男用心、火の用心

その1

 

「シゲ、お前、消防団の行事、一回も来たことなかったろ? 年末の夜警はどぎゃんしたっちゃ行かないかんばい」
「別にいいっスよー。どうせ正月もヒマしてますし・・・。あ、課長も行かれるんスよね?」
「今年は厄だけん、顔出さんわけないかんもんなあ。まあ、色々あるばってん、行ってみっと結構おもしろかけんな」
 仕事も暇な12月の昼下がり、課長が相変わらずの熊本弁丸出しで話しかけてきた。俺は俺でどうも学生気分が抜けなくって相変わらず体育会口調のまんま。普通の企業なら怒られるとこだろうけど、若手が少ない職場ではおじさん達から結構可愛がられてるんだ。

 

 俺、野田茂正23歳。一浪してやっと入った法学部も今時コネや引きがあるわけで無し、どうにか受かったのが熊本の中でもとりわけ田舎の村役場だったんだ。まあ、車飛ばして街中まで3時間は軽くかかるってとこさえ我慢すれば、田舎暮らしもいいのかもしんないなと思ってた。
 地方の役場ってどう考えても何でも屋か便利屋代わり。戸籍課に配属、と言っても他には事務の女の子が一人だけだから、実質動けるのは課長と俺との二人だけなんだ。
 仕事の方は単純な帳簿整理と国勢調査関係の事務処理に借り出されるぐらいで、ほのぼのしたもんだった。高校大学と楕円球だけを追っかけて培った有り余る程の体力も、デスクワーク中心ではちょっと持て余し気味。いつの間にか体重も80キロ後半にまで増えちまってる。
 一応初任ってことで、課長と一緒に村内の家々を全戸訪問することになってんだけど、それも9月までには終わってしまうほどの小さな村。かえって村民との付き合いの方が、やれ会合だ祭りだと賑やかだったぐらいだ。
 話しに出た消防団も、俺も一応名前は入職時に登録してるはずだけど、さすがに仕事の方が研修やら何やらで新人は忙しく、会合や規律訓練も全然出れてなかったんだ。

 

 今日は事務の子が昼から有給取ってて、暖房の効いた課内は俺と課長の二人きり。木造平屋のいかにも「村役場」って感じの建物の中、書類量の多さは役場で一番の戸籍課は他の部署とは本棚で仕切られてて、なんとなく密室って感じだった。

 

「夜警って泊まりこみって聞いてるんスけど、どんなことやるんスか?」
「夜に2回ばっかしポンプ車で巡回するばってん、まあ結局は毎晩飲み方のごたるもんたい。そんかわり、男ばっかりだけん、色々せなんとは覚悟しとかんとな。シゲもラグビー部におったっだろたい。まあ、学校のときの体育会みたいなもんだと思ってもらうとよかけんな」

 

 自分も学生時代、柔道部の部長だったという課長がにやにや笑いながら俺の股座を顎で指す。すけべそうに俺の顔を覗きこむ課長の顔にピンと来た俺も、にやっと笑って切り返した。
「まあ、せんずりの掻き合いとかは、大学のときもやったっスけどね・・・」
「そこまでしとっとなら、大丈夫だろたい。若っかときと違っておっさんばっかだけん、もっとよかこつのあっかんしれんばい」
 さも男だけの会話だぞと、課長が囁くように言うセリフに、俺、ちょっとどきどきしてる。
 どうも課長の話しからすると結構派手なことやらされそうなんだけど、俺、その手のノリって実は結構好きなんだよな。なんかこう男同士の友情って、そんなもんで繋がってる気がするし。そこらへん経験者なら分かってもらえると思うけど、男だけの集団ってちょっとしたことで下半身の欲望直結になっちゃうしさ。

 

 話しを色々聞いてみると、年末年始の夜警は暮れの28日から大晦日までと、さすがに元日は除いて正月明けの3日まで、計6日間やるみたい。4日が出初めなんで年明けは練習も兼ねてるようだ。村外れの公民館で団員が何人か寝泊まりして、7時と9時に村内を車で巡回するぐらいで、実際にはいい年した連中が年末の慌ただしさを逃れて宴会してるって感じらしい。火事なんてのは20年以上もご無沙汰な村だし、どちらかというとこういう行事で村内の結びつきを強めている風にも取れた。

 

「役場にゃ同期のもんのおらんで寂しかろばってん、あそこん行くと年の近か連中の結構おるけんな。お疲れさんとは思うばってん、細か村だけん色々我慢してはいよな」
 課長、俺の席に近づくと、お疲れお疲れって言いながら肩をぐいぐい揉んでくれる。二人だけの時とかよくやってくれるんだけど、結構うまいんだよな、これがまた。で、俺も「悪いっすよ」とか言いながらも、まんざらじゃない気分。背中に当たる課長の腹が、なんだか暖かくていい気持ち。
 課長って、学生のときに俺が憧れてた先輩にちょっと似てて、なんかこう、年の離れた兄貴って言うか、若い叔父さんって言うか、とにかくそんな感じなんだ。優しそうな顔立ちしてて、結構すけべなとこも何か好感持てるし、俺、この人の下で働けて毎日楽しみが増してきてる。
 でも、その課長が顔出すってことは・・・、って考えて、俺、一人で顔赤くしちまってた。だって、これまでの話し聞いてると、「そういう」ことになっちゃうみたいなんだよな。
 背中に伝わる心地いい温もりに、秋の職員旅行の温泉で見た課長の下半身を思い出しちまう。固太りの出っ張った腹にふさわしい逸物が、でろんってぶら下がってたような覚えが・・・。確か課長の倅って、ズル剥けだったよなあ・・・。
 って、そんなことを考えてると、思わず俺の息子が課長の見てる前でデカくなっちまう。課長、肩揉みながら真下を見れば、俺のズボンが膨らんでることなんか一発で分かっちまうよな。
 ただ、課長、俺の気持ちを知ってか知らずか、最後に柔らかく揉んでくれてた手で首筋を柔らかく撫で上げた後、自分の席に戻っちまった。そのとき課長のズボンも、えらく盛り上がってた気がして、俺、また、興奮しちまってた・・・。

 

 いよいよ当日。
 どうせ泊まりこみになるんならってそのまま正月も過ごしちまう独り者も多いらしい。俺も村が用意してくれた一軒家で一人寂しく正月を過ごすのもアレだし、夜警の間は公民館で過ごそうと思ってた。
「風呂だけはしっかり入っていけよ」って課長のセリフが妙にスケベったらしく耳に残ってる。頭をもたげようとする倅をなだめすかし、大き目のバッグに着替えやら何やらを詰め込んでトレーナーの上にジャンパーを羽織って公民館に向かったんだ。

 

「ちわーっす、寒いッスねー」
 声だけはデカくいこうって決めてんので、いつもの調子で挨拶しながら玄関をくぐる。座敷の襖を開けたとたん、鍋の美味そうな匂いが漂ってきた。一応時間前には、と思って早めに出たつもりだったんだけど、公民館の広間には、もうストーブや夕飯用の鍋の用意も出来てて、部屋の中は汗ばむほどの暖かさだった。
 課長と念入りに家々を回っていたおかげで、記憶に残っている顔ばかりで一安心。「お疲れさん」ってみんなも声かけてくれて、スムーズに輪に入れる。さすがに最初の巡回もまだなので酒は誰も飲んでないようだったが、部屋の隅に焼酎の一升瓶が何本も並んでいるのを見て笑ってしまった俺だった。

 

 ぐるっと見まわせば集まった連中もほとんどは30代ぐらいのようだ。過疎化が進んでる分どうしても結婚年齢が上がっちまって、何となく耳にしてればほとんどが独身らしかった。逆にそうでなきゃ、年末の忙しい時に家を空けるのもなかなか出来ないだろうし。
 初日ということで、今日は全員揃うとは聞いていたんだけど、二人ほど遅れてくるらしく9人が時間前に集まってた。どうやら今日は新人の紹介と厄入りの宴会がメインらしかった。
 田舎って厄入り年末で厄晴れ年明けって具合に、あっという間に済ませちまうんだよな。なんでも不運な時期をなるべく短くってことらしい。それでも1週間のウチにってのはあんまり端折りすぎじゃないかなとも思ったんだけど、俺が四の五の言うようなことでもないので、はいはいと、返事だけはきちんとしておいた。

 

巡回

 

「ご町内の皆様、こちらは消防団です。ただいま年末年始の特別警戒中です。夜も更けてまいりました。おやすみの前に火の元、戸締りをお確かめください」
 搭載したスピーカーからどっかで聞き覚えのある声が何度も何度も繰り返される。あの声、たぶん役場の総務課の人じゃないかな。

 

 まずは最初の巡回、新人の俺と30代後半の森岡さんと組んでポンプ車を出す。二人とも防寒具の上に揃いの半被姿でモコモコしてる。
 森岡さん、40近いといっても村全体では若手の方だし、消防団でもモリさん、モリさんって呼ばれてて、中核の存在みたいだった。中学のときから相撲部だったって話しでガタイも性格も、課長とはまた違った意味で、ホント「頼れるアニキ」って感じなんだ。
 普通だと15分も走ればぐるっと一周しちまう村なんだけど、さすがにスピーカーで放送しながらゆっくり回ると小一時間はかかっちまう。放送っていってもエンドレスのテープを流すだけだから、車内も気楽なもんだった。
 俺、せっかくの機会だと思って、助手席のモリさんに色々探りを入れてみる。今でも100キロ近くは軽くありそうなモリさん、隣に座ってるだけで結構ボリューム感じるんだよな。トレーナーの柔らかい生地に厚い胸板とどっしりした腹が張り詰めてて、思わず俺、汗掻きそうになっちまう。横顔の顎からうなじにかけての肉付きが、何とも言えない色気を醸し出してるんだ。

 

「モリさん、この後の新人の挨拶って、どんなこと言えばいいんスかね」
「なーに、役場の野田です、って大声で言うと、そっでよかこったい。そん後に焼酎でん、ぐっとあおりゃ、みんな拍手するけんな。普通はその後の入団式の方がすごかことになるとばってん、今年は厄入り厄晴れもあるけんそっちば長ごすっかんしれんなあ・・・」
「えっ? 入団式ってなんなんスか? 俺、一応4月に入団手続きしてるはずっスけど・・・?」
「シゲ君も、課長さんから色々聞いとっとじゃなかとな? 春んとは、あくまで書類上のもんだったけん、今日は団員に認めてもらわるっごて、色々してもらわんといかんけんな。まあホントに細か村だけん、お互い、裸の付き合いばしていこうってこっだけんなあ」
 モリさんの話し聞いてると、どう考えてもやっぱり今夜は怪しい雰囲気になるみたいだった。学生時代に一度は通って来た道とは言え、青壮年の男盛りの連中とのサカリ合いともなると、また勝手も違うよな。しかも一番下っ端だろうし、そうなるとどう考えても俺が「ヤられる」側になっちまいそうな気配。
 でも、モリさんの言「厄入り厄晴れ」って確か課長もそのはずだし、そっちもちょっと気になる俺だった。

 

「あっ、モリさんっ、やばい、やばいッスよ」
 突然モリさんが俺の太腿に手を伸ばして来たんだ。
 前哨戦か?、とも思ったけど、俺、運転中。スピードは出てないけど畑に落ちても洒落になんない。で、声上げた。
 俺がハンドルから手が離せないのをいいことに、モリさん、にやにや笑いながらやんわり膝上から股間ぎりぎりのところを、俺の太腿の肉付きを確かめるようにゆっくり撫で回してくる。

 

「戻る前にちょっと楽しんでいかんや?」
 モリさんのセリフに、俺、素直に車を駐めた。エンジンはかけたまま暖房ガンガン効かせる。この時間、都会ならいざしらず、田舎の農道なんて人っ子一人通らない。

 

 さすがにガタイのデカイ二人だ、どちらからともなく後部座席に移る。3桁近くはありそうなモリさんがのしかかって来ると、拒みようもなく押し倒されちまった。
 俺の魔羅棒、触れられてもいないのにもうジャージの生地をもっこりと持ちあげちまってる。
「はは、こんくらい元気なら心配はいらんけん。なーん、みんなで気持ちのよかことすっとだけん、恐がらんだっちゃよかけんな」
「大学ンときに結構色々鍛えられてますから、その、お、俺、何やらされても、ぜ、全然平気ッスよ」
 俺の声、ちょっと震えてたのは武者震いのせいって言うより、モリさんの指が俺の肉棒と金玉をゆるゆると揉みほぐしていたせいかもしれなかった。

 

「んっ、んんっ」
 トレーナーをまくられ胸をざらりと舐めあげられて、思わず声が出る。モリさんの身体のずっしりとした重みがすんげえ気持ちよくって、俺、それだけで感じちまってる。音立てて乳首がねぶられている間、倅の方もモリさんのごつい手で布越しに揉みあげられている。先ほどから勃ちっぱなしの肉棒から漏れでた先走りは、ニットトランクスに染みを広げているに違いなかった。

 

「あっ・・・」
 俺の胸肉を堪能したのか、モリさんの唇が下半身へと向かった。不精髭のざらつきが下腹部を擦り、その度に俺はびくびくと身体を震わせる。おそらくはぷっくりと露を浮かべていた鈴口がべろりと舐めあげられた後、俺の肉棒はゆっくりと生暖かな粘膜に包まれていった。
 学生時代に後輩使っての荒っぽいだけのシャブりあげとは違い、粘膜と粘膜をねっとりと絡みあわせるような刺激がじわじわと加えられる。肉棒の根元を唇で締め上げたまま、舌と歯茎でねろねろと裏スジと亀頭を舐めつくされた。たっぷりと含まれた唾液でぬるぬると倅全体がまぶされ、どこが感じているのかすら分からない程の快感だった。

 

「イくといかんけんな。イキそうな時は言わなんばい」
 ぐちゅぐちゅ、ぬちゃぬちゃとした卑猥な音が車内に響きわたる。その音が更に興奮を高める。
 絶妙の尺八の合間に低く囁かれるセリフが、逆に俺の欲望を刺激する。溢れ出た唾液と先走りをモリさんの左手が俺の金玉に塗りこめるように睾丸を揉みほぐす。このまま嬲られたらあっという間にイってしまいそうに感じた俺は、モリさんの股間に手を伸ばした。
 野良仕事で鍛えた太腿に手を這わす。掌にずっしりと感じる肉感が堪らない。指先と掌で内腿を弄りながら奥へと進めると、ズボンの生地の上からでも昂ぶりの感じられる肉塊にたどり着く。

 

「デカいっすね、モリさんの・・・。俺にも、しゃぶらせてください」
 モリさんが腰をずらしてズボンを引き下げる。どっしりした腰回りはなんと六尺褌の締め込み姿だった。二重になった前袋がふてぶてしいほどの魔羅棒と金玉を一層強調するかのように盛り上がっている。その膨らみを見てるだけで溜まらくなっちまった俺、自分から言っちまった。
 俺はモリさんの身体を起こすと、子どもの胴体ほどもありそうな太腿を抱えて六尺の前袋に顔を埋める。エアコンの暖房とモリさんの小山のような肉体から発する熱気がむわっとした雄の匂いを醸し出している。その匂いが媚薬のように俺の脳髄を刺激し、顔全体でごろごろとした肉塊を味わうように押しつけた。

 

「尺八してくれるんか」
 モリさんの言葉を待つまでも無く、俺、むしゃぶりついた。前袋の脇から引き出した肉棒は、喉奥まで咥えても余るほどの太さ長さだった。
 俺、そのとき、目の前のモリさんのチンポをしゃぶりながら、「もしかして課長とも今夜・・・」なんてこと考えて、自分の倅の先端にじわりと先走りが滲み出た感触を味わってたんだ。