血の匂いに惹かれてきたのは山狗(狼の意)でしょうか。
全身を覆う体毛が、足元の血で赤黒く滲んでいきます。
その肉体を余すところ無く蹂躙されている迦具土の前でふと動きを止めた山狗は、自分が疵付けることが出来る場所を一心に探しているようです。
ぐるるるる、と一声唸った山狗は哀しげに首を振り、あろうことか迦具土の成り成りて成り余れる処、黒毛に覆われた股間からだらりと垂れ下がる逸物へと、その舌を伸ばしました。
ぺちゃり、ぺちゃりと、水音が武尊の耳にも届きます。
半身から流れ落ちる血と山狗のぬるりとした唾液が混ざり合った液体は、粘着質にも似た水音を立てています。
萎えていても人の手首ほどもある迦具土の逸物を責め立てるのは、山狗のざらついた舌。
その刺激に容積を増していく迦具土の逸物は、ついに天を指すまでに勃ち上がってしまいました。
武尊の目に映るその光景はたいそうに残酷であり、凄惨ではございましたが、神の肉体から発せられる大地の生命力に満ちたものでもございました。
次に己の目に映るだろう光景を予測し、武尊の心は吐き気がするほどの悍ましさを感じます。
そうでありながらも神の力を間近に浴びる己の逸物もまた、堅く大きく勃ち上がったことを自覚せざるを得ないのです。
そうこうしているうちに、また別の獣が迦具土へと近づいてきます。
火伏岩の陰からひょいと現れたのは、一頭の猿でございました。
おそらくは群れの頭も若い雄に譲り、気性も落ち着いたように思える、背中の灰色の毛に白いものが混ざり始めた老猿にも見受けられます。
どこか諦めの色すらその瞳に宿した一頭の猿は、おそらく何百回も繰り返された作業でもあるかのような歩みで迦具土の血塗れの裸体へと近付きます。
ああ、その長い指をした右手が、隆々といきり勃った逸物の下、たっぷりとした睾丸の一つを手にしました。
己の身が受ける凌辱と苦痛に天を仰ぐ迦具土の唇は、血を纏った歯で噛み締められておりました。
側に控える武尊の目は、その後の光景を想像しながらも、決して己の目を逸らさぬように、食い入るように迦具土の股間を見つめています。
「うがあああっ、あああああああーーーーー」
迦具土の、悍ましいまでの雄叫びが阿蘇の山々に谺します。
山狗の牙が舌での愛撫に聳え(そびえ)きった迦具土の太ましい逸物をぶっつりと噛み千切り、力を込めた老猿の手が、大人の拳程にもなる迦具土の大きな睾丸をじゅぐりと握り潰しました。
その荒ぶる迦具土の慟哭は、動物たちにこのような行いを命じた伊耶那岐神の耳にも届いているはずです。
迦具土の嗚咽もおさまらぬ中、山狗と老猿はその細めた目で武尊をちらりと見やると、迦具土の前から身を引きました。
迦具土の足元にまるで供物のように並べ置かれているのは、噛み千切られた逸物と、潰され引きちぎられ、白いつるりとした表面が血に覆われた迦具土の睾丸でございました。
もうこれで最後であってくれ。
そう願う武尊の思いは、足下から聞こえる微かなざわめきに打ち砕かれます。
思わず下を見た武尊の目に映るのは、まるで一幅の敷物のように地面を覆った、小さな黒蟻の大軍でございました。
伊耶那岐が迦具土を呪った言霊は、どれほどのものだったのでしょう。
足先から迦具土の身体を登りゆく蟻達はぐっしょりと血を含ませた剛毛にまとわりつき、その身体に比して大きな顎が迦具土の肉体を苛み(さいなみ)始めます。
「うぐっ、ぐああ……」
抉られた肉を、ぽっかりと穴が空きどす黒い血を湛えた眼窩を、呻き声を上げる口の中を、千切られた逸物と睾丸の疵痕を、蟻達はその強靭な顎で責め立てていきます。
一つ一つは小さくとも、一瞬にして脊髄を駆け上がる数え切れないほどの痛みが、傷ついた全身のありとあらゆる処から、そして一斉に襲うとしたら。
蟻達のその行為は、熱や炎には強いはずの迦具土の頑健な肉体を、青光る黄泉の炎で焼き尽くさんばかりの痛みを与えていたのです。
武尊の眼前で繰り広げられる凄惨なる拷問とも言える光景は、いかばかり続いたことだったのでしょう。
外輪山、西の峰に日が落ちるまで、もうわずか。
最後に現れたのは大八洲の中でもとりわけ大きな、黒い毛皮にその身を包んだ大熊でございました。
武尊には巨獣のその目に、一筋の涙を目にしたように思えました。
大熊は疵付き、うなだれた迦具土の正面にその大きな身体を起こします。
薄れゆく意識の中、かろうじて巨獣の姿を捉えた迦具土の瞳は、まるで赦しを与えるかのような威厳を持った小さな頷きを、大熊へと返しました。
「ぐおおおおお~ん……」
大地を哀しく震わす咆哮とともに、振り上げられた大熊の丸太のような右腕が迦具土の肉体を激しく揺さぶり、残った肉と骨を切り裂き、砕いていきました。
二発、三発。
繰り返される襲撃に、迦具土の肉が、骨が、血が、臓物が飛び散ります。
ぐったりとうなだれた迦具土の前から最後の獣が去ったとき、未だ崩れぬ立野の峰に、太陽がようやくその身を沈めたのです。
目の前の悍ましい情景に、思わず耳を塞ぎ、目を閉じたくなる誘惑。
それを何度も頭を降って、払いのける武尊です。
迦具土の受ける拷問と凌辱を、おのれの目と耳と、血と臓物の匂いを感じる鼻でも、しっかりと受け止めねばならないことを、武尊もまた理解しています。
中味の無い革袋のように力無く倒れている火の神に駆け寄った武尊が、迦具土の巨体をなんとか支え、火伏岩を背にその肉体をもたれかけさせます。
「武尊よ。お前は私のこの姿を見、悍ましき叫び声を聞き、よくぞ逃げ出さなかったものだ」
「迦具土様の痛みに比べれば、小さき私の心などいかようなものでございましょう。御身を拭わせていただきます。暫しお待ちくだされよ」
日が落ち、あたりは瞬く間に昼の光を失っていきます。
汲み置いていた沢の水に浸した布で、懸命に迦具土の血と臓物を拭う武尊。
幾度も水で濯ぎ、幾度も拭ううちに、迦具土の身体の疵痕が少しずつ盛り上がり、神の霊力にてその肉体を修復していくのです。
ぷつぷつと体液を噴き出し、身悶えするような筋肉と脂肪のうねりと蠢き。
それは傷付けられる肉体を逆再生していく、人ならぬ身である、神の御業にほかなりません。
「武尊よ、あの獣どもの仕業を、決して怨むでないぞ。獣どもの仕打ちを、決して憎むでないぞ」
口から赤く染まった泡をこぼしながらの迦具土の言葉でございました。
雉も鴉も大鷹も、鹿も猪も、山狗も猿も、小さな蟻も。
そして大熊も、みな分かっているのです。
己の爪が、嘴が、角が、牙が、手が、その神々しい肉体を穿ち、割き、肉をえぐり、噛み砕き、皮膚を灼き、血と腑(はらわた)を撒き散らす。
その相手が、自分たちを生み出し、生きよと命じ、その日々の糧である大地の恵みを司る神々の一柱であることを。
動物達の哀しげな瞳が、嗚咽を含んだかのような鳴き声が、そのことを武尊にも悟らせていました。
あのモノどもも、迦具土様が憎くてやっているわけでは無いのだ。己の餌とするために、肉を、筋を、血を求めているわけでは無い。だからこそ迦具土様も、一切の抵抗をせず自らに与えられるあれほどの凌辱を受け続けておられるのだ、と。
「迦具土様、もちろんでございます。あのものどもの目に、鳴き声に、迦具土様の身を案じての響きを私も感じ取っておりました」
「分かってくれているのだな、武尊よ……。我が身は日の差さぬ夜のうちにまた元通りとなり、明日の日が登ればまたあのもの達もこの火伏岩へと足を運ぶのだ。それは我と獣ども、双方へかけられた伊耶那岐様の言霊の成就にほかならない」
迦具土の言葉はまた武尊の将来をも案じさせるものでした。
永遠かとも思える時間、ひたすらに続く凌辱と回復。それを間近で見続けならねばならない己の運命。
そのすべてを理解した武尊の渾身の手当てに、迦具土の肉体もまた少しずつ元通りの姿を見せ始めました。
伊邪那岐の宣示により、迦具土の髪と髭を切り落とすことを生業とすることとなった武尊に、火伏岩へと上る前、魁勲雄が授けた言葉がございました。
「己の精をもて、迦具土様の傷付いたお身体をお身拭いせよ」
人の持つ神から分け与えられた力を少しでもお返しすることで、神たる身の迦具土様の治りを促進する。
そのような意味合いの言葉であったのでしょう。
本来であれば、その身に脈打つ赤き血を捧ぐのが回復への大きな力となるのでしょうが、それでは数日のうちに武尊の命の灯火が消えることとなってしまいます。
「これまでも、またこれからも、いかほどの痛みが迦具土様を襲うのかと思えば、私の命などどれほどのものでありましょうや。本来であれば私に流れる血をもって迦具土様の御身を濯ぐところ、この清童たる私の精をもって拭わせていただきます」
武尊の言葉に一瞬驚いた顔をした迦具土ではございましたが、若者の目に映る真剣な光に治りゆく身を委ねることに決めたようです。
「お前の精汁、ありがたく受け取ろう」
「それではお見苦しい様を見せますが、お赦しください」
「お前が精を迸らせる姿の何が見苦しいものか。さあ、私の肉体に、お前の精汁を思うさまかけておくれ」
迦具土の言葉に、下帯を解く武尊。
里の者達の中では図抜けて強大である武尊の肉体も、神たる迦具土の前ではその上背もようやく胸に届くかといったものではございました。
足を投げ出し、火伏岩へと背を預けた迦具土の顔を正面に見ながら、男神の両脚の間に仁王立ちになる武尊。
その手はすでに勃ち上がっていた己の逸物をがっしりと掴み、根元から先端へと幾度もの扱き上げを始めます。
「うむ、お前の先端から早くも先汁が流れ落ちているぞ」
神たる身の迦具土様に、己の体液を捧げる。
その壮大な使命と背徳感は、武尊に異様なまでの興奮を呼び起こしています。
「ああっ、迦具土様っ。もう、保ちませぬっ。我のっ、我の精汁を迦具土様に捧げますっ」
その瞬間、武尊の先端から、どっぷりとした白濁した汁が、迦具土の顔を射るほどの勢いでびゅうと噴き上がります。
びしゃびしゃと音すら聞こえそうなその勢いは、まだ精を通したばかりの若い肉体ならではのものでございます。
幾度も打ち付けられる強い匂いを伴った液体は、迦具土の胸を、腹を、そして股間を濡らしていきました。
「お前の精を受けた我が身体、やはりこれまでよりも治りが早いようだ」
あたりには雄の汁ならではの匂いが立ちこめています。
日が落ち、獣達に受けた傷がその類い希なる生命力・再生力にて回復していく迦具土ではありましたが、なかでも武尊の精を浴びた顔、胸、腹、そしてその根元の傷を無残に晒していた股間もまた、元の形を取り戻していきます。
迦具土の巨大なる逸物とふぐりの中の大玉も、股間に集められた雄汁をたっぷりとその傷口に含み、みるみるうちにその太さ大きさを再現していくようです。
「迦具土様、今一度、私の精を」
多量の精汁を迦具土の裸体に滴らせた武尊の逸物でしたが、その威容は一向に萎える気配がありません。
亀頭を濡らす自らの先汁と白濁した液を潤滑油に、武尊の右手が再び握りきれないほどの竿を扱き始めます。
「先ほどのお前の精が、我の肌へと馴染んでいくぞ」
その間にも迦具土の骨は伸び、肉は盛り上がり、皮膚が張られていきます。
迦具土の豊かな体毛から生まれる神としての霊力に、武尊の精の持つ力が上乗せされているのです。
一人で過ごしていたこれまでの夜に比べ、我が身の隣に人たる身の武尊が存在することがこれほどの違いを生むのだと、迦具土様御自身も驚いておられるのでございました。
「んんっ、迦具土様っ、またも私の精をっ、精汁をお浴びくださいっ!」
いっときの間もおかず、再び武尊の精の噴き上げが始まりました。
ぶしゅりぶしゅりと打ち出されるその匂い豊かな雄汁は、二度目とも思えぬほどの大量の汁にて、日に灼けた迦具土の肌を白く覆っていくのです。
「ああ、お前の汁の匂いに包まれ、お前の汁が私の血肉へと溶け込んでいく。なんとその心地よきことよ」
啄まれた(ついばまれた)目も耳も、角や爪に穿たれた(うがたれた)肉の穴も、へし折られた骨々も、噛み千切られた逸物も、もぎ取られた睾丸も。
それらすべてがじくじくとした血と体液を滲ませながら元の姿へ戻ろうと、うねり、盛り上がっていきます。
二度の吐精を果たした武尊が、さらに迦具土に近寄ります。
「迦具土様の尊い御身体に、人の身の私が口を付ける無礼をお許しください」
武尊は己の舌を迦具土の剛毛に覆われた肌へと伸ばしました。
すでに再生を果たした肩に伸びた舌が肌と黒毛に垂れる自らの精汁を舐め取ると、まだ傷の癒えぬ胸へと塗り込めます。
太股へと垂れ落ち、このままでは地に吸われることになりそうな白濁液を口中に啜り上げ、自らの唾液と混じったそれを、太さを増した逸物へとろりと垂らしていきます。
もうすでにふぐりの皮膚まで再生され始めた睾丸に、舌先に絡めた雄汁を襞の合間にすら染み通るようにと、ゆっくりと塗り広げていくのです。
迦具土の、抉られた乳首、損なわれた腹の肉、失われた逸物。
それらすべてに、百花の蜜を自分達の巣へと運ぶ蜂のように、己の精汁を集めた武尊の舌と唇が、舐め上げ、塗り込んでいくのです。
「おお、我の肉体も、元の姿となったようだ。武尊よ、人の身において我の側に仕えることも容易ではなかろう。改めて礼を言わせてもらわねばならぬようだ」
「迦具土様、滅相も無いお言葉でございます。この熊襲武尊(くまそたける)、迦具土様のお身体に触れ得るだけでも、たいそうありがたきことだと思っております」
武尊の吐精とその精を欠損した部位に運ぶ懸命な行いに、迦具土の身体は襲撃を受ける前の姿を取り戻しておりました。
刻は真夜中へと達した頃でございましたでしょうか。
これまでは日のあるうちの獣達による凌辱と、朝の光が照らす前までの神たる身の再生のみを繰り返す毎日であった迦具土の身体が、武尊の精を浴びることで、一時なりとの安らかな時間を得ることが出来たのでした。
「このように尽くしてくれるお前に、我は何もしてやれぬ。せめてお前のたくましい身体をこの腕で抱いてよいか」
髪と髭を剃り落とし、伊邪那岐の霊力を込めた縄で縛されることで神としての霊力をほとんど無くしてしまっている迦具土にとり、体毛から生じる力だけでは武尊になにか具体的な恩恵を施すことが出来ぬことは、迦具土神御自身も分かっておられたのでありましょう。
せめて己の気持ちだけでも伝われよ、との、迦具土様の思し召しでございました。
「……ありがたく迦具土様のその腕の温もりを得させていただきます。人の身たる私が神たる迦具土様の肌に抱かれる僥倖は、いかほどのものか言葉にすることも出来ませぬ」
それまで足を投げ出すように火伏岩へともたれかかっていた迦具土が、ゆっくりとその身を起こします。
里の者達の中でも大柄であるはずの武尊の頭は、立ち上がった迦具土の胸のあたりにありました。
一柱の神と一人の人間が正面へと向かい合い、互いの瞳がそれぞれの顔を映しだしています。
麻と葛を寄り合わされ、伊邪那岐神の霊力を帯びた戒めを手首に巻いたまま、迦具土が両手を武尊の身体へと伸ばします。
あっと思った次の瞬間、武尊の肉体は迦具土のそれへと引き寄せられ、顔と胸、腹と下腹部がぐいと押し付けられました。
「我ら二人、お前の精の匂いに包まれているな」
迦具土が笑って武尊に問いかけます。
二人の肌にむわりとまとわり付く季節外れの青い匂いは、あたりに漂う血の匂いをも打ち消してくれているようです。
「ご不快な匂いでなければよいのですが」
黒毛に覆われ西瓜を並べたような迦具土の胸の谷間から、男神の顔を見上げた武尊が答えました。
「お前の精が私の傷を癒やしてくれるのだ。血の匂いも消してくれているようだな。私にとって、不快どころか、実に心地よい匂いであるぞ」
迦具土には実際にそう思えているのでしょう。
武尊は己の腹に感じる迦具土の逸物の昂ぶりに、その言葉に嘘の無いことを確信しています。
「迦具土様、私めの腹へと当たる迦具土様の昂ぶりをお慰めすることを、この人の身にお許しいただくことは出来ますでしょうか」
「これまで夜明け前にしばし微睡む(まどろむ)とき、逸物から汁が漏れていることは幾度もあったが、お前が扱いてくれるのであれば我が逸物も喜んでその精を迸らせることが出来るであろう。お前の手で、我の逸物を存分に扱き上げてくれることは、我にとり喜び以外のなにものでもあるまい」
肉体の再生を成し終えた膂力(りょりょく)溢れる迦具土の霊力は、武尊の精汁を得て、己の逸物からの放埒をも望むほどとなっておりました。
本来、神たる身である迦具土は、己の霊力を精汁として、伊耶那岐と伊耶那美の二神が生み落としたこの大地に、その姿を真似て作られた人の身に、分け与えることを神是としていたのでありました。
伊耶那岐神が熊襲魁勲雄(くまそのいさお)と武尊に宣った「火之迦具土神が神名に相応しくその有り様を全うすることを支えよ」という言葉は、迦具土神の逸物を武尊の手と口により慰めることにより、成就させられるものであったのです。
火伏岩を背に両脚を踏みしだき、その裸体を恥ずかしげも無く晒す迦具土の前に、己もまた下帯一つ付けない裸の武尊が膝を突きました。
武尊の顔の前には、隆々と聳え立つ(そびえたつ)迦具土の逸物がございます。
根元から腹に添って勃ち上がるその太竿は、先端近くでさらにぐいと天を向き、睾丸と同じく大人の握り拳もあろうかという先端には、武尊の指すら飲み込みそうなばっくりと切れ上がった割れ目に、透明な露を湛えておりました。
「失礼いたします」
迦具土の太竿を、武尊の掌が捕らえます。根元から勃ち上がるその太さに、武尊の指もその円周の半分と少ししか回すことが出来ません。
一つ一つが掌からこぼれ落ちそうなふぐりを、武尊のもう片方の掌が下から支え持ち、指先に確かに感じる太玉をやわやわと揉みほぐします。
「よい、心地よいぞ、武尊よ」
武尊の頭に手を置き、夜の天を見上げるように首を反らした迦具土の声が聞こえます。
玉を揉み、太竿を扱く武尊は、いよいよ露を湛えた先端にその口を合わせました。
「おお、これは……」
自らの身体についてはまだ男としての精を通したばかりの武尊ではありましたが、迦具土神を慰めるに足る様々な技術を、迦具土の下へと来る前の七日間に、すでに魁勲雄から教授されていたのです。
その太さ大きさから先端を咥えるだけで精一杯の武尊ではありましたが、その舌はあるときは迦具土の裏八字をぬるぬると責め立て、またあるときはべろりと兜を舐めまわし、次の瞬間にはとくとくと透明な汁を吐き出す鈴口にその先端をこじ挿れます。
舌先を細かく震わせれば、よりいっそうの先汁が溢れ出し、武尊の口の端からたらたらと流れ落ちるのでした。
武尊の唇から流れ落ちる唾液と先汁は肉竿を伝い、逸物とふぐりの周りに茂る黒毛をじっとりと濡らしていきます。
そこから立ち登る得も言われぬ匂いが、武尊の興奮をも誘うのです。
すでに二度の精を吐き出した武尊の逸物もまたその偉容を取り戻し、己の臍を眼差すかのように鎌首を振り立てておりました。
「……武尊よ、そろそろ汁が上がってきたぞ。このままで、よいのか」
無言で手と舌の動きを早めることは、武尊からの了承の証でありました。
痛みが走るほどに握りつぶされるふぐり、根元とくっきりと壁を成す鰓までを扱き上げられる太竿。吐精の瞬間まで迦具土に喜びを与えようと、その口を離さず、舌先をねじ込まれる鈴口。
それらすべてから与えられる快感は、迦具土にとって、およそ数百年ぶりに味わうものであったことでしょう。
「おおおお、出すぞ、武尊よ。我が精を受け取れっ」
最初の一撃が武尊の喉を襲いました。
溜め込まれていたその熱き汁は、むせかえるほどの匂いと粘りを伴い、瞬く間に武尊の胃の府を満たしていきます。
勢い止まらぬその水圧は、ぐんと武尊の頭を迦具土の先端から弾き飛ばし、その顔をしとどに濡らし、頭上を越えて大地へと染み渡ります。
幾度も噴き上がるその白き水柱は次第にその高さと勢いを減じてはいきますが、それでもなお目の前に跪く武尊の肉体をすべて白濁した汁で覆うほどのものでございました。
その汁の量の多きこと、一処に集めればおよそ四合枡をも溢れさせるほどのものであったのでしょう。