くまどん-三太 共作作品

磯に立つポセイドン

第5章 海の中

 

第5章 海の中

 

 あれから何日も経つというのに、俺の頭からはあの岩の洞窟での親父さんと西村先輩の「男のせんずり」の場面が離れないままだった。

 まだ精通していない俺にとってはあまりにも強烈な体験だったのだ。

 赤褌の鮮明な色や親父さんが射精する瞬間、大人の男の精液の匂いやらがぐるぐると頭の中を駆け巡り、俺の股間を直撃していた。

 どの場面でも、思い出すたびに勃起してしまう。俺は自分のちんぽの収め場所に困ってしまった。

 きっと他のみんなも、似たようなもんだったんじゃないだろうか。

 

 ああいうちんぽの男になりたい。

 俺の理想の「男」像は、完全に親父さんになってしまった。

 親父さんみたいにかっこいい男になって、かっこいいせんずりをかいてやる。

 あの男臭い行為が脳裏から消えず、毎晩寝る前には自分のちんぽをいじくりながら眠りについた。

 

 だが、そのときの俺は、毛も生えそろってない13歳だった。射精なんてまだまだ先の話だと思い込んでいた。

 

 さて、中学一年の夏休みもそろそろ終わる頃の話だ。

 

 朝、起きたてに便所で用を足していると、俺は自分のちんぽの周りに点々と黒いものがあることに気づいた。

 ついに俺のちんぽの周りに毛が生えたのだ。

 喜びと恥ずかしさが同時に襲ってきたが、一番に思ったのは「親父さんに見せたい!」ということだった。

 

 親父さん、俺も男になったよ。

 親父さん、喜んでくれるかな、親父さんのちんぽの毛を見せてくれと言ったら応えてくれるかな。

 考えただけで、俺は興奮した。

 

 学校に二学期が始まる前に、親父さんに会いに行かないと。

 俺の頭は、もうそのことでいっぱいになった。

 俺は親父さんと二人だけの秘密を作りたかった。みんなのいる前でなど、恥ずかしくてとても報告なんかできるものではない。一人でこっそりと、親父さんに伝えたかった。

 学校が始まってしまったら土曜日か日曜日にしか磯には行けないし、そうなると他のみんなも磯に集まってしまう。

 

 夏休み中の平日の朝なら、もしかしたら親父さんしかいないかもしれない。そんなふうに考えると、もういてもたってもいられなかった。

 きっと、きっと、俺の男としての成長を、親父さんは一緒に喜んでくれるに違いない。

 俺は磯に行くときには当たり前になっている褌を締め、シャツとズボンを身に着ける。

 急いで家を飛び出し、親父さんがいるはずの磯へと向かった。

 

 磯に向かって走る間、俺のちんぽに変化が起きていた。

 自分の毛のことから、親父さんのちんぽの毛を想像していたら、だんだんとちんぽが固くなってきたのだ。走る一歩毎に、俺のちんぽが褌に擦れて刺激されていく。

 ちんぽが勃起する。

 褌の中で大きく膨らんでしまったちんぽのまま、俺は磯に向かう。

 

 磯に近づくにつれ、前布に擦れたちんぽが変な感じになってきた。

 これまでも勝手に大きくなることはあったけど、その日のそれはどこかが違ってた。

 何かが金玉からせり上がり、おしっこがしたくなるような、それとも、くすぐったいような、じんじんとした快感が広がり、身体がふわっと浮くような、初めての快感を感じていたのだ。

 

 この快感は何だろう。

 俺はついに、立ち止まってしまう。

 

 胸がドキドキしている。

 ちんぽはもうガチガチになっていた。

 しかもその先端は、何か濡れている感じがある。

 もしかしたらこれが、この前見せてもらった精液だろうか。

 そんなことを考えながら、また走り始める。

 あれっ。だめだ。うまく走れない。

 膝ががくがくして、自分がどうなっているのか不安になった。

 

 結局、歩くことにして、何とか9時前には磯に着いたんだと思う。

 依然として、俺のちんぽはしっかり硬くなったままだ。

 俺は親父さんを目で探す。

 いつもの岩場に、親父さんの姿はどこにもいなかった。

 

 しかたなく、親父さんが来るまで褌一丁になっておこうと、シャツとズボンを脱いで、岩場の隅にまとめた。

 自分の褌の前袋を見下ろしてみると、やはり大きな染みが広がっていた。

 まるで小便を漏らしたみたいで、バツが悪い。

 

 どうしようか考えていると、海の方から声がした。

「おおい、朝からどうした? まだみんな来てないぞ。」

 

 親父さんだ。

 海の中に潜っていたのか。

 俺は声のする海の方に向かった。

 親父さんに会える。ちんぽの周りに生えた毛の話を、親父さんに聞いてもらえる。

 そう思うと、褌の染みなんかもうどうでもよくなった。

 そうは思っていても、ちんぽが大きくなって何となく歩きづらい。

 

 声がした海面に、水中メガネを付けて笑っている親父さんがひょっこり顔を出していた。

 

「君も飛び込んでこいよ。」

 

 親父さんは俺を手招いた。

 

「今、いきまあす。」

 親父さんの呼びかけに応え、ドボンと海中に入ろうとしたとき、また親父さんが声をかけてきた。

 

「褌なんか取っちまえよ、フルチンで来い!」

 

 えっ?

 

 海中をよく見ると、親父さんはいつもの赤褌を締めていなかった。

 まったくのすっぽんぽんだ。

 俺は親父さんと同じ恰好になることがどこか嬉しくなり、言われるがままに褌を解いて素っ裸になって海に飛び込んだ。

 かろうじて足が着く場所だった。岩場で足を切らないように気をつけながら、親父さんのいる方へ進んだ。

 

 親父さんは水中メガネを額に上げて、潮水まみれの髭面で笑っていた。

「ふりちんで泳ぐのは、気持ちいいだろう? 君もこうしてぶらぶら揺らしてみろ。」

 

 親父さんは自分のちんぽを海水の中でぶらぶらさせて見せた。

 俺もそうしたかったが、何しろ朝からずっとちんぽが普通の状態ではない。

 固く勃ち上がったちんぽでは、どうしてもぶらぶらなんか出来なかった。

 

 んん、どうした?

 親父さんは不思議な顔をして俺の股間に手を伸ばすと、俺の状態をすぐに理解したようだ。

「ははは、朝から元気いいな。勃ったまんまで、元に戻らないのか?」

 

 俺は黙ったままうなずく。

「困ってるんだろう。このままじゃみんなが来たとき、海から出られねえよな。

 仕方ないな、ここで出せ。そうすれば元に戻る。」

 

 俺が「えっ?」と思う間も無く、親父さんはぎゅっと握りしめた俺のちんぽを、ゆさゆさと海中でしごきはじめた。

 

「あ、ああっ!」

 

 西村先輩があのとき声を上げたのは、これだったのか!

 親父さんに固くなったちんぽを握られ、しごかれている。

 こんなに気持ちいいのは、こんな快感を感じたのは、生まれて初めてのことだった。

 

 親父さんは立ち泳ぎをしながら、空いている方の腕で俺を抱きしめている。

 俺の全身のおののきに、何かを察したんだろう。

 

「出すのは初めてか?」

 

 俺は黙って頷いた。

 

 海の中、しかも岩場の近くだと波が岩に当たり、身体のバランスが取りづらい。

 親父さんほど立ち泳ぎが上手くない俺の体がふらふらと安定しないせいか、親父さんは俺の手を取り自分のちんぽをぎゅっと握らせた。

 

 波のせいで二人の身体が揺れる。

 自然に互いのちんぽが扱かれるような動きになる。

 

 俺の手の中で、親父さんのちんぽもどんどん大きくなっていくのがわかった。

 その感触に俺はますます興奮し、この天国のような状況の中、俺のちんぽは最大限に張りつめていく。

 何かが俺の身体の中から迫り、金玉からちんぽへと上がってくるのがわかる。

 親父さんは、手のひらで俺の金玉を包み込む。金玉の上がりよう、張り付きようがわかったらしく、俺の耳元で言ってくれた。

 

「海の中に、出せ。」

 

 俺はもう、立ち泳ぎも上手く続けられないほどの快感を感じていた。

 親父さんの声が俺の耳に届いた次の瞬間、あっと言う間に白濁した液体がちんぽの先から海中に広がっていった。

 

「あ、ああ、ああああ……。」

 

 これが射精の気持ちよさか。

 ちんぽを他人の手でしごかれる、気持ちよさか。

 

 親父さんが、西村先輩が、射精の瞬間に声を上げていた気持ちが、本当によくわかった。

 

 生まれて初めての射精が海の中なんて、珍しいぞ、と親父さんに笑われた。

 波の中を、俺の放出したばかりの雄汁が上下左右に漂い、広がっていく。生命が海に帰るように。

 

 俺の精液の様子を見ていた親父さん。

「わしもこのままじゃ、上がれんからな。出すのを手伝ってくれ。」

 と俺に頼んできた。もちろん、大歓迎だ。

 

「わしの金玉を撫でながら、乳首を摘んでくれるか?」

 意外な要求だった。

 そんなところも気持ちいいんだろうか?

 それでも親父さんに喜んでほしくて、俺はぎこちない手つきで愛撫をし始める。

 他人の金玉や乳首なんて触れたことがないので、どうしてよいかわからなかった。それでも親父さんに喜んでもらいたい一心で、あとは想像力で、俺は俺にできることにと全力を尽くした。

 

「おおっ。感じるぞ。いい。いいぞ。もう、たまらん。」

 

 そう言いながら、海中で自分のちんぽをじゅるじゅると扱く親父さんに、俺はまた興奮していた。

 

 親父さんの金玉を、成熟した大人の金玉を、俺は初めて手にしている。

 ずっしりとしたその重みが、海の中でも俺の手のひらに伝わる。

 温かい。

 この手触りが、たまらなく愛おしい。

 手のひら全体を、ゆっくりと円を描くように、玉に沿って回していく。

 

 親父さんの切ない声が聞こえてくる。

 この雄しか持っていない、雄としての印は、いったい今までにどれだけの精子を製造したんだろう。その射精のたびに、親父さんはいったいどれほどの気持ちよさを味わったのだろう。

 そしていったい何人の先輩達が、この金玉を撫でたのだろう。

 

「わしは玉を触られると、たまらないんだ。」

 

 親父さんは、そろそろイきたそうだった。

 

「いくときに、わしの舌を口に入れていいか?」

 

 後でわかったことだったが、親父さんは誰かと一緒にいくときは、キスをしながら射精するのが好きらしかった。

 

 俺は親父さんの金玉を撫でながら、もう片方の手で乳首をいじる。

 立ち泳ぎをしながら、親父さんの舌を受け入れる。親父さんの分厚くて煙草の香りのする舌を強く吸って、親父さんのイく瞬間の顔を見たかった。

 

 俺が手にした金玉がぐっと引き上がったかと思うと、親父さんは眉間に皺を寄せ、うっ、と呻き声を上げる。

 俺のときと同じように、とろとろとあの白い液がちんぽから流れ出て、波の彼方に消え果てていった。

 

 二人とも照れ笑いしながら、そのまま海中でちんぽを洗った。

 岩場に上がると、遠くからみんなの声が聞こえてきた。

 俺が岩場に放っていた染みがついた褌を再び締めようとすると、親父さんが声をかけてきた。

「その褌だと、まだ染みが乾いてないし困るだろう。わしの褌を締めて帰るといいぞ。」

 

 親父さんがさっきまで締めていただろう赤い褌を、俺の方にぽんと放り投げる。

 俺は親父さんの、憧れの男が締めていた褌を身につける喜びに震えた。

 

「あ、ありがとう、親父さん!」

「それは返さなくていいぞ、お前にやる。」

 親父さんは俺の褌を海の中につけて、ざぶざぶ洗っていた。

 

「でも、親父さんも、褌が無いと困るでしょう。」

「ははは、心配するな。この岩場のあたりならずっとフリチンで過ごすさ。それに君の褌が乾けば、それを締めて帰るよ。」

 

 洗い終わった俺の六尺をパンパンと叩いて広げて、岩場の平な場所に干し終わると、どやどやと賑やかな笑い声と共にみんながやってきた。

「君が、わしの赤褌を締めてるとみんないろいろ余計なことを言うだろうから、今日は家に帰るといい。」

 

 親父さんは耳打ちをすると、みんなの方にちんぽをぶらぶらさせながら歩いて行った。

 フリチンの親父さんの姿に、みなの声が上がるのが聞こえる。

 俺は岩場の陰からそっと気づかれないように、遠回りをして家路についた。

 もちろんズボンの下は親父さんが締めていた赤褌である。

 さっきイったにもかからわず、俺はまた親父さんの褌に包まれたちんぽを固くしていた。

 

 親父さんの股座の温もりさえ感じる、赤褌。

 

 俺はその赤褌を見ながら、あるときはその匂いを嗅ぎながら、幸せいっぱいの夏休みを過ごした。

 あの親父さんとの海中での初めての射精の日から、俺はちんぽを自分でしごいて、精液を出すことを覚えた。

 夏休みの間、俺は親父さんの赤褌を見ながら何度も何度もちんぽを扱き上げ、声を上げるほどの快感の中、精液を放出するせんずりを楽しんだのだ。