韓国エステ その3

「気持ちいいでしょう。それよりイくのはまだ早いですから、ちょっと休憩しましょうか」
 久保山君はいったん身体を離すと、一服でもと煙草を勧めてくれた。

 若かりしころの戯れ事ならいざ知らず、この年になって男の手で味わう濃厚な快感に、本来なら多少なりとも感じるはずの嫌悪感がまったくないのが不思議だった。この感覚が自分だけのものなのか、彼も感じていることなのかと水を向けてみる。

「ふう。それにしても男にやられても感じるもんだねえ。久保山君達は、その、店長あたりからこんなふうにやれって教わるのかい」
「とんでもない。男なら分かるだろってほっておかれますよ。あとは、自分で気持ちいいってことを、お客さんにやってあげるだけですね」
「ふうん、だったら久保山君も相当すけべなんだな。あんなに感じるのを自分で開発出来るんだから。それにこれだけすごいのをお客に毎日やってたら、自分もたまんなくなるんじゃないかい」
「そんなことないですよ。もちろんお客さんにもよりますが・・・。僕、ちょっと女性は苦手なもんで・・・。でも、ここまでやったのは、その、お父さんが初めてですよ」

「女が駄目で、久保山は・・・。もしかして、その、商売でなくって男同士の方が・・・。で、私が初めてってことは・・・」
 久保山君の話しはここまでの行為を風俗でのサービスだと思っていた私には、驚くべきものだった。

  とまどう私に、上気した顔で久保山君が答える。
「すいません、言っちゃいました。お客さんには分かると気持ち悪がる人が多いだろうから、なるべくばれないようにしてるんです。でも、お父さんにだけは知っておいてもらいたかったんです。今日ちょっと話しただけなんですが、お父さんなら分かってくれるんじゃないかって勝手に自分で思っちゃって」
「僕、お父さんみたいな体格のいい中年の人が好きなんです。学生のときからがっしりした先輩に憧れてて。それ以来、お父さんみたいな人を見ると、どうしようもなくなってしまうんです。すいません、普通の人から見たら変にしか思えないでしょうし、商売じゃなくて好きでやってるって軽蔑されて当然ですよね。本当にすいません。後はもう下半身は触りませんから、マッサージとあかすりだけは最後までさせてください。お願いします」

 椅子に座った私の足元で、久保山君が太い腕をタイルに落し、すまなさそうに私を見上げている。その誠実そうな瞳に、私は思わず彼の手を取り立ち上がらせると、柔道で鍛えられた厚みのある身体を抱き締めていた。

「すまなかったね、恥ずかしい思いをさせて。軽蔑なんかしないよ。人が人を好きになるというのは当然のことだし、それが男性であったからといってどうだというのだね。私も五十年近く生きてきて、人の心も少しは分かるつもりだ。私だって学生時代は、自分のチンポを男にしゃぶられて気持ちよくなっていたし、さっきも君にやられてあやうく出してしまうとこだったんだ。君に気持ち悪いだなんて言える資格があるかね。私も君みたいな人になら、やられてもいいなって思ってたところだ。マッサージだけなんて言わずに最後まで頼むよ」
「本当にいいんですか。ありがとうございます。一生懸命やりますから、よろしくお願いします」
「ああ、私も男同士なんて二十年ぶりくらいだ。楽しませてくれよ。自分の息子ぐらいの君にいうのもなんだが、学生の時に戻ったような気分だな」

「よおし、じゃあ、思いっきりテクニックを駆使しますよ。若いときの経験なんて、目じゃないくらいに感じさせてあげますから。お父さんの腰が抜けるくらいのをやってあげますよ」
 思いのたけを口にしてふっきれたのか、身体を離した彼が、私を見つめながら、わざとおどけた口調で話しかける。その目が潤んでいたのは石鹸がしみたせいなのだろうか。
「そりゃ、たまらんな。せいぜいすぐにイッてしまわないようにがんばるかな」

  すっかり打ち解けた久保山君にタオルで拭きあげられ、部屋のベッドに横になった。
 ここからは本格的な韓国マッサージだった。キュウリのエキスだとかいう、植物性の爽やかな香りのするオイルを身体中に塗られ、足の指先までマッサージしてくれる。オイルマッサージが終るとうつぶせに寝かされ、全身をバスタオルでくるまれた。
 失礼しますと声をかけると、天井の棒につかまった久保山君が、私の背中を踏みつけてきたのだ。かかとと足先をうまく使い、背中から腰へと体重をかけてくる。ずっしりとした彼の重みが、小刻みに腰から上に向かって動いていくのが実に心地よく、思わず恍惚のうめき声を出していた。
  背中が終わると、蒸しタオルで拭かれて、全身のあかすりが始まった。先ほどもナイロンタオルで洗っているというのに、背中や肩、腕や足からも、驚くほどの大量の垢がこすりとられる。彼が手にはめている地の荒い布のせいらしいが、別にひりひり痛むこともなく擦られていく。最後をもう一度蒸しタオルで拭きあげられて、通常のコースが終わったらしかった。

「じゃあ、いよいよ、最後の仕上げにとりかかります。お父さんのも、始める前から大きくなってるじゃないですか」
 マッサージが結構重労働だったのだろう、ほてった顔をした久保山君が、先ほど風呂場で使ったローションを用意しながら声をかけてきた。私の肉棒は、これから味わえる快感を想像するだけで勃起してしまい、仰向けになった股間のしげみから、鎌首を振り立てている。そのおっ勃ったチンポに、久保山君がとろりとしたローションをたらし、両手で擦りあげてきた。

「まずは、さっきの続きから。これだけでもなかなかいいでしょう」
「ああ、気持ちいいよ、ぬるぬるしてて、とてもいやらしい感じがする。もっとやってくれよ」
 こんなふうにするともっと感じますからと、彼が私の腰の下に丸めたバスタオルを押し込みながら説明した。
「腰を少し持ち上げて、そうそう、タオルを入れますから。あと、両足を少し開いて膝を曲げてみてください。ね、この格好って結構すけべだし感じるでしょう」
 今日会ったばかりの若者に、股間から尻の穴にかけてを見てくれといわんばかりに突き上げ、さらけだしている。その自分の姿を思い浮かべるだけで、私のそそりたった逸物は一層その太さを増してしまう。

「あっ、ああっ、なんていやらしい格好をさせるんだ、だ、だめだ、そんな、ああ、感じる、感じるよ。さっきみたいに、玉も、玉も揉んでくれ」
「金玉はまだおあずけですよ。しばらくはチンポだけで感じてください。お父さんのもローションがいらないくらいに、先走りで濡れてきてるじゃないですか」
  片手で血管の浮いた幹をやんわりと握りしめながら、もう片方の手は膨れあがった亀頭の鈴口をぬるぬるとさすってくる。その切ない刺激が、私に声をあげさせる。

「ああっ、そ、そんな、あっ、あっ、た、たまらんよ、もっと、もっと、やって、やってくれっ。だめっ、だ、だめだ、イきそう、イきそうだよ」
「大丈夫ですよ。亀頭だけやられてもなかなかイかないですから、思いっきり悶えてください」
「そ、そんな、イ、イかせないなんて、ああっ、そ、そこは、あっ、ああっ、た、たまらん、たまらんよ。イかせて、イかせてくれっ」
 なるべくイかさないように、亀頭と雁首を中心にじらしながら責めたててくる刺激から、いっときでも気をそらそうと久保山君の方を見やる。彼の股間では大量の先走りがトランクスの生地をぐっしょりと濡らし、その悠々たる勃起を透けて見えるかのようにはっきりと浮かび上がらせている。

「久保山君、き、君のも、大きくなってるじゃないかね。君も脱いで、一緒に、一緒にベッドで、その、やったらどうかね」
「一応規則でいけないんですが、もう、僕もたまりません。やらせてください」
 彼自信も相当興奮していたのだろう。トランクスを脱ぎ捨てると、ず太い逸物が跳ね返るようにそそり勃った。私のものも太さでは負けないつもりだが、腹につかんばかりの角度が久保山君の若さを見せつけている。もうたまらなくなったのか、のっそりとベッドの上の私の身体に覆いかかり、その厚みのある腰を私の下半身に重ねてきた。ぬるぬるとしたローションをたっぷりと下半身にたらすと、柔道で鍛えた堅い尻たぶに私の勃起を挟み込み、肉厚の腰を上下して素股で刺激してくる。
 私も、私の臍の上で先走りを垂らしている彼の勃起を握り、鈴口に溢れる露をぬるぬると揉み広げた。もはや最大限に勃起した若者の肉棒は火傷するかのように熱く、私は握りおもりのするチンポを、猛スピードで擦りあげる。彼の顔を見上げると、脂ののった肌の上にもっさりとした体毛を茂らせ、うっすらとかいた汗が、限りない男臭さを漂わせていた。

「ああっ、お、お父さん、そ、そんなに、されたら、す、すぐに、イきそうですっ」
「いいっ、いいぞっ、感じる、感じるよ、もっと、もっとこすってくれ、ああ、久保山君、久保山君のチンポも、でかくなってるぞ」
「ぼ、ぼくも、いいっ、いいです」
 二人の興奮は引き返せないところまでたかまり最後のときを迎えようとしていた。

「お父さんっ、ぼく、もう、だ、だめですっ、イくっ、イくっ、イきますっ」
 その瞬間、私の右手の久保山君の勃起が一回り膨らむ。彼のくっきりと割れた鈴口から、先ほどからの刺激で溜りに溜った精液が、音をたてるかのように吐き出される。
「ああっ、久保山君っ、私も、イくっ、一緒に、ああっ、イくっ、イくよっ」
 手のひらに伝わる射精の瞬間のびくびくとした脈動を感じたそのときに、私の肉棒も思いのたけを、久保山青年の毛深い尻に吐き出していた。

「お父さん・・・、すみません、汚してしまって・・・。でも、気持ちよかった・・・」
「いいよ、こっちも思いっきり出させてもらったし、よかったよ。こっちにおいで」
 毛深い身体を引き寄せ、ずっしりとした身体を強く手を回す。私の顔まで飛んだ彼の第一弾は、ねっとりと私の唇を下り口に流れ込んでいた。体重を私に預けた久保山君が、私の顔を流れる自分の精液を、熱い舌で嘗めあげてくる。その姿がいとおしくなった私は、まだ精液が残っているはずの彼の唇をこじあけ、舌を差し込んだ。

 学生のとき味わって以来の生臭さが、私の口中に再び広がった。彼の汁が放つその何とも言えない臭いと味が、どこか遠い青春の思い出とともに私の胃の腑へと落ちてく。
 その味わいは、これからの彼とともに歩むのであろう私の人生を予感させ、今、私の腕の中でゆったりとした呼吸を取り戻しつつある逞しい肉体を、さらに強く抱き締めさせていた。