『金精の湯』秘境温泉物語

その4 初湯

 

「わあ、いいお風呂ですね!」

 

 朝熊君の嬉しそうな声が響く。

 本格的な温泉とはこれだと言わんばかりの光景が、目の前にあるのだ。

 

 案内された風呂場は内湯だけではあったが、それなりの人数でも一度に入ることが出来そうな大きな檜造りの湯船と、これまた広い洗い場を持った設えが、いかにも湯治宿に相応しい風情を見せていた。

 湯船に滾々と注ぐ湯の量も豊富で、かけ流し温泉としても一流の湧出量に思える。それとは別の細い湯口に柄杓が添えてあるのは、こちらは飲泉用のものだろう。

 洗い場には左右に洗体用のカランが並び、その間の広い空間にはマッサージ用にも思える腰ほどの高さの幅の広いベンチが用意されていた。

 

「昼前の入浴は私たちだけでゆっくりってことだったから、逆に他の時間での入浴には三助で宿守りさん達が一緒に入るのかもだな」

「東尾さん、その、サンスケって、何ですか?」

 

 豊後さんが手桶に取ったお湯でざっと身体を流しながら呟くと、日高くんがすかさず尋ねてくる。

 

「ああ、昔は銭湯や温泉に、お客さんの身体を洗ってくれたりする係がいてね。そういう人を『三助』って言ってたんだよ。『三つの助け』って書いて、『三助』。まあ、私も言葉は知ってるけど、実際にそういう人を見てきた訳じゃ無いけどね」

 

 それぞれに話をしながら掛け湯を終え、まずは風呂に浸かってみたいとなるのは当たり前だったろう。

 

「ああー、沁みるなあ……」

「これは、たまらん……」

「とろとろというか、もう、ぬるぬるって感じのお湯ですよね」

 

 確かに顔を洗ったり腕を触ってみれば、まるでローションでも使っているかのような、とろみを感じるお湯なのだ。

 

「アルカリが強いんだろうけど、これ、ボディーソープとか使うと、いつまで経っても流し終えない感じになる奴だな」

「そういえば、洗い場も石鹸とか置いて無いですよね」

「一日に何度も入湯する温泉療法、つまり私たちがこれから体験するこの宿での湯治みたいな奴だと、入浴の度に石鹸などの界面活性剤を使うと、かえって肌が荒れるそうだ。そのあたりのことも考えてあるんじゃないかな」

 

 さすがに豊後さん、温泉のことも博識だ。

 

「あ、四方さん、入湯中も、たっぷり水分摂っといて下さいって言われてましたよね」

「おお、そうだったそうだった。これ、飲んでいいんだよな」

 

 朝熊君の指摘に俺も同調し、さっそく飲泉用の柄杓に手を伸ばす。

 柄杓2杯の温泉を飲み干せば身体の内側からも温めることになるわけで、ドッと噴き出す汗を感じる俺だった。

 

「ああ、これは温まるなあ。みんなもじゃんじゃん飲んどいたがいいですよ。たぶん、その、下半身が元気になってるのも、さっき飲んだここの温泉のおかげでしょうし」

 

 そう、先ほどの股間の計測前に勃起させられた俺たちの逸物は、ここまで萎えることなく、勇ましくもおっ勃ったまま、広間からこの風呂場へと案内されてきたのだ。

 あまりにも普通に宿守り達が俺たちの勃起を褒め称え、皆で交互に握ってはその固さを確かめるなどということまでされていた。

 こちらのおっ勃ったチンポを心から嬉しそうに見つめ、握り締める、全身が剛毛に包まれた逞しい男たち。

 その中ではもう、俺たちの恥ずかしいなどという思いはどこかに消し飛び、なんならこのまま扱いて皆の前で雄汁を盛大に噴き上げたい、そんな思いにすら駆られる心持ちになっていたのだ。

 

「紫雲さんから『握るのも扱くのも元気な証拠ですから構いませんが、出すのだけは控えておいてください』って言われちゃったからなあ」

 

 豊後さんのおどけたような言い様に、互いに顔を見合わせる俺たち。

 その顔を見ていると、『正直このまましごいてイッてしまいたい』と皆が思っているのだろうと感じたのは、俺がうがち過ぎているのだろうか。

 

 通常の状態であれば、たとえ何かの拍子に勃起したにしても、しばらく他のことを考えたり別な用事にかかってしまえば萎えてしまうのが普通だろう。

 それがここに来て勧められるままに口にした温泉のせいか、あるいは宿全体に漂うどこか甘い匂いのする湯からの揮発物のせいか、一度勃起した逸物は一向に萎える気配が無い。

 このまま勃起し続けているのも血の巡りが悪くなるのではとも思うのだが、そのあたりは『夜にでもまた対処しましょう』という宿長の言葉に、なにかを期待してしまう俺たちなのだ。

 

「ここでの湯治で、ホントに俺のチンポ、デカくなるんですかね?」

 

 広い湯船ではあるが、互いに色々な疑問を話したいとの思いからか、外窓に近い一隅に4人でゆっくりと浸かっている。

 朝熊君の疑問は、これも皆のそれを代弁したものだったろう。

 

「信じられんことだが、宿守りさん達の身体やアソコのデカさを見てれば、信じざるを得ない、ってとこじゃないかな」

「宿守りの人たち、みんなプロレス選手以上の身体してますもんね。褌の前の膨らみも、みなすごいし……」

「それにあの体毛も最初から全身あんなに濃く生えるってのは日本人だとなかなかいないだろうし、アレもまた温泉の効能とやらなんだろうなあ」

「僕も宿守りさん達みたいな身体になりたいです」

「だったら、しっかりここの風呂に浸かって、温泉もいっぱい飲んで、そしてもりもり食べなきゃだな」

 

 まるで子どもに諭すように日高君に声をかける豊後さんだが、その通りですねと頷いている若者もまた実直な育ちをしているのだろう。

 2人の会話を見つめている朝熊君も、にこにこと笑っている。

 雑事をしゃべりながらではあったが、みながみな、湯の中の自分の逸物についつい手が伸び、その固さ力強さを確認していたのは言うまでも無い。

 

 その時点ですでに4人とも、どこかハイになっている自分、興奮している自分に気付いていたと思う。

 美味い酒と肴で、ちょうど良い加減のほろ酔い気分。あえて言葉にすればそのようなものだったろうか。これもまた温泉の効能の一つなのだろうが、俺たちはそのどこか舞い上がったままの状態で、風呂から上がることになったのだ。

 脱衣所も広く取ってあり、腰掛け用の籐椅子が幾つか用意されている。脱いだ印半纏や褌は乱れ籠を使っていたのだ。

 

「初めての湯はいかがでしたか」

 

 用意されていたタオルでわいわいと4人が互いの身体を拭いていると、宿長の四方さんと茶野さんが脱衣所に入ってくる。

 

「いやあ、いいお湯でした」

「温泉飲んでるのも効いて、芯から温まりますね」

「温泉に浸かってるだけで、身の心も元気になるっていうの、分かりますよ!」

 

 こちらが銘々に湯の良さを褒め、宿守りの2人がにこにこと聞いている。

 初めての宿であることに違いはないのだが、俺たちは宿守りの男たちに対しても、もう何年も通っているような親密さすら感じ始めていた。

 

「風呂上がりのお召し物には、こちらの褌を用意させていただきました。洗い替えはたくさん用意していますので、汚れたらすぐに取り替えてもらって構いません。

 皆様にはこの褌と印半纏の格好で、湯治期間を過ごしてもらおうと思ってます」

 

 四方さんが手にしているのは越中褌だった。

 

 俺はてっきり宿守りたちと同じ六尺を勧められるかと思っていたのだが、客の方にはより簡便化されたものをとのことなのだろう。

 これまでの人生で越中を絞めたことがあるわけでは無かったが、昔の健康診断や入院で、T字帯の経験があれば造作も無い。

 1人日高君だけがどのように身に付けるのかと首を傾げていたが、茶野さんが少し教えただけで、すぐに分かったようだった。

 上半身には宿守りたちと同じ厚めの生地の印半纏を羽織り、昼食が用意してあるという先ほどの広間へ向かうことになる。

 

「本日は初日ということで宿の方ですべて用意しましたが、明日からは通常の湯治宿と同じく、皆様と一緒に食事の用意や片付けも行っていきたいと思っています」

 

 湯治宿としてはそれが本来のことだろう。

 長期の湯治を行う際、通常は自炊を主として米や食材を持ち込む形が一般的なのだ。

 そういう意味では、身一つで来い、というこの宿からの注文の方が珍しいことだった。

 

 湯治というのはありていに言ってしまえば、風呂に浸かることが仕事となるわけで、他に何か「やるべきことがある」方が、ずっと楽に期間を終えることが出来るのだろう。

 これは翌日から俺たち湯治客が行うことになる「御行(おんぎよう)」と呼ばれる軽作業もまた、同じ理屈で設定されていたのだと思われた。

 広間の座卓には宿守りたちも座り、ここでは湯治客と宿のものが一緒に食事をするのが基本らしい。

 

「おお、これはまた豪華ですな」

「なんだか夕食みたいですね」

 

 率直な朝熊君の感想が笑いを呼ぶ。

 

 座卓には朝熊君の言う通り、豪勢な鍋料理が並んでいた。

 この地域で罠にかかった猪を使った猪鍋との紹介に、一同がわっと沸き立つ。

 宿で作っているというたっぷりの野菜と淡いきれいな桜色をした猪肉がどっさりと大皿に盛られ、大きなお櫃に入れられた炊きたての米の艶やかさは、これもまた温泉水で炊いたものなのだろう。

 最初に宿近くで感じた甘い香りが、部屋中に漂っていた。

 

「これ、猪の肉なんですか! 僕、初めて食べますよ!」

「最近はジビエ流行りとかで店でも出すようになったけど、昔は山近いところでしか食べてなかったですよね」

「脂の融点が高いのか、鍋にしてもスープに脂が浮かないんですよね」

「あ、ホントだ! もっと獣臭いかと思ってたけど、そうでも無いし」

「下茹でや取り合わせる野菜などでの工夫はしてますが、やはりそれなりの特徴的な匂いはあるかとは思います。それでも慣れてくるとそれが旨さにも繋がって行く気はしています」

 

 最後の部分は調理担当の紫雲さんの言葉だ。

 急峻な山間の地では養豚の産業化なども難しかったのだろう。自然と増えすぎては困る猪が、動物性タンパクの主たる摂取源となっていったのは想像に難くない。

 

「脂がもたれない感じがして、いくらでも入っちゃいますよね」

 

 さすがに朝熊君はその体格からか、箸の動きが一瞬にも止まらない勢いだ。ばくばくと目の前の鍋をその胃の中に納めていく。

 

「ご飯がすごく美味しいです! 肉も美味しいけど、白菜も甘くてすごいですよね!」

 

 日高君の感想もまた、微笑ましい。

 

「東尾様も北郷様も、どんどん食べてくださいよ。湯治での入湯は実際には思ってた以上に体力を使いますし、しっかり食べて、身体作りから行うことがここでの湯治の目的でもありますから」

 

 40代の中年コンビはさすがに若手には追いつかないと思っていたのだが、目の前に座った赤瀬さんが、こちらのとんすいに次々とよそってくれるペースに見事に填められてしまったようだ。

 気がつけばここでの一人前というのか、大皿山盛り分の食材を湯上がりの胃に入れてしまっている。

 日高君の言う通り、噛みしめるとどこか甘みの広がる炊きたての白米も実に食欲をそそり、いつもはお代わりはせいぜい2杯目までの俺ですら、いつの間にやら4杯目に手を出していたのだ。宿守りも含め、1人あたり2合近く食べてしまったのではなかろうか。

 ごちそうさまでしたと再び手を合わせたときには、立ち上がるのにも難儀しそうなほど、腹一杯になってしまっていたのだ。

 

 食卓の片付けは全員で行ったのだが、さすがに10人以上の手があればあっと言う間だ。

 洗い物は今日だけは宿守りの方でやっておくからと、食器を運んだ炊事場からは追い出される。

 

「早朝からの長時間の移動に温泉入湯と、けっこうお疲れになられていると思います。2時間ほどですが、このままゆっくりお休みください。元気になってる股間のものも、休まれると少しは落ち着くと思いますので」

 

 こういうことの取り仕切り役なのか、茶野さんが満腹で腹をさすっている俺たちに声をかけてきた。

 暖房がしっかり効いた宿の中では、褌一丁の姿でもいっこうに寒さは感じない。

 言われるままに座布団を枕に畳にごろりと横になれば、確かに緊張と疲れがどっと押し寄せ、周りのいびきも聞こえないうちに寝落ちしてしまったようだった。

 

 

「………………、ああー、寝ちゃってました……」

 

 1人だけ寝過ごしたとすればばつが悪いと、わざと声を上げて目覚めをアピールする。

 見れば宿守りたちも広間で一緒に雑魚寝をしていたようで、俺の声も影響してか、みなもぞもぞと動き出す。

 柱の時計を見やれば午後の3時近くになっており、2時間ほどは心地よい昼寝の時間を過ごしたようだ。

 

「よく寝てらっしゃいましたよ」

 

 宿長の四方さんが声をかけてくる。

 彼自身も横になっていたようで、温泉旅館のスタッフはよく午睡をするらしいと言う妙な知識を思い出す。

 

「宿守りの皆さんも昼寝されるんですね」

「どうしても朝から夜遅くまでの仕事になりますからね。一般的な温泉宿に比べるとみなさんと一緒にやれることも多いので、その分は負担は少ないんでしょうが……。

 しっかり食べた後に横になるというのは、身体の理にも適っていることかと思いますよ」

 

 四方さんと話しているうちに、他の皆も目を覚ましたようだ。

 

「おはようございます、って、違いますね」

 

 わざと言う豊後さんの台詞は笑いを誘うためだろう。

 

「いつもは昼寝とかしないんですけど、温泉とご飯のせいか、思いっきし寝ちゃってました……。って、あれ、髭がもう伸びてる?!」

 

 日高君が素っ頓狂な声を上げる。

 もしや、と思いこちらも顎に手をやれば、ゾリッとした感触に驚いてしまう。

 

「俺もだ! 普通、翌日の朝に少し伸びてるぐらいなのに……」

 

 それほど毛深くも無く、どちらかというと体毛薄い俺は、朝から髭をあたれば、その日のうちはもちろん翌朝になってもわずかに指に触れるか触れないかぐらいの伸び方のはずだった。

 それが今日は、夕方前というのにすでにざりざりとした手触りを感じるほどに伸びてきている。

 

「俺もそうみたいです。昼過ぎにこんなに伸びてるって感じたこと無かったですし」

「私もだな。もともと毛濃いので夕方には生えてくる質(たち)なんだが、今日は伸びが早い……」

 

 朝熊君と豊後さんもそれぞれ顔を見合わせている。

 

「さっそく効能が現れてきたようですな」

 

 笑いながら言う四方さんは、もともと顔の下半分がもっさりとした髭に覆われていたためそこまでの変化を感じないが、他の宿守りの男たちを見れば、剃り上げていたはずの首から顎、頬もまた、うっすらと黒い翳りに覆われようとしていた。

 

「その、体毛が濃くなるって、こんなに早く出てくるんですね……」

「体格体重の変化もすぐに御自身でも気付かれるかと思います。怖がらずに、自らの変化を受け止めるようにされてください」

 

 これは本当のことなのだ。

 温泉のどのような成分かが、おそらくは男性ホルモンの賦活化に強力な作用を及ぼしているのだろう。

 そう信じざるを得ない自分たちの肉体の変化を、俺たちは認めざるを得なかった。

 

「あ、ちょっと僕、トイレ行ってきます」

「俺もなんか行きたくなったな」

 

 日高君に続いて俺の腹も便所にしゃがみたいと、信号を発していた。

 東尾さん、西山君の顔を見ると、湯治客みな、同じ感じのようだ。

 

「午前中からだいぶ飲泉していただいてますが、ここの湯の効能の一つに整腸作用もあります。風呂の前に、しっかり出してこられてください」

 

 宿守りにとっては予想された反応だったのだろう。

 俺たちはなんとなくの恥ずかしさを感じながら、トイレに向かったのだった。

 

 

「さて皆様、次は夕食前の入湯です」

「本当に温泉浸かって飯食って、寝て、また温泉浸かってって感じですな。私たちも何かしなくていいんでしょうか?」

 

 4人がトイレから戻ると、豊後さんが宿長に尋ねる。

 今のところ、言われたとおりの話で、食って寝ての温泉三昧な訳で、確かに温泉湯治と言えばそれが目的ではあるのだが、あまりにも「緩い」生活に思えて仕方が無い。

 どちらかと言えば戒律厳しい毎日を想像していた俺にとっては、拍子抜けとさえ感じるほどだ。

 

「今日は初日と言うことで、宿の方ですべてやっておりますが、明日からは午前中に皆様方にも私どもが『御行(おんぎょう)』と呼んでいる、宿の掃除や薪割り、畑仕事などをやっていただこうかと考えております。後は食事の準備や片づけも少しでも手伝っていただければと。

 ただ、基本は身体と心を癒やし、新しい自分へと生まれ変わっていただくための湯治でございますから、気持ち的にはゆっくりとお過ごしいただくことが一番かと思っておりますので」

 

 四方さんの言われることももっともなのだが、これまで互いの気持ちを話した雰囲気では、俺や日高君、豊後さんなどは、どこか「修行的な『厳しさ』」を求めているような気がしていた。

 朝熊君にしても「コンプレックスを克服できる環境」を求めていたんだろうし。

 

「私たちにとってはありがたいというか、天国のような話なんですが、私自身も何かもっと努力しないといけないんでは、という気になってしまうんですな。

 もっともそれこそが、時間や仕事に縛られた現代人の悪いところかもしれないんですが……」

 

 豊後さんの言葉は、俺たち皆の気持ちも代弁してくれている。

 

「東尾様の仰ることも分かります。どこか禅寺での修行のようなものを想像してお越しになる方も多いですから。

 まあ、修行というか『我慢』のようなことは、この後の風呂から実は始まるものもありますので、そのあたりを期待というか、考えていただければと。

 次の入湯では私ども宿守りも一緒に入らせてもらい、皆様のお世話をさせていただきますので」

 

 四方さんの言う『我慢』と宿守りによる『世話』という単語に、俺のアンテナが反応する。

 その言葉の組み合わせに、どこか淫靡なものを感じてしまったのだ。

 そしてそこには、初めて宿守りたちの褌の中身を目にすることが出来るという、妙な期待も含まれていた。

 

 視界にちらちらと映る並外れた巨根に興味が湧くのは、同じ男としても致し方の無いことだと思っていた。

 この宿に来る前には、そのような思考回路が自分に無かったことは、なぜか違和感を持たずにいたのだったが。

 

「さあ、それでは皆で、風呂に行きましょうか」

 

 四方さんの声に、皆がぞろぞろと風呂場に向かうこととなった。