月待ちの講 睦月

その4

 

「ああっ、出●(ず)っ、ずるっ、ずっけんっ!

 すでに一度はイッているだろう朋久さんには、あまり焦らすことなく射精への坂道を駆け上がってほしく、最大限に膨れあがった逸物を遠慮なく扱きあげた。

 それでも3人で10分以上は焦らしていての射精は全身を痙攣させるほどの快感をもたらしたようだ。

 腰を持ち上げ、両足をつっぱりながらの吐精は実に見事なものだった。

 

 100㎏を軽く越すだろう道則さんは、昭則さんと信治さんがその両手を頭の上側に引き上げ、篤志さんと朋久さんが無防備に晒された両脇を唾液を乗せた舌でぬるぬると舐め回した。

 予想外の責めに感じたのか、その巨体をよじらせて逃れようとする道則さんを男5人で押さえつけながら、けっこうな時間責め上げたのは周りにとっても刺激になったようだ。

 最後は頭の上から昭則さんに唇を塞がれ、両脇は2人の舌で、乳首はこりこりと揉まれながら大声を上げてイッてくれた。

 せっかく複数でヤッているのだから、イくところはみなで見て楽しもうと、わざと口から外して大きな腹に汁をかける。

 臍にたまった汁を3人ですすり合い、道則さんにもまた飲ませている姿は実に扇情的だ。

 道則さんが両手で握りしめていた篤志さんと朋久さんの逸物もイきそうになったよと、後から教えてくれたのは思いもかけない嬉しい知らせだった。

 

 3人の中では最後になった篤志さんは、とにかく亀頭を責めてやってくれと道則さんからの注文もあり、おそらく20分は、イかさぬよう萎えさせぬように責めていたと思う。

 あまりの快感に泣き声になりながら「イかせてください」と懇願する篤志さんを見る周りも興奮したようで、乳首を甘噛みしながら自分のものを扱いていた朋久さんは、おそらく今日三度目になる吐精をしてしまったほどだ。

 

 汁まみれ、汗まみれになった3人が、俺の周りに近づいてくる。

 自分が1人横たわり、周りを囲んだ男達の慰み者になることは七日籠もりでさんざん経験してきたことではあるのだが、あのときはやはりどこか「あくまでも神事としての儀礼である」という意識もあったのだと思う。

 こちらの吐精の最後は必ず良さんがその汁を御幣に吸わせていたため、イく瞬間の亀頭は手や口での嬲りからは解放されており、すべての抑制が取り払われたこの月待ち講のような「射精の瞬間ですら亀頭や鈴口、玉を刺激され続ける」という地獄にも極楽にも喩えようのある快感を味わうのは初めてのことだった。

 

 右側には朋久さん、左側には道則さん、そして足下には篤志さんが陣取り、俺の雄汁の搾り上げに入った。

 

「いかんっ、いかんっ、イッてすぐはっ、いかんてっ!」

 男のツボを知り尽くした3人責めに、俺はあっと言う間に埒を上げた。

 いったん手を止めてくれると思った篤志さんが、射精直前そのままの扱き上げを続けようとする。

 俺との二人目だった昭則さんがまさに懇願したような射精直後の責めに悶絶する俺を、3人がにやにやと嬉しそうに見やりながら、乳首、玉、棹、首筋、脇腹と全身を刺激していく。

 すでに3度の吐精を果たし、苦痛へと転化するかとさえ思えたその責めが、ローションのぬめりと男達のテクニックのせいか、途中からは更なる快感へと昇華され、俺はそのまま本日4度目の噴き上げをしてしまったのだ。

 

「3人でんたいがなよか気持ちでイッたごたるな。

 俺ったちのもよかったろばってん、今日は最後には6人で責めてやるけん、そっもよかごて感じなんけんな。

 6人ですっときには両足も1人ずつ付いて責むっけん、楽しみにしときなっせ」

 

 篤志さんが息も絶え絶えの俺に声をかける。

 今日最後の責めに悶絶する自分を想像し、萎えかけた俺の逸物がまた頭をもたげようとしていた。

 

 5人をこなす間、さすがにこれまでシャワーも浴びずに来てしまったわけで、最後となる信治さんとはじっくりと抱き合いたいと思い、軽く風呂場で流してきた。

 匂いを気にしたわけでは無く、顔や頭に飛んだ誰かの汁が途中で目にでも入ったら興ざめかと思ったのだ。

 

 信治さんも直前までは良さんと絡んでいたようで、色黒の肌には誰の汁やら分からぬ液体がまとわりついている。

 

「俺っも流してくるけん」

 声をかけて風呂場へ行こうとする信治さんを俺が引き留めた。

「目とか鼻に入らんごたるなら、そのままでよかですよ。誰のか分からん汁の匂いも、そそらるっですけん」

「尻には入れとらんけん、よかとは思うばってん……。まあ、そぎゃん浩平が言うちくるっとなら、そんままでよかかな」

 

 にっと笑って抱きしめてくれた信治さんの胸のあたりから、初夏の山間ではよく感じるあの匂いが漂ってきた。

「こん村に来てから、こん匂いに興奮するようになってしもうたです」

「みんなが気持ちようなってイッたつだけん、よかこったい」

 

 先ほどの3人は一風呂浴びに行ったのだろう。

 良さんは足を開いて腰を下ろした昭彦さんの巨体にすっぽりとおさまるように後ろ向きに抱かれて、肉棒を扱かれながら左耳に舌先を入れられている。

 そのゆるゆるとした責めは射精を促すというより、互いのじんわりとした快感の温度をじわじわと上げることに専念しているようだ。

 

「今日は何回イッたつな?」

 信治さんが耳元で尋ねてくる。

「さっき篤志さん達に連続でイかされたんで、もう4回はイッたですよ」

「俺っも2回はイッたばってん、最後はみんなでせんずりして浩平にぶっかけようて話しとるけん、今はしゃんむりイかんだっちゃよかばい。浩平も最後にはまたイッてほしかけん、無理はせんでよかけんな」

 

 いつの間にか日付は変わる時間になっていたのだと思う。

 次から次へと味わえるその快楽と興奮に、眠気が襲ってくるわけでもないのだが、やはり祭りのときとは違う微妙な疲労感が腰の奥深くに溜まってきているような気はしていたのだ。

 

「朋久さん達が戻ってこらしたら、一応の締めで全員で浩平ば楽しませてやっけんな。そっまでキスでんしながらゆるゆると扱いておくとよかかな」

 この淫猥さに満ちた空間で、普通にキスをし、普通に抱き合い、そして普通に互いの肉棒を扱いている自分が不思議でならなかった。

 それでも風呂場でいったんは落ち着いていた股間の逸物が、信治さんとのキスで硬く持ち上がっていることが嬉しかった。

 

「こぎゃん、ゆるゆるすっとも気持ちのよかなあ」

 信治さんのつぶやきが、すっと心に入ってくる。

 もちろんそこにはいつでも気持ちいい射精が出来る、という前提はあるのだろうが、それでもこのイくイかないを問題としない心地よさというものもまた、男同士だからこそ味わえるものかもしれなかった。

 

 抱き合ってキスをしては、身体を入れ替え互いの肉棒を口にする。

 相互尺八でもそこは相手の肉棒の太さをじっくり味わい、亀頭の粘膜と口の中の粘膜との摺り合わせを楽しんだ。

 

「よこいよこい、しよるごたるな」

 良さんとひとしきり楽しんだのか、昭則さんが自分のものをがちがちに勃たせたまま話しかけてきた。

 篤志さん達も広間に戻ってきて、いよいよ全員での絡みになりそうだ。

 

 いったん皆が車座に座り直し、隣のものの胸や股間をふざけるように弄る。

 やはり昭則さんが音頭を取るのか、みなが一通りの雑談を終えた頃に声をかけてきた。

 

「一巡りはしたごたっけん、今度は浩平さんばみんなで楽しませるけんな。

 祭りんときは浩平さんは動いちゃいかんだったけん、こっちからするばっかりだったけんな。今日は浩平もしゃぶって扱いてもらうっとだけん、両方楽しむったい。

 浩平には寝とってもろて好きなしこイッてもろうちから、最後はみなでセンズリしちから浩平にひっかくっけん。祭りんときの白浴びせんごたる感じでしょうち思とるけん、みなも途中でひっと出さんごて、気ばしっかしとかんといかんばい」

 

 先ほどの3人とのときのように、俺が広間の中央の布団に横たわった。

 4度の吐精を果たしているにもかかわらず、これから味わえる快楽の予感に俺の中心は先端に露すら浮かべて勃ち上がってしまっていた。

 

 俺の左右に朋久さんと良さんが、股間には昭則さんが陣取った。

 ここまでは篤志さん達との4Pと同じ布陣であったが、あと3人がどう出るのか。

 信治さんが頭の上側に膝をついたのはキスとあの太い逸物をしゃぶらせてくれるのだろう。

 篤志さんと道則さんの2人は驚いたことに、なんと昭則さんの後方で俺の両足を1人ずつ抱えるようにして持ち上げてきたのだ。

 

「足ばさるっとは初めてだろたい。たいがな気持ちんよかけん、おもさん声ば上げちよかけんな」

 

 昭則さんの大きな手の平でぐちょぐちょと扱かれるのは、その握力とも相まってとても気持ちのいいものなのだが、両足を浮かしたこの姿勢で全身を嬲られて、自分が正気を保てるかの方に不安が寄ってしまったのは当たり前なのか仕方無いのか。

「はじむっけんな」

 昭則さんの一声で、6人の男達が一斉に俺の全身を嬲り始めた。

 

「ああっ、あっ、あっ、あうっ、ああっ……」

 ここからはもう、意味のある言葉を出すことは出来なかった。

 全身のそこかしこが同時にまさぐり、愛撫され、刺激されている。

 もはやどの部分で感じているのかすら自分でも分析出来ず、脊髄へと直接流れ込むかのような快感の大流に翻弄されてしまうのだ。

 とりわけ篤志さんと道則さんが責める足から感じる快感は、人生初めてのものだった。

 

 親指から始まり、すべての指が唾液を溜め込んだ口に含まれ、まるで互いの肉棒をしゃぶりあっているときのようにすすり上げられる。

 ひとしきり指先のしゃぶり上げを堪能した後は、指の間に舌先を差し込まれ、ねろねろと舐めしゃぶられる。

 足の裏にべったりと舌の全面が押しあてられ、ぬるぬると舐めあげられるその感触は、いったい何に喩えるといいのだろう。

 ときには軽く歯を立てられるかかとにすら性的な快感の発生源があると知った。

 脹ら脛を支えた反対の手でさわさわと触れられる膝下の体毛ですら、ぞくぞくとした快感を伝えてくるのだ。

 

 道則さんと同じように頭の上に引き上げられた両脇には舌が這い、左の乳首はきつくつねられる。右乳首は先端を触れるか触れないかのタッチでさすられる。

 鼻の前に突き出された押し下げられた信治さんの肉棒からは先走りが糸を引き、思わず出した俺の舌にぷっくりと腫れ上がった亀頭が触れた。

 脇腹は爪先で掻き上げられ、指でくじられる尻穴、大きな手の平で揉み上げられる金玉からはそれこそ頭のてっぺんに届くほどの刺激が伝わってきた。

 

「んんっ、んっ、イくっ、イくっ……」

 その日5度目となった射精は、今思い出そうとしてもほとんど記憶に残っていない。

 後から聞けば、みなで責めはじめて5分もしないうちに噴き上げてしまったらしい。

 当初の昭則さんの言葉通り、1度イッたぐらいで皆の責めが止まるわけでなく、射精直後の亀頭責めに悶絶する俺を、6人全員で押さえつけながら次の射精へと導いてくれたようだ。

 

 1度イかせた後は、じっくりとした責め方に変えたのか、今度はイきそうなる度に手を止められる、寸止め地獄の始まりだった。

 そのあたりからは記憶も戻ってきているのだが、おそらくは1時間以上、全身を嬲られながらのイかず勃起を続けていたのだ。

 

「もう、もう、イかせてくださいっ、こらえきれんっ、イかせてくれっ!」

 

「よおし、浩平さんもだいぶ仕上がってきたごらるけん、みんなも最後は一緒にイくばい。自分で扱いてよかとこまで来たら、言いなっせ。全員よかごてなったら、最後に浩平もイかすっけんな」

 昭則さんがみなに声をかける。

 その分、俺への責めはゆるゆるとしたものにと変わり、逆に他の団員達は一斉に己のものを扱き始めた。

 

「おっももう、よかばい!」

「いつでんよかけん、よかとき言うちはいよ」

 

 それまでの俺への責めそのものが、みなの興奮を昂ぶらせていたのだろう。

 次々とみなから声が上がった。

 

 信治さんと昭則さん、篤志さんと道則さんは膝立ちでイくようだ。

 両脇の良さんと朋久さんは俺の腹か股間にかけようと横たわったまま扱いている。

 

「よかな、浩平もよかな、よし、イくばい、イくばいっ!」

 昭則さんの南瓜ほどもある拳に力が入る。

 握り込められた俺の肉棒に伝わる圧力と、上下の扱き上げのスピードが一気に上がる。

 

 俺ももう、限界だった。

 

「んがあっ、イくっ、イくっ!」

「あ、ああっ、イくっ!」

「ずっ、ずっけんっ!」

「んんああっ、イくっ、イくっ!!」

 あまりの快感に翻弄されている俺には、肉棒を貫く汁の噴き上げは止めようもなかった。

 腰奥深くから沸き上がる熱情は、一気に頂点へと駆け上り、痙攣のようなびくつきとともに何度も男としての汁を打ち上げる。

 

 太股に、胸に、腹に、股間に、そして顔に。

 次々と打ち付けられる熱い迸りが、俺の全身を白く染め上げていく。

 

 両足を、股間を、両の胸を。

 男達が倒れ込むようにしてのしかかってくる。

 

 体内から打ち出された汁の熱さと、直接触れあう肌の熱さが混じり合い、俺は肉の塊のなかに埋もれていく気がした。

 

 目の前には優しく笑う信治さんの顔が、俺の顔とは上下反対のまま近づいてくる。

 その唇と舌に触れたとき、なぜか俺の瞳からは涙が溢れていた。

 

 頬に触れる熱い液体に気が付いたのか、信治さんがふと顔を話して、こちらを見つめ返してくる。

 もう一度互いの唇が重なったとき、「大丈夫ばいた」とつぶやく信治さんの、あるいは他の団員達の声が聞こえたような気がした俺だったのだ。