04 EVD(External Vacuum Device)
これまでは処置室で行われていた物理的なEDの治療、逸物をシリンダーに差し込み空気圧を利用して勃起状態にさせるEVD(陰圧式陰茎勃起補助具)はすでにこの施療室に運び込まれている。
簡易ベッドに横になった私の両側に、野村医師と田畑君がスタンバイする。
「これまでの診療のときにはこいつで勃起させてそのまま射精する流れにしていましたが、今回は少し流れを変えたいと思います」
「えっと、それは射精をしない、ということなんですか?」
疑問文ではあるが、私の内心の不安(不満だな)を尋ねてみる。
「あ、そっちの心配しなくてもいいですよ。最後には山崎さんにも気持ちよくイってもらいますので」
「ああ、よかった」
田畑君の言葉に答えた私に野村医師も大声を立てて笑ってくれる。
「通常、自宅で使っていただくような場合の本来のこれの使い方は、吸引で勃起させたペニスにコックリングをして血流の戻りを阻害し、勃起時間を継続することでセックスでの挿入時間を確保する、というやり方なんです。
これまでの治療では、山崎さんにほぼその場で射精してもらう、もしくは田畑君や私の尺八や手コキで勃起を直接維持してましたので、リングを使うことはありませんでした」
野村医師が治療の内容を説明していく。
「ああ、確かに勃起したらいつもそんなに時間かけずにイかせてもらってましたよね」
「ええ、これまではとにかく『射精の快感』がなんら恥じるものでなく、勃起も射精も『気持ちいい、当たり前のものだ』という、山崎さんへの意識付けに重点を置いてましたので」
「あ、分かります。とにかくお二人に色々やられて、お二人の勃起や射精を身近に感じて、なんとなくの後ろめたさとかは無くなったと思います」
「今日はそこから少し進んで、他者の勃起や射精を山崎さん自身が興奮や勃起したまま手伝うこと、それによって御自身に『性に対しての主体者である』ということをより一層自覚してもらうことを目的にセッションを作ってみました」
「えっ、その他者の勃起や興奮って……!」
医師の説明に、それだけで興奮していく私だ。
この空間で私以外の他者となれば、野村医師や田畑君以外にはありえない。
「はは、そこはまだ内緒ですよ。
そのためもあって、今日はセッション内容の関係で、本来の竿根元へのリングの着用と、睾丸とペニス両方の根元に装着するリングの2つを使用して、山崎さんの勃起が長時間継続するようにしてみたいと思ってます」
「コックリングって、初めてなのでちょっと怖いというか、その……」
「初めては怖いですよね。この勃起補助具では勃起状態になった後、本来かなりきつめのリングをペニスの根元に装着することになってるんですが、それだと30分ほどで外さないといけない決まりになってしまってます」
「30分ですか……」
せっかく午後いっぱい使える特別診療なのに、それではもったいない、と思ってしまった私だ。
「あ、時間についてはご心配なく。そのために、うち独自の少し緩めにした竿根元のリングと、山崎さんの股間全部を締め上げるリングと、二重に使うことによってペニスへの一定の血液循環を保ちつつ、長時間の勃起を可能とするやり方なんです。
しかもこの睾丸とペニスの根元のリングと、ペニス根元のリングの2連装着は、間に挟まれた睾丸の感度も上がって、すごく気持ちいいんですよ。
これまでの治療で山崎さんの勃起時のサイズや弾性も正確に計測出来てますので、最適な直径のリングも用意出来ています」
「二重のリングって、すごいですね……」
コックリングなど、アダルト系の雑誌の広告などで見たことぐらいしか無かったし、怖くなかったかと言えば嘘になる。
それでも二人の導きによる新しい快楽の世界への誘いを、断る意思の強さは私には無かった。
「まあ、山崎さん。今日は吸引も必要ないくらいにすでに勃起されてますので、吸引は必要ないかもですけどね」
田畑君がからかいながらもかけてくれる言葉に、久しぶりに勝手に勃ち上がってくれた息子にまた少し自信が持てるようになる気がしたのは、彼らの使う言葉に細心の注意が払われてるおかげなんだろう。
「それでは始めます。田畑君、山崎さんのペニスのEVDへの装着を」
「はい、では山崎さん。ローションでちょっとヒヤッとしますよ……」
「あっ、き、きもちい……」
「ふふふ、まだまだですよ、山崎さん……」
田畑君の手が、私の肉竿とその根元にたっぷりとローションをまぶしていく。
その刺激だけで声を上げてしまう私は、『同性である田畑君に逸物を握られる』という事実にまったく意を介さなくなってしまっているのだ。
「ではシリンダーにペニスを入れて、根元のパッキンで装着します」
「山崎さんのペニスの大きさとこのシリンダーの直径、それに根元パッキンの強度がうまく合致してないと、下腹部の皮膚やひどいときには金玉そのものを吸い込んでしまって、大変なことになるんですよ」
野村医師の説明を受けながら、田島君が私の肉竿をプラスティックのシリンダーへと挿入する。透明なそれの中ほどに、おそらくコックリングというものだろう、黒いゴムのようなリングがすでに填められていた。
大きくなっている逸物のあちこちがシリンダーに触れ、そのたびに甘美なしびれが脳天へと駆け上がる。
陰毛が筒内に入らないよう注意深くよりわける田畑君の指先が、根元を刺激する。位置が定まったのか、最後にシリンダーと皮膚が接する部分のパッキンゴムをパチリと下ろし、無事装着となった。
「勃起は出来てますが、より固くなるよう、真空陰圧少しかけますね」
田畑君がローションで濡れた手を拭きながら機械のスイッチを入れる。
ヴーンと低い音がし、シリンダー内の空気が抜き出されていく。
「あ、あっ、ああっ……」
「これだけでも気持ちいいですよね」
「田畑君、少しシリンダーを上下に動かしてあげたまえ。山崎さんも喜ばれるだろう」
「はい、こうですよね……」
「ああああっ、そんなされるとっ!」
パンパンになった亀頭の表面が、減圧されたシリンダーの内壁にべったりと密着したまま、たっぷりと垂らされたローションのぬめりを伴ってずるずると動かされる。
粘膜と内壁が擦れ合うすさまじいまでの快感が、腰の奥から脊髄を駆け上る。
これで声を上げるなという方が無理な話だ。
「おっと、ここでイっちゃうともったいないですから、減圧はここまでにしましょう。田畑君、シリンダーを少しだけ抜いて、ペニスの基部に1つ目のリングを装着したまえ」
「はい、先生。山崎さん、ちょっと引っ張るので痛いかもですが、リング填めたらすぐに機械止めますので、我慢してください」
「あ、はい……。あ、あああっ……」
いつもの治療だと吸引を止めてからのシリンダー抜き取りになるのだが、ここでは減圧が残ったままの状態で田畑君がシリンダーを引き上げる。
根元の皮膚が伸ばされるが、それ以上に竿をずりあげるシリンダーが更なる快感を呼ぶ。
「リング填めますよ、山崎さん」
田畑君がシリンダーを上げ、少し出来た根元の空間に、巻き下ろすように下げてきた黒いリングをそのまま填め下ろした。
「あっ、すごい……。締め付けられてる……」
「1つだけ填める本来の使い方より少し緩めのものを使ってますので、痛みなどはないかと思いますが、しびれなどは感じませんか?」
「あ、はい、大丈夫です。なんか、気持ちいいですよ、これ」
「ですよね。僕たちもたまに填めるんですが、感じ方も段違いになるんですよ」
「田畑君、シリンダー抜いたらすぐに根元用のリング填めるから、ほら、急いで」
「はいはい、先生、ちょっと待ってください」
私の股間の上で、医師と看護師が会話を交わすのも面白い見物だったのだが、2つ目のリングというものが具体的にどんな感じか分からないまま、二人の手元を見つめる私。
「ではシリンダーを抜きますので、先生、2つ目のリングの用意お願いします。僕が玉を持ち上げますので」
「ああ、分かった。山崎さん、かなり刺激が強いかと思いますし、玉を入れるときに少し痛みがあるかもなので、ここも我慢のしどころです」
「はい、気合い入れます」
「その意気ですっ!」
妙な励ましを受けた途端、田畑君がシリンダーをずるりと引き抜いた。
ローションと先走り、粘膜の発する熱気から解放された逸物が元気よく跳ね上がる。
私の「うっ」という小さな呟きを聞いたのか聞かなかったのか、シリンダーを機械に戻した田畑君が両手で私のチンポを金玉をつかみ上げた。
「さて、2つ目のリングを填めます」
野村医師が両手でやはり黒いゴムのようなリングを引き延ばし、田畑君の手を片方ずつうまくかいくぐり、私のチンポと金玉を通し、毛を巻き込まないよう注意しながら填めてくれた。
「うおおっ、これはすごいっ……」
「金玉が押し出されるような感じで、ふぐりの表面がしっかり伸ばされて感じやすくなります。それにおっ勃ったチンポ、ほら、こんなふうにちょっと触っても、すごく気持ちいいでしょう?」
「ああっ、感じますっ! 先生っ、玉もっ、玉もすごく感じるっ!!」
玉の表面、竿の一部、亀頭粘膜。
そのどれもが通常の勃起状態よりも10倍近く感度が上がってるような感じなのだ。なにげなく触れる二人の指先が火箸を押しあてられたかのような快感を呼び、射精欲とはまた違う、なんとも言えない喘ぎ声が上がってしまう。
「少しいじってみますので、御自身で限界と思ったら声かけてくださいね」
田畑君がにっこりと笑いながら声をかけてきた。
こちらの我慢がどのくらいまで効くか、試したいのだろう。
「あっ、玉っ、ダメですっ、ダメっ!」
「イきたくなる刺激とは違うでしょう? なにがダメなんですか?」
「そっ、そんな意地悪しないでっ、田畑君っ! 感じすぎるっ、感じすぎますっ!!」
「ふふ、玉も存分に感じられるみたいですね」
玉を手のひらで包み込むように、さわさわと揉み上げられる。
張りつめたふぐりの皮膚が、田畑君の手のひらの皺すら感知するほど敏感に反応する。
こちらのよがり声に、田畑君が自分のチンポもおっ勃てたままの姿で玉責めを楽しんでいる。
「田畑君、そのまま山崎さんの玉を刺激しておいてくれ。私の方で亀頭を責めてみよう」
「先生ったら、また美味しいところ持っていこうとするんだから」
「君はさんざんシリンダーで楽しませてもらっただろう。私にも少し楽しみを分けるのが、当たり前というものだよ」
「はいはい、先生の仰る通りですよ」
ベッドに横たわった私の上で、私の気持ちなどまったく意に介せずに二人が会話している。
もちろん、二人からもたらされる超絶なる快感に、私の期待も高まるばかりなのだが。
「チンポも一緒に責められたら、もうどうにかなってしまいますよ……」
「しごくのは無しにして、ぬるぬるとろとろと玉と亀頭を責めてみます。射精に向かう刺激とは違うかと思うので、楽しんでみてくださいね」
股間全体を押し上げるリングと、竿の根元のリング。
2つのリングに挟まれた金玉はぷっくりとその表面を張りながら押し出され、血流の流れをコントロールされた肉竿はカンカンに固くなったままだ。
「ああああー、先生っ、亀頭は、亀頭はダメっ、ダメですっ! あ、玉も、そんなにされるとっ、ダメっ、変になるっ、おかしくなるーーーーー!!」
「山崎さん、おかしくなってください。快感を素直に声に出すこと、それも治療の一環ですよっ!」
「ひぐうっ、うあっ、あああああーーーーーっ!!!」
「感じてくださいっ、山崎さんっ! 私達の手から感じる快感を、言葉にしてっ!!」
「気持ちいいっ、先生がいじってる亀頭もっ、田畑君が揉んでる金玉もっ、気持ちいいっ! 気持ちよすぎるっ!!」
身をよじって刺激から逃れようとする私を二人が両側から押さえ込む。
逃げ場を塞がれ、固定された腰から突き出た玉と竿が、ローションを垂らされぐちょぐちょと揉み倒される。
亀頭の粘膜が、鈴口の切れ込みが、つつけばはじけそうに膨らんだ雁首が。
陰毛に覆われた金玉が、2つの玉がごりごりとぶつかり合うその感触が。
ごつごつとした手のひらの圧力がローションのぬめりによって途方もない快感となり、仰け反りたくなるほどの快感を送り込んでくる。
自分が感じているこのとてつもない快感が、いったい誰によって、誰の手によってもたらされているのか。それをはっきりと言葉にすることで、快感がどんどん深くなっていくのだ。
「あっ、ああっ、うがあっ、ああっ……」
「さすがに山崎さんも息が上がってきましたね。次のセッションもありますから、ちょっと休憩しましょうか」
実際には10分も経っていないのだろうが、私にとっては永遠にも思えるほどの快楽責めがやっと終わった。