男性専科クリニックPart2

その3

 

第三のセッション

 

「さてと、みなさん落ち着いたようですし、今日の最後のセッションに進みましょうか」

 

 全員の勃起がおさまったのを確認したのか、野村医師が切りだした。そしてその内容は、これまでのどのセッションにもまして、男同士の欲望の根幹を揺さぶるようなものだったのだ。

 

「最後のセッションでは、山崎さんに男性の性的興奮の様子をじっくりと観察してもらいます。

 山崎さんには、それを目の前で観察することにより、男性が興奮すること、すなわち身体的精神的な快感によってぺニスが勃起し最後には射精に到る。そのことが、実に感動に値するものだということを実感してもらうのが目的です。

 もちろん勃起、射精の実演は西田さんにやってもらいます。これで最後ですし、山崎さんも西田さんのだけでは物足りないでしょうから、私達も色々とお手伝いさせて頂きますよ」

 

 もったいぶった説明のようだが、簡単に言ってしまえば、西田のせんずりを目の前で見ていろということだ。

 驚くような話しを田畑君が引き継ぐ。

 

「山崎さんに最初に言った『自分の身体を動かしてはいけない』というところを、今度は少し変更します。ここではベンチに腰掛けた西田さんの膝に両手を乗せてもらいます。お尻はマットについてもらって足は投げ出してもらってかまいません」

「西田さんがマスターベーションを始めた際にも山崎さんはこの両手は動かしてはいけません。しっかり両手で西田さんの両膝を捕まえててください。しかし、身体の他の部分は自由に、そう自分の感情のままに動かしてもらって結構です。このことは最後までしっかり守ってくださいね」

「西田さんの方はこれも最初に言ったように、決して恥ずかしがらず、あなたの欲情する様を山崎さんに見せつけるようにしてください。それが山崎さんにとっても西田さんにとっても、非常にいい結果を生むはずです。では始めましょうか」

 

 さすがの西田も今回ばかりは緊張した面持で、壁際のベンチに腰掛ける。

 壁昇り用なのか、横木が張り渡してある分ベンチの幅がどうしても狭くなる。西田の張りのある尻は半分ほどが宙に浮き、そのために腰をこちらに突き出したような格好になった。

 

 田畑君に言われたとおりに西田の膝に手を置き、マットに尻をおろした。この体勢では当たり前だが、私の目の前に西田のもっさりと茂った股間がくることになるのだ。

 

 落ち着いてはいるものの、先ほどまでの勃起の余韻が去りやまない西田の肉棒は、ずっしりとした太さを維持したまま、見るからに重たそうに濃い茂みからぶらさがっていた。

 草むらからのびる肉茎は黒ずんだなめし革のような皮膚に包まれ、うなだれたままの状態でも太い血管がとぐろをまいている。

 すっかり剥け上がった亀頭は沈んだ赤紫色のにぶい光沢をはなち、くっきりと切れ込んだ鈴口が勢いのいい噴出を予感させる。

 鶏卵ほどもある二つの金玉は、緊張ゆえか引き締まりつつも大量の白汁を内に蓄えた確かな重量感を示していた。

 

 私のこれまでの人生の中で、こんなふてぶてしいまでの男の象徴を、これほど近く目の前にするなどということはまったく初めてのことだ。そう考えればこのクリニックで経験することは、私にとって、すべてが初体験と言えるものである。

 そんなことを考えていたときに、野村医師からの声が部屋中に響いて聞こえた。

「ではお二人ともよろしいですか。それでは西田さん、始めてください」

 

 西田は右手で肉棒を握りしめ、ゆっくりと扱き始めた。左手はゆったりと垂れたふぐりに添えられ、鶏卵ほどもある金玉をやわやわと揉み上げている。

 一瞬とまどっているように見えた西田の肉棒が、少しづつその頭をもたげ始める。やがて扱いている西田の手にあまる巨大な屹立が、私の顔を目がけてのそりと勃ち上がった。

 

 目の前で見る他人のせんずりは、実にダイナミックなものだ。

 目と鼻の先にある西田の勃起はまさに逸物と呼ぶにふさわしい大きさで、私に男の性の素晴らしさを訴えかけてくる。

 西田の左手がいやらしく蠢き、二つの金玉を転がすようにして揉み上げる。

 右手では中指で作るくぼみに亀頭のえらを引っかけながら、指を回してぎりぎりの太さに見えるほどの肉棒を扱きあげる。

 太い親指の腹が鈴口から溢れる先走りをぬるぬると亀頭に塗りひろげている。

 そのさまを瞬きもせずに見つめる私の肉棒も、先走りがマットに垂れるほどの興奮を見せていた。

 

 目の前の勃起から顔を上げると、あまりの快感なのか目をぎゅっとつぶった西田が半開きになった唇から、小さな喘ぎ声をもらす。

「いい、気持ちいい、山崎、見てくれ、俺のせんずりを見てくれ」

 

 西田の切なげな問いかけに、私も思わず声を出してしまう。

「西田、見てるよ。お前のせんずり、目の前で見てる。俺のも勃ってるよ。お前のを見て勃ってるんだ。なんていやらしいんだ。もっともっと掻いてくれ。俺の目の前で出してくれ、射精してくれ」

 

「西田さん、まだです。まだ出したら駄目です。もっと興奮して山崎さんに見せつけるんです」

 興奮した口調の田畑君が自分のチンポも扱きながら、全員の勃起にあのローションをたっぷりとふりかける。擦り上げるもののいない私のチンポを除いて、三人のチンポからぬちょぬちょと卑猥な音が聞こえ出す。

 まるで粘液まみれのようになったチンポは、全身を震わせて扱き上げる西田にもさらなる興奮を呼び起こした。

 

「ああ、いいっ、ぬるぬるするよ、山崎っ、いいっ、感じる、感じるよ」

 湿ったくちゅくちゅという音を立てながら肉棒を擦り上げる西田の姿は、とてつもなくいやらしく、私の性感を激しく刺激する。

 

「山崎さん、あなたはどうしたいんですか。目の前の西田さんのチンポをどうしたいんですか。さあ、言ってください。恥ずかしがらずに言うんです」

 興奮した野村医師の声が響く。

 

「先生、西田のチンポを握りたい。握ってせんずりを掻いてやりたいんです。この手で西田のを扱きたいんです」

 焦ったような声で伝えた私に田畑君が答える。

 

「山崎さん、本当に握って扱くだけでいいんですか。手が使えないんですよ。もっとしたいことがあるんじゃないんですか」

「本当は、本当は手じゃなくって、西田の、西田のを、しゃぶりたいんです。西田のチンポを尺八して口の中に出してほしいんです。先生、やらせてくださいっ、西田のチンポをしゃぶらせてくださいっ」

 

 これまでの2人に受けた治療を思い出し、そのときの快楽の記憶を西田に味わってほしい、自分が味あわせたい、そんな思いなのからか、男同士の尺八行為を私は迷い無く選択する。

 すさまじいせんずりを目の前で見せつけられ、西田の両膝を割れんばかりに握りしめた私の声は、もはや叫び声に近いものになっていた。

 

「西田さん、まだ、イッたら駄目です。イきそうになったら両手をチンポから離して、後ろの棒をしっかり握ってください。自分で擦れないチンポを山崎さんにどうして欲しいですか、今度は西田さんが言うんです」

 野村医師の声に、あわてて手を離した西田は横棒を握りしめ胸を反らした。まるで張り付けの刑にあってるような姿の西田の肉棒が、今にもイきそうな勢いで切なそうにびくびくと震えている。

 

「山崎、しゃぶってくれ、イきたい、イきたいんだ。お前の口で、尺八してくれ。もう、もう、たまらないんだ、イかせてくれっ」

 

 西田が叫ぶように言った瞬間、野村医師と田畑君も私の両側に立ち上がり、各々自分のチンポを私の顔に向けながら擦り上げた。

 

「これが最後です、山崎さん、西田さん、やりたいことを思いっきりやってください。山崎さんの口にチンポを突っ込むんです。西田さんのチンポを思いっきりしゃぶるんです」

 

 その言葉を聞いた西田が、両手を万歳の格好にかかげたまま腰を浮かし、腫れ上がったチンポを私の顔に押し付けてきた。

 

 目の前に、ぱっくりと割れた鈴口から先走りをとろとろと流している西田の肉棒が迫ってくる。

 その火傷するような熱さを唇に感じたとき、私は何のためらいもなく口を開け、舌を伸ばしたのだった。

 

 初めて口にする男のチンポ。目にするよりさらに太く感じるそれが、私の口の中で暴れ回る。

 

 誰に教えられたわけでもないのに、私は鈴口の周りをねろねろと舐め回し、亀頭を上口蓋になすりつける。

 

 西田の方も濡れそぼったチンポを私の唇がずるりずるりと往復する度に、悲鳴に近いような喘ぎ声を上げる。

 

 男にしか発し得ないはずの、何とも動物的な匂いが鼻を突く。その匂いは誰にもかまってもらえず、びくびくと頭を振るだけの私の肉棒を、更に切なく燃え上がらせる。

 

 私の声にならない呻きが聞こえたのか、西田の右足がぐいと伸ばされ、ローションのぬめりと先走りにまみれた私のチンポを踏みしごく。

 

 野村医師も田畑君も、限界まで膨らんだ勃起を勢いよく扱きながら、私の顔にぬるぬると大きな亀頭を押し付けてくる。顔全体で西田のごりごりとしたチンポの火傷しそうな熱さを感じる。

 西田のざらついた足の裏がぬらついた私の亀頭をずるりと踏みしごいたまさにその時に、最後の瞬間がやってきたのだった。

 

「ああ、イく、イくっ。山崎、お前の口に、イく、イッちまう」

「西田、俺も、出る、出るよ、お前の足で、出るっ、出ちまうよっ」

「田畑君、私も、イく、イくよ」

「ああ、山崎さんの顔にかかります、僕の、僕の汁がかかるよ」

 

 その興奮は、次々と男達を巻き込んでいく。

 西田の足が私の精液で汚されるのとほとんど同時だった。

 全員が吠えるような大声を上げながら、私の顔に、胸に、そして喉奥深くに、大量の汁を浴びせかけたのだ。

 

 射精後の荒い吐息が聞こえる中、三人分の生暖かい精液が、私の肌の上をねっとりと流れていく。なめくじが這いずりまわるようなその感触に、私は口中に粘る、苦味のある汁を、西田の雄汁を、思わず飲み込んでしまっていた。

 

 男達の雄汁は、私の喉元をその内と外からゆっくりと流れ落ちていく。

 それは、男同士の快感という新たな世界を知った私の将来を祝福する、洗礼とでも呼べるものだった。