不良青年更生寺院顛末記

その6

 

その6 1年後

 

 あれからの1年。

 すげえ長かったのか、短かったのか。

 

 毎月の8日と28日の総身改めの儀式や、年2回、6月と9月にはこの寺で修行したOBも集まって、すげえ大乱交みたいなことやったとか、色々あったんだ。

 そこらへんの話は、また今度でも話してみたいから、機会あったら聞いてくれよな。

 

 あ、OB会と言えば、おじさんはさすがに俺がまだ入山して1年ならないからって顔は出さなかったんだけど、もし来てくれてたら、あのでっかいおじさんのチンポ、俺、しゃぶってたんかなあとか思ってドキドキしてたよ。

 

 正成さんは俺が入山した次の月の総身改めで、3年目にしてやっと正式な『僧侶』として認められたんだ。周りの先輩達も待ってたぞってみんな喜んでて、なんかもうそれからしばらくは正成さん中心の勤行になってた気がするな。

 

 継男さんはそのときの改めで5号棒でのトコロテンが認められて仮僧侶に、その後半年もしないうちに10号棒の出し入れだけでのトコロテンと、入れられてる間の連続勃起の確認も成って、正式に僧侶と認められることになった。

 もっともその翌月に入山丸1年を迎えて、ご家族のことも心配だったらしく、かなり名残惜しそうにして山を下りたんだったけど。

 

 俺自身は入山して2ヶ月で『仮僧侶』に、5ヶ月目で『僧侶』の資格を得ることが出来た。

 今、このときにも俺の尻穴には、直径6、5センチ長さ24センチの10号棒が入ってて、身体ちょっと動かす度にあのゴツゴツしたイボが前立腺や周りを刺激してる。もちろん魔羅はびんびんにおっ勃ったまんまだし、褌の前布もぐっしょり濡れちまってる。

 今ではもう、道円和尚のあの超巨根をバリバリ受けることが出来るし、入山してからちょっとはデカくなった気もする俺の太魔羅で、みんなの尻を掘らせてもらってるんだ。

 

 あれから3種類の経もしっかり頭に入れることが出来たし、なによりかにより、朝起きて夜ちゃんと寝るって生活パターンにあっと言う間に慣れちゃったのが、自分でも不思議だったかな。

 もっとも、勤行の間にやる『お役目』って奴で、広い寺の掃除や畑仕事、温泉の管理やため池、鶏の世話に薪割りとか、色々やること覚えなきゃいけないことも多くってさ。

 その間に一日最低でも10回以上は、おっ勃った魔羅から汁飛ばしてるんだから、夜ぐっすり眠れないなんてこと、あるはずもなかったのかも。

 まあ、そんな中でもたまには就寝時間過ぎても部屋の連中と色々やってる、なんてこともあったりはしたけどさ。

 

 ああ、俺、最初の頃はずっとチンポチンポって言ってたんだけど、途中で教えてもらって『魔羅』って呼び名が仏教から来てるってのもびっくりしたなあ。

 だからみんな、チンポのこと魔羅、太魔羅とかって言ってたんだって、妙に納得もしたんだ。

 

 で、明日が俺の入山から、かっきり1年の日。

 親父とおじさんから手紙も来てて、入山のときと同じように2人で迎えに来るってことだった。

 その日を前に、俺、道円阿闍梨の部屋に来いって、1人で呼ばれたんだ。

 

「道円阿闍梨様、翔平です。お呼びと聞き、参りました」

「ああ、そこに座りなさい。いよいよ、翔平がここに来てから丸1年が経つ。ご家族に会う前に、もう一度お前の気持ちを確かめておきたくてな。あれから気持ちは変わらぬか、翔平よ」

 

 実はこの話、先月のうちに、俺、道円和尚にはしてたんだよね。

 

「はい、道円阿闍梨様……。俺、山を下りず、このままこの寺で修行を続けたいと思っています。ここで、道和おじさんの若いときのように、男を磨き、鍛え上げ、もっともっと親父やお袋、おじさんにも褒められる男になってから、山を下りたいと思ってます」

「本当に、それでよいのじゃな。道和の奴はそれで納得もしようが、親父様、お袋様については悲しまれることじゃろう。親に取って、連絡も付かぬ子と1年も離れていれば、愛惜の思いはいや増しておるはずじゃぞ」

 

 道円和尚の言う話も、俺、分かってるつもりだ。

 ただまあ、親父にはおじさんが説得してくれるだろうし、お袋は泣いちゃうかもだけど、明日俺を見た親父が元気だったって伝えてくれるだろうし。

 元々、女人禁制の寺なんで、お袋が来ること自体が出来ないのは、ホント、申し訳ないとは思うんだけど。

 

「……はい。親父やお袋も、変わった俺の姿だけを思って、この1年を待ってくれてるんだとは分かってます。そうでなきゃ、あんな形で我が子を預ける決断が出来るはずが無い。

 そして、そういう『人』の気持ちを、人と人が肌を触れあい、喜びを分かち合えることを、俺はここで学ばせてもらいました。

 もちろん娑婆に帰って、その恩義を返していくことも出来るし、それこそがこの寺の存在意義でもあるとは思ってます。

 でも、まだ、俺自身がもっと学びたい。色んな先輩方の色んな考えを、もっともっと聞きたいし、先輩方自身の人生を、肌を、もっともっと知りたいと思ってます。そして、俺の後にここに来る若者に、俺がこんなふうに変われたってことを、俺に教えてくれたたくさんの先輩達と同じように伝えていきたい。

 俺は、そう思ってます」

 

 しばらくの沈黙があった。

 まっすぐに俺を見つめる道円和尚の瞳を、俺もまた、まっすぐに見つめ返していた。

 

「相分かった。

 それでは明日、お前を迎えに来る親父様と道和の両名には、会うや、それとも会わざるなりや?

 翔平。分かっているとは思うが、会えばまだ若いお前の気は必ず揺れる。

 もちろん、その結果、山を下りるとお前が心を決め直しても一向に構わぬし、それが娑婆側から見たときの本来のこの寺の使いようの一つでもある。

 会うか、会わぬか、お前が決めよ、翔平」

 

 俺、即答したんだ。

 いや、即答っていうか、たぶんこれ、聞かれるかなと思って、もう心の中で決めてたんだ。

 

「和尚、阿闍梨様。俺、会います。

 親父に、おじさんに会って、まずはここまで変わった俺を見てもらいます。

 親父と、おじさんと話して、今の俺の考えを聞いてもらいます。

 そして親父には、こんなにあいつ変わってたぞって、お袋に伝えてもらいたいって。

 おじさんには、ここに連れてきてくれてありがとうって、そう言いたいんです」

 

 俺、まっすぐな言葉で、道円和尚に伝えることが出来た。

 親父やおじさんに、どこまで話せるか、どんなことまで話せるかは正直分かんないけど、精一杯、今の俺のことを話すだけだと思ってた。

 

「よかろう。

 それでも明日、お前の気が変わったら、すぐに儂に言え。

 どんな結果でも儂はお前の未来を祝福するし、それはお前がどこにいようと同じことだ。 なにより、今日の夜の勤行は一応の節目として、お前が主役になるだろうしな」

「ありがとうございます、道円和尚様。俺、明日は、明日は精一杯、親父に話してみます。おじさんに話してみます」

 

 俺、道円和尚にしっかり頭を下げて、部屋を出た。

 

 変わった俺って、内心って言うか中身はもとより、なんたって見た目もそうだろうし。

 俺、この1年で、体重が80キロ近くまで増えてるんだ。

 

 おじさんはその意味も分かるかもしんないけど、親父とか目を丸くしそうだよな。

 もちろん、ここの料理のせいもあるんだけど、さっき言った『お役目』って奴でも、すげえ鍛えられたんだと思う。

 寺の中には誰が用意したのか、ジムのセットみたいなのもあって、康円さんとかは自由時間とかしっかり鍛えてるし。

 俺もやろうかなっては思ってたけど、なんかこう、誰かのをしゃぶってしゃぶられてっての方が楽しくって、結局手が出なかったんだ。

 

 道円和尚の最後の言葉。

 まあ、居残ることには決めたけど、それでも入山1年おめでとうって奴で、今日の夜の勤行は、すごいことになると思う。

 正式な僧侶になった俺は、もうケツもどっちも使えるわけで、たぶん全員の尻を掘って、全員から掘られて、全員のをしゃぶって、全員からしゃぶられてってことになるんじゃないかな。

 

 そんな夜が待ちきれなくて、いや、今ではもう四六時中だけど、おっ勃っちまってる俺の魔羅。

 こいつが娑婆に出ちまったら、どうしていいか分かんないってのも、実はちょっとあったんだけど、そこらへんは道和おじさんに尋ねてみろって、和尚からも聞いてたんだ。

 

 これから何年、俺がこの寺で過ごすことになるのか、あるいは娑婆に戻っておじさんとこの門を叩くことになるのか分かんないけど、それでも俺がここで学ばせてもらったことだけは、大事にして生きていきたいと、今では本当に、そう、本当に、俺は思ってるんだ。