男色日本霊異記

火伏岩に繋がれし迦具土の

獣にいたぶられしこと

その4(黒き髑髏の語りしこと)

 

男色日本霊異記

対訳「黒き髑髏の語りしこと」

 

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 男ありけり。六尺ゆたかにしてそのむくつけき様、牛、馬の如く。人、怪しみてこれに近づかずば、独り、山に暮らす。

 

 一人の男がいた。

 その六尺(約180㎝)を越す大きな身体はまるで牛馬のようにたくましかった。

 周りの人々は、どうにも男の姿が恐ろしく近づくことが出来ない。

 そのためもあってか、男は一人で山で暮らしていた。

 

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 七日ほど歩きて、山、深きに至れり。六丈なるほどの滝を見いだしければその根にて喉を潤すこと、その心地爽やかなり。日、入りてすなはち妖しき気感じて立ち上がれば、穴、ありける。

 

 男は七日ほど歩き続け、山奥へと分け入った。

 高さが六丈(18メートルほど)にもなる滝を見つけ、その滝壺で喉を潤せばとても爽やかな気持ちになった。

 日も落ちてきたところ、すぐに何か妙な気配を感じてあたりを見回せば、洞窟が見つかった。

 

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 入りて、男、驚愕す。その土、濡れ光りたる気配にて歩くも難きこと無し。

 

 穴に入って男は驚いた。その地面は濡れたように光り、もう日は落ちているのに歩くのに何の苦労もいらなかったのだ。

 

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 進みて、黒き髑髏、見いだしたる。三尺ほど高きに浮かびてまろぶこと無し。不思議に思いて右の手をかざすも、触れ得ず。左の手をかざすも冷たき気配のみ奇しき。

 

 穴の奥に進んで、男は黒い髑髏を見つけた。

 三尺(1メートルほど)の高さに浮かんでいて、落ちる気配も無い。不思議に思って右手をかざしても触ることが出来ないし、左手をかざせば怪しげにひんやりした空気を感じるだけなのだ。

 

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 口顎の奥にてひらめくものあり。赤き舌のみ動きあり。すなはち、問はず語りにて、男、恐ろしと思えども、聞き入る。

 

 髑髏の口の中に、蠢くものがあった。

 赤い舌だけが動いている。

 これは恐ろしい、と思っても、こちらの思いも通じず、髑髏の呟きに男は聞き入った。

 

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 髑髏、語る。

 

 昔、男、秋山に入りて、木の根にて休みたる。微睡みし折、獣、近づきたり。これ、人にあらずして襤褸をまといしこと、妖しの気配あり。

 

 髑髏は語る

 

 今は昔、ある男が秋の山に入って、木の下で休んでいた。

 うとうととしていたところ、山の獣が近付いてくる。その姿は人でも無いのにボロボロの服を着ており、妖怪のような気配をしていた。

 

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 この獣、その身の太き様、山熊の如し。しかれども脚を病みて腫れしこと、瓜の豊かに実れるが如く。男、憐れみて、手、当てること暫し。すなはち腫れ引く。

 

 その獣はその身体の大きいことはまるで山に住む熊のようだった。

 その脚が怪我をしたのか腫れているのは、まるでしっかりと実った瓜のようだ。男は獣を哀れに思って、腫れた脚にしばらく手を当ててやっていた。

 そうこうするうちに、腫れが引いた。

 

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 獣、喜びて、懐より生きたる魚、取り出だす。男、怪しみてこれを食らはず。獣、次に懐より、猪が肉、取り出だす。これもまた、食らはず。次に、馬酔木の実、これもまた食らはず。

 

 獣は喜んで、その着物の懐から生きた魚を取り出し男へと渡そうとする。男は怪しんで魚を食べなかった。次に猪の肉を取り出しても、男はやはり食べようとしない。次に馬酔木の実を取り出したが、これも男は食べなかった。

 

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 獣、再び懐中に手を入れるも、ついに何も出ず。男、笑いて、「善哉、善哉、腹くちし」と宣わる。

 

 獣は再び懐に手を入れたが、ついにもう何も出てこなくなった。

 男は「いいよいいよ、俺はもう腹一杯なんだ」と笑った。

 

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 獣、暫し男の廻り回り、思い付きてすなはち、男の下帯を解く。

「何をか」と男問ふ。

「善哉、善哉」と、獣、答ふ。

 

 獣はしばらく男の周囲をぐるぐると回ると、何かを思いついたかのようにパッと男の下帯を解いてしまった。

「何をするんだ」と、男が尋ねる。

「いいから、いいから」と獣が答えた。

 

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 獣の口を利きしことに驚き、男、「火、危うし」と唱えどもかなはず。

 獣、男の垂れ下がりたる魔羅を咥ゆること暫し。男、妖しき心地にて、魔羅、猛ることすなはちなり。

 

 獣が人間のように口を利いたことに驚いた男が「火の用心」と妖かしを遠ざけるまじないを唱えても、獣が消え去ることも無い。

 その獣は下帯を解かれた男の垂れ下がった魔羅をその口に咥えると、ゆったりと口の中でもてあそんだ。

 獣の尺八に男は妖しい気分になってしまい、その魔羅はすぐさま勃起してしまった。

 

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 獣、喜びて、右の掌を男の魔羅に添え、左の掌にて鶏卵の如きふぐりを弄ぶ。二つの玉、転びて快きこと、男、声を上げたり。

 

 獣、男の勃起に喜んで、右の手のひらを男の魔羅に添えて扱きあげ、左の手のひらで鶏の卵ほどもある男の睾丸をもてあそんだ。

 二つの玉が獣の手で転がされることの気持ちよさに、男は声を上げてしまう。

 

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 肉茎、雁首をねぶり回したる舌、あるときは羽二重の如く、またあるときは縄筵の荒れたるが如し。

 

 獣の肉竿や雁首をねぶり回す舌は、あるときは羽二重のように柔らかく男を包み込み、あるときは荒れた縄のむしろのようにざらざらと男を責め立てる。

 

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 鈴口より垂れ落ちる先汁、獣の喉奥より溢れ出したる唾、混ざりてすさまじきぬめりなり。獣、半刻(はんとき)あまりも魔羅を口にし、その魔剋の技のすさまじきこと、男、覚え無し。

 

 男のぱっくりと割れた鈴口から垂れ落ちる先走りと獣の口から溢れ出す唾液、これらが男の魔羅の上で混ざり合い、とてつもないほどヌルヌルとした潤滑液となっている。

 獣は一時間あまりも男の魔羅を口で責め立て、その扱き上げる技のすさまじいまでの快楽は男もこれまでの人生でまったく経験したことのないものだった。

 

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 ついには、白き子種を鈴口より噴き出だしたる。

 

 男はついに、白い雄汁をその鈴口から噴き出してしまった。

 

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 獣、あまりの多量に口の端より溢れ出したる精汁をば掌にて受け止め、これもまた飲みいだす。

 男、暫くは呆けたるもの、獣、口未だ離さず。

 一刻の後、獣、いずこかに去る。

 

 獣はあまりの多さに口の端から溢れ出した男の精汁を手のひらで受け止めると、それもまたすべて飲み干してしまう。

 男はあまりの快感にしばらく呆けてしまっていたが、その間も獣は男の魔羅から口を離そうとしない。

 二時間ほど経ってからか、獣は男を残し、どこかへと去っていってしまった……。

 

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 髑髏の語りしこと、山男は腰を外し聞く。己の魔羅、鎌首を振り立てること猛きなり。その先より露をもいだく。

 

 洞窟の奥で髑髏が語った物語を、山男は腰がくだけたようにして聞き終わった。

 男が髑髏の話を聞くうちに、その魔羅が隆々と勃起し、太い鎌首を振り立てているのは勇ましいほどのものであった。

 男の魔羅の先端からは、先走りの露さえにじんでいた。

 

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 穴の外へと出るも、日まだ高し。

 滝にてその身を洗うも、魔羅の生えたる(おえたる)はそのままなり。

 

 髑髏の話を聞き終えた男がほうほうの体で洞窟の外へと出ても、まだ太陽は高く照りつけている。

 冷たい滝の水でその大きなたくましい身体を洗っても、男の太魔羅は勃起したまま、おさまることがない。

 

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 男、暫く悩みて己の魔羅、握りたる。

 

 男はしばらく悩むと、己の大きな手で勃ち上がった魔羅を握った。

 

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 その握りし魔羅、太きこと松の根の如し。その猛きこと、馬のいななきの如し。

 

 男が握り締めた魔羅は、その大きさは地を這う松の根のようにごつごつと大きく、その勇ましい様は馬が荒々しく声を上げるようであった。

 

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 むくつけき男、己にて魔羅を扱くこと、心地よし。

 

 大きな山男はついに自分で魔羅を扱き始めたが、その気持ちのよさはなにものにも代えがたいものであった。

 

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 男、滝壺に三度吐精するも魔羅生えたるはそのままなり。

 

 男は滝壺に向けて3回射精したが、勃起した魔羅はそのまま萎えることがなかった。

 

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 白き汁に、魚(いお)の群がること多きなりとなむ、語り伝えたるとや。

 

 男の放った精汁に魚達が群がってくるのがとても多かったと、語り伝えられているとのことであったよ。

 

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