不良青年更生寺院顛末記

その2

 

その2 風呂場にて

 

 あの後、風呂に連れてってもらったんだけど、みんなが入る時間とは違ったんだと思う。

 広い脱衣所も、俺と連れてきた3人との、貸し切りみたいな感じになってた。

 

 10人以上はゆうに入れる広さのでっかい風呂で、縛られてた手も足もキツいし、なんたって短時間で7回もイかされて、それなりに疲れもあったんだろうし。

 俺、反抗する気も起きなくて、さっきの3人に抱えられるようにして連れてこられたんだ。

 

「どうせ俺と同じで、ここのこととか何も聞かされずに連れてこられたんだろう?」

「ああ、そうだ……。もしかしてあんた達も同じ感じなのか? 

 俺は朝っぱらからいきなり起こされて縛られて、何時間も車の後ろで寝かされたまんま、連れてこられた……。

 親父やおじさんの話から、なんとなく不良を更生させるって感じの場所かと思ってたけど、お寺さんなんだな、ここ……」

 

「ああ、そうだ。ここ『剛健寺』っていう、ものすごい山奥にあるお寺になる。たぶん、山門くぐる前に分かったと思うけど、たとえ車があっても、道がよく分かって無きゃ、寺を出てもすぐに遭難しちまうほどの山奥だ」

「ああ、それはもう、なんとなく分かってる。あんた達のガタイの良さからしても、俺が一人暴れたって、とうにもならんだろうなってのも、感じてるよ」

「そこ、分かってくれてるとありがたいかな。まあ、そう言う俺も、まだここに来て半年もならないんだけどな」

 

 湯船に浸かってると、一番若く見えた『継男(つぐお)』って人が話しかけてきた。やっぱり年が近いみたいで、けっこう話しやすかった。

 

 色々話してると、どうやらここ、その筋の中ではけっこう有名な寺らしくって、どんな不良でも真人間にするってのが伝わってるらしい。

 びっくりしたのが、おじさんもここにいたことがあって、しかもおじさん、家族や周りに連れてこられたんじゃなくって、噂を聞きつけて自分から入山したって話。

 この後に俺が経験することになった色んなこと考えると、次にどんな顔して会えばいいのか分かんなくなっちまったけどな。

 

「つうか、あの『香』って、どんなやばい『ヤク』なんだよ。俺、シンナーぐらいしか経験無かったけど、色んなのやってる先輩の話聞いてても、あんなの初めてだぞ」

「まあ、あれはもうまさに『秘伝の香』って奴で、この寺を出るときに絶対に口外しない約束させられるそうだから、翔平君のおじさんが言わなかったってのも分かるよ。正直なところ、確かにあの快感を最初に与えることで、この寺から逃げだそうって気を失わせるってのは、目的の1つだとは俺も思う」

「まったくだよ……。あの快感知っちまったら、次へ、次へってなっちまうのは当たり前だ。ただそれって、マジにヤバい薬ってことなんじゃないか?」

 

 俺達の話を聞いてた耕一って毛深い人が、これには答えてくれた。

 

「ちょっと難しい話になるんだが、あの香の効き目としては初期には精神依存は発生するが、それは段々薄くなっていくんだな。そして肉体依存は生じないっていう、ある意味、媚薬としては一番のものらしい。

 普段、室内で使うときはいわゆる線香みたいな感じで火を付けて煙りをみんなで楽しむんだが、今日みたいに屋外のときには効率悪いので、ああいうふうにエキスを染みこませた布や紙を直接吸い上げる形にしてるんだ」

「まあ、身体に悪いってわけじゃないならいいんだけどよ……。けっこうほら、あんたらも俺と同じルートでここに来たんなら、色々ヤバくなった人とかも見てるだろ?」

「矛盾はしているが、それがクリア出来てるがゆえの、うちの寺のシステムってことなんだと思うぜ」

 

 たぶん、結果としてみんなが『更生』とやらをしてるんなら、そういうことなんだろうな。

 実際、あの『香』のせいか、俺も『反抗する』『逃げ出す』なんて選択肢が、頭の中からまったく消え去っちまってたし。

 

「さて、ここのこと、ちょっと説明しておこうか。あ、その前に自己紹介が先立ったかな」

 

 俺のをしゃぶってくれた正成(まさなり)さんって人が、順繰りに話してくれたんだ。

 

 俺の相棒、でなくって、ここでは『相坊(あいぼう)』って言う、というか、書くんだって。で、その『相坊』っていう、なんというか、生活全部のパートナーになるのが、この『早野正成(はやのまさなり)』さん。

 

 正成さん、23才で、もうここで3年近くになるんだって。

 背は俺と同じ172ってことだけど、入山したときは60キロだった体重が、今では94キロとかなってて、まあ、見た目もすげえカッコいいっていうか、そんな感じ。

 風呂で見た限りではずる剥けのチンポもデカくって、なんか、俺、このときは、『男として負けた』みたいに思っちまったんだ。

 

 で、親父達と話してた偉そうな人は『道円阿闍梨(どうえんあじゃり)』。

 まあ、この寺で一番偉いって俺が見てたのは間違ってなかったみたい。

 和尚って呼んでも構わないってことだった。

 聞いたら180近い身長に、体重も115キロとかってことで、もうそりゃプロレスラーも顔負けだよなって感じ。で、もっとびっくりしたのが、あのすげえガタイしてても、年はもう62才ってこと。

 てっきり50代ぐらい、それも若い方かと思ってたんだけどな。なんかこう、見た目にも精力有り余ってるって、ああいう人のこと言うんだろう。

 

 一番年が近くてさっきも風呂で最初に話してくれたのは、『水内継男(みずうちつぐお)』さんって、同じ19才ではあるんだけど、学年はイッコ上だって。

 

 そうなるとほら、俺達の間がらって年の順番大事なんで、やっぱり『さん付け』になるよな。つか、結局俺が一番下っ端ってことも分かって、ちぇっては思ったんだけど。

 

 継男さん、傷害事件起こして年少行ってて高校も卒業しきれんかったって。で、一応は卒業した俺のこと『えらいよ』って言ってくれた。

 背は俺より低くて164って。

 体重はここに来て半年もしないのに10キロぐらい増えたらしい。けっこういいもん喰わせてもらってるんだなって、そこは感心。

 今度、俺とこの継男さんの寺の中でのポジションである『研修者』ってのから、一つ上の『仮僧侶』ってのに上がる儀式受けるみたいで、楽しみにしてるって言ってた。

 ちらって見えたチンポは仮性かなって思ったけど、俺の視線に気付いたのか『勃ったらずる剥けだぜ』だって。なんかそういうの、部活のノリっぽいとこだよな、ここ。

 

 毛深いガッチビの人は『陣内耕一(じんないこういち)』さん。

 もうここで7年目になるし『僧侶(そうりょ)』っていう、正式なお坊さんになってるってことだった。

 近くで見てもホントに全身が毛に覆われてて、背中や尻にもびっしり生えてるんだ。

 自分で『俺の、ちっさいんだけど、イってもイってもすげえ固いまんまで、何度もヤれるんだぜ』ってチンポ自慢。

 本人はちっさいとか言うけど、ちらちら見える太さがすごくって、あ、これが太短い奴だ、って感じに。

 まあ、内心、それ、要る情報なの? とか思ってたけど年も26ってことで結構離れてるし、あえて言わないぐらいの礼儀は知ってたかな、俺。

 

 156センチで背は低いけど、80キロぐらいあるんだって。それが全部筋肉かなって思えるほどのガタイしてて、正成さんとは違う意味で『カッコいいな』ってちょっと思えてきたんだ、俺。

 

 そんなこんな話してて、寺での一日の流れも正成さんが説明してくれたんだ。

 

04時

 起床

 衣直し(新しい六尺を締める)

 勤行(ごんぎょう=読経と修行の時間)

04時半

 お役目=掃除洗濯、畑仕事、鶏の世話等

06時

 朝食

07時

 勤行

08時

 お役目=畑仕事、鶏の世話、細工物等

12時

 食事

13時

 午睡

15時

 勤行

17時

 入浴

18時

 食事

19時

 自由時間

20時

 勤行

22時

 就寝

 

 4時起きかよ! って、ゲッてなったんだけど、3人の話聞くと寝るのが早いし昼の疲れもあるのですぐ寝ちゃうし、すぐに慣れるんだってさ。

 そう言えばスマホはもちろん、ラジオテレビも無いらしく、事務室に緊急連絡用の衛星電話があるくらいなんだって。まあすげえ山奥だし、周りになんも無いわけで、スマホあっても役に立たないだろうってのは俺にも分かる。

 色々聞いてみたら、地下水と温泉で水は確保、食べ物は米以外はほとんど自給自足らしかった。

 野菜類は畑で、あと裏山で鶏も飼っててそっちの世話もあるみたい。電気は温泉での蒸気発電と、緊急用は発電機と燃料も用意はあるってのことで。

 それでも山だし、冬場は保つんかなって思ったけど、トイレと暖房に関しては金かけてるってことで、連れてこられたときの小便のときに思ったのが、ああってなったけどね。

 

 服は下着はやっぱりあの白布の六尺褌だけ。上衣はあの『作務衣(さむえ)』って奴だけで、こっちは夏は薄手の、他の季節は厚手のがあるんだって。

 

「まあ、その、ここがだいたいどんな感じってのは分かったんだけどよ……。それより何より、聞きたいことがあんだけどさ……」

「どんなこと? 僕達で答えられることなら、なるべくちゃんと答えるから、言ってみてくれないか?」

 

 で、ほら、最初にチンポしゃぶるってどうよってことと、あと、みんなの尻に何か刺さってるはなんだって、聞いてみたんだ。

 やっぱ、一番気になるのはそこだろ?

 

 ケツの奴は風呂入るときはまず俺だけ裸にされて風呂に、3人はあとから浴室に入ってきたから、そこんとこよく分かんなかったし。

 それより何より、最初に素っ裸にされてチンポしゃぶられてって、そっからもう『普通』じゃ絶対ないわけで。

 

「まあ、やっぱりそこは最初に思うよね……。それには大きく分けて、二つ理由があるんだ……」

 

 マジな理由って、マジにあるんかい?

 

「一つ目はこの寺の宗派というか、本尊っていう一番の信仰の対象になるのが、『荼伽天(ダーカてん)』っていう、男性形態の性愛の神様仏様ってことなんだ。もうすごく遠い関係ではあるんだけど、真言宗てのの流れを細く汲んでるって思ってくれていい」

 

 真言宗ってのはなんとなく聞いたことあるけど、まずはここ、寺だよな?

 神様じゃなくて、仏様じゃないの??

 そこらへん、素直に訊ねる俺。

 

「性愛ってのはまあ、なんかテレビとかでそういうのも見たことあったかなってのは思うけど、仏様じゃなくって神様なの?」

 

 なんかでっかいチンポの神輿とか、チンポの形した張型みたいなのを納める神社とかはけっこうあるよな、確かに。

 

「うん、まあここでの『神様』っていうのは、尊い存在全部を指す、ぐらいに思っててくれていいと思う。まあ、そんなこんなで本堂にあるご本尊は、その『男の神様2人が、セックスをしてる様子を表してる』という宗派なんだ。

 一宗一寺って言うんだけど、他に同じ宗派の寺があるわけでなくって、この寺だけで独立してるんだ」

 

 正成さんの言う『男の神様2人が、セックスをしてる様子を表してる』って、もう身も蓋も無いっていうか、なんかすげえ言い方だよな、それ。

 

 まあ、そんな宗派ってことなら男同士での、ってのも分からんことでもないんだけど、まあ、ホモ寺ってことか。

 テレビとかで色んな宗教でそういうのあってるってのは見たことありはしたけど、それはそれとしてヤバいことやってるなって思うのが普通だよな?

 

「それともう一つ。寺での普段の修行の中で一番大事にしてることが『他者功利(たしゃこうり)』って言葉なんだ」

 

 ……俺、門で見た奴、逆から読んでたらしい。

 なんかホモんところ突っ込む前に、次の話が始まっちゃった。

 

「これってね『人は自分のためになることよりも他の人のためになることをまずやりなさい』って意味だと俺は理解してる」

 

 ふむふむと頷く俺。

 

「だからこの寺では人が人として生きてく中での色んなことを『相手に対してやってあげる』ことを一番にしてるんだ」

 

 ちと首をかしげる俺。

 

「この後の食事とか、トイレとか、そしてまあ、いわゆるせんずりとかも『自分でやるんではなく、相坊同士で互いにやり合うこと』が大事ってされてる」

 

 んんん、と大きく首をかしげた俺。

 

「うん、まあ、この後の食事とかもそうなんだけど、普通だとご飯もおかずも自分の箸で自分の口に入れるだろ?」

 

 この時点で、ああ、そういうことね! って、俺、なんか思いついてた。

 

「で、この寺では、食事は向かい合った相坊が互いに相手の口に食べ物を運ぶし、トイレだと作務衣の下を降ろすこと、魔羅を支えること、尻を拭くこともすべて相坊がやるんだ」

 

 ああ、そうなるとさ、男同士の神様がセックスしてる寺での、しかもさっきの『せんずり』って奴も当然……。

 

「で、あの『香』の存在があるとなると、もう分かるだろう? 修行そのものがどんな感じになるかってのも」

 

 まあ、あれ使ってて『平常心を保てる』なんてのがいたら、そりゃもう神様お釈迦様の域だろうし、どうもあの使い方からするともう『それ』が目的になってるんだってのは俺でも分かった。

 

「ここまでの話はだいたい分かった。で、あのみんなの尻に入ってたのは、いったいなんなんだよ?」

 

「ああ、褌締めてても分かるからな、あれ……。うちの寺ではあれを『金精様』とか『金精棒』って言ってるんだ。ま、見てもらったが早いよな。

 継男君、比較したが分かりやすいだろうから、君が入れてる5号棒と、それと僕の奴、後、1号棒とを持ってきてくれないかな」

「了解っ!」

 

 正成さんの依頼にすっ裸のまんまで脱衣所に行った継男さん、すぐに戻ってきた。

 その手にあったのは……。

 

「げっ、これ、モロ、チンポじゃん……」

 

 すげえでっかいのと、かなり小さめのと、その中間のと。3本のよく出来た木のチンポだった。

 張り型、って言うんだっけ、こういうの?

 

 しかも竿の途中には幾つものイボまであって、あれ入れられたらどうなるんだろうって思っちまう。

 亀頭やエラの張りもすげえリアルだし、反りや太さの変化とかも、妙に生々しい感じ。

 たぶん『入れて固定する』ためなのか、根本でいったん細くなってて、一番後ろのところは縦長にTの字みたいになってる。

 ああ、俺が見たのはこの『外』に出てる長くなってるとこなんだ、褌の後ろの方で押さえてたんだってのが、見ただけで分かっちまった。

 

 小さい方は長さも15センチ無いみたいだし太さも2センチぐらいで『あれなら入りそうだな』とか、俺、馬鹿なこと思っちまってる。

 デカい方はもう、こんなの見たこと無いって大きさで、片手では握れない太さに、長さも細くなってるとこ除いても25センチぐらいあるんじゃないかな。

 中間の奴はまさに俺が勃起したときのぐらいか、ちょっと小さいかって感じで、あれが平均的って奴なのかも。

 しかも話の流れだと、あれ、継男さんの尻と正成さんの尻に、ずっと入ってたってことになる……。

 

「最初に御本尊の『荼伽天(ダーカてん)様』ってのが、男の身体をした神様二人が交わってる姿って言ったろう?」

「あ、ああ……。と、言うことは、そのあんた達も、えっと、お互いに、ってことなんか? で、そのために,その、尻を鍛えるって言うか慣らすって言うか、それでみんな『入れて』るんだ……」

 

 俺の推理、合ってるよな。

 合ってたら合ってたで、なんかすげえ怖いけど。

 

「物わかり良くて助かるよ。まさに『その目的』のために、この寺で修行する者は全員がこの金精様を、風呂と便所以外のときは、ずっと入れたまま生活しているんだ」

「ぜ、全員って、その、俺も、なのか……?」

「ああ、そうだ。たぶん夕飯の前の次の勤行(ごんぎょう)の時間に、みんなの前で入れることになると思う。相坊の僕が、その役をすることになるかな」

「さっきはチンポしゃぶられて何度もイっちまったけど、俺、ホモじゃ無いぜ! なんでケツにお前らのチンポ入れるために、そんなの入れなきゃなんないんだよっ?!」

 

 ここ、やっぱり、ホモ寺なんだ。

 俺、そのときはもう、ホントにそう思ったんだ。

 あの『香』の効き目でイかされたのはもう仕方が無いにしても、俺、ホモなんて絶対しないって『そのときは』マジに思ってたんだぜ。

 だって、チンポ扱きあって、しゃぶりあって、ケツにチンポの形した張り型まで入れてるってのは、もう『そういう』ことだよな?

 

「翔平、俺も5か月前ここに来て、最初に金精様の話を聞いたときは、今のお前とまんま同じだったぜ、でもな」

 

 あの平均的な奴を『入れていた』はずの継男さんが言ってきた。

 

「翔平がさっき、最初にしゃぶられてイかされたとき、周りでみんな何やってたか、覚えてるか?」

「周りって、あんたら3人が俺をイかせたんじゃんか」

「それ以外の僧侶が何をしてたかってことだよ」

「ん? ああ、そう言えばお経みたいなのみんながやってたな。あれがどうしたって言うんだよ。まあ、寺だからお経ってのは分かるけど、イくときのBGMとしたら変だとは思うけどな」

「その『BGM』にはな、こんな『効果』があるんだよ……」

 

 継男さんが言い終わると同時に、3人が低く唸るような響きでまたあの経を読み出したんだ。

 

「なむからたんのう とーらーやーやー なむあーりーやー ぼーりょーきーてー

 しーふーらーやー ふじさとぼーやー もーこーきゃーるにきゃーやー

 えん さーはらはーえい しゅーたんのうとんしゃー なむしきりーとーいーもー

 おりやーぼーりょーきーちい しふらーりんとーぼー……」

 

 それが聞こえてきた瞬間、俺、風呂の中にいるのに、また全身に鳥肌が立つような『あの』感覚に襲われちまってた。

 

「あ、あ、あ、馬鹿な……。こ、これって……」

「もう、翔平の摩羅、おっ勃っちまってるだろう? もちろん俺達もだ。あの『香』と、うちの寺の経、唱えるそのリズムや音の響きってのが、すげえ合うらしい。あの読経に囲まれて一度でもあの『香』を味わっちまうと、もう経を聞く、あるいは唱えるだけで、身体の方があのときの快感を思い出しちまうんだ」

 

 なんだよ、これ。

 まんまヤバいヤクの、禁断症状みたいなもんじゃねえかよ。

 

「あ、そ、そんな……。俺、ホモじゃ無いのに、また、またチンポしゃぶって欲しいって思っちまってる……。また、胸を、乳首をいじって欲しいって、カラダが疼いちまってる……」

「翔平のそういう正直なところ、いいと思うぜ。で、この読経とさらにまた『香』を使って、尻穴をそっといじられたら、どうなると思う?」

「そ、そんなの……、た、耐えられるわけが、な、無い……」

「分かってるじゃないか。俺達も同じだったんだよ。もう摩羅も乳首も、もちろん尻穴も、切なくて切なくて、いじって欲しくていじって欲しくてたまらなくなる。俺なんか、相坊の耕一さんに尻穴舐められて、もう2分もしないうちに『入れてください、その棒で俺ん中、掻き回してください』って、叫んでたんだ」

 

 すげえ話だった。

 でも俺、俺が『そう』なったら、継男さんと同じこと言っちまうってのも、もうそんときには理解してた。

 

「まあ、なんやかや言ったって、翔平も自分から金精様入れて欲しいってなるし、俺達も初めて入れる翔平見てて、すんげえ興奮するだろうしな。そしてな、翔平。うちの寺では『誰かがイきたくなったら、周りのもんは気持ちよく口や手でイかせてやる』ってのが当たり前なんだよ。しかもこいつは、読経をする『勤行』のときだけでなくって、24時間、常にそうであれ、ってことなんだ」

 

 誰かが話してるときにも、他の2人がずっと経を唱え続けてる。

 読経と耕一さんの話、俺、聞いてるようでもうあんまり聞こえてなかったのかもしんない。

 だって昨日までなら人前で絶対やらないようなこと、そう、3人の目の前で自分のチンポ扱いて、イきたくなっちまってた。

 扱いて扱いて、ザーメン、ぶっ放したくなっちまってた。

 

「おっと、さっき正成が説明したように、ここじゃせんずりは『自分でする』もんじゃ無いんだぜ。ほら、正成、またしゃぶってやれ。俺と継男は洗い場で寝っ転がってしゃぶり合うんで、お前の方は椅子でも使ってやってやれよ」

「ああ、翔平君はまだ『しゃぶる方』『飲む方』『埒を上げさせる方』の刷り込みが出来てないからね。後でちゃちゃっと、僕のもお願いするよ」

「了解だ。おい、継男、こっち来い。お前ももう、出したくてたまらんだろう」

「もちろんッスよ、耕一さん。俺、イきたいし、早く耕一さんのを飲みたいッス」

 

 そのときの俺、もう正成さんに『早くしゃぶって欲しい』『イかせて欲しい』ってのが、身体中から溢れてくるぐらいに興奮してた。

 ホモがどうのこうのより、とにかく『イきたい』『出したい』『感じたい』ってカラダに、俺、もうなっちまってたんだ。

 

「あっ、すげえっ! 正成さんの、口、すげえっ!!」

 

 なんの躊躇いもなく、俺のチンポをしゃぶり始めた正成さん。

 俺、湯船の縁に腰掛けたまま、しゃがみこんだ正成さんの口を『使っち』まってる。

 目の前の洗い場には耕一さんと継男さんが互い違いに横たわって、その、相手のチンポをしゃぶり合ってるんだ。これ、確か『シックスナイン』とか言う奴だよな。

 俺、目からの刺激とチンポに直接『来る』刺激に、もうまたすぐに、イッちまうことになる。

 

 俺、一番最初にしゃぶられたときみたいに、あっと言う間にまた2回も、イッちまった。

 そのたびに正成さん、すげえ旨そうにごくごく飲んでくれて、すげえことされてんのに俺、なんか申し訳ないなって気持ちになったり。

 

 もっとすげえって思ったのは、耕一さんと継男さん。

 互いに刺激しあって、ってのもあったのかもしれないけど、俺が2回イくより先に連続射精しちまってて、口の周りに精液付けたまんま、正成さんのチンポ扱きに来たんだぜ。

 

 耕一さんが継男さんの雄汁と唾液混ぜた奴、正成さんの乳首に塗りつけてベロベロ舐め上げてる。

 継男さんは正成さんの股間に頭突っ込んで、たぶんあのでっかいチンポしゃぶりながら、金玉もいじってる。

 

 俺の2回目と正成さんの(俺が見ている限りでは)今日最初の射精は、ほとんど同時だったと思う。

 

 とにかく風呂場中にあの精液の匂いがむっとなるぐらいに広がって、イった後の俺でもまだむらむら来ちまうような感じだったんだ。

 

「すごいな、翔平はもう、昼間のうちだけで9回出したか。こりゃ、15回なんてのは通過点に過ぎないかもなあ……」

 

 自分もあっと言う間に2回イッてる耕一さんが、俺のまだおっ勃ったまんまのチンポ見ながら、にやっと笑った。

 俺、恥ずかしいとかって思いもちらっとはあったんだけど、なんかこう、男として誇らしいっていうか、そんな変な気分になってたのも、正直そんとき、あったんだよな。

 

「翔平も、腹も減ったろう。そろそろ上がって、遅い昼飯にしよう。他のみんなはもう済ませて昼寝してるはずだからな。飯の後は、午後の勤行の時間だ。翔平は初日だから、色々せにゃならんこともあるが、まあ、覚悟しとけ」

 

 気が付けば、昨日の夜遅くから、俺、なんにも喰ってなかったんだよな。

 不思議とそんなに腹も減ってなかったんだけど、これってやっぱり性欲満たされると、食欲の方が落ちるって奴だったのかな?

 

 で、風呂上がって、よってたかって褌締めさせられて、お揃いの白の作務衣着て、もう見た目は坊主の一丁上がりってことになった。

 

 4人でわいわいと食堂みたいなとこに行ったけど、耕一さんの言葉通り、他の人達はみんな済ませてみたいで、俺達の分だけ取ってあって。

 最初は『互いに食べさせる』なんて、赤ん坊みたいなこと小っ恥ずかしいとか想像してたんだけど、これが食べ始めると意外とおもしろい、っていうか、不思議にいい感じだったんだ。

 

 黙ってやれ、って言われたらちとアレだったかもしんないけど、箸で切り分ける大きさや喰うペースをお互い気遣いながら、相手の口にちょっと長めの箸で向かい合って食べさせ合うのって、いや、ホント、ちょっとだけだけど、俺、なんか嬉しいっていうか、楽しくてさ。

 そう言や、家でこんな風にわいわい話しながら飯喰うなんて、何年もやってなかったしな。

 

 献立は鶏肉の照り焼きに野菜と、これも鶏の薄味の煮物、あとは具だくさんの味噌汁で、味付けは薄めだけど量はもう俺でも腹一杯になるぐらいで。

 あんときは普通の飯じゃん、って思ってたけど、お寺さんで肉出るのは珍しいってのは後から聞いた話。

 なんでも、牛や豚とかの四つ足の獣肉だけは食べないんだけど、魚や鶏はここでは普通に喰うってことだった。

 そこらへん、いわゆる『宗派』って奴で違うのかもしんないけど、俺、飯がこれなら悪くないじゃん、とか思ってたんだよな。

 

 そうこうするうちに飯も食い終わって、ホントもう、あー腹一杯って感じに。

 飯の中身からして、こりゃ確かにここで毎日過ごしゃ、太っちまうよなってのも納得で、なんとなくここの連中のガタイの良さの秘密がちょっと分かった気になってた。

 

 飯の後は正成さんにトイレに連れてかれてさ。

 その、糞するところまで見られながら、出した後の尻穴に、あの尻を洗う奴を強く当てられて。あれ、あんなふうにすると尻ん中に水が入ってくるって、俺、初めてそんな使い方知ったんだ。

 で、何回か入れては出してを繰り返したら、もうきれいな水しか出てこなくなって。最後に洗った尻を正成さんに丁寧に拭いてもらったのは、なんかもうすげえ変な感じだったけど。

 

 で、この後は本堂でみんなと合流して、午後の『勤行(ごんぎょう)』っていう修行の時間になるんだって。

 ここでたぶん、俺、ケツにあのチンポの形した棒を入れられるみたい。

 そのために、尻も洗ったんだよな、絶対。

 

 でも、そのときの俺、朝方に感じてた『逃げなきゃ』とか、この寺で最初に感じた『チンポしゃぶるって、ケツに張り型突っ込むって、なんなんだよ?!』とか、もう一切そういうことが頭に浮かばなくなってたんだ。

 これ、確かにあの『香』って奴の効き目もあったんだとは思うけど、正成さんや耕一さん、継男さんとかと話してて、まったく俺がどんな奴だったかとか、ナニやってきたかとか、それでこっちを判断してないってのが、だんだんと俺にも分かってきたからだったとも思ってる。

 

 この寺の人達って、そういう意味では『そいつが何をしでかしてきたか』でなくって、『これからどうするか』ってことだけに向き合ってるんだって、そんときの俺でも感じ取ってたんだろうな。

 

 そして、そんな『ここ』が、俺、無意識のうちに『楽に生きられる場所』(そりゃ、この後の『修行』ってのは、ある意味すごいもんじゃあったけどさ)って、感じてたと思うんだ。