オナ禁の攻防 明友大学2回生鹿屋正信の挑戦

その5

 

その5 最終日 オナ禁の果て

 

「やーっと最終日だな、鹿屋。あと3時間頑張れば、晴れの射精解禁って奴だ」

「ああ、俺、頑張ったよな。俺、頑張ったよな」

「最初の頃は、ちょっと馬鹿にしてた気持ちもあったけど、それでもマサ、お前、やっぱりすげえ頑張ったと思うぜ。特にツグオのアレ受けて、最後までイかなかったって、俺、正直今でも信じられないもん」

「ああ、あれはすごかったな。前立腺責めや手での亀頭責めが、天国かって思うぐらい、ホントにすごかった……」

 

 鹿屋正信のオナ禁宣言、その開始日から数えて7日目、土曜日の夜となった。

 いつもの9時スタートの少し前の時間か、今日はまだ鹿屋の含め脱いではいない。

 会話に出てきた、水曜日のあの1対3の責めよりも凄まじかった責めとは、いったいなんなのか。

 それは最終日の本日から見れば、一昨日、昨日の夜の流れの中で鹿屋正信が味わった、これもまた究極の快楽の一つであったのだ。

 

 一昨日、五日目の木曜日には、肩こりやマッサージ用の強力なバイブを逸物に当てられ、振動だけで射精寸前に至るという責めが幾度も繰り返された。

 3時間の中で何十回もの射精直前までの昂ぶりと、一切の刺激を停止され、納まった滾りが再びバイブの振動で増幅される。

 それはローターの比では無い、強力な振動にのみよって与えられる、これもまた『肉棒の扱きを必要としない』情欲の発露方法なのであった。

 

 だがバイブを使った責めは、少し詳しいものであれば男女もののAVなどでもよく見る構図のものではあった。

 鹿屋が言う『ツグオのアレ』は、昨日、五日目である金曜夜に、この203号室で繰り広げられた、まさに『性技の饗宴』とでも言えるものであったのだ。

 

 昨夜、やはりこの部屋に集まった4人の男。

 部屋の主、鹿屋正信の一週間前の宣言により、本人の言う『オナ禁』、実際には『性的な刺激を受け続けながらの射精禁止』に巻き込まれた友人3人は、この7日間に自分達で考案した様々は性的悦楽の獲得を目指していくこととなった。

 

 2日目にしてすでに互いの裸を気にせぬように、あるいは乳首を舐め、肉棒を握り、尻穴を弄ることが次々と禁忌を破られていったのだ。

 いや、本人達の中ではそもそも『禁忌』という概念すら無く、たっだひたすらに『気持ち良さ』『射精へと繋がる性的快感』を追求してきただけではあったのだが。

 

 そうして迎えた昨夜は、やはり十島の仕切りから始まったのであった。

 

「もう明日で最後だけど、今日は鹿屋君に、これ、試してみたくって」

 

 なんだなんだと顔を寄せる3人の前に、十島が差し出したのは白い端正に畳まれた布と、こちらも真っ白なスポンジだった。

 もう少し、ローターやバイブを経験したものたちとしてみると、電動系のグッズなどを期待していた部分もあったのだろうが、実際の物品としては、あきれるほどに簡素なものなのだ。

 

「なんだこりゃ? 晒し? ガーゼ? あと、こっちはスポンジだよな……。これで十島、いったい何をどうするってんだよ?」

 

 分からないことは聞く。

 当たり前の行動を宇検が取る。

 

「うん、分かんないよね、普通は。でもこれね、たぶん、これまでやってきた中でも、とびきり気持ちがいい、というか、ここまで頑張ってきた鹿屋君でもダメかも、って思えるほどのものだと思ってるんだ」

 

「まあ、いつもの通り、やってみるのが一番早いし、分かりやすいと思うから。この前の前立腺責めのときと同じ感じで、鹿屋君は寝っ転がってくれるかな。

 そして、宇検君と曽於君は、やっぱり両脇にスタンバイして。

 あ、でも今回は最初はたぶん鹿屋君の逃げようとする動きがものすごいことになると思うんで、乳首や脇腹を、というより、とにかく鹿屋君の身体が逃げ出さないようにすることに力を集中してほしいんだ」

 

 いったい、何のことだ。

 その疑問は3人の頭の中で渦巻くのだが、この間の十島の知識と計画には絶大な信頼を寄せているのも、また彼らなのである。

 こいつの言う通り、十島の言う通りにしておけば、人生これまで味わったことの無いほどの快感を共有出来る。

 その確信があるがゆえに、疑問を持ちつつも、その指示に従う男たちであった。

 

 四日目の前立腺責めとは違うのは、アナルへのアプローチを保障していた膝を立てる体位を取らせず、鹿屋の足を開かせそこに身体を入れ込んだことは同じであっても、そのまま伸ばした足の上に、十島が自分の足を乗せ、下半身でのロック体勢を取ったことだ。

 

「用意するのは簡単なんだ。スポンジはたぶん合う合わないが大きいと思うけど、手のひらでの亀頭責めが効いた人には、こっちがもっと感じるかと思ってね……」

 

 部屋主の鹿屋から借りた皿に、たっぷりとローションを注ぐ十島。

 通常の手に垂らす分と考えればあまりにも多いその量が、3人の興味を惹く。

 

「そのローションと、晒しみたいな布で、なにかやろうってこと?」

「うん、その通りだけど、これ、晒しじゃ無くて、少しだけ目の粗いガーゼなんだ」

「ガーゼって、保健室や病院の、アレ?」

「それそれ、あのガーゼ。こいつをいい感じの大きさに切って、鹿屋君のために持ってきたんだよね……」

 

 いまだに何が始まるか分からぬ3人である。

 それでも十島の必ずや悦楽の境地に連れていってくれる、その期待値が減ずることはまったく無かったのではあるが。

 その期待は、全裸で臨んでいる3人の逸物、そのすべてが天を指して立ち上がり、鹿屋にいたってはすでに先走りの垂れ流し状態であることからも明らかだった。

 

「宇検君、曽於君、しっかり押さえておいてね。鹿屋君は、変な話だけど、最初だけは、歯を食いしばってたがいいかもしんない」

 

 十島が両手に持ったガーゼを皿に溜めたローションに浸す。

 全体がローションの海に浸かり、ぼとぼとと流れ落ちるほどの量がガーゼの白さに絡め取られていく。

 

「じゃあ、行くよ、鹿屋君」

 

 十島の両手が手にしたガーゼを広げ、その面積は鹿屋の股間、逸物全体を覆うほどのものとなる。

 皺にならぬよう伸ばされた表面が、見事に勃ち上がっている鹿屋の亀頭へとぴたりと当てられた。

 そして十島の両手が布圧としてのテンションを保ったまま、鹿屋の亀頭表面を白いガーゼをぬるりと滑らせるとーーーーーーー。

 

「ぐああああああああああっ、があああああっ、あがっ、あがあああああああっ!!!!」

 

 先日の前立腺と同時の亀頭責め、乳首責めのときよりも、はるかに強い、鹿屋の叫び声だった。

 ばたばたと手足を激しく動かし、いっときも早くその責めから逃れようと、鹿屋の肉体が本能的とも言えるほどの動きを呈する。

 一応の備えをしてはいたものの、まさかこれほどまでの激しさとは思っていなかった曽於と宇検が、慌てて鹿屋の上半身を押さえつけた。

 男3人で押さえても抑えきれぬほどの、鹿屋の体動の激しさ。

 それはもはや、暴れる獣を押さえつけるようなものにすら見えたのだ。

 

「があっ、がああああああっ、だっ、だめだっ、それっ、それっ、ぐああああっ!!!」

 

 何が起こってるのかすら分からぬ宇検と曽於の2人。

 十島の手元は、両足と肘で鹿屋の下半身の動きを制しながらも、ただゆっくりと亀頭表面をガーゼを一定の速度で動かしているだけなのである。

 

「それ、そんなにすごいのか、ツグオ……」

「うん、手のひらの亀頭責めだとどうしても皮膚が亀頭粘膜に触れる部分と触れない部分が出ちゃうけど、これだとそれがほとんど解消されて、あの刺激が定量でずっと続くことになるんだ。

 2人とも、ローションの亀頭責めはもうやられたから、あれがまったく途切れずに延々続く、しかもそれがものすごくゆっくりやられちゃう、って想像してもらえるといいかな」

 

 どこか寒気がするほどの十島の話であった。

 じっくりと延々と、終わることの無い粘膜への刺激。

 手のひらによるそれでは『緩急』が重要になるのだが、ここでは『恒常性』が担保された技へと変化している。

 そこで受け主が感じるはずの快楽快感は、2人にとってもなんとなくの想像はつくものの、実体験が未習であれば、驚くしかないものであった。

 

 どれほどの時間が経過したのか。

 ゆっくりと動かされる白いガーゼ。

 その動きが遅ければ遅いほど、もしかして責められる側に取っては苦痛とも思えるほどの快感が打ち込まれているのでは無いか。

 己の腕の中でなんとか逃れようと動く鹿屋の肉体、その動きを感じながら、曽於と宇検も考えていた。

 

「あっ、あがっ、ぐっ、うああっ……」

 

 鹿屋の肉体、その動きと喉から迸る雄叫びが弱ってきたのは、けして快感の量が減じているわけでは無かった。

 跳ね返す動きが、大声を上げる体力が、あまりの快感の奔流に押し流され、その限界をすら迎え始めていたのだ。

 

「最初はこのくらいにしておこうか、鹿屋君……。しばらくは声も出ないかもだけど、ごめんね……。でも、僕、鹿屋君にとにかく気持ちよくなってもらいたくて……」

 

「あっ、あっ、と、十島くん……。これ、これ、すごすぎる……。体力全部持ってかれるぐらい、すごすぎるよ……」

「でも、感じてくれたみたいだよね、よかったかな、こんなのさせてもらって」

「ああ、やばいけど、やばすぎるけど、もう俺、またやられたくなってる。大吉やケンゴに押さえつけられながら、またやられたくなってる……」

 

 逃げようとする肉体と、求めようとする心と。

 これはまた、えらいやり方を持ってきたものだと、宇検と曽於が、さらにさらに、十島を見る目を変えていく。

 

 昨夜はそれから全員がこの『ローションガーゼ』の究極の快感を味わうことになった。

 スポンジもまた、同じ理屈で用意されたものではあったが、繊維としての固さが独特の快感を生みはするものの、『刺激の連続性』『広い面積の同時刺激』という点において、若者達はガーゼの方がお気に召したようだ。

 

 そして、日付も変わり、いよいよ鹿屋の『オナ禁』最終日の今日、土曜日の夜を迎えた4人であった。

 

 

「いよいよかあ……。確かに鹿屋も頑張ったけど、俺たちもかなり色々やってきたよな」

「ああ、なんたってツグオの働きはすげえって思ったけど、ダイキチ、お前も途中から、なんか変わった気がしてるぞ、俺」

 

 曽於の思いはなぜかこの一週間でどこか素直になってきた、宇検の変化を認めるものだ。

 

「へっ、そうかいな。俺、自分じゃ分かんねえけどな」

「まあ、そこらへんはおいおい……。って、ツグオ、ホント、鹿屋のこれヤり始めてから、お前のことすげえなって、ごめんだけど今頃見直したぜ。あ、これこの前、ダイキチも言ってたとは思うけど……」

「そんなこと無いよ。なんか前に読んだ本で、こんなこと書いてあったなあとか、そんなの思い出しながら用意してたら、自分もはまっちゃって」

 

 恥ずかしそうに言う十島、そこだけを見ていれば一週間前となんら変わらぬ男がそこにいるのではあるが。

 

「ふむふむ、十島君も大吉も、きっとそれは良い方向への変化であって、それを導き出したのは我が輩によるオナ禁宣言であるわけであるので、そこはそう、この我が輩を崇め奉らんかね、諸君」

「あーもう、それいいってマサ。そこまでやられると、ちょっとウザい」

 

 曽於の突っ込みにペロッと舌を出す鹿屋は、相変わらずの性格のようだ。

 

「で、最終日か、十島、お前、今日はなんか考えてんのか? それとも、鹿屋の方で、こんなのがしたい、やられたいとかあれば、お前がヤり始めたんだから、そっち優先とも思うが」

 

(あー、このあたりが、俺が『宇検が変わったな』って思ってるとこなんだけどな)

 

 口には出さぬが、曽於の思いはこういうことだ。

 十島や鹿屋の、おとなしかったり軽いノリではあっても、そのどこか奥底に芯が1本通っていることを理解した、宇検なりの敬意の表れであったのだろう。

 

「うーん、まあほら、俺はここまでみんなのお任せできちゃったし、特別には無いかな。これまでやられたことの繰り返しでもいいし、延々扱かれるとか、そういうのでもさ。ただまあ、やっぱり、なんとか3時間乗り越えて、最大に気持ちいい射精ぶっ放したいってのが、一番だから」

「それ、ここまでやってきてて、最後の3時間とか意味あるんか? 溜まってる、って意味ならもう充分過ぎるほどに溜まってるだろうし、こっからの3時間で、逆に俺たち使って何発連続射精出来るか、とかでもいいんじゃないのか?」

 

 ある意味、合理的な曽於の提案ではあるのだが、鹿屋としてみると不満なようだ。

 

「ま、こっから最初に7日間って決めた俺の意地だと思ってくれ。もちろんお前らを巻き込んぢまったっては思ってるから、最後にお前らにそっぽ向かれて、俺一人で自分のチンポ扱きながら3時間を過ごすってのも、最終的にはアリかと思ってるし」

「馬鹿は相変わらずだが、まあ、そういうとこも、俺、きらいじゃないかな」

 

 あ、やっぱり宇検の奴、と思う曽於であった。

 

「その、ちょっとこれは、僕がやりたいだけのことじゃあるんだけど、いいかな?」

 

 おそるおそる、といったふうに切り出す十島。

 

「十島君の提案、これまで全部気持ちよかったじゃん。オナ禁宣言してなかったら、もう一日何発イってたか、分かんないぐらいだったと思う。何かあったら言ってくれよ」

 

 皆の視線が十島に集中する。

 

「その、こんなこと言うと、変な目で見られたり、気持ち悪がられたりするかもしれないんだけど……」

「チンポ扱き合って、精液飛ばし合って、今さら何が気持ち悪いだよ、十島」

「そうだぞ、ツグオ。ツグオの乳首もしゃぶってるし、金玉も揉んでるし、チンポしごいてイかせてるんだぜ、俺たち」

 

「……………………」

 

「言えよ、ツグオ。この一週間のお前、俺、すげえカッコいいなって思って、見てたんだぜ」

 

 曽於の言葉が後押しになったのか、十島が口を開く。

 どんな言葉が、いや、どれだけいやらしい、どれだけエロい言葉が、提案が出てくるのかと待ち構える三人の男。

 それなりに経験のある曽於などは、うっすらと『男と男だと、ケツのことかな』などとの思いもあったようだ。

 

「これまでさ、服の上から、オナホで、直に握ってしごいて、乳首しゃぶって、金玉揉んでとか、色々やってきたけど……」

 

 けど?

 三人の耳がダンボの耳になる。

 

「あー、気持ち悪かったら、みんなごめんね。僕、鹿屋君の、いや、曽於君も、宇検君も、そのみんなのチンポをしゃぶりたいんだ。握って扱いて、イかせるだけで無くって、自分の口の中でしゃぶって、舌で舐めて、そして気持ちよくなってもらって、そしてそして、出してもらった精液を、自分で飲んでみたいんだ!」

 

 最後は悲鳴のような、十島の告白だった。

 咳き一つ聞こえない、203号室。

 

 誰からの返答も無い。

 答えを与えてくれない。

 

 十島の目が半泣きになったそのとき。

 

「なんだ、そんなことかよ……」

「ああ、なんかこう、もっと変態的なこと言い出してこないかって、ちょっと期待してたんだけどな、俺」

「んだんだ。てっきり前立腺もあれだけ刺激させてたわけだし、みんなでケツ使ってやりあおうとか、そういうのかと思ってわ」

 

 気が抜けたように、どこかおもしろいことが始まったかのように笑う三人。

 一人、十島だけがへなへなとへたり込んでいた。

 

「み、みんなびっくりしないの? 僕、チンポしゃぶって、精液飲ませてって、すごいこと言ってるんだよ??」

 

「うーん、十島の『すごいこと』と、俺らの『すごいこと』が、どっかずれてるんだろうなあ。つか、全然構わん、っていうか、俺も言おうかな、みんなでしゃぶり合おうぜ、とか言おうかなって思ってたとこだぞ」

「えっ? えっ? ええっ?!」

 

「あ、そこらへん俺も。つか、最終日、ここまで来たらみんなにしゃぶってもらって、それに耐えてこそのオナ禁か、ぐらいに、俺、思ってたんだけど」

「俺も一緒だ。まあしゃぶるとなると、ツグオのデカいのが一番大変そうだし、その分、旨そうだし、とかも思ってたけどさ」

 

「あっ、あっ、僕、なんか恥ずかしいこと言った?」

「だから全然恥ずかしくも、気持ち悪くも無いんだってば。ここまでやってきて、口使って無い方が、順番からしてもおかしいだろ? 俺、十島君に、尻の中くじられて、もう全然気持ちよかったんだぜ」

 

「でも、でも、……」

 

「ああ、もうめんどくせえなあ。おい、十島、いや、継男。お前が思ってたことって、俺たち全員が『そうしたい』って思ってたことなんだよ。みんなして、みんなのチンポしゃぶって、何十回って出した精液飲みたいって、みんなそう思ってんだよ。だからもう、うじうじすんのは終わらせろ。おら、最後の夜だ、みんなでしゃぶり合って、みんなで飲み合って、打ち上げってことにしようぜ」

 

「なんか、ダイキチがいい感じのこと言ってる」

 

 笑いながら呟くのは曽於健吾。

 

「ま、オレ様はとにかく3時間頑張って、日付変わった瞬間にぶっ飛ばすので、そこんとこよろしく!」

 

 相変わらずのノリの鹿屋正信。

 

「じゃ、始めるぞ。最後ぐらいは俺に仕切らせろ」

 

 十島を笑いながら見つめる宇検大吉。

 

 自分の取り越し苦労が笑い飛ばされている。

 やっとそう認識出来たのか、十島の目には涙が溜まっているようにすら見えた。

 

「おっし、脱げ脱げ。素っ裸で、絡み合おうぜ。ま、前立腺はほぐしてもらったの鹿屋だけだから、そっちは今後の訓練次第って奴だな」

 

 続々と裸になる男たち。

 

 ぽっちゃりした色白の、十島継男。

 ガチムチガッチビの、鹿屋正信。

 がっしりがっちり、臍からは毛深い、宇検大吉。

 4人の中では一人だけ細く見える、曽於健吾。

 

 とりわけその肉棒の巨大さで目立つのは、十島継男だった。

 

「ま、やっぱり鹿屋が最初だよな。いつものように横になれよ。俺たちが天国に連れてってやる。そんかわり、12時前にイっちまっても泣き言言うなよ」

「おっしゃ、挑戦受けて立つ! って、もうおっ勃ってるけど。ここまで堪えて、耐えてきたんだ。3時間なにするものぞ、いざ、鹿屋正信、最後のオナ禁に参るっ!」

 

 くすくすと笑いながら、横たわった鹿屋正信に群がる男たち。

 股間は『しゃぶりたい』との十島に任せ、宇検と曽於が、まずは乳首を担当するようだ。

 たっぷりと用意されたローションを左手に取った十島が、鹿屋に声をかける。

 

「鹿屋君、前立腺とぼくのしゃぶり上げと、同時に責めるんで、頑張ってね」

 

 にっこりと笑った十島が、その顔を鹿屋の股間へ、指先を尻肉の間へと沈めていく。

 

「んんっ、んんんっ、あっ、あっ」

「初めてチンポしゃぶられたら、そりゃ、声も出るよな。俺たちも後からじっくりやりあおうぜ。じゃ、家禄、ケツとチンポと乳首と、全部の快感、味わいな!」

 

 宇検とともに、その舌と唇、歯を駆使し始める曽於。むっちりと張った鹿屋の胸筋の上、二人の唇はタイミングを合わせ、その唾液の交換すら始めてしまう。

 

「あっ、あっ、すげっ、すげっ、で、でも、なんでだっ、俺っ、もうイきたくなってるっ、十島君に、チンポしゃぶられてっ、もうイきたくなってる!」

「お前なあ、これまでも俺らがお前がイく前に寸止めしてたってのは分かってんだろ? だったらもう遠慮いらねえよってなったら、すぐにでもイっちまう、当たり前じゃねえかよ」

 

 乳首をこりこりと指先で弄りながら、鹿屋の脇下を舐め上げる宇検。

 その舌の動きもまた、ぞくぞくとするような悦楽を鹿屋の全身へと送りこむ。

 

「やだっ、もったいないよっ! 俺っ、俺っ、一週間頑張ってきたのにっ、イきたくないっ、まだイきたくないよっ!」

 

「って、天下の鹿屋君が言ってるけど、止める、十島君?」

 

 曽於の質問に、一心不乱に鹿屋の逸物をしゃぶる十島が、ふるふると顔を横に振る。

 もはや一秒でも早く、その雄汁を飲みたい一心になっているのだ。

 

「だってよ、マサ。もうあと2時間とか言うのはあきらめな。俺たち三人がかりでお前さん一人イかせられないなんての方が、よっぽど恥じなんでな」

「待ってくれっ、待ってくれよっ、ダメだっ、まだっ、まだっ、あっ、でもっ、上がってきちまうっ! 汁がっ、汁が上がってきちまうっ!」

「ええい、うるせえな、もう。めんどくせえ、俺が口塞ぐから、もう黙ってイっちまえ。十島に、たっぷり一番絞り、飲ませてやるんだぞ!」

 

 なんと、宇検が鹿屋の上体にのし掛かるようにして、その唇を奪う。

 本人も無我夢中ではあるのだろうが、差し込まれた舌先が口中を這い回る様は、鹿屋にとっても初めての、そして強烈な初体験だった。

 

「んんーっ、んんんーーーっ、んんっーーーーーーーー!!」

「よしっ、イけっ、マサっ!! イけっ、イけっ、イっちまえっ!!!」

「んっ、んっ、んんーーーっ、ん、んんっ、んんんっーーーーーーーー!!!」

 

 曽於の乳首責め、宇検のキス、十島の尺八と前立腺責め。

 そのすべての悦楽を、すべての快感を味わい尽くし、一週間溜めに溜めた、鹿屋の男としての精髄が、打ち上げられていく。

 ごくごくと、零すまいと必死に飲み上げる十島は、自分もまた扱きもせずにその肉棒の先端から白濁した液を垂らしている。

 幾度もの律動が、やっと終わりを迎え、虚脱したかのような鹿屋の顔の前で、三人の顔が寄り合うことになる。

 

「へへ、鹿屋の精液、俺たちにも分けてくれよ、十島。そう思って、お前も口に溜めてんだろう?」

 

 こくこくと頷く十島が、2人の唇に濃厚な汁を分けていく。

 

 気を失ったような鹿屋。その願いは最後の最後に砕け散ったが、おそらく『最高の射精を』という願いだけは、この3人の口と、手と、そして心と身体で、果たされていくことだろう。

 

 まだ夜は早い。

 長い長い夜は、ここからも続くのであった。