男性専科クリニック Part 7

その5

 

6人の男たち

 

 背をシーツに預けた村岡に、山崎がのし掛かっている。

 膝を突き尻を掲げた宮内の尻に、西田がその逸物を差し入れようとしていた。

 野村医師は四つん這いになり頭を抱えた宮内の横に、田畑看護師が村岡と山崎の側に身を寄せていた。いくらか時が進めば、参戦するつもりなのか。

 

「後ろから、というのも気持ちがいいんですよ、西田さん。宮内さんの尻肉を堪能されてみてください。

 山崎さんは先程と変わらない体位ですが、もちろん途中でお2人で話しながら変えていただいて構いませんので」

 

 ちょうど西田と山崎は、宮内と村岡の身体越しに目線が合う位置に膝立ちとなっていた。

 仰向けになった村岡の顔と、顔を下に向けた宮内の頭は近い。興が乗れば、互いの唇と舌が交わっていくことだろう。

 

「宮内さん、挿れますよ……」

「西田さん、最初だけはゆっくり……。前からのときとは角度がちょっと違うと思います」

「ここですね……。あ、確かに入口の抵抗感も微妙に違う……。こっちの方が、俺は挿れやすい感じがします……」

 

 西田の腰がゆっくりと前に進む。

 当たり処は上下逆になるわけではあったが、足を上げておく分の負担が少ない分、ウケである宮内は楽なのであろうか。

 西田としても腰の動き幅の自由度の高さは、色々なテクを試すのに良さそうだと感じいっているようだった。

 

「山崎さん、よろしくお願いしますわ」

「村岡さん……。先程の宮内さんとのセックスで上澄みを抜いたので、今度はしっかり村岡さんにも喜んでもらえるように頑張りますので」

 

「山崎さん、宮内さんと村岡さんの『入口』の、そして『中』の感触の違いをしっかり味わってください。一人一人、かなり違う部分ですし、前立腺の位置や形状も同じく違ってきます。そのあたりを頭に少し置いてもらって、やってもらえればと」

 

 さっそくの田畑看護師からのアドバイスであった。

 田畑自身も野村医師と同棲しながらの性生活ではあるのだが、クリニックでの施療を通して多くの男たちとの経験があったのだ。

 

「んんっ、は、挿入った……」

「あっ、ああっ……。後は、もう、大丈夫です、西田さん……」

「ちょっと待ってくださいね、宮内さん。さっきイったばかりなのに、俺、またイきたくなってる……。今度は俺も、もっとゆっくり楽しみたいから……」

「あんまり焦らされると、こっちから締めちゃいますよ」

「うわ、ホントだっ! 締まるっ、締まるっ!!」

 

 西田の声が上がる。

 宮内は両腕で頭を抱えた形で突っ伏したまま、甘い息を吐く。

 やはり括約筋の使い方に関しては、それなりの経験を積んでいる宮内の方に軍配が上がるようだ。

 前立腺の刺激方法で肛門の広げ方、締め方を学んだ西田ではあったが、実際に自分の逸物にそれを『喰らう』快感を、今ここで初めて知ることとなったのだった。

 

「ああ、これが『締める』って奴なんですね……」

「そうですよ、西田さん。さっそく宮内さんの技を感じ取れてるようですね。この絞め技は相手の出し入れがものすごく早くなったら別ですが、通常のリズムが刻める程度のスピードであれば、挿れるときに緩め、抜くときに締めることも出来るはずです」

 

 西田と宮内の横に胡座をかいた野村医師が、まさに的確なる解説とアドバイスを出す。

 

「西田さん、出し入れしてみてください。先生が言われたのを、やってみますから」

「なんか、怖いけど……。いきますよ、宮内さん」

 

 宮内も医師の言う内容を理解したのか、自分から西田に指示を出す。

 

「やります!」

 

 西田が意気揚々と答える。

 新たな快感の獲得に、とにかく前向きな性格なのだ。

 

「うわっ、すごいっ! ホントに抜くときに締まるっ! あっ、これっ、ヤバいっ、ヤバいっ!!」

「このくらいのスピードなら出し入れに合わせて締めるの大丈夫なんですよ、ほら、ほら」

「あっ、あっ、あっ、すごっ、すごいっ、すごいっ!!」

 

 突き入れ、抜き出す。

 逸物の根元、西田の下腹部が宮内の尻肉に触れ、その一瞬後には雁首のギリギリまで引き抜かれる。

 

 ばすばすという音とともに、振り抜かれる西田の腰。

 その毎回の抜き動作とともに宮内の肛門括約筋が収縮を繰り返しているのだとすれば、そのコントロール技術もすごいものだ。

 

「あっちもすごいですな、山崎さん。儂等も楽しみますか」

「いきますよ、村岡さん。村岡さんの尻から逸物にかけて、いやらしくてすごいです……」

「そうですそうです、山崎さん。亀頭が挿入るまではちょっとゆっくり、そう、そう、落ち着いたら段々動きを早くして……」

 

 足を抱え上げた村岡の目を見つめながら、自分の額から流れ落ちる汗を拭く余裕までは山崎にはないようだ。

 田畑看護師の指示通りに動くその厚みのある腰は、本人の実直さと指示に従うことで得られる快感への期待、その両方によるものか。

 

「奥まで、挿入った……」

「ああっ、山崎さんの、太い……。あっ、ああ……。ああ、そろそろ大丈夫です。動かして……。激しくしてもらってかまわんので」

「うん、あっ、あっ、すごいっ、中が全部柔らかくて、熱くて……。全部がチンポに絡んでくるっ……」

 

 直腸と口腔内の体温を比べれば、直腸内の方が0,4℃ほど高いのは観測されている事実である。

 口腔内における口蓋という形の定まった器官と、直腸粘膜という可塑性の高い部位に差し込まれた違いは、山崎の亀頭と陰茎、男性器への密着の度合いの違いというものもあるのだろう。

 山崎が感じた『熱度』の違いは、実態と実感、その双方に根ざしたものであった。

 

「山崎さん、ウケをこなしてきておられる方の『中』は、もうたまらんぐらいの柔らかさでしょう? ペニス全体でしっかりその気持ち良さを堪能してください」

「うん、田畑君……。これはもう、ホントに、たまんないな……。ねっとり絡み付きながら、かといって引きずる感じでも無くて……。それでいて奥は奥でしっかりとした固さがあって、亀頭もすごく締め付けられる……」

「ああ、太いのが入口擦るのがすごいですわ、山崎さん……。奥もぐっちゃぐっちゃ突かれて、たまらん、たまらんですわ、山崎さん」

 

 太さの方が長さより目立つという見方をすれば、山崎と村岡のそれは似たもの同士とも言えるものであった。

 だが、村岡の肉腔は挿れられたものの造形によってその受け入れ形状そのものを変化させうるのか、山崎の亀頭もまた窄まりを常に押し広げながら進んでいく、あるいは退いていくときの快感を得ていたのである。

 

 西田と宮内に比べると、激しくは見えない山崎と村岡の絡みであった。

 だが、細かく震える村岡の下腹部、力の入る山崎の肩を見れば、獲得されている快感にそう違いがあるものでもないのだろう。

 あまりの快感に仰け反ろうとする自らの筋肉の動きをなんとか押さえているのは、村岡の方であるのだ。

 

「山崎さんに挿れられてる昭一の顔、すごくエロいぞ……」

「西田さんの固いの、すごいだろう? 儂もさっきので、すごかったんだ」

「ああ、たまらん……。昭一、キスしよう……」

「寛……」

 

 パンパンパンと激しい腰使いをそのがっしりとした体躯で受け止める宮内。山崎のねっとりとした出し入れに興奮が隠せない村岡。

 天井を向いている村岡の顔と、四つん這いになった宮内の顔が重なる。

 上下互い違いになった唇が、舌が、相手のそれをねぶり合う。

 

 自分が犯している男同士が卑猥な口接をする。視野の中で行われるその行為が、山崎と西田の昂ぶりに油を注ぎ、見つめる2人の顔も、より淫蕩な色合いへと染まっていく。

 

「ああ、すごい……。村岡さんと宮内さんがキスしてる……。すげえやらしい。ああ、山崎、村岡さんを犯してるお前の顔も、蕩けそうになってるぞ」

「西田、お前のそんな腰使い、私は初めて見たんだ。すごい、すごいぞ。たまらん、ああ、村岡さんの尻が絡み付いて、気持ちいいっ、すごく気持ちがいいんだ、西田っ!

 

「先生、ノンケだった西田さんと山崎さんがタチとして宮内さんと村岡さんの尻に挿れながら、ウケの2人がベロベロとキスで唾液を混ぜ合わせてる……。僕、もう、たまんないですよ……」

「ああ、田畑君、私もだ……。その、2人で村岡さんと宮内さんの口でやってもらわないか?」

「ああ、そんなの、いやらしすぎます……」

 

 膝立ちになった医師と看護師、2人が唾液を混ぜ合わせては互いに飲み合う宮内と村岡の左右から、己の最大限に勃起した逸物を突き出した。

 ちらりと横目で見た宮内が、野村医師のとぐろを巻いた血管に彩られた肉棒を咥え込む。田畑看護師のぶるんとどでかい逸物の先端を、舌を伸ばした村岡がしゃぶり上げる。

 

「ああ、すごい……。村岡さんと宮内さんが、先生達のをしゃぶってる……」

「たまらんなあ、山崎……。ホントにたまらんなあ……」

 

 二組の抽挿も、既に何百回と繰り返されたのではあるまいか。

 ローションと先走り、それぞれの腸液すら混じった液体が漏れ出し、白く泡立つそれが卑猥な音を立てていく。

 

 さすがに宮内の締め付けも体力の限界が来たようだった。

 かえって滑らかになった出し入れが、西田の腰の動きを加速する。

 じっとりと押し付けるような、力強い引き網のような山崎の腰使いは、同じくでっぷりと豊満な腹肉を擁した村岡の下半身を、どすどすと突き上げ、毛深い股間から勃ち上がった太短い逸物の先端から白いものの混じった体液をとろとろと吐き出させている。

 

「西田さん、山崎さん。村岡さん達のペニスと睾丸を刺激してあげてください。西田さんはちょっとやりにくいでしょうが、宮内さんに覆い被さるような体勢を取れば、手が回せるはずです。

 私達は宮内さん達の乳首を刺激しますので。まだまだ楽しみたいでしょうから、イかせる刺激でなく、あくまでも快感だけを与える感じで……」

 

「んんっ! ぐあっ、いいっ!」

「ああああっ、山崎さんっ! そ、そんなっ! チンポと玉、乳首までいじられたらっ!!」

 

 西田は野村医師の助言の通り、宮内の背に覆い被さるようにしてその股間に手を伸ばす。

 両手を使うことは適わないが、こちらも固く勃起した逸物を先端だけをぐじゅぐじゅと責め立てていた。

 村岡の乳首には野村医師が、田畑看護師は差し込むような体勢で宮内の乳首を捏ねくり回す。互いにしゃぶられてる相手とは違う相手に手を伸ばし、相互の絡み合いはいっそう複雑になっていく。

 

 山崎が下腹がぶつかりそうになる逸物を左手で、睾丸を右手で揉み上げていく。

 尻、乳首、ペニス、睾丸。

 全身の性感帯を責められる村岡から声が上がらないはずもなかった。

 

「西田さん、キスさせてください……」

「ああ、田畑君、エロすぎるよ、こんなの……」

 

 田畑が西田にキスをねだれば、腰使いはそのままに西田が舌を伸ばす。

 負けじと山崎が医師との口接を誘い、西田と田畑看護師に見せつけるように舌を絡ませる。

 

 広いベッドの上で、6人の男たち、そのすべての肉体がどこかで繋がっていた。

 

 山崎から尻穴にその太い肉棒を突き入れられている村岡は青年看護師の巨大な逸物をしゃぶり上げ、その乳首は毛深い医師の手でコリコリと揉まれていた。

 とろとろと雄汁を漏らし始めている肉棒はぼってりとした金玉とともに、山崎の手で扱かれている。

 一定のペースでひたすらに村岡の尻肉を穿つ山崎は、両手に逞しい逸物と双玉の重みを感じながら、野村医師とじゅるじゅると舌を絡め合い、溢れる唾液を村岡の腹へと落としていた。

 

 田畑看護師は村岡にしゃぶられながら、宮内の乳首に手を回す。

 西田とのキスは顔中を舐め回す激しいものへと変わっていた。

 

 その西田は宮内の背中側から手を回し、そそり勃つ肉棒の先端をぬるぬると責め立てる。吐精に向けた扱き上げを裂けたその亀頭責めは、宮内の口の端から、悲鳴のようなよがり声を引き出していた。

 うつ伏せになり尻だけを高く掲げた宮内は、西田の激しくもすさまじい突き上げをすべて受け止めていた。野村医師の擂り粉木のような肉棒を咥え込み、えずかないように必死にしゃぶり上げている姿は、下から見上げる村岡の官能を限界までも燃え上がらせてしまう。

 

 施療室に響く男たちの喘ぎ声。

 荒い息の合間に、村岡と宮内は呼吸を確保しようと喉を塞ぐ逸物をわずかに引き抜く時間を確保していく。

 

「あっ、たまらんっ! すげえっ、すげえっ! 全身っ、全身が気持ちいいっ! こんなっ、こんなの初めてですっ! 尻を掘りながら先生とキスして、目の前では西田が宮内さんとやってて、田畑君の太いのがしゃぶられててっ、もう、もう、堪えきれないですっ!」

「目の前で寛が先生のをしゃぶってるっ! エロいっ、エロいっ! 儂、儂っ、もう、もう、すごすぎて、もうイきそうになっとるっ!」

 

 荒い吐息に、その逞しい両肩が上下する男たち。

 

「ああ、ペニスを宮内さんにしゃぶられながら、山崎さんとキスが出来て、すごい、すごい……。皆さん、なんていやらしいんだ……。皆さんっ、全員一緒にっ、一緒にイきましょうっ!」

「おおおおっ、うおっ、締まるっ、宮内さんのケツがっ、ケツがまた締まるんだっ! イきそうなのか? イきそうなのか、宮内さんっ? ああっ、俺ももうっ、もう、たまらんっ、たまらんぞっ!」

「西田さんっ、尻が熱いっ、すごいっ、すごいっ! 先生のチンポも、旨いですっ! 俺の、俺の口に出してくださいっ、先生っ!」

「ああ、先生も、山崎さんも村岡さんも、宮内さんも西田さんも、もう、もう、みんなエロすぎますっ、あっ、もうっ、僕もうっ、イきそうですっ!」

 

 全員が全員、肉体のどこかが2人3人と繋がっていた。

 

 1人が感じた快感が、まるで水面に波が広がるように、山間に谺が届くように、6人の男たちへと環流されていく。

 それはそれぞれの肉体を通り抜ける毎に、何倍も、何十倍もの快感となって再び男たちの間を巡り交わしていく。

 

「ああっ、イきますっ、僕っ、もうっ、村岡さんの口にっ、口にイっちゃいますっ!」

「田畑君っ、みなに合わせるんだっ! なんとしても堪えろっ!」

 

 野村医師が若い看護師を制するが、その必要も無さそうな男たちである。

 

「儂ももうイきそうになっとりますっ! もうっ、もうっ、このままじゃっ!」

「俺ももうっ、西田さんに突かれてるケツがやばくて、漏れそうですっ! ああっ、田畑君っ、乳首もっ、乳首もいいっ!」

「宮内さんのケツがっ、ケツがもうすごく締まってっ! 俺、もう、もうイきそうですよっ!」

「ああああっ、みんなすごいっ! 6人で交わってっ、私のチンポが村岡さんの尻に咥え込まれててっ、すごいっ、すごい気持ちいいんですっ!」

 

 全員に限界が近付いていた。

 放埒の瞬間が、吐精の瞬間が、近付いていた。

 

 それでもやはり、第一声は田畑青年であったか。

 

「ああっ、イくっ、村岡さんの口にっ、出ますっ、出ますっ、イくっ、イくっ!!!」

「ああっ、イっちまうっ……。宮内さんの尻に、イくっ、イくっ、中にっ、中に出るっ、出るぅっーーーー!!」

「おおっ、儂もイくっ、山崎さんに掘られながらっ、もう何度もイってるのにっ、またイくっ、イくぞっ、イくっ!!!」

「私もイきますっ、宮内さんの口に、出しますよっ、宮内さんっ、宮内さんっ、ああっ、いいっ、いいですっ、イきますっ、ああっ、イくっ……!」

「西田さんのが出てるっ、俺のケツん中に出てるっ! あっ、あっ、俺もっ、俺もっ、イきますっ、イくっ、イきますっ!!!」

「村岡さんの尻が締まるっ、ああっ、イってしまうっ、村岡さんの尻にイってしまうっ、あっ、あっ、ごめんなさいっ、中にっ、中にイくっ、イくっ、村岡さんの中にっ、イくーーーーーーー!!!!!」

 

 6人の男たち、その全員による一斉の射精だった。

 

 ある者は尻に、ある者は口に、自らの腹に、シーツに。

 それぞれ焦らされ、溜め込まれていた雄汁が腰の奥深くから一気に駆け上がり、猛烈な快感を伴いながら深く切れ込んだ鈴口から噴き上がっていく。

 

 施療室に一気に独特の匂いが充満する。

 男たちの汗と、唾液と、精汁の匂いが、濃厚にブレンドされていく。

 

 村岡の腹に飛び散った汁を舐めとる山崎。

 野村医師のものは宮内が、田畑看護師のものは村岡が、それぞれ飲み込みたくなる衝動をなんとか堪え、そのたっぷりとした汁を己の唾液と混ぜ合わせていた。

 

 6人の顔が、上下、いや、左右とも言える方向から3人ずつ、寄り添っていく。

 互いの唇が相手を求め、その舌を差し出すものは口中に汁の無いものだった。

 じゅぶじゅぶ、じゅるじゅるとした音を伴い、3人分の雄汁が混ぜ合わされ、互いの口中を何度も往復する。

 山崎や西田にとっても、すでに慣れ親しんだ味と匂いであった。

 

 それでもこれほどまでに激しい交わりでの経験はまだまだ少ない男たちである。

 堪能した雄汁をそれぞれがやっと飲み込んでいく。

 その姿もまた、山崎や西田、宮内や村岡、医師達にとっては興奮する光景なのだ。

 

「すごかった……。玉井先生のところのはまた別として、こんなに繋がったままにイったのは、初めてでした……」

「俺も、もう、最後はなにがなんだか分からない具合に興奮してしまって……。宮内さん、その痛かったりは無かったですか?」

「とんでもないですよ、西田さんっ! 俺も最初から最後まで、感じっぱなしでした!」

 

 ごろりと仰向けになった男たちは、自然と放射線状の形となっている。

 頭を中心に向け、足を投げ出した男たち。

 とても医療現場の光景とは思えないものではあるが、医師達はまた、その本分を忘れてはいないようであった。

 

「さすがに今回のセラピーは私も疲れました。しかしその分、皆さんの快感も深かったのではと思ってます」

「深いなんてもんじゃないですわいな。若い頃にはけっこう複数でもやっとりましたが、今日みたいなのは初めてでしたよ、儂も」

 

 医師の言葉に村岡が即座に茶々を入れる。

 

「まあまあ、村岡さん。もっとすごい計画もありますし、その前に次回のセラピーのことも話しておかないといけないので」

 

 田畑看護師がなだめに回る。

 みな、毎回のセラピーの最後に行われる振り返りモードへと切り替わったようだ。

 もっとも男たちは、いまだ汁まみれのままの全裸姿ではあったのだが。

 

「田畑君が言うように、今回のセラピーは2回セットで考えてます。

 今日は西田さんと山崎さんが挿入側でしたので、もうお分かりとは思いますが次回はその立場を村岡さん、宮内さんと逆になってもらいますので」

「逆って、俺たちが西田さんたちの尻に挿れる側になるってことですよね?」

 

 すでに理解はしているはずではあるが、宮村が改めて野村医師へと確認を行う。

 

「そうです、宮内さん。皆さんにそれぞれこれまでのセラピーでお話しはしてきてると思いますが、次回予定の、村岡さん、宮内さんが挿入側、西田さん、山崎さんが受動側、というプレイをこなすことで、これでここにいる全員が受け攻め双方が可能な状態になるというわけです」

 

「ああ、そう考えると、なんだかわくわくしますね。そうか、私や西田が尻に挿れてもらうのを楽しめるようになると、もう全員が全員で色んなことをやれるようになるのか……」

 

 理屈から言えば当たり前のことではあったのだが、今日のセラピーを通して初めて『男の尻の良さ』を知った山崎だった。

 その感慨は実体験を伴ってこその、今日にして初めて『腑に落ちた』ものとなったのだ。

 

「ああ、ホントにそれは楽しそうだ。そこがクリア出来たら、もうある意味、治療ってのを取っ払っても、みんなで色々楽しめるようになるんですよね!」

 

 西田の声が若干うわずっていたのは、6人の男たちがそれこそ一つの肉塊となって盛り合う様を想像していたに違いない。

 あれほどにすさまじい吐精を2度繰り返したはずの西田の逸物が、再び鋭気を取り戻し、天を睨み付けるように勃ち上がっていたのだ。

 

「ああ、儂も次回が楽しみですわい。こりゃ、もうホントにインポなんてのは言っとられんですな」

「え、もうとっくに治ったもんだと思ってたんだが、これ以上元気になるって言うのか、昭一は?」

 

 村岡と宮内の漫才のような会話に、笑う男たち。

 

「さて、皆さん。そろそろシャワーでも浴びましょうか。

 もう全身汗と雄汁でべたべたですよね。

 あ、時間が大丈夫なら、風呂場でみなさんもう一発とか、ダメですかね、先生?」

 

 田畑看護師が、自分のなだめの効かない逸物を握りしめたまま、男たちに声をかける。

 

「もちろん大賛成だよ、田畑君。

 そうだな、今度はみな立ったままかがんだ相手に尻をいじられながら、しゃぶって抜いてもらうとかは。

 立ったままでの、あの膝が崩れるような射精感も、1度味わうとやみつきになるしなあ」

 

 看護師と医師、田畑青年と野村院長の2人がとんでもないことを言い出した……、とはこの男たちの中には無い概念のようだ。

 新たなる快感の獲得のため、いそいそとシャワールームへと向かう男たち。

 

 2度3度の射精など、すでに『当たり前』になった男たちの背中が、浴室のドアの向こうへと消えていったのだった。