その7 4人
「先生、きつかったですよね。すみません、すぐ解きます」
「2時間も縛ったまんまだったですよね、本当にすみませんでした……」
「私から言い出したことなんだし、誰も謝る必要なんかないですよ。それにしても、いや、すごかった……。ふぐりの底が抜けるんじゃないかと思うほど、出た気がするな」
「へへ、すげえ量だぜ。ほとんど口に溜めてるんで、先生の雄汁、みんなで分けよう」
顎を上げての西田の提案に、みなが顔を寄せる。
西田から山崎に、山崎から田畑君に、田畑君から野村医師に。
それぞれの口中でさらに唾液と混ぜ合わされたそれを、何度も何度も往復させ、濃厚で匂い立つ医師の精液をじっくりと味わう。
最後にもう一度4人の唇を合わせ、ごくりと飲み干した。
「さすがに一発目、しかもあれだけいじった後だと、うめえなあ……。濃い男性ホルモン飲ませてもらったので、ほら、俺のもずっとビンビンですわ」
「西田さんだけじゃないですよ。先生だって、大射精だったはずなのに、まだまだおっ勃ったままですし」
西田が自分の逸物を振り立ててれば、唾液と先走りで湯気が立ちそうな野村医師の肉棒もまた、萎えることを知らないようだ。
「先生がお身体の具合大丈夫なら、第2部、始めましょうか。今度はちゃんと布団の方で」
「うむ、田畑君。ここから先は、とにかくみんなで絡みあう、でいいのかな?」
「俺はそれでいいですよ。みんなとそれぞれ絡みながら、横の人にも手を出してって、すげえエロいと思うし」
「私もそれで……。みんな2、3発はイけるでしょう?」
「山崎さんが言うと、なんだかすごくスケベに聞こえますね」
「いい傾向じゃないか。みんなの本能を、また爆発させよう」
4人が二間続きのもう一つの和室へと移動する。
少しずつ離して敷かれていた布団を引っ付ければ、部屋の中央は白いシーツの空間が広がった。
「へへ、最初は1対1かな? 全員とやったら、最後に4人で絡むとかはどうだろう?」
西田が猥雑な笑みを浮かべ提案する。
「最初はそれでいいと思いますが、射精のタイミングもそれぞれでしょうし、特に縛りをもうけなくていいんじゃないですかね?」
「田畑君の言う通りで、皆が1度イったら、後はもう組んず解れつでもいいんじゃないですかね」
クリニック組の言葉にそれもそうだと西田も納得し、最初の組み分けをじゃんけんで決めることになった。
「私は田畑君とか。よろしくお願いします」
「へへ、俺は野村先生とだな。さっきも一番に飲ませてもらったし、なんかラッキーだな」
「あ、玉井先生の薬は二瓶持ってきてますので、適当に使ってくださいね」
野村医師と西田、田畑看護師と山崎がペアになり、掛け布団を剥ぎ取った布団に横たわった。
「2人でじっくりやるのは何ヶ月ぶりかな、田畑君」
「ですよね、山崎さん……。最初、キスから、したいです」
「ふふ、目、つぶっちゃダメだよ」
「それ、僕達が山崎さんに教えたんですけどね」
「あの独特の快感は、40年以上生きてきて始めて知ったからなあ……」
「今日も存分に味わいましょう」
4人がそれぞれと相手と抱き合い、キスが始まる。
互いの瞳に映る己の眼に、快楽の歪みが反映する。
自分の快楽と目の前の相手の快楽が視線を通して行き交い、何倍にも増幅されていく。
「先生のさっきイったばっかりなのに、ギンギンじゃないっすか」
「2時間もやられてたんだ。あのくらいで落ち着くものかね」
「山崎さんの太いのが、僕のに当たる……」
「田畑君のも、すごく固くなってるよ」
唇と乳首、ふぐりとペニスが、それぞれの部位毎に刺激し、刺激される。
身体中をまさぐる手のひらが立てるかすかなそよめき、吐息よりわずかに荒い喘ぎ声、唾液と汗、先走りが奏でる水音。
自分達の、あるいはすぐ手の届く布団の上で交わされる別の2人の立てるそれらの音が、耳からすら快感をもたらす。
「こういう抱き合ったまま、静かに刺激しあうの、気持ちいいね、田畑君……」
「気持ちいいって言う度に、もっと気持ちよく感じていきますよ、僕も」
見つめ合いながら口接を繰り返し、ときには互いの乳首に舌を這わせる山崎と田畑看護師。
「先生、俺、また、先生のしゃぶりたい」
「私も西田さんの、しゃぶらせてもらおう」
69の体制となり、互いの逸物を手と口で存分に味わう野村医師と西田。
「先生、俺、もうイきそうっ!」
「西田さん、もう少し待てませんか?」
「俺、山崎と違って、今日はまだ一発目なんですよ!」
「すぐに追いつきますんで、強めにしごいてください」
「こうですか? 先生、こんな感じ?」
「おう、いいっ! それっ、感じますよ!」
野村医師のテクニックに、西田がもう堪えきれなくなってきたようだ。
昼に抜かれている田畑君と、露天風呂で盛大な射精をした山崎、ゴルフの握りで先ほどの1人責められ役となった野村医師。
確かに丸一日、先走りだけを出し続けていた西田としては当然のことだったろう。
それでもついさっき多量の精を噴き上げた野村医師が、もう追いつこうとしていた。
「山崎さん、ほら、先生さっきあんなにイったのに、またイきそうになってますよ」
「ああ、すごいな……。あっ、田畑君っ、私もそんなにしごかれると、また……」
「また? また、なんですか?」
笑いながら意地悪そうに尋ねる田畑。
「言わなきゃいけないんだよね……。うん、田畑君。私は田畑君にしごかれて、またイきたくなってる……」
「僕も、山崎さんにしごかれて、射精したいです。山崎さんの手、気持ちいい」
西田の昂ぶりと野村医師の情欲の激しさが、隣の布団で絡み合っている山崎と田畑看護師にも伝染していく。
どうやら4人の射精のタイミングは、ほど近いものになりそうだ。
「あっ、亀頭がたまらんっ! そこっ、もっと強くしごいてくれっ!」
「先生っ、先生のチンポがかんかんになってっ、すげえエロいっ! 俺っ、俺のチンポもっ、イきそうっ、イきそうっ!」
なめし皮のような黒ずんだ西田の逸物が野村医師の小さな唇を割り込み、どす黒いまでに鍛えられた亀頭が幾度も出入りをしている。
普段は六尺褌に包まれている野村医師の肉棒は、こちらも歴戦の勇士らしい赤銅色の胴体を西田の手のひらで激しくしごかれていた。
ぐちゅぐちゅ、じゅぼじゅぼとした淫猥な水音が医師と西田の股間から発している。
唾液と先走り、ローションのぬめりが立てるその音が激しさを増し、2人の絶頂が近づいていた。
「先生達、もうイきそうみたい……」
「田畑君、私も、もう堪えきれないっ。あっ、あっ、いいよっ、もっと亀頭を責めてくれっ!」
「僕もっ、イきそうですっ、あっ、ダメっ! もうっ、イきますっ!!」
絶頂が近い。
「あっ、先生っ、もうイくっ! 先生の口にっ、俺っ、イっちまう!!」
「西田さんっ、私もっ、イきますっ、イくっ、イくーーーー!!」
「田畑君、イくよっ、出るっ、出るっ!!!!」
「山崎さんっ、イきますっ、山崎さんにしごかれてっ、イくっ、イきますっ、イくっーーーーー!!!」
4人の声がシンクロする。
それぞれの汁が、手に、口に、たっぷりとした腹の肉の上に噴き上がる。
二間続きの和室に、あの独特の臭気が一瞬にして行き渡る。
「上澄み抜かしてもらって、後は余裕かな」
西田の台詞はみなの股間がまったく萎えていないことの代弁だったろう。
男達が次の相手を求めて、真っ白なシーツの上を動き出す。
相手を変えての交情は、最後には4人全員が絡んでのものとなるのか、あるいはそれぞれとの出し合いを楽しむのか。
まだ夜が更けるには早い時間だった。