重森大介氏 - 三太 共作作品

「褌祝」~褌で繋がった男たち~


 すでに共作作品として「単身赴任の記憶から」を掲載させていただいている重森大介氏の、本来であれば処女作(童貞作?)として足かけ2年にわたり、三太も一緒になってあたためてきた作品です。

 

 三代にわたる「褌祝」の儀式と、そこで与えられた褌が繋ぐ男達の縁。

 

 作品内で意図的に設定された「儀式の繰り返し」「相似した名前」「時系列の意図的な往復」、これらが見事に合わさり、一読でははてなマークが頭に浮かぶものの、繰り返し読み通すことで作品構造が浮かび上がる見事な年代記だと私は感じました。

 今現在とは世の中の風潮がまったく違った時代と、我々同性愛者の中にも多大にある「普通」という概念の相克を、ぜひご堪能ください。

 

 また作中に褌を取り扱う店として、実在する店舗名が記されています。

 こちらは京都にある「褌屋」さんという、作者重森氏も利用されているお店ということで、小説の趣旨を伝えられた上で、作中での店舗名の使用言及に許可をいただいておられるとのことです。

 同性愛者向けの店舗というわけではありませんので、問い合わせの際にはご留意いただけると幸いです。

 褌屋ホームページ

 https://fundoshiya.com/main.html

 

 なお、重森大介氏(Twitterでは、しげっち氏 @shige_touch )御本人が小説を読まれた方とのTwitterでの交流も希望しておられますので、感想などあられましたら(こちらでももちろん大丈夫ですが)、Twitterアカウントお持ちの方は直接メッセージされても喜ばれるかと思います。

 

 小説掲載にあたり、氏よりいただいた巻頭言を紹介します。

 いただいた原文のままにて記載します。

 

 

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「褌祝」公開にあたって

 

「褌」と聞いて、そして、今、この時代に褌を締めている人に何を想像しますか?

「褌」、ここでは六尺褌に限定しますが、長さ約2.5m、幅は20cmぐらいの、通常うすい綿の生地で作られた一枚の布切れ。しかし、これがいかに有用で、いかに男にとってベストフィットな下着かは、実際に愛用されている方にとって言わずもがな、だと思います。

 私も、常用とはいかないものの、愛用する一人の男として、もっともっと普通に多くの男たちの股間を覆ってほしいと思っています。

 この小説では、実際にあった「褌祝」という通過儀礼を用いています。そして、その「褌祝」で大人の男と認められつつも、心も体もまだ子供だった男たちがどのように一人前の男に成長し、繋がっていったかを三世代にわたって描いてみました。

 原作者の私の性向は男性です。妻帯者で子供もいますが、性向と生殖は別だと思っています。とは言え、私自身、自身の性向と世間体との板挟みやジレンマに常に思い悩み、今でもその悩みは解決できてはいませんし、このまま、家族を含め自分を知る人にはそのことを知られずに棺桶にまで持って行こうと思っています。そんな自分自身の人生観も織り込んでいます。

 ですので、性行為の描写さえあればいい、と思われる方には肩透かしを食うかもしれません。ただ、自身の性向に悩みながらもそれを前向きに捉え、成長していく登場人物の思いを読み取っていただければと思います。

 なお、公開にあたり、三太さんには表現方法や語句の使い方、時代背景のすみ分け、登場人物の年齢設定など、多方面に亘りご指導・ご指摘をいただき、十分に推敲していただきました。大変感謝しております。お陰さまで一つの読み物としてとてもいい作品になったと自画自賛しております。

 どうぞ、ご意見ご感想をお寄せください。