里見雄吉氏 作

開拓地にて

ある農夫の性の記録

第五部

熟年期

 

四 湯治場の夜

 

 部屋に戻り、部屋の入口の戸を閉めると、秀さんが私に抱きついてきた。そして、そのまま私は畳の上に押し倒され、強い力で浴衣を脱がされてしまった。私の浴衣を脱がそうとする秀さんの力こぶ。秀さんにされるがままの中、私は、それを見つめていた。

 秀さんは私を全裸にすると、自らも浴衣を脱ぎ捨て、白い越中褌の紐をシュルリと外した。褌が畳の上にゆっくりと弧を描いた。秀さんは私の口、乳首、陰茎を吸いまくり、最後に私の足を赤ん坊のおしめを変える時の体勢で抱え上げると、肛門をぺろぺろと舐め始めた。

 風呂に入ったばかりなので清潔なはずだが、秀さんが舌を入れてくると一抹の不安が脳裏をよぎった。

「いいおまんごだ。」

 秀さんが太鼓判を押す。秀さんの陰茎は臍に届きそうなくらい、キトキトに勃起していた。

「入れでやっがら・・・。」

 秀さんが私の耳元で囁いた。そして、近くにあった座布団を二つ折りにし、私の腰の下にねじり込むと、自らの指と陰茎にローションを塗りつけ、まず指先を私の秘孔に入れてきた。全く痛くない。

 やがて、肛門が広がったのを確認すると、私の両足を改めて肩に担ぎ上げ、いきり立ったズル剥けの亀頭を私の肛門にあてがった。

「息(いぎ)をはぐんだ。」

 私は既に秀さんを信頼し、すべてをまかせる決心をしていた。生で挿入したいなら、それを許そう。そのまま射精されても受け止めよう。

 秀さんは、亀頭をあてがったまま、私の秘肛を何やら指でサワサワとまさぐっていたが、その指がスッと入れられた瞬間、既に秀さんの陰茎は完全に私の中に収まっていた。

 こんなに簡単に結合できたのは初めての経験だった。

「全然痛くないよ。」

「こづ(コツ)があるんだ」

 驚いた表情の私に。秀さんが耳元でささやいた。

 やがて、秀さんはゆっくりと腰を動かし始めた。痛みがないので私の陰茎も臍に着きそうなくらいに完全勃起している。秀さんのピストンが次第に激しくなった。私は秀さんの腰の動きに合わせ、自らの逸物をしごいた。

 まもなく絶頂がやってきた。

「出そう。出そうだよ、秀さん。」

 私が秀さんの目を見つめながら呻くと、秀さんが私の目を見つめ返す。

「雄坊のあそごがら、白いのが出るどご見だい・・・。いっぱい出るどこ見だいんだ。」

 秀さんの声がうわずっている。やがて秀さんの腰使いがさらに激しくなった。

「あ~、出る。」

 私が叫ぶと秀さんがそれに答えた。

「行げ。行げ。」

 骨盤から足先にむかって強烈な快感が走り抜け、私の亀頭から勢いよく一筋の白い飛沫が飛び散った。そして、それはよける間もなく私の顔に降りかかった。

 自らが放出した大量の精液で顔を汚し、放出後の虚脱感で呆然としている私。射精してしまった私は、正直、苦しくなっている。しかし、秀さんは、そんなことはお構いなしである。激しく腰を使いながら、

「すばらしい光景(こうげい)だ。最高(さいごう)だ。すできだよ。」

 などと口走り、やがて、

「ああ、俺も行ぐっ。」

 と絶叫するやいなや、やにわに腰の注挿が圧倒的に激しくなり、そのまま私の直腸内で精液が飛び散った。秀さんの精液が直腸の中で熱い。初対面の男に中に出されてしまった・・・。初対面の男に中出しされるなど、人生で初めての経験だった。

「もう秀さんを信じるしかない・・・。」

 そう思った瞬間のことである。想定外のことが起こった。

「まだまだっ。」

 秀さんが叫んだ。秀さんの顔が興奮で上気している。驚いたことに、秀さんはそのまま生殖器の抜き差しを続けたのである。

 秀さんの逸物は萎える気配がない。数分後、秀さんは二発目を私の直腸内に放出した。秀さんの陰茎が徐々に力を失っていく。秀さんは私の肛門から萎えた逸物をゆっくりと引き抜いた。ところがそれで終わりではなかった。

「まだでぎるがら、キスしで欲しい。」

 私は言葉を失った。秀さんが私の口を吸ってくる。私は強く吸い返した。そんなことを数分繰り返すうちに、再び秀さんの陰茎が硬くなってきた。秀さんは私の両足を担ぎあげ三発目に突入した。

 中に出された秀さんの精液が潤滑剤になって、もはやローションなど不要だった。私の肛門からネチャネチャといやらしい音が周囲に響いた。さすがに三発目は時間がかかったが、秀さんは、

「ああ、ぬめっで気持ぢいい。」

 などと口走りながら私の奥深くに射精した、

「もう一発やってくれよ。秀さんならできるよ。」

 私は試しに言ってみた。しかし、さすがの秀さんも音を上げた。

「もう無理だ・・・。しばらぐ休ませでぐれ。そうすれば、まだでぎっがら・・・。」

 秀さんは答えながら、すっかり萎えたマラをちり紙で拭いていた。

 私はそのまま便所に行った。そして、中に出された三回分の精液をひりだそうと踏ん張ったが、大量の精液が溢れると思いきや、意外と量が少ない。部屋に戻ってそのことを秀さんに告げると、

「毎日(にぢ)毎日(にぢ)、四回(がい)も五回(がい)もせんずりしでるがら、そんなに出ないんだ。」

 秀さんは真面目な表情で答えた。

 

 一戦が終わり、お互いに風呂場で背中と逸物を洗いあった。部屋に戻ると、部屋には仲居さんが夕食を運んできた。最近の宿では珍しくなった部屋出しの宿だったのだが、これが翌朝、ひとつの事件を生むことになる。

 それは後の話に譲るとして、秀さんはあまり酒には強くないようで、コップ半杯程度のビールで顔を赤らめていた。

「あんまりいっばい飲むど、できなぐなっがら。ほどほどにしでおがねぇど。夜は長いんだ。」

 秀さんの言葉に私も頬を赤らめていたに違いない。その日の夕食で何を食べたのかハッキリした記憶がないのだが、なぜか鯉こくがとてもうまかったことだけは覚えている。

 夕食を食べてしまうと特にやることもない。何しろ山奥なのだ。九時を幾らも過ぎないうちに電気を消し、二人は布団に入った。枕元のスタンドだけが淫靡な光を灯している。

 当然のように秀さんの手が伸びてきた。お互いに浴衣を脱ぎ、そのまま絡まりあった。秀さんの陰茎に手を伸ばすと、既にガチガチに勃起している。

「男(おどご)どやるのは久しぶりだがら、すっがり元気(げんぎ)になっでる。」

 そう言って秀さんは布団をはぐと、すぐに私の両足を肩に担ぎあげ、腰の下に枕を入れてズル剥けの陰茎を挿入してきた。やはり全く痛くない。

「俺のマラがら、もう離れられねんでねえのが。」

 秀さんが耳元で囁く。今までいろいろな相手と肛門性交を繰り返したが、これほど挿入のうまい男は、後にも先にも秀さんだけであった。

 秀さんは私の目をみながら腰を使った。私は秀さんの腰の動きに合わせて自らの逸物をしごいた。秀さんが突然、私の肛門から逸物を引き抜き、私の顔にまたがった。私の顔のすぐ前で秀さんの逸物がしごかれている。秘肛独特の臭気があたりに微かに漂った。

「ああ、顔にかけるんだな・・・」

 私がそう思った瞬間、秀さんが雄叫びをあげた。剥けきったどす黒い亀頭の先にポッカリ開いた見事な穴から、やや薄めの精液が飛び出し私の顔にかかった。目から鼻、口にかけて秀さんの精液がべったりと付着した。

 あまりの興奮と驚きで動けない私。満足した秀さんが、私を抱きかかえてキスをしながら陰茎をしごいてくれた。当然、秀さんは自分で出した精液をすすることになる。自分の精液に濡れた秀さんの口元が、スタンドの光を怪しげに反射している。私はたまらなくなりすぐに射精してしまった。秀さんが、枕元に手を伸ばし自分の越中褌で顔を拭いてくれた。

 その後、汚れた身体を風呂場で洗い流し、それが当然のことであるかのように全裸で抱き合って眠りについた。

 

 夜中の何時頃だろうか。ふと目が覚めると、秀さんが私の肛門をまさぐっている。熟睡していた私が朦朧としていると、秀さんは今度は横向きの状態で後ろから入れてきた。痛くない。痛くないから完全には目覚めない。私は寝ぼけたまま、されるがままであった。

 秀さんはしばらく腰を使っていたが、やがて直腸の中が熱くなるのを感じた。秀さんの動きが止まり柔らかくなった陰茎が静かに引き抜かれた。秀さんが何かを探している物音が聞こえ、直後に肛門にちり紙があてがわれた。

 秀さんが、風呂場で身体を洗うためだろう。そっと布団を抜け出して部屋から出て行くのを夢うつつで感じたが、

「もう、出されたままでいい・・」

 半分眠っていた私は、そのまま深い眠りへと落ちて行った。