その2 試験会場にて
一応、スーツは着たけど、けっこう胸とか腹とか太股とか、みちみちで。
3年前、就活のときに作ったものの、あれからけっこう太ってるから仕方ないんだけど、自分でもここまでとは思ってなかったし。
早めにとは思って、採用試験会場(本社が入ってるビルの別会場借りてあった)に向かった俺。
日曜日の試験なのは、会社の公休日で無いと態勢が取れないんだろうな。
待合無くて会場に通されたので、他の希望者とは話すことも出来ずにそのまま試験に突入になっちゃったんだ。
受験者、今回は俺を入れての6名らしい。
ざっと見てみたけど、年齢層、やっぱり若者が多いよな。高卒っぽい人からいて、正直、俺が一番上かなあとか、なんかちょっと落ち込む感じで思ったり。
ペーパーテストはまあいわゆる一般教養って奴で、そう難しくも無い。
数学や国語っぽいのもありはしたけど、まあ四則計算と熟語の読みや意味を問うぐらいで、ここらへんはまあクリアしてるかと思う。準備するようなものでは無いって、五ヶ瀬さんの話はその通りだったかなと。
あとはこれも最低限の交通知識というか、免許持ってる奴なら大丈夫だろうって感じの奴があったけど、これはなんかバイトの最初のときにも教わった気がしてるから、業務形態として必須のものじゃあるんだろうな。
で、午後からの面接というか、対面課題の方がある意味では難問だったと思う。
幸いにして俺はあのシャワールームでの椎葉さん高鍋さんからの話で想定してたから動けたとは思うけど、これ初見で、かつ企業採用試験勉強やってた人ほど面食らう奴だったろう。
集団面接の形なんだけど、会社側からは五ヶ瀬さんの他に5人来てて、これもまたびっくり。受験生1人に1人ってことなんだろうか?
身長はバラバラだけど、ホントにみんながっちりというか、筋肉+脂肪のいい身体してて。
俺はまあちょっと見知ってたからいいけど、他の人達はけっこうビビってる感じだったかな。
サイトで顔見てた社長も来てたのは驚いたけど、正社員20人規模ならまあそうだよねって納得。ただ、紹介では名字だけサラッと流してたから、受験者でも分からない人は分からないままだったろうな。
面接では五ヶ瀬さんが全部指示出しや質問する係で、他の5人は壁横でまったく、そうまったく喋んないままだったんだけど、その分、こっちの反応の観察はしてたんだと思う。
面接そのものは2段階でやるらしく、最初は一人一人指名されながら、状況判断テストみたいな二択問題が次々に出されていく奴だった。
「配送中、駐輪場が見当たらない新規ビルに来た。 A:駐輪場を探す B:受付に尋ねる」
「配送中、子どもが転んで怪我をしていた。 A:警察や交番を探す B:子どもに話を聞く」
「上司から質問が返せない状態で現状では達成不可能な指示が出た。 A:該当作業を開始する B:取りあえず保留しておく」
「配送中、配達物が突然の雨に濡れた。 A:本社に連絡する B:コンビニに入る」
「配送業務が入っている出勤時間に遅刻しそう。 A:本社に連絡する B:とにかく急ぐ」
「配送先の顧客から配達圏外の依頼を直接された。 A:まず断る B:本社に連絡する」
「上司からの指示を執行中に、さらに上の上司から別の仕事依頼が来た。 A:断る B:後から来た方を優先する」
「配送中、新しい顧客から配送依頼があった。 A:本社に連絡する B:本社へ連絡するように頼む」
……………………
分かりやすい奴もあれば、判断に困るような奴も含めて、一人あたり30問ぐらい聞かれたと思う。
メモも取れず、ひたすら耳で聴き取って即答という、身体というより脳が疲弊するタイプの奴。
正解がある、というよりも、各人の思考法を探る奴かなとか思ったけど、どうなんだろう。
しかも一問もかぶって無かったので、作る方も大変だよな、みたいに要らんこと考えてた俺。
解答までの時間も見るって言われて計測器みたいなものまで用意されてたのは、こちらを焦らせるためなんだろうけど。
それでも前提条件は何も示されなかったから、最後の方であまりにも理不尽なものは質問しちゃった俺。
さすがに年齢的にもそういうのやったのは俺一人だったけど、社長さんの目にはどう映ったんだろうな。
とりあえず設問タイムが終わって、みんなちょっと呆然とした感じになってた。
五ヶ瀬さんから、最後は集団を2名ずつに分けての面接になるとのことで、20分の休憩。
お菓子と飲み物は、アタマの糖分補給しなさいってことなんだろうな。
15分後に俺と一緒に別室に呼ばれたのは、21才の『諸塚充典(もろつかみちのり)』君。
「休憩時間、三股さんがお互い自己紹介しようって言ってくれて、助かりました」
「誰と組むかは分かんないけど、最終面接の前に互いに見知ってた方が気持ちが楽になるかと思ってさ」
休憩時間に全員とやり取り出来てたのは、互いに心強かったと思う。
そこらへんは一応一番の年上っぽい俺(自己紹介中に予想は確定)が仕切らせてもらったので、諸塚君も一目置いてくれてる感じに。
2人で待ってると、この部屋には五ヶ瀬さんと椎葉社長さんが面接官としてやってきた。
これ、期待していいのかね?
「これからの最終面接のグループ分けは、ペーパー試験では無く、先ほどの集団面接での反応を参考にして分けさせてもらった」
言い方変えると、ランダムでは無い、意図的な組合せってことやね。
「ここからの内容は合否を別として、外部に漏らさないでもらいたいとは思ってる。
もちろん契約を交わすようなものでも無いし、たとえ採用となったにしても、現時点で雇用前の君達に守秘義務が発生するわけでも無い。
あくまでも『お願い』というところだがな」
えげつないことさせられる予感。
社員の方の椎葉さんから半分聞いてるから、俺は気合いというか、構えは出来てるけど、諸塚君の方がキツそうだな、この後の流れ。
「最初は幾つか、こちらの言葉かけに対して、身体が即反応出来るかの確認を行わせてもらう。
免許の更新で高齢者が機械でやるような奴だ。
その指示の中で、体動以外のものも混ぜていくが、そこを上手くこなしてくれたまえ。
では、2人とも立って椅子を部屋の後ろに置いて、空いたスペースに距離を取って立ってくれ」
あ、同時にやるんだ、これ。
「ボーイスカウトじゃないので、足の運びとかは気にしなくていい。それと指示中の『前』や『後ろ』は、部屋に対してじゃなくて、あくまでも自分を中心に考えていいからな。
じゃあ始めるぞ、準備はいいかな?」
「大丈夫です」
「自分も大丈夫です」
「では、開始する。
右向け右! 左向け左! 右手を上げる! 左手を上げる! 左手を下ろす! 真後ろを向く!」
矢継ぎ早に繰り出される指示。
なんとか着いていくけど、これ、もし2人の動きがズレたら、それがお互い分かるがゆえにかなり動揺する奴。
しかも、途中で、おおっと思う切換えがあったんだ。
「一歩前へ! 後ろを向く! 回れ右! 回れ右! 一歩後ろへ! 」
「右手を下ろす! 左を向く!」
この2人とも後ろを向いているタイミングで、なんと指示出しがなんの前触れも無く、五ヶ瀬さんから椎葉社長に切り替わった。
これ、俺もそうだったけど、視野の端で諸塚君がものすごく動揺したのが分かった。
諸塚君、上げてた右手を下ろすまではなんとかなったものの、『左を向く』が飛んでしまったんだ。
「あっ……!」
「ようし、そこまで!」
「あ、僕、僕……」
「諸塚君、動揺させて済まなかった。これはあくまで君達の『指示への反応』を見る試験で、間違ったからといって即不採用になるものでも無い。
試験は後2つ残っているから、まずは気を落ち着かせたまえ。
三股君、悪いが後ろの椅子を2つとも持ってきてくれないか。2人とも、着席してもらっていいので」
五ヶ瀬さんも社長も、目つきが穏やかなままなのは、さすがだなと思う。
それはそれで内心が見えないと言うことにも繋がるけども、ここで『若いと厳しかったか』みたいな顔をしたら、諸塚君の心が折れるのが分かってたんだろうな。
「そろそろ落ち着いたかな、諸塚君」
「あ、はい。もう大丈夫です。時間取っていただいて、ありがとうございます」
諸塚君も、ちゃんと答えられた。
なんとか気力を振り絞ってるのが伝わってくる。
「では最後の2つだ。これも指示にどう反応するかを見させてもらう。
質問や聞き返しは無し。
では、始めるぞ」
正面を向いたまま、五ヶ瀬さんの言葉を一言も聞き逃すまいと待ち構える俺達2人。
もし椎葉さんが教えてくれた2年前と同じ指示なら、俺は大丈夫なはず。
「一つ目。
2人とも、その場で服をすべて脱ぎ、全裸になれ!」
諸塚君の背中がビクッと震えたのが分かる。
俺はすぐさま立ち上がって、スーツから下着から靴下から、すべてを脱ぎ去る。
慌てた諸塚君が後に続くが、無言の会議室で男二人が素っ裸になっていくのは異様な光景だろう。
2人ともが脱ぎ終わり、気を付けの姿勢で前を向く。
そしたらなんと、五ヶ瀬さんと社長も脱ぎだした。
これには話を聞いていた俺もびっくりだった。
机の前に出て来た2人が次々に脱いでいく様を、唖然とした目で見つめる俺達。
全部脱ぎ終わった五ヶ瀬さんと社長が目の前で並んで立っている。
目のやり場に困るとは、このことだ。
「最後の指示だ。手を使おうがどういう姿勢になろうが構わん。
2人とも自分の逸物を勃起させろ。
存分に勃ったと判断したら、自己申告したまえ」
椎葉さん達から話を聞いていた俺は、実は脱いだ時点で勃ってしまうんじゃ無いかと、逆の心配をしていたんだが、そんなことは全然なかった。
やはり俺も、緊張というかプレッシャーは凄かったんだろう。
ネットで気に入っていた動画や、なぜかモヤモヤしてたシャワー室での五ヶ瀬さんや高鍋さん、椎葉さんの裸が思い浮かぶ。
右手で扱いて幾らか太くはなって来たものの、上向くほどでは無い。
そしてまたまた驚くのは、社長も五ヶ瀬さんも、せんずりを掻き始めていることだった。
そうこうしているうちに若さゆえか、諸塚君の声が聞こえた。
「諸塚充典、勃起しました」
「椎葉信三郎、勃起した」
少し遅れて俺。というか、五ヶ瀬さんと社長のせんずりが無かったら、ヤバかったかもだ。
「三股太志、勃起しました」
「五ヶ瀬重明、勃起。俺が最後か……。自信はあったんだがな」
「2人とも、済まなかった。驚いたろう。我が社の試験としてはここまでだ。お疲れ様でした」
服を着ていいものか、戸惑う俺達。
椎葉さんから聞いてたのもここまでだったし、それだからこそ、すぐにせんずり体勢になれたわけだったけど。
「ここからは、とんでもないことをさせられた君達への、俺らからの詫びだ。受け取ってくれ」
ニヤッと笑った五ヶ瀬さんと社長が、裸のまま、勃起したチンポを晒したままの俺達2人の前に来る。
まさか?!
ってのと、
もしか?!
ってのが、頭の中で交差する。
俺の前には五ヶ瀬さんが、諸塚君の前には椎葉社長がしゃがみ込む。
「立ってるままじゃイきにくかったら、椅子に座ってでもいいぞ」
「諸塚君は、先走りがもう垂れてるな。こりゃ凄い」
そのまま、五ヶ瀬さんと社長が、なんと、俺と諸塚君のチンポをフェラし始めた!
「あっ、あっ、そんなっ! 止めてくださいっ、ダメです、ダメですよ!」
「こんなに先走り流しておいて、ダメも何もなかろう。君の年じゃ、せめて一発でも抜いとかんと、帰りが困るんじゃないか?」
「あっ、でも、そんなっ、そんなっ……!」
諸塚君の尻をがっちりと抱えた社長が、腰を引いて刺激を逃がそうとする諸塚君の動きを許さない。
「五ヶ瀬さんっ、ダメです。そんなされるとっ、俺っ、俺っ……」
「もうイきそうなのか、三股君? なに、一発で足りなけりゃ、何発出してもいいんだぞ。萎えるまでズッとしゃぶっててほしけりゃ、言いたまえ」
口を離してる間、扱き上げる手の動きはもちろん止まらない。
俺自身の我慢汁と五ヶ瀬さんの唾液が潤滑油となって、自分でやるときの何倍もの快感を感じちまってる。
「ちっ、違いっ、まっ、あっ、あっ、ダメですっ! 出ますっ、イきますよっ、ホント俺っ、あっ、あっ……!」
「ああっ、ダメですっ、社長っ、俺っ、俺っ、このままだとっ、イきますっ、イっちゃいますっ!」
「イっていいんだよ。全部飲むから、気持ちよく、たっぷり出したまえ」
「ああっ、あっ、済みませんっ、俺っ。口にっ、社長の口にっ、出ますっ、済みませんっ、イきますっ、イきますっ! イくっ、イくっ、イッ、イくっ!!!」
ガクガクと腰を揺らす諸塚君。
ちらりと諸塚君の射精の瞬間の仰け反った顔を見てしまい、俺ももう、ダメだった。
「あっ、俺もイくっ、五ヶ瀬さんっ! す、すいませんっ、ああっ、イくっ、イくっ、イくっ……」
「んんっ、んぐっ、んっ、んっ……」
申し訳ないけど、俺、五ヶ瀬さんの頭、押さえ込んでた。
生まれて初めて、人の口で、俺、射精した。
自分の手でやってるとき、薬局で初めてローション買って使ったときも凄え快感にビビったけど、今日のこれは、それよりも遥かに、実に強烈な体験だった。
俺も諸塚君も、へたり込むようにして椅子に尻を下ろす。
この場の状況を受け入れることそのものが、俺達2人とも出来てなかったんだ。
「合否については三日後、水曜日の午前中には各自のメールに送信する。万が一昼12時を過ぎてもこちらからのメールが届かないときには、面倒だが空メールでいいのでエントリーシートに記載したアドレスから送ってくれ。
この部屋は、後1時間は誰も来ないようにしてある。
後は身繕いして、解散してもらって構わない。
では、本日の採用試験、すべての日程を終了する」
いつの間にか服を着てた社長さんと五ヶ瀬さんが、部屋を出て行く。
五ヶ瀬さん、最後に俺ら2人にニッと笑いかけたようにも思えるのは、気のせいだったのか。
どっちにしろ、諸塚君に声かけとかないとヤバいと思った俺。
2人とも、まだ素っ裸だったけど。
「大丈夫かい、諸塚君……」
「三股さん、俺、こんなの初めてで……」
「俺もだよ。って、こんな試験、有り得んよな……」
「こんなことされるなんて……。これ、6人全員ヤられてるんですかね?」
「どうだろう。ただ最初から希望者の人数に合わせて社員さんが来てたから、もしかして全員やられてるのかも……」
「たぶん、運動部みたいに『上の指示になんの疑問も無く動ける奴』をふるい分けてるのかな、とは思ったんですが……」
とにかく喋り続けなきゃ、喋らせ続けなきゃとは思ってたけど、だいぶ落ち着いて来てくれたようだ。
諸塚君も冷静な分析が出来はじめてた。
「俺もそうは思ったけど、それにしてもやり過ぎだろう」
「ですよね……」
少し息を継いだ2人。
「服、着ようか」
「そうですね……。でも、その、ここ、ティッシュとか無いですよ、ね?」
「仕方が無い、俺のハンカチで2人の拭いて始末しよう。後で捨てとくから」
「済みません、三股さんにばっかしお願いして」
「気にするなよ。もし2人とも合格してたら、昼飯1回な」
「はい、了解です」
やっと笑ってくれた諸塚君。
先にどうぞとハンカチを渡したけど、社長が言ってた通り、先走り(後走り?)がかなり多いタイプみたいで、ぐっしょりと濡れて返ってくる。
顔色変えちゃいけないよなと、さも普通に受け取って、俺のは先っぽだけを拭いてボクブリを引き上げた。
「社長も言ってたけど、先走り凄いね、諸塚君」
笑いにしたい分、明るく言葉をかける。
「僕、勃起するともうすぐに先走り垂れちゃうんですよ。なんかやってるときに勃っちゃうと、もうズボンのシミとかヤバくて」
あ、笑っての話になってくれた!
「三股さん、玉、デカいですよね。せんずりのときにちらっと見えちゃって、正直びっくりしました!」
「まあ自分ではこれが『普通』だったからなあ。ただ、最近も言われたので、たぶんそうなんだろうな」
誰に、どこで、とは言わないけど。
「あの、三股さん、もしその合否バラバラでも、飯とか一緒したいんで、なんか連絡先教えてもらっていいスか?」
「ああ、俺もそう思ってたんだ。んっと、これでいいかな?」
完全ミュートにしてたスマホを取り出し、互いのSNS先を交換。
「さて、帰るか。ホント、お疲れさんだったよな、2人とも」
「三股さんもお疲れ様でした。水曜以降、どっちにしろ連絡入れます」
「ああ、よろしく。じゃ、お疲れさんでした!」
こうして驚きの採用試験が終わった。
もっとも、最後の5分間以外は話に聞いてた俺はそこまでの動揺は無かったけど、それでもあのフェラにはびっくりしたわけで。
諸塚君とかまったく予備知識無かったみたいなんで、色々考え込んでしまわないかがちょっと心配だった。
まあ、決まる前に色々考えても仕方ないので、おとなしく水曜の連絡待ち。
バイト詰め込んでたので、金の方はけっこう余裕があったんで、ゆるゆる過ごした週の前半だったんだ。