捕手の泣き所

その5

 

 もうだめだ!

 バンバンとベッドのシーツを叩いて知らせる。

 監督もいきそうなのだろう、我慢できずに、自分の乳首を自ら摘み上げる。

 

「ああっ、いく、いきますっ、いくっ!」

 

 俺の言葉にならない叫びが出ていた。

 監督も同時に

「あふっ!」

 と叫んだと同時に

 

 びしゃぁあああああっ!!

 

 髭先生の口から生きのいい魚のようち跳ね上がった監督の先端から、大量の汁が飛び散る。

 髭先生の顔や胸はもちろん、監督自身の顔にまで届いたそれは、もうセルフ顔射だ。

 俺も監督の夥しい雄の液体を顔面に浴びせられて、それが引き金になった。

 茂田先生の扱きに、思い切りビーカーの中に

 

 ぶしゅうっ! ぶしゃあっ!

 

 何度も何度も、腰をしゃくりあげながら、二週間分の精液を放出。

 

 それはもう凄まじい量で、消防員の消火訓練にも負けぬ放出量であっただろう。

 

「すごいな。ビーカーを用意しておいてよかったよ」

「茂田先生、搾りたての若い雄の汁は強烈でしょう?」

 茂田先生、髭先生、それぞれの声が聞こえる。

 

 放出し終わり、賢者に戻った監督がベトベトになった目から鼻から、すべての顔の部分から垂れてきている自身の精液を手で拭き取りながら、ゆっくり俺の顔から股を離した。

 もちろんその雄の汁にまみれた監督の掌を先生達が見逃すはずはなく、ぺろぺろと美味そうに舐めとっている。

 

 三人とも生臭い臭いを出しながら俺の下半身に集まり、ビーカーの中に澱んでいる俺の白いねばねばを観察している。

 

「ふむふむ、血も混じっていないようだし、見た目は大丈夫だね。あとは、検査に回して何も異常が無ければ、いよいよ退院だよ」

 

 茂田先生がビーカーを次々に回していく。髭先生先生から監督へ、みんな見るだけじゃ我慢できなさそうだ。

 

「溜め込んでいた分を差し引いても、一般的な精液の10倍以上の量がありそうだ。

 さすがに大ちゃんの金玉のでかさのせいかな。これは我々が少し飲ませてもらっても、検査するには十分な量だろう」

「最後に私達の精液と混ぜて、ぐちゃぐちゃにみんなで味わいたいですね」

 茂田先生の分析に、髭先生がとんでもないことを言い出す。

 

 ん? 私達の精液?

 ということは、これから先生達も射精するってことだよな。

 

「茂田先生、我々が我慢することはないですよね。もう、わたしのペニスも刺激を受けすぎていう事をきかなくなってますよ」

 

 大学の先生も切ない顔をして自分のちんぽをしごいて言った。

 やっぱりそうだ。

 しかもここまで昂ぶってる性欲が、自分達で扱いて出すだけになんてなるはずが無い。

 

「そうだな、悪いが、監督さん、大ちゃん、さっきの位置関係に戻ってくれないか?

 大ちゃんは監督の玉は咥えなくていいから、横になったまま身体を下の方にずらしてくれ。

 監督さんは大ちゃんに頭の上の方に股座を見せつけるようにしゃがんでもらえるかな。

 我々も射精したいから、2人に手伝ってもらうよ。

 ああ、口の中に出された私達の精液はなるべく飲み込まないようにしてくれたまえ。

 ごくっと飲んでしまいたくなるだろうが、後で大ちゃんの精液とのカクテルで楽しみたいからな」

 

 茂田先生、相変わらずとんでもないことを平気な顔で言うんだ。

 

 先生はしゃがんだ監督の口に先生自身の太いちんぽを咥えさせるため、俺の頭の先でベッドの上に立ち上がった。

 ギシギシとベッドのきしむ音がする。

 

 俺の頭の上方では監督の射精後のだらりと垂れた金玉越しに、ぶっとい茂田先生のちんぽが監督の口に出入りするのが見える。

 茂田先生のちんぽが監督の口に突き入れられる度に、少し遅れて先生の金玉が、ばすん、ばすん、と監督の顎にぶち当たる。

 

 一方、髭面の大学の先生はと言えば、監督の腰に手を回して安定させながら、俺の首を跨ぐように膝をつき、見上げている俺の口にちんぽを無理やりねじ込んで腰を動かし始めた。

 

 頭上からは監督がじゅぽじゅぼと、俺の口からもじゅぽじゅぽと、淫音がハーモニーとなってこだまする。

 

 時々先生達、2人ともちんこを俺達の口から抜いたかと思うと、金玉もベロベロと舐め上げさせる。

 俺の顔には茂田先生の先走りと監督の唾液が混ざった雄臭い汁がボトボトと垂れ落ち、そのぬめりは俺の口を使っている髭先生のチンポにもぬらぬらとまとわりつく。

 2人はこの二重奏を、延々と続けた。

 

 顎も呼吸もきつくなってきたころ、ようやく髭先生から声がかかる。

「先生、そろそろいきますか?」

 

 茂田先生がうなずき、先生方も同時にイクように、タイミングを計っているようだ。

 

「ああっ、大ちゃん、いい、いいよっ! いくよ、いく!」

 切羽詰まった髭先生。

 

「監督の口も気持ちいいなあ、

 いきそうだ、大ちゃん、そこから私が監督の口の中に送り込む瞬間を見るんだ、金玉がぐいぐい動いて液を送り出す動きをするぞ」

 茂田先生の方が先輩の分、少しだけ余裕がありそうだった。

 

 2人の動きはどんどん激しくなり、

 

「うおっ、うおっおん!」

 

 という、野太い野郎の雄叫びと共に、熱を持った粘り気のある雄汁が、それぞれの口に解き放たれた。

 

 射精の余韻が部屋を包み、最初から横になっている俺を除いた3人がベッドの上にへたり込む。

 俺と監督の口の中には、先生達の精液がたっぷりと溜め込まれていた。

 もちろん、この後、髭先生が言った精液まみれのキスをするために。

 

 髭先生が枕頭台の俺の精液が入ったビーカーを手に取り、底から2センチ程もあるように見えるそれを一口啜る。

 茂田先生も粘度の高い白濁液を、愛おしそうに自分の舌に垂らした。

 検査のために少しは残しておかないといけないらしく、本当は全部口にしたいのに、という思いが名残惜しそうな2人の目つきから伝わってくる。

 

 俺も汁まみれ、汗まみれの身体を起こし、四人の男がベッドの上で膝立ちになり、互いの肩に手を回し、円陣を組む。

 その姿は、見ようによっては、試合開始前の野球部の気合い入れに見えないこともない。

 

 4人の雄の顔が円の中心に集まってくる。

 互いの荒い鼻息が、興奮の度合いを伝えてくる。

 

 もうたまらん、といった感じの監督の唸り声を契機に、俺達はもう、誰が誰の精液なのか訳もわからず、口に残った雄汁をひたすら口移しで交換し合うのだった。

 

 

[退院の日]

 

「検査の結果だと、尿にも、カウパー氏腺液からも、精液にも、血液も細菌も認められなかったし、検査数値からも炎症もなかった。腫れや傷ももう大丈夫。

 おめでとう、今日、退院だよ」

 

 次の日、いよいよ待ちに待った退院の日がやってきた。

 朝食後の主治医である茂田先生の最後の回診だ。

 

 外はもう真夏の日差しになっていて、カーテンを開ければ、二週間前とはえらい違いなのが俺でも分かった。

 

「先生、色々ありがとうございました。

 先生の話で、男性の下腹部っ思ってたより複雑で、カウパー氏腺とか、尿道とか、精嚢とか、睾丸からの性腺とか。それに男性ホルモンとか、腎臓とか、すごく繊細な臓器が絡み合っていて、まるで昔のオーディオ機器の裏側のように細かい配線図みたいなことになっているんだって、よく分かりました」

「そうだよ、だからこそ、普段から大切に扱わなければいけないんだ」

 

 俺はキャッチャーとしても、野球のボール以上に自分の金玉ボールを、大切にする事を誓った。

 

「君のために、こんなものを用意した。

 入院中に色々計測した数値を元に、監督さんが勧めてくれた業者に作ってもらったんだ。

 快気祝いだと思って、使ってくれ」

 

 それは、新しく俺の為にオーダーしてくれた、特注のキャッチャー用のファウルカップだった。

 

「通気性を良くして、クッションを強化してある。さらに全体の素材を特殊なプラスチックで作ったから弾力性があり、しかも君の玉の大きさを測ってあるからジャストフィットするはずだ。

 もう、はみ出したり、カップと太股に玉が挟まって痛むとかはないよ。

 普段はオーダー品は個人負担ってことのようだが、今回のこれは、その、色々な御礼を兼ねての、私からのプレゼントだ」

 

 もう、俺は嬉しくて涙が出そうだった。

 他の部員達には羨ましがられるだろうけど、何の御礼かは恥ずかしくて言えないよな。

 

 とりあえず、下半身に装着してみると、なるほど、うまく収まるではないか。

 しかしこの上からユニフォームを履くと、遠目に見ても、かなり前が膨らんで見えるのが分かってしまいそうだ。

 

「そればかりは、仕方ないな、もともとでかいんだから、それを小さくしろと言うのには無理がある」

 

 色々と男性器についてもレクチャーしてくれた茂田先生に言われると、俺もあきらめがつく。

 睾丸を体内に入れるのは出来るんだろうが、睾丸の温度が上がり精子にはあまり良くないのだ。

 

 最後の回診も終わり、身の回りのものを整理する。

 昼前に監督と大学の医務室の髭先生が迎えに来てくれた。

 

 いよいよ病院を出ると言うとき、見送りに出てきた茂田先生がニコニコしながら俺に声をかけてきた。

「週に一度は経過観察のために来るようにな!

 精子が順調に作られているかを確かめないといけないからな。

 しばらくは監督さんも先生も、真中君の送迎がてら、ぜひ診療に参加して経過を確認してくれ」

 

 監督も髭先生も、うんうんと嬉しそうに頷いている。

 いや、あれは俺の回復度合いを計る目的だけでは絶対に無さそうな表情だ。

 

 茂田先生は妙に嬉しそうな顔で俺の肩ならぬ金玉をぽんぽんと叩くと、

 

「またな!」

 

 と送り出してくれた。

 

 来週またこの4人が集まる、と思うと、それだけでドキドキしてくる。

 

 先生も、監督も、髭先生も、そして俺も。

 一体何を期待してるんだか?

 

 途中で監督の奢りで昼飯を済ませ、さっぱりしたいだろうとスーパー銭湯で汗を流した。

 これは髭先生の奢りで、実にありがたい。

 そんなこんなで、学校に戻ったのはその日の午後3時過ぎくらいだった。

 

 

「おおお! 大ちゃん、お帰り」

 

 野球部の部室には、

 

「無事退院おめでとう!

 お帰りなさい!

 大ちゃん、玉ちゃん!」

 

 横断幕がどんと掲げてあった。

 大ちゃんは分かるが、玉ちゃんって……。

 

 

[快気祝い]

 

 ひとしきりの歓待を受けて寮の部屋に荷物を置くと、やっと一息つけた感じだ。

 入院中もこれだけは持って行っていたミットを部屋の中で嵌めて、慣れ親しんだ革の匂いを嗅ぐと、ああ、退院したんだ、帰ってきたんだという思いが溢れてくる。

 気を失って病院に運ばれたあの日が、すごく遠い過去のように思われた。

 

 その日の夜は、夕食を兼ねて、野球部のみんなで快気祝いをしてくれることになった。

 

 二週間ぶりの食堂のテーブルにはジュースやウーロン茶、サンドイッチにおにぎり、寿司やら揚げ物やら、豪華に盛り付けられた御馳走が並んでいた。

 監督の話だと、昔は一年生も含めて酒も飲んでたらしいけど、最近は色々厳しくなって、全体での集まりではアルコールを出すことは無くなってきてる。

 

 しかし、真ん中に何故かマットが敷いてあるのが謎といえば謎だった。

 

「では、豪速球を一身に受けて、いや大切な男子のあそこを犠牲にして受け止めてくれた真中君。無事に帰って来た。退院おめでとう!」

 

 監督の合図で乾杯し、みんなが口々に喜びを表してくれた。

 

 そんなこんなで、自然と話題が俺の金玉のことに移るのは仕方のない事だったと言えるよな。

 

「大ちゃん、ほんとに金玉は無事なんだな?」

「傷痕は残ってないのか?」

「潰れちゃったんじゃないよね」

「触っても、もう痛くないのか?」

 

 ありとあらゆる質問責めにあう。

 しかも、そのたびに一人ひとりに丁寧に答えていたもんだから、流石に監督が見るにみかねて、こんなことを言い出したんだ。

 

「仕方ないよ、大ちゃん、百聞は一見にしかずと言うだろう?

 こうなったらもう、すっかり元気になった金玉をみんなに見せてやりなさい」

 

 いやはや、毎日先生達に触診されていたから、人様に見せるのはすっかり慣れてしまったとは言え、野球部のメンバーたちに、久しぶりに見てもらうのはなんだか気恥ずかしい。

 それでもみんなが俺の股の辺りを凝視している光景は、まさにハイエナがライオンの食べ残しを狙っているのと全く同じ眼差しであることに気付いた。

 こうなってしまえば、言うことを聞いて股を広げなければ彼らの興奮は収まりそうになかった。

 

 などと考えるまもなく、監督にあっという間に羽交い締めにされ、ズボンばかりか上半身すらすっかり脱がされ、素っ裸にされてしまったのだ。

 

 ここで賢明な読者諸君はもう分かったはずだ。このどうしようもないエロ小説なら、伏線でマットを敷いていたわけも。

 

「ああっ、そ、そんなあ!」

 

 下半身が脱がされたとき、ほんの少し、いや、ほんとに少しだけだよ、自分で自ら腰を浮かせて、ズボンやパンツを脱がし易いようにしたのは事実だった。

 全裸の俺は、さっそく用意してあったマットに横にならされる。

 

 その後は監督ときたら当たり前のように(もちろん予定していたんだけど)俺の両足を高く持ち上げて、股を大きく開かせた。

 部員全員が俺の金玉をしっかりと確認できるように。

 

 監督の温かい吐息が襲ってくる。

 俺のまたぐらに。

 

 金玉は、それが目的だったから当然なのだが、生まれたままの形でみんなの前にさらけ出された。

 

 もちろん、みんなの目的も、あくまでも俺の金玉が無事かどうかを目で確かめるために見にきてくれたんだからな。あくまでも。

 決して別の不純な目的ではないのだ。

 

 それでも、みんなの股間がそうは言ってなかったのも確かだ。

 その場にいる全員が、監督も、それに俺自身も含めて、いや、俺はもう素っ裸だから目に見えてるわけだが、伸縮性のあるユニフォームの股間に、くっきりと亀頭や竿の形が浮かび上がらせている。

 

「大ちゃんは、やっぱりすげえ!」

「前よりも金玉でかくなったんじゃないか?」

「いやらしいよ、大ちゃん。たまんないなあ……」

 

 みんなそんなこと言いながら、自分の股間をこすっているではないか。

 

「ほら、みんな見たら安心したろ?

 だからな、ついでに、金玉の機能も回復してるって証拠も見せなきゃな。

 もちろん大ちゃんだけにそんなことさせるのは気の毒だから、部員みんなでヤろうって話しになっててな。

 みんな大ちゃんの金玉を心配して、こんなに盛大な快気祝いをしてくれたんだ。

 玉のことには玉で応えてあげないとな」

 

 俺の玉を見て色々思い出したのか、監督も我慢が出来なくなったんだろう。ベルトを外すとズボンを脱ぎ去り、片手に余る自分のちんぽを扱き始める。

 

 監督は部員全員に、横たわった俺の周りを囲むように言った。

 

 野球部の連中もめんどくさくなったのか、ユニフォームの下はみんな脱いでしまい、下半身すっぽんぽんで、俺にちんこの先を向けて扱きだした。

 皮を被った奴、剥き出しの奴、互いに隣の奴のちんこを扱いている奴、さらに我慢ならないのか、お互いの舌を絡めながら扱いている奴。

 

 その全員がちんこの照準を、きちんと俺の股座に合わせていることは確実だった。

 

 唯一違うのは監督で、監督は両足をもっと広げるように俺に命令すると、俺に右肩の方に移動し、そのぶっといちんぽを俺の右手に握らせて、せんずりかくように扱けって言うんだ。

 

「さあ、ここが、野球部の見せ所だ」

 監督は何となんとも卑猥なことをみんなに要求する。

「大ちゃんの金玉に精液をうまく命中させてみろ、コントロールが大切なのはみんながよく知っているだろう?

 うちの正捕手が無事に復帰したんだ。

 お前達のこの間のせんずり禁止で溜まりに溜まった雄汁で、彼の金玉を歓迎してやれ!」

 

 聞けば野球部の連中、俺が射精禁止の命令を受けているという報告を監督から受けて、自分達も俺の苦しみを味わって、俺が早く良くなるようにと願をかけてくれてたらしい。

 二週間禁欲だった俺よりはちょっと短いが、それでもなんと十日間くらい、全員せんずり我慢の禁欲生活を送ってきたのだという。

 

 そりゃ、溜まりに溜まっているからみんなの飢えたような発情の具合も理解できる。

 俺と違って毎日汗を流して肉体を苛めながら、たらふく飯を喰ってエネルギーも入れてたワケで、そんな状態での禁欲はかなりきつかったはずだ。

 ぶっ放したいのは良く分かるが、それでも何故、俺の金玉に命中させる必要があるんだろう?

 

 快気祝いの会場である食堂に、徐々にいやらしい、雄特有の臭いが立ち込めてきた。

 欲情した雄肉の群れから発する生暖かい空気も上がってくるのが分かる。

 監督は上下にしごいている俺の手の甲に自らの手を添えて、二人の掌で自分のちんぽを動かし始めた。どうやら最初に俺の金玉に目印をつけて先陣を切りたいらしい。

 当然、もう片方の手は自分の金玉を揉んでいる。

 なんていやらしい光景なんだろう。

 

「はあはあ……」

「おおっ、い、いいっ……!」

「大ちゃんの、金玉すげえよ、しゃぶりたくなっちまう」

「溜めてた分、金玉とちんぽ見てるだけでイきそうだ」

 

 あちこちから聞こえる野郎の声。

 思春期真っ只中の、ひたすら精をぶっ放したいだけの純粋で、単純な目的の声。

 それら全てに、男どもは肯定的に呼応する。

 

 若い雄の性欲ほど純粋で一度火がついたら止められないものはない。

 ほら射精の真っ最中に、いきなり、「はい、そこで止めて」といわれても自分の意思で止められるものではないだろう?

 それと同じで、出したいという気持ちは止められない。いやそれどころか、いとも簡単に他の野郎の射精欲に伝染する。

 それくらいシンプルで単純なものなのだ、せんずりなんて。

 

「さあ、それじゃあ、俺がマーキングしてやろう。お前たちの的にしやすいように」

 

 監督は俺の手を使ったせんずりでしばらく喘いでいたが、意を決したのか、すくっと立ち上がる。

 次の瞬間には俺の金玉の方に向きを変えて、仁王立ちになった。

 

 部員達も監督のせんずりを、息を殺して、いやうそだ、息を荒げて見守っている。

 

「これでも若いころは名キャッチャーと言われたんだ。盗塁阻止率90%の実力を見せてやる」

 

 なんだそりゃ?

 盗塁って、俺の金玉を盗む奴でもいるのか?

 

 ずるっじゅりゅっ。

 ずりゅっずりゅっ。

 

 監督が一扱きするたびに、淫猥な音が木霊のように遅れて響く。

 発情した雄ども全員で俺を取り囲み、一斉にちんこを扱きあっている音。

 

 ときどき、切ないため息や、嗚咽のような声さえ交じる。

 

「あっああっ、いいよ!」

 

 監督はいつのまにかキャプテンに後ろから自分の金玉を撫でるように言ったのか、俺から見ると股の下から手のひらがぐっと潜るように監督のふさふさした金玉を掴んで動き回っているのが見えた。

 

 俺もたまらない。

 

 さっきまで監督の一物を握りしめ、扱いていた五本の指が手持ち無沙汰になり寂しがっていたので、俺のちんこを握らせてやることにした。

 

「ほほう、こいつも自分でいじり出したぞ」

 

 どこからともなく声が聞こえてきた。

 監督は続ける。

「大ちゃんの金玉見てみろ。

 てらてらしてなあ。すげえいやらしい。臭いもたまらん」

 

「大ちゃん、ぐりぐりして、前よりでかいな。しゃぶりつきたいくらいでかい」

 特大のいなり寿司にかぶりつくような勢いでみんな迫ってきた。

 

 監督ももう限界に近いらしく、後ろから股をくぐらせながら二つの玉を触らせていたキャプテンを置き去りにして、ついに俺の金玉めがけて最後のひと掻き、ふた掻き。

 

 ずるっずりゅっ、じゅりゅっ!

 いやらしい音が響く。

 

「あっ、いきそう、いきそうだっ!

 大ちゃん、いくいく、金玉めがけていくぜっ!

 もっと、もっと金玉見せるんだっ!

 い、いくっうぅっ……」

 

 監督の雄汁か放物線を描いて見事に俺の金玉に命中した。

 生暖かな粘液を金玉の上からも感じることができる。

 

 それが合図となり、待ってましたとばかりに次々に若い竿が上下に動き出した。

 まずは一番バッターからだ。こんなときにさえ、打順て守らなくちゃいけないのだろうか?

 

 彼は器用に竿を操り、俺の金玉に照準を合わせて射精した。

 監督とは違う。放物線ではない。

 ストレート直球ど真ん中で俺の股間のキャッチャーミットにズバッと白球が収まった。

 

 そのあとは一斉射撃のように放出に次ぐ放出。

 射精し終わった者達も、先輩達の金玉を揉んだり、乳首を舐めたりして補助に回らなければならない。

 中には二回射精しようかという凄い猛者もいるわけで、食堂は見る見るうちにミルクホールと化し、そこら中から怪しい蒼臭い生きものの香りが立ち上った。

 そしてみんな、さすが野球部。

 見事に俺の金玉にズバンズバンと命中させる。

 この場合どびゅっ、どびゅどびゅっという音の方がより正確に伝わるかもしれないが。

 とにかくあたりが強い。ぼたぼた垂れるタイプの野郎もいるが、大体のやつはびしゅうううっと速球が決まる。

 

「ああっ! 当たる! 金玉にっ、金玉に、熱い汁がっ、当たるっ!

 すげえ、当たると金玉に響いてっ、気持ちいいっ!」

 

 俺がそんな声を出しちまったもんだから、みんなさらに興奮してあたり方が強くなる。

 

「はあ、はあ、大ちゃん、可愛いよ」

「すげえよ、大ちゃん。金玉舐めてえぜ!」

「いくっ、いきそうっ」

 

 ぶしゅっ、ぶしゃあっ。

 

「大ちゃん、見てくれよ、俺のちんこはちきれそうだ。いくよっ、いくいく!」

 

 ぶしゃあっ、ぶしぅ!

 

 部員全員と、こんな会話が続いた。

 

 俺は、みんなの精液まみれになった金玉から、両方の掌いっぱいに雄汁をぬぐい取る。

 片方の手のひらの臭いを嗅ぎながら、もう片方の手のひらを亀頭に塗り付け、扱きあげる。

 何度も何度も、それで射精した。

 

 こんなに気持ちいいんだ。大勢のぶっかけ合いって……。

 

 もう俺の金玉は俺自身の汁も混じり合い、誰が誰の精液をかけたのかなんて判断できるような状態ではなく、ひたすらドロドロ、ねばねばの強烈な肉の塊りとなって存在していた。

 ただひたすらそれは雄のためにそこにある、まさに金玉であったのだった。

 

 

[復帰後の初試合]

 

 三日後。

 

 いよいよ俺の復帰第一戦。

 じりじりと日差しは焼けつき、久しぶりのホームベースの真っ白な色が俺の目を直撃してまぶしい。

 

 茂田先生が特別にあつらえてくれた例のファウルカップも、何とか股間に収まっている。

 

 付けたばかりのときは野球部員全員から、

「前より目立つよ。

 金玉がでかくなったからじゃないか?

 でも、膨らみがもっとよくわかって、投げやすいよ」

 

 などなど言われ放題だったが、いざ装着してみれば、思ったよりも玉に馴染んでしっくりきていた。

 

 さあ、いよいよレガースも付けて、ホームベースの前にしゃがみ込んだ。

 熱風がじっとりとグラウンドからキャッチャーマスクに忍び込む。

 

 俺は大きく股を広げて、ピッチャーにサインがよく見えるよう、股座を見せびらかす。

 その方が、ピッチャーも的がはっきりと浮き出て投げやすいだろう。

 

「さあ、俺の股の膨らみめがけて、思い切り投げ込めよ」

 

 金玉が、久しぶりの感触に反応して上がってきている。それに伴い、ちんこも勃起し始めた。

 ま、まずいなこりゃ、少しばかり動きにくいというか、構えづらいものがある。

 

 だが、さっきから何だか守りに入ったみんなの様子がおかしい。

 

 みんな何故だか股間を押さえて、もぞもぞしている。

 中にはしゃがみ込んでしまった奴もいる。

 ピッチャーなんか完全にマウンド上でうずくまっているじゃないか。

 

 俺が動く前に、監督は慌ててマウンドに駆け寄って部員に尋ねた。

 公式試合では御法度だが、練習試合で部員が具合悪そうだったら許されるだろう。

 

「お前たち、どうしたんだ! だ、大丈夫か?」

 

 すると、俺はピッチャーが応えたのを、遠くから聞き取ることができた。

 

「か、監督、ダメっす。

 大ちゃんの股間を見て投げようとしたら、そう、みんなもキャッチャーの方みて守るから同じなんだと思うんすけど。

 俺たち大ちゃんの股間見ると、自然に勃っちまって、プレイできないんすよ!」