第4章 男になるとは
俺達は西村先輩のアレが大きさを増し、褌の前布から亀頭の部分が顔を出しているのを目の前にした。
親父さんは俺達にもっと近くに来て見るようにと手招き、学校の先生が授業をするように話し出す。
「お前達に聞く。
何も恥ずかしいことは無いのだから正直に手を挙げろよ。
朝、起きたときに、自分のちんこが普段より硬く大きくなっていたことがある奴はいるか?」
みんな最初はどうしようかと周りをキョロキョロ見ていたと思う。何人かが思い切って挙手すると、それに安心したのか、俺を含めて最終的に全員が手を挙げた。
「お前達の年なら、全員の手が挙がって当たり前だ。もし自分のちんこが大きくなった経験のない奴は、それは病気だからすぐ医者に行った方がいい。」
親父さんが優しい顔のまま、質問を続ける。
「次に、朝だけではなく、昼間とか夜とかにもちんこが大きくなったことがある奴。」
これもほぼ全員が手を挙げた。
「なぜちんこが大きくなるか、訳を知ってる奴は?」
これはほぼ半数。俺も含めて。
「ほほう」
俺達の答えに一声唸ると、親父さんは何と自分の赤い褌をするすると勢いよく解いて、生まれたままの姿を俺達に曝け出した。
親父さんのちんぽを間近に目にした俺達。
「わぁっ。」だの「おおっ!」だのと、あちこちで声が上がる。
「それでは、どうやったらちんこを自分の意思で大きくできるか、知っている奴は?」
その問いに対しては、西村先輩とあと三人の中学生がおずおずと手を挙げた。
「ほら、俺は褌をとってみんなに見せたぞ。達也も恥ずかしく無いだろう。
これからおれのちんこをお前と同じようになるように、自分で大きくして見せるからな。
そうすれば、男として、それが自然なことであり、恥ずかしくも何ともないことがみんなにも分かってもらえるだろ?
自分だけじゃなく、誰でもみんな、ちんぽがでかくなるしってな。」
先輩はそれを聞くと、安心したようにゆっくりうなずいた。
「じゃ、いいな、みんなにお前のちんぽを見られても。」
親父さんは俺達の方に向くと、自分のちんこを握って、最初はゆっくりと上下に扱き始めた。
みんな固唾を飲んで見守っている。
親父さんのちんこ。初めて見るわけではない。
丁度自分の父親とかが素っ裸で風呂に行くときみたいに、親父さんの男の部分も磯では自然に目に入っていた。俺達の目の前で褌を締めたり解いたり、立ちションなんかもしていたからだ。
だが、こんなに間近で成熟した男、まさに男盛りの男根をまじまじと見たことはなかったし、しかも自分でそれを扱いている姿など、誰にとっても初めての経験だったのだ。
俺達は目を見開き、本物のせんずりの生中継を体験していた。
親父さんのそれはいかにも使い込んだように、ごつく太く、短めではあるが、さすが大人のモノであった。
驚いたのはその亀頭の張り具合で、俺達のようにまだ皮被りか、またはやっと少しずつ先っぽが露わになり始めたばかりのちんこに比べると、親父さんの照り輝く鰓の大きく張った赤黒いモノは、実に眩しくさえ見えた。
それは扱かれる度に体積を増し、膨らみ、のたうち始めた。
親父さんは、真剣な表情で無心に、しかし、優しく丁寧に扱いた。
ちんぽの皮が亀頭の鰓の辺りを行ったり来たりするうちに、さらに親父さんのそれは固くなり、血管が浮き出てきた。
「す、すげえ。かっこいいなあ。」
誰かが呟いた。
俺もそう思っていた。
「かっこいい」って、この自然の中の雄の生命力を表現するには、それしか思いつかなかったのだ。
みんなもそれがぴったりな表現だと言うように、親父さんのせんずりを頷きながら見ていた。
「本当だ、親父さんかっこいい。」
西村先輩がぼうっとした表情で呟いた。もう勃起した自分のちんぽを隠したりしていない。
むしろ、親父さんと一緒にちんぽが勃起しているという状況に、安心感と何だか男同士の連帯感のようなものを感じているようだった。
雄としての機能が自分にも備わっていることを、先輩は誇りにさえ思ったのではないだろうか?
親父さんは西村先輩にニッコリ笑いかけた。それはもちろん、「お前も扱いてみろ」という意味であることを、みんなが理解した。
「親父さん、ちんぽをそんなふうに扱くとどんな感じなんですか?」
誰かが質問をする。
未体験の男なら、誰もが知りたいことでもあった。
親父さんは何も言わずに、自分のちんぽを指さした。西村先輩に向けてゆっくりと頷く。
「見てると分かるさ」
西村先輩も赤く火照った顔になると、親父さんと同じように自分のちんぽを握って扱き始めた。
親父さんと先輩は向かい合う形になり、互いのちんぽの先が触れ合うくらいまで近づき、まるで見せ合いをするように、ずるずると扱いている。
その姿はまさに男の世界、というしかなかった。
原始的で、野生的で、しかも官能的な風景であった。
みんなが興奮していた。
うっすらと、何となく知っていた行為が、目の前で行われている。大人のそれを、実際に目の当たりにして、とにかくドキドキしている感じだった。
「せんずりって知っとるか?」
思春期の男同士で交わされる、たわいない会話。
今、目の前で、大の男が、懸命にちんぽを扱いて見せてくれている。
それに応えて、少年(西村先輩)もまた、衆人の前でのせんずりという、初めての試みをしているのだ。
何だかとても神聖な一場面を見ているようで、俺は知らぬ間に瞳の端に涙を浮かべていた。
官能とともに、感動していた。
二人の呼吸が荒くなってくる。
親父さんの手の動きも速くなった。
「いいか、気持ちいいか?
わしはもう出そうだぞ。先に出していいか? あ、ああっ、いい!」
いつもの親父さんの声ではなかった。うわずったような、動物が吠えるような、そんな声だった。
西村先輩はうなずき、
「親父さん、先に出してください。俺は何だか緊張してうまく出せないかも。」
親父さんにすまなそうに呟いた。
「構わん、ゆっくりやれ。わしはもう我慢できん。
おおっし!
みんな、見とれ。これから男が金玉で作った汁を出してやるぞ!」
親父さんの額に汗が浮かんでいた。
うっ! と唸ると同時に、親父さんのちんぽの先がぱっくりと開き、白くてねばねばした液体が飛び出してきた。
二度、三度。
リズムを刻むように震えて、ちんぽが揺れた。
ぼたぼたと落ちるその汁を、親父さんは自分の赤褌の上に垂らした。
真っ赤な色に白い汁が鮮やかだった。
親父さんはまだ荒いままの呼吸で、出したばかりの自分の液体を俺達に回して見せた。
「これが子どもの元になる男の汁だ。触って、匂いを嗅いでみろ。」
いたずらっ子のような表情で、親父さんは汁にまみれた赤い褌をみんなの顔に近づけた。
中には「ひゃあ!」と言って後ろに退いたやつもいたが、経験がある奴と興味ある奴は言われたように鼻を近づけて匂いを嗅いだ。べっとりとしたそれを、人差し指と親指で摘むように触った。
順番に、順序よく。
初めて遭遇する命の源。
生命って不思議だ。こんな匂いの、こんなベトベトするものから人間ができていくのだ。
みんなは何も言わなくなった。
静かだった。
それぞれが、自分のこととして真剣に考えていることが分かった。
自分の体の中でも、これが作られるのだ。
みんなが残された西村先輩の方を見た。
先輩は依然として何とか射精しようと、ちんぽを必死にしごき、悪戦苦闘していた。
俺は何故か可笑しくはなかった。むしろ、先輩に頑張れと声をかけてあげたくなった。
みんなも同じ気持ちだったのだろう。誰一人として、自分のちんぽと格闘している先輩を笑うものはいなかった。
親父さんが俺達に言った。
「いいか、射精するということはとても大変な行為なんだ。体力をかなり消耗するし、鮭の雄なんか射精した後、命が尽きて死んでしまうこともあるんだぞ。
精を出すというのはな、尊い命を繋いでいく行為だ。愛する行為だ。だけど、とても気持ちがいいものでもあるんだぞ。
だから、せんずりは悪いことではないし、恥ずかしいことでもない。だけど、大切にするんだぞ。」
親父さんが雄汁がべっとりついた赤褌を西村先輩のちんぽの先にあてがって、さっき出したばかりの親父さんの精液を先輩の先っぽに塗り付けた。
西村先輩がびっくりしている。
「驚くな。
精液というのは小便と同じで、汚いもんじゃない。同じようにちんぽの先から出るけど、べとべとぬるぬるはしてるがな。
さあ、わしの汁で滑りを良くしたから、これで気持ちよくぶっ放せるはずだぞ。
ほら、わしが手伝ってやるから、リラックスして思い切りぶっ放せ。」
親父さんは、西村先輩の背後に回り、後ろから手を出して先輩のちんぽを握りしめた。
自分の精液を先輩の亀頭や括れたあたりに伸ばし、ぬるついた手のひらで包むようにちんぽを扱いた。
「ああ、親父さん。す、すごく気持ちいいです。」
西村先輩がたまらず声を上げる。
初めて他人の手でしごかれる、あのとてつもない快感。
当時は分からなかった先輩の気持ちが、今の俺にはよく分かる。
「自分でかくより、人にやってもらう方がいいだろ?」
親父さんが先輩の耳元で囁いた。
「そら、達也の金玉が上がってきたぞ。みんな見てみろ!」
俺達は先輩の金玉を見つめた。たしかにぐっと位置が上になってきている。
柔道で鍛えた先輩のぶっとい足が、ぶるぶると小刻みに痙攣し始めた。
「もう、我慢できないだろう。そら、出すところ見せてやれ。」
親父さんはこれで最後だと、先輩のちんぽを握った手で、大きなストロークを繰り返した。
「ああ! 親父さん。で、出ます。出るよ。出る!」
先輩の雄叫びと同時に、勢いよく白い汁が噴出した。
先輩の精液が、顔にかかった者もいた。それでも、誰も嫌な顔をしなかった。
俺達の中には、むしろ清々しいというか、見ていた者達にとっても何か一仕事終えたような達成感さえ漂っていたのだ。
親父さんは、俺達の身体にかかった先輩の汁を手のひらで掬い取り、ペロッと舐めて見せた。
「はは、やはりうまいもんじゃないが、汚いものではないことがわかったろう。わしはこの匂いが好きだがな。」
親父さんが先輩の精液を舌で舐め取ったのを見たとき、おそらく俺達のほとんどが激しく勃起していたんだと思う。
その証拠に、みんな、しばらく立ち上がることが出来なかった。
そこに座ったまま、互いの顔を見合わせているばかりだったからだ。
親父さんと先輩の見事な射精と、噴き上げられた雄汁の匂い。
男になるということの、答えのひとつがそこにあった。