼ってあるものが用意されている。

疱瘡神がその前まで来たものの、札の効力でそこから先には進めない。

道祖神の前でうろうろし、頭を抱えて困っていると、村人が登場。

最初は疱瘡神の身なりに胡散臭そうにしていたが、おどけた仕草や踊りについ笑ってしまい、疱瘡神の願いのままに絵札を剥がしてしまう。

喜んだ疱瘡神は村の境界を越え、驚いている村人に抱きつくと、村人の様子がおかしくなり、もがき苦しんだ後に倒れてしまう。

 

第二幕

 

村の中。

2人の村人が話しているところに疱瘡神が楽しそうにやってくる。不思議そうに対応する村人に疱瘡神が抱きつくと、やはり2人とも苦しみ出す。

1人は倒れてしまい、その周りを疱瘡神がふざけたように踊る。もう一人は杖をついて逃げ出す。

 

第三幕

 

歩き出した村人が、ついには1人の僧侶に出会う。

僧侶は村人の話を聞き、一枚の絵札を渡す。

道祖神のところに戻った村人が絵札を貼ると、鐘馗が現れる。

鍾馗を神様の1人と見た村人が、必死に村の状況を訴える。鐘馗は大きく頷き、のっしのっしと疱瘡神へと向かう。

最初の対決は2人で相撲を取るが組んでは逃げ、逃げては組む疱瘡神をなかなか鐘馗が倒せない。

何かを思いついた鐘馗がしばらく待てと村人や疱瘡神をその場に留め、いったんその場を立ち去る。

 

第四幕

 

鐘馗は僧侶から変貌した神に頭を垂れ、状況を伝える。

神様は一振りの神刀を鐘馗に渡す。

大きな力を得た鐘馗が村に戻り、再び疱瘡神を追いかけ回す。

神刀が怖い疱瘡神はひたすら逃げるが最後は鐘馗にのしかかられ、神刀で止めを刺される。

苦しむ疱瘡神と見栄を切る鐘馗の姿で終幕となる。

 

 

●この地方の方言について

 

「赤かつ」→「赤いもの」

「荒くたましい」→「乱暴、荒々しい」

「・・けん」→「・・から」「だから」

「こぶる」→「ねぶりまわす」

「たいがな」→「とても」

「たまがる」→「びっくりする」

 形容詞の後の「つ」→「もの」

「のうなる」→「無くなる」

「・・ば」→「・・を」

「・・はいよ」→「・・ください」

「ばってん」→「だけど」「けど」

 

 

●神事関係の用語について

 

「直会」神事が終わった後の食事、酒宴、宴会。「なおらい」

 

「撤餞」神に捧げられた御神酒、神餞のおさがり。直会で食される。「てっせん」

 

以上